2020(02)
■A Summer Reflection to End
++++
客観的な立場でモニター会を見ていろいろ思うことはありつつも、無事に合宿を終えた対策委員を労う。去年は去年で大変だったけど、今年は今年でトラブルがあったそうで、やっぱりそうそう順風満帆という風には行かないのだなと改めて思った。
今年の合宿で特にバタバタしていたのはタカティだという。体調を崩した彩人の介抱をしたり、ミキサー講習の時に起こった乱闘を止めたり。トラブルに巻き込まれた自分の大学の子のケアにも奔走していたと。合宿の進行面では目立たなかったそうだけど、影の殊勲者として対策委員はその働きを讃えている。
「ホントにみんな、お疲れさまでした」
「先輩方も、見に来てもらってありがとうございました」
「野坂先輩すみません、問題起こしちゃいました」
「いや、どうしようもないだろあれは。奈々は悪くない。緑大さんも星ヶ丘さんもホントウチのが申し訳ない。言って聞かせる機会ももうないだろうけど」
今年の合宿は悪い意味での萌香無双だったとは聞いた。初っ端から男狙いの動きで彩人を困らせたとか、コミュニケーションを取ろうとしたくるみに悪態を吐いて、その結果みちると乱闘をするとか。結局その後萌香は合宿をリタイアすることになり、そのままサークルも辞めたそうだ。
その話を聞いたカノンは「アイツの顔なんか二度と見たくないから自分はバドサーを辞める」と萌香に対してブチギレていた。そこまでしなくてもと奈々が宥めたそうだけど、元々自分が入りたかったのはMMPだしこれからはこれ一本で頑張るいい機会だからと頑なだったらしい。
「ま、問題起こしたって点で言えばウチもどっこいどっこいだからね。いやー、いくらアタシの動きを日々参考にしてるっつっても血気盛んなトコまで似なくていーんだけどね」
「すみませんつばめ先輩」
「確かに暴力沙汰は問題っちゃ問題だけど、アタシ個人の気持ちとすれば、やられたんだからやり返す分にはやっちまえって。よくやったよみちるは。でも白河が何て言うかだわ。ゲンゴロー、何か上手いこと誤魔化しといて」
「わかりました。……誤魔化せるかなぁー…?」
萌香と乱闘騒ぎを起こしたみちるに関して、つばめは個人としてその心意気こそ評価したものの、戸田班班長として暴力沙汰はマズいと厳重注意することにしたらしい。しかし、去年三井先輩に対してぶっ潰すだのなんだのと言っていたのと同じ人間だとはとても思えない落ち着きっぷりだ。
つばめや青女さんの前で言うと怒られそうだけど、去年の三井先輩はまだ放送をやっていた分マシなんじゃないかと思えて来た。いや、確かにあの人はあの人で酷かったしミラに対する行為はとても許せるものではないんだけど、萌香がとにかく酷すぎる。
「でも、ゲンゴローはよくやったね。急遽おハナの番組までカバーして」
「あ、ステージでも1日前のムチャ振りとかはよくあったので。口頭ででも伝えてさえもらえれば大体の事には対応出来ます」
「見たか果林、これが朝霞班育ちのムチャ振り耐性だよ! あれっくらいならゲンゴローには余裕余裕」
「タカちゃんだってその点じゃ負けてないからね。アタシオープンキャンパスで結構なムチャ振りしたけど全部応えてくれたからね」
「あれはなかなか壮絶でした。実質アドリブ合戦でしたし」
「でも、確かに今年の番組はどれも安定してて良かったなとは」
「いやー、どーするL。秋の昼放送の枠が本っ当に足りないね」
「そうだな」
「そうか、昼放送の枠…! 2年生も、うかうかしてられないんですよね」
「そうだねえ。まあ、履修の関係もあるからね。その辺は乞うご期待」
緑大勢が秋の昼放送の枠について悩み始めたのを、贅沢な悩みだなあと溜め息を吐くしかない。如何せん1つ枠を埋めるのにも苦労する俺たちMMPは、枠が余って誰かを落とさなければならないという緑ヶ丘の発言がどんな富裕層かと羨むしか出来ないのだ。
「タカちゃん的に、MBCCの1年生たちはどうだった?」
「あー、そうですね。シノが、ああいう咄嗟のフォローが出来るようになってたのが、おって思いました」
「海月と組んでた子だね」
「そうそう」
「ウチのステージのことにまで気を掛けてくれたって聞いたよ。合宿のことはステージが終わってからでいいって。海月の中でステージとラジオがごっちゃになって、混乱して不安になっちゃってたみたくて」
「あー、それがターニングポイントだったのかも。急にシノが自分や音のことだけじゃなくて、アナウンサーのこともちょっと気にかけ始めて。何があったんだろうと思って見てたんだけど」
確かに、シノが海月の些細な異変に気付いて利かせた咄嗟の機転は、番組をスムーズな音で繋いだ上に海月の平静をも取り戻させた。今年のモニター会でも屈指の名シーンだったと俺は思う。相手を理解して、よく見ていなければ出来ないことだから。講習会前の、俺が知ってる派手好きなだけのシノではなかった。
「もう秋か~…! どーする、ウチはガチで存亡の危機だぞ」
「あっ、そうだ野坂、ちょっと相談が」
「ん?」
「さ! うちらもそろそろ解散してご飯でも行きますか!」
「やったーごはーん!」
end.
++++
今年のモニター会にも3年生が何人か見に来ていたようです。そこでいろいろ合宿のあらすじを聞いていたようだけど…?
どうやら番組ではシノがいい感じにやっていたようです。今年のモニター会屈指の名シーンってどんなんやったんや。合宿が終わってもがんばれ
合宿が終われば各校、秋に向かって動くことになります。ここまでで得た経験をこれからどう生かしていくんでしょうか
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客観的な立場でモニター会を見ていろいろ思うことはありつつも、無事に合宿を終えた対策委員を労う。去年は去年で大変だったけど、今年は今年でトラブルがあったそうで、やっぱりそうそう順風満帆という風には行かないのだなと改めて思った。
今年の合宿で特にバタバタしていたのはタカティだという。体調を崩した彩人の介抱をしたり、ミキサー講習の時に起こった乱闘を止めたり。トラブルに巻き込まれた自分の大学の子のケアにも奔走していたと。合宿の進行面では目立たなかったそうだけど、影の殊勲者として対策委員はその働きを讃えている。
「ホントにみんな、お疲れさまでした」
「先輩方も、見に来てもらってありがとうございました」
「野坂先輩すみません、問題起こしちゃいました」
「いや、どうしようもないだろあれは。奈々は悪くない。緑大さんも星ヶ丘さんもホントウチのが申し訳ない。言って聞かせる機会ももうないだろうけど」
今年の合宿は悪い意味での萌香無双だったとは聞いた。初っ端から男狙いの動きで彩人を困らせたとか、コミュニケーションを取ろうとしたくるみに悪態を吐いて、その結果みちると乱闘をするとか。結局その後萌香は合宿をリタイアすることになり、そのままサークルも辞めたそうだ。
その話を聞いたカノンは「アイツの顔なんか二度と見たくないから自分はバドサーを辞める」と萌香に対してブチギレていた。そこまでしなくてもと奈々が宥めたそうだけど、元々自分が入りたかったのはMMPだしこれからはこれ一本で頑張るいい機会だからと頑なだったらしい。
「ま、問題起こしたって点で言えばウチもどっこいどっこいだからね。いやー、いくらアタシの動きを日々参考にしてるっつっても血気盛んなトコまで似なくていーんだけどね」
「すみませんつばめ先輩」
「確かに暴力沙汰は問題っちゃ問題だけど、アタシ個人の気持ちとすれば、やられたんだからやり返す分にはやっちまえって。よくやったよみちるは。でも白河が何て言うかだわ。ゲンゴロー、何か上手いこと誤魔化しといて」
「わかりました。……誤魔化せるかなぁー…?」
萌香と乱闘騒ぎを起こしたみちるに関して、つばめは個人としてその心意気こそ評価したものの、戸田班班長として暴力沙汰はマズいと厳重注意することにしたらしい。しかし、去年三井先輩に対してぶっ潰すだのなんだのと言っていたのと同じ人間だとはとても思えない落ち着きっぷりだ。
つばめや青女さんの前で言うと怒られそうだけど、去年の三井先輩はまだ放送をやっていた分マシなんじゃないかと思えて来た。いや、確かにあの人はあの人で酷かったしミラに対する行為はとても許せるものではないんだけど、萌香がとにかく酷すぎる。
「でも、ゲンゴローはよくやったね。急遽おハナの番組までカバーして」
「あ、ステージでも1日前のムチャ振りとかはよくあったので。口頭ででも伝えてさえもらえれば大体の事には対応出来ます」
「見たか果林、これが朝霞班育ちのムチャ振り耐性だよ! あれっくらいならゲンゴローには余裕余裕」
「タカちゃんだってその点じゃ負けてないからね。アタシオープンキャンパスで結構なムチャ振りしたけど全部応えてくれたからね」
「あれはなかなか壮絶でした。実質アドリブ合戦でしたし」
「でも、確かに今年の番組はどれも安定してて良かったなとは」
「いやー、どーするL。秋の昼放送の枠が本っ当に足りないね」
「そうだな」
「そうか、昼放送の枠…! 2年生も、うかうかしてられないんですよね」
「そうだねえ。まあ、履修の関係もあるからね。その辺は乞うご期待」
緑大勢が秋の昼放送の枠について悩み始めたのを、贅沢な悩みだなあと溜め息を吐くしかない。如何せん1つ枠を埋めるのにも苦労する俺たちMMPは、枠が余って誰かを落とさなければならないという緑ヶ丘の発言がどんな富裕層かと羨むしか出来ないのだ。
「タカちゃん的に、MBCCの1年生たちはどうだった?」
「あー、そうですね。シノが、ああいう咄嗟のフォローが出来るようになってたのが、おって思いました」
「海月と組んでた子だね」
「そうそう」
「ウチのステージのことにまで気を掛けてくれたって聞いたよ。合宿のことはステージが終わってからでいいって。海月の中でステージとラジオがごっちゃになって、混乱して不安になっちゃってたみたくて」
「あー、それがターニングポイントだったのかも。急にシノが自分や音のことだけじゃなくて、アナウンサーのこともちょっと気にかけ始めて。何があったんだろうと思って見てたんだけど」
確かに、シノが海月の些細な異変に気付いて利かせた咄嗟の機転は、番組をスムーズな音で繋いだ上に海月の平静をも取り戻させた。今年のモニター会でも屈指の名シーンだったと俺は思う。相手を理解して、よく見ていなければ出来ないことだから。講習会前の、俺が知ってる派手好きなだけのシノではなかった。
「もう秋か~…! どーする、ウチはガチで存亡の危機だぞ」
「あっ、そうだ野坂、ちょっと相談が」
「ん?」
「さ! うちらもそろそろ解散してご飯でも行きますか!」
「やったーごはーん!」
end.
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今年のモニター会にも3年生が何人か見に来ていたようです。そこでいろいろ合宿のあらすじを聞いていたようだけど…?
どうやら番組ではシノがいい感じにやっていたようです。今年のモニター会屈指の名シーンってどんなんやったんや。合宿が終わってもがんばれ
合宿が終われば各校、秋に向かって動くことになります。ここまでで得た経験をこれからどう生かしていくんでしょうか
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