2020(02)
■機材チェックはお早めに
++++
果林先輩からもらっていた「合宿前に機材の確認は入念にしておけ」という言葉に従って、今日の対策委員は花栄にある某所ビル6階の物置に集合している。去年は本当にギリギリの準備で酷い目に遭ったそうなので、今年は早め早めに。
俺は対策委員の機材管理担当として、去年の合宿ではどの機材を持って行ったのか、他に必要になった物などはなかったか、過去の議事録を見たり五島先輩に聞いて調べて来た。中会議室も借りているから、これをみんなでチェックするんだ。
「ところで、今年は中継やるっていう班はないよね? 特にゲンゴロー」
「えっ、やらないけど何で俺?」
「ワイヤレスと言えば星ヶ丘さんかなと思って」
「あー、今までの中継に絡んでるのって大体ウチだったね。大丈夫、やらないから安心して」
「中継やらないならワイヤレスは置いていこうか。今年は講習もパソコンを使った内容にシフトしてるし。アオ、それでいいかな」
「それで大丈夫だと思うけど、今度ダイさんとの打ち合わせ後に決めよう」
「そうだね」
初心者講習会に引き続いて、今年は夏合宿でもパソコンを使った番組作成についても触れてもらうことにした。講師の水沢さんも仕事とは別に個人で番組を作るときはパソコンを使った編集をやっているから粗方対応出来るそうだ。
インターフェイスでやるラジオ番組は各種デッキ類を使うのが基本だけど、それらを使って録音した音声を後から編集するということも念頭に置いていく方針だ。実際、使える物は使った方がいいかなと。縛りプレイでやってるワケじゃないし。
「タカティ、MDストックはどうする?」
「あー……一応過去10年分はライブラリ化出来てるけど、それ以前の物はまだMDのままだね。リク番で使うんだもんね」
定例会と連携して少しずつ進めていたMDストックのミュージックライブラリ化はまだ全部終わっていない。さすがにMBCCのそれと同時進行では全部を片付けることもままならず。パソコンに入れた分のディスクの扱いをどうするかという問題が。
正直、重いからパソコンに入れた分のMDは持って行きたくないなっていうのが本音。だけど、普通に使えるし実際の番組はパソコンでもMDでも使いたい方を使ってって感じになったから、あったらあったで使いそうなんだよなあ。うーん難しい。
「重いなー……ここにあるどの機材よりも重いよね、これ」
「何でこっち見ながら言うんだっていう」
「この中だったらエイジが一番力があるかなと思って」
「お前、一番重いの人に持たせる気マンマンかよ」
「でも、さすがに女子にお願いする重さじゃなくない?」
「んっ。あー、確かに重いな。カゴがボロいのも相俟ってただただ危ない」
「でしょ?」
「これを俺が持つっつーコトは、アンプだのミキサーだのは他の連中でやれよ」
「それはわかってるよ」
俺はパソコンの動作チェックをしながら、他の機材についても目を配る。うん、とりあえず今のところデータが壊れてるとかそんなことはなさそうだし、バックアップの方もちゃんとなってたからこれで良し。
佐藤ゼミのお下がりでもらったパソコンだから、音声ファイルに関するソフトはいろいろ入っている。録音や編集だってこれ1台でお手の物。今後インターフェイスの加盟校が合同で何か作品を作ろうってなっても出来ちゃうんじゃないかな。
「あっ、リク番で思い出したけど、リクエスト用紙とモニター用紙刷らなきゃ」
「ああ、そうだね」
「それから、名札のカードホルダーが届いて。対策委員と1年生2年生で色を変えられるようにしたよ」
「ナイスゲンゴロー」
「家で分けてきたし、みんなの分を配って良いかな」
「いいよ」
対策委員は青、2年生は赤、1年生は黄色の紐で色分けされたカードホルダー。合宿中は名札を入れたこれを首から提げて活動する。合宿の会場では、正直誰が誰だかわかんないからね。名札も自分で作るから、性格が出るよね。
「機材、用紙類、カードホルダー。あとは何が要ったっけ」
「用紙はこれから刷りに行くとして、今ある物はこれで大体大丈夫じゃないかな」
「あとは買い出しをすれば大体オッケーって感じだね」
「そしたら買い出し班と印刷班に分かれよう」
「安く印刷出来るところなら知ってるから、俺は印刷に回るよ」
「そしたらゲンゴローが印刷で、買い出しは」
「じゃあ俺は買い出しに回るべ」
これからは買い出しと印刷チームに分かれて活動開始。必要な物のリストを持っている俺は買い出しチームに回って文房具店や100均を回る。あまり使わないのにそのときが来ると使えなくなるマジック類や、あると便利なスケッチブックなどを探して。
一応青年の家にもあるとは思うけど、もしものことを想定して簡単な救急セットなんかも用意する。具合が悪い人が出たときの袋とか、指を切ったりした人にはカットバンとか。ここで使わなくても、悪くならない物は置いておけばいいからね。
「それじゃあ行きましょう。また後で」
end.
++++
そう言えば、よくよく考えたら中継やってたのってシゲトラとつばちゃんだからゲンゴローももしかしてってなるわね。一応出来るけどやらないよ!
果林の代の対策委員はこの機材の確認がギリギリな上にノサカ1人でやってたような感じ。イシカー兄さんに救援要請を出してましたね。懐かしい。
そう言えばMDストックのミュージックライブラリ化とか言ってたね。最近話には出てなかったけど密かに進行していた様子。
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果林先輩からもらっていた「合宿前に機材の確認は入念にしておけ」という言葉に従って、今日の対策委員は花栄にある某所ビル6階の物置に集合している。去年は本当にギリギリの準備で酷い目に遭ったそうなので、今年は早め早めに。
俺は対策委員の機材管理担当として、去年の合宿ではどの機材を持って行ったのか、他に必要になった物などはなかったか、過去の議事録を見たり五島先輩に聞いて調べて来た。中会議室も借りているから、これをみんなでチェックするんだ。
「ところで、今年は中継やるっていう班はないよね? 特にゲンゴロー」
「えっ、やらないけど何で俺?」
「ワイヤレスと言えば星ヶ丘さんかなと思って」
「あー、今までの中継に絡んでるのって大体ウチだったね。大丈夫、やらないから安心して」
「中継やらないならワイヤレスは置いていこうか。今年は講習もパソコンを使った内容にシフトしてるし。アオ、それでいいかな」
「それで大丈夫だと思うけど、今度ダイさんとの打ち合わせ後に決めよう」
「そうだね」
初心者講習会に引き続いて、今年は夏合宿でもパソコンを使った番組作成についても触れてもらうことにした。講師の水沢さんも仕事とは別に個人で番組を作るときはパソコンを使った編集をやっているから粗方対応出来るそうだ。
インターフェイスでやるラジオ番組は各種デッキ類を使うのが基本だけど、それらを使って録音した音声を後から編集するということも念頭に置いていく方針だ。実際、使える物は使った方がいいかなと。縛りプレイでやってるワケじゃないし。
「タカティ、MDストックはどうする?」
「あー……一応過去10年分はライブラリ化出来てるけど、それ以前の物はまだMDのままだね。リク番で使うんだもんね」
定例会と連携して少しずつ進めていたMDストックのミュージックライブラリ化はまだ全部終わっていない。さすがにMBCCのそれと同時進行では全部を片付けることもままならず。パソコンに入れた分のディスクの扱いをどうするかという問題が。
正直、重いからパソコンに入れた分のMDは持って行きたくないなっていうのが本音。だけど、普通に使えるし実際の番組はパソコンでもMDでも使いたい方を使ってって感じになったから、あったらあったで使いそうなんだよなあ。うーん難しい。
「重いなー……ここにあるどの機材よりも重いよね、これ」
「何でこっち見ながら言うんだっていう」
「この中だったらエイジが一番力があるかなと思って」
「お前、一番重いの人に持たせる気マンマンかよ」
「でも、さすがに女子にお願いする重さじゃなくない?」
「んっ。あー、確かに重いな。カゴがボロいのも相俟ってただただ危ない」
「でしょ?」
「これを俺が持つっつーコトは、アンプだのミキサーだのは他の連中でやれよ」
「それはわかってるよ」
俺はパソコンの動作チェックをしながら、他の機材についても目を配る。うん、とりあえず今のところデータが壊れてるとかそんなことはなさそうだし、バックアップの方もちゃんとなってたからこれで良し。
佐藤ゼミのお下がりでもらったパソコンだから、音声ファイルに関するソフトはいろいろ入っている。録音や編集だってこれ1台でお手の物。今後インターフェイスの加盟校が合同で何か作品を作ろうってなっても出来ちゃうんじゃないかな。
「あっ、リク番で思い出したけど、リクエスト用紙とモニター用紙刷らなきゃ」
「ああ、そうだね」
「それから、名札のカードホルダーが届いて。対策委員と1年生2年生で色を変えられるようにしたよ」
「ナイスゲンゴロー」
「家で分けてきたし、みんなの分を配って良いかな」
「いいよ」
対策委員は青、2年生は赤、1年生は黄色の紐で色分けされたカードホルダー。合宿中は名札を入れたこれを首から提げて活動する。合宿の会場では、正直誰が誰だかわかんないからね。名札も自分で作るから、性格が出るよね。
「機材、用紙類、カードホルダー。あとは何が要ったっけ」
「用紙はこれから刷りに行くとして、今ある物はこれで大体大丈夫じゃないかな」
「あとは買い出しをすれば大体オッケーって感じだね」
「そしたら買い出し班と印刷班に分かれよう」
「安く印刷出来るところなら知ってるから、俺は印刷に回るよ」
「そしたらゲンゴローが印刷で、買い出しは」
「じゃあ俺は買い出しに回るべ」
これからは買い出しと印刷チームに分かれて活動開始。必要な物のリストを持っている俺は買い出しチームに回って文房具店や100均を回る。あまり使わないのにそのときが来ると使えなくなるマジック類や、あると便利なスケッチブックなどを探して。
一応青年の家にもあるとは思うけど、もしものことを想定して簡単な救急セットなんかも用意する。具合が悪い人が出たときの袋とか、指を切ったりした人にはカットバンとか。ここで使わなくても、悪くならない物は置いておけばいいからね。
「それじゃあ行きましょう。また後で」
end.
++++
そう言えば、よくよく考えたら中継やってたのってシゲトラとつばちゃんだからゲンゴローももしかしてってなるわね。一応出来るけどやらないよ!
果林の代の対策委員はこの機材の確認がギリギリな上にノサカ1人でやってたような感じ。イシカー兄さんに救援要請を出してましたね。懐かしい。
そう言えばMDストックのミュージックライブラリ化とか言ってたね。最近話には出てなかったけど密かに進行していた様子。
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