2020(02)
■壁も山もブンブンブン
++++
「盆前のセンター開放は一応明日までだが、テストが今日までということで、明日は実質的に休み前の整理などに充てることになる。ひとまずご苦労だった」
「はー、お疲れさまでした~。もうくたくただよ~」
「でもミドリは明日もシフト入ってるんだよね」
「そうだね。受付のマシンメンテナンスとかがあるから」
怒涛のテスト期間を抜け、繁忙期の情報センターも一段落。この春学期は今までと比べて何となく余裕があったような気がする。人的余裕と言うか、何と言うか。もしかすると俺自身にも余裕があったのかもしれない。
お盆を過ぎれば閑散期。閑散期は大体1日2人くらいでシフトを回すことになる。俺は向舞祭や夏合宿の関係で8月の帰省は諦めてるから、バイトも基本的に8月中心に入らせてもらうことになっている。帰省のタイミングは有馬くんと入れ替わりって感じなのかな。
今日のセンターはテスト期間最後のギリギリで駆け込み利用も多かった。開放時間のギリギリまで人がいて、なかなか気の抜ける間もなかったかな。まあ、俺は受付にいたから自習室よりはマシだったのかもしれないけど。でも、とにかくくたくた。
「アオ、この後ご飯でも行かない?」
「いいよ。何食べる?」
「えっと、それは考えてなかった」
「焼肉でもする? 肉が食べたい気分」
「えっ、焼肉!? 打ち上げらしいメニューではあるけど、そんなにお金持ってたかなあ……」
「焼肉店に行くんじゃなくて、スーパーで肉を買ってミドリの部屋で焼くっていう、焼肉」
「ああ、そういうことね。他の皆さんも良ければどうですか?」
――と誘ってみたものの、皆さんそれぞれ用事があったり体作りに忙しいようで、結局俺とアオの2人焼肉。俺の部屋には学祭の時にUHBCの補助で買ったグリル鍋がある。それがあることを知っているからこその提案だったんだと思う。でも、いいね、焼肉。
スーパーで割引シールの貼られた肉とちょっとした物、それからお酒を買って部屋に帰る。臭いが付きそうな物だけはあらかじめ避難させて、焼肉の準備。実質お肉を焼くだけだから、本当に簡単な、ささやかな準備だけだけど。でも、アオとサシメシってのも何だかんだ珍しい気がする。
「ちょっと見ない間にミドリの部屋、いろいろ変わった気がする。物が増えたと言うか。ユキちゃんの影響もあったりするの?」
「まあ、ちょっとはね」
「あっミドリ、そっち牛肉焼けてる。食べていいよ」
「ありがとう。アオは?」
「豚待ち」
「それじゃあ、牛いただきます」
「豚もそろそろいいかな。いただきます」
「あー、美味しい。そっか、やろうと思えば家で焼肉出来たんだ」
「え、まさか今まで思いついて無かった?」
「うん、全然」
「普段ご飯ってどうしてるの?」
「自分で作ったり、買って来たり、ユキちゃんと食べたり」
これからはおうち焼肉も選択肢に入って来るかな。スーパーで割引シールを狙って行けば、普通に買うよりちょっとお得にやれるし。何より焼けばいいだけだから簡単でいい。問題はやっぱり臭いだけど、どうするのがいいのかな。
「定例会は向舞祭に向けて練習してるんだけど、対策委員って今どんな感じ?」
「合宿関係のことは割と滞りなく。講師は去年と同じくダイさんにお願いして。だけどひとつ、大問題があって」
「え。どうしたの」
「車がない」
「あー、そっか。合宿でも機材は運搬しなきゃいけないんだもんね」
「そう。やっぱりまたレンタカーを借りるのが一番現実的な手段になってくるのかもしれないなと」
対策委員のみんなも日々会議をして合宿に向けて詰めているようだ。いろんなことを考えて話し合ううちに、対策委員の抱える問題にまた突き当っちゃったみたくて。それっていうのが、車問題。車を持ってる子がいないから、機材運搬なんかがかなりネックになっていて。
初心者講習会ではアオがレンタカーを借りたり俺がドライバーをやったりして解決したんだけど、2泊3日の合宿となるとそれもどうかなっていう話になってるみたくて。免許を持ってるのもアオとエージだけみたくて。土地勘の問題でアオがドライバーになってるそうだ。
「2年生で車ある人が定例会に寄っちゃったのがこう、ねえ」
「そうだねえ」
「ミドリ、今の1年生に車持ってる子が何人いるかわかんないけど、車のある子は絶対対策委員に必要だ」
「ドライバー要員ね。でも、確かに車乗れる子って何人いるんだろう」
これは次の対策委員を決めるときに改めてみんなに伝えることにして、まずは目先の夏合宿。そうアオはじゅうじゅうとお肉を焼いている。でも、定例会は定例会でファンフェスとかもあるからどっちにしても車は必要だ。でも、来年はまだ俺とハナちゃんがいるから大丈夫か。
「意外と地方から来てる子の方が車に乗ってるんじゃないかって気がするよね。今の2年も車あるの俺とハナちゃんだし」
「あっでも、何かタカティが車校に通い始めたとか通い始めるとかって話を聞いた」
「えっ、タカティが免許!? でも、しばらくはペーパーだろうなあ」
「って言うか、さすがに今度の夏合宿で中継形式の番組をやろうとしてる班はないよね? 出来れば荷物を減らしたいんだけど」
「いや~……うちの班はやらないけど、他の班のことまではわかんないなあ」
end.
++++
今期の対策委員がぶち当たってる最大の問題がクルマ問題ですが、この壁を鋼の議長はどうぶっ壊していくのか! さすがに車は買えないだろうし
お肉が食べたいという欲求に忠実ですね。値引きシールが貼ってある物を買って行くのも現実的。すぐ食べるからそれでいいんだよね
あとサラッと語られたけど、今年の合宿講師もダイさんに決まってたんですね! 決まるまでには奈々が活躍したのかしら。どうだったの?
.
++++
「盆前のセンター開放は一応明日までだが、テストが今日までということで、明日は実質的に休み前の整理などに充てることになる。ひとまずご苦労だった」
「はー、お疲れさまでした~。もうくたくただよ~」
「でもミドリは明日もシフト入ってるんだよね」
「そうだね。受付のマシンメンテナンスとかがあるから」
怒涛のテスト期間を抜け、繁忙期の情報センターも一段落。この春学期は今までと比べて何となく余裕があったような気がする。人的余裕と言うか、何と言うか。もしかすると俺自身にも余裕があったのかもしれない。
お盆を過ぎれば閑散期。閑散期は大体1日2人くらいでシフトを回すことになる。俺は向舞祭や夏合宿の関係で8月の帰省は諦めてるから、バイトも基本的に8月中心に入らせてもらうことになっている。帰省のタイミングは有馬くんと入れ替わりって感じなのかな。
今日のセンターはテスト期間最後のギリギリで駆け込み利用も多かった。開放時間のギリギリまで人がいて、なかなか気の抜ける間もなかったかな。まあ、俺は受付にいたから自習室よりはマシだったのかもしれないけど。でも、とにかくくたくた。
「アオ、この後ご飯でも行かない?」
「いいよ。何食べる?」
「えっと、それは考えてなかった」
「焼肉でもする? 肉が食べたい気分」
「えっ、焼肉!? 打ち上げらしいメニューではあるけど、そんなにお金持ってたかなあ……」
「焼肉店に行くんじゃなくて、スーパーで肉を買ってミドリの部屋で焼くっていう、焼肉」
「ああ、そういうことね。他の皆さんも良ければどうですか?」
――と誘ってみたものの、皆さんそれぞれ用事があったり体作りに忙しいようで、結局俺とアオの2人焼肉。俺の部屋には学祭の時にUHBCの補助で買ったグリル鍋がある。それがあることを知っているからこその提案だったんだと思う。でも、いいね、焼肉。
スーパーで割引シールの貼られた肉とちょっとした物、それからお酒を買って部屋に帰る。臭いが付きそうな物だけはあらかじめ避難させて、焼肉の準備。実質お肉を焼くだけだから、本当に簡単な、ささやかな準備だけだけど。でも、アオとサシメシってのも何だかんだ珍しい気がする。
「ちょっと見ない間にミドリの部屋、いろいろ変わった気がする。物が増えたと言うか。ユキちゃんの影響もあったりするの?」
「まあ、ちょっとはね」
「あっミドリ、そっち牛肉焼けてる。食べていいよ」
「ありがとう。アオは?」
「豚待ち」
「それじゃあ、牛いただきます」
「豚もそろそろいいかな。いただきます」
「あー、美味しい。そっか、やろうと思えば家で焼肉出来たんだ」
「え、まさか今まで思いついて無かった?」
「うん、全然」
「普段ご飯ってどうしてるの?」
「自分で作ったり、買って来たり、ユキちゃんと食べたり」
これからはおうち焼肉も選択肢に入って来るかな。スーパーで割引シールを狙って行けば、普通に買うよりちょっとお得にやれるし。何より焼けばいいだけだから簡単でいい。問題はやっぱり臭いだけど、どうするのがいいのかな。
「定例会は向舞祭に向けて練習してるんだけど、対策委員って今どんな感じ?」
「合宿関係のことは割と滞りなく。講師は去年と同じくダイさんにお願いして。だけどひとつ、大問題があって」
「え。どうしたの」
「車がない」
「あー、そっか。合宿でも機材は運搬しなきゃいけないんだもんね」
「そう。やっぱりまたレンタカーを借りるのが一番現実的な手段になってくるのかもしれないなと」
対策委員のみんなも日々会議をして合宿に向けて詰めているようだ。いろんなことを考えて話し合ううちに、対策委員の抱える問題にまた突き当っちゃったみたくて。それっていうのが、車問題。車を持ってる子がいないから、機材運搬なんかがかなりネックになっていて。
初心者講習会ではアオがレンタカーを借りたり俺がドライバーをやったりして解決したんだけど、2泊3日の合宿となるとそれもどうかなっていう話になってるみたくて。免許を持ってるのもアオとエージだけみたくて。土地勘の問題でアオがドライバーになってるそうだ。
「2年生で車ある人が定例会に寄っちゃったのがこう、ねえ」
「そうだねえ」
「ミドリ、今の1年生に車持ってる子が何人いるかわかんないけど、車のある子は絶対対策委員に必要だ」
「ドライバー要員ね。でも、確かに車乗れる子って何人いるんだろう」
これは次の対策委員を決めるときに改めてみんなに伝えることにして、まずは目先の夏合宿。そうアオはじゅうじゅうとお肉を焼いている。でも、定例会は定例会でファンフェスとかもあるからどっちにしても車は必要だ。でも、来年はまだ俺とハナちゃんがいるから大丈夫か。
「意外と地方から来てる子の方が車に乗ってるんじゃないかって気がするよね。今の2年も車あるの俺とハナちゃんだし」
「あっでも、何かタカティが車校に通い始めたとか通い始めるとかって話を聞いた」
「えっ、タカティが免許!? でも、しばらくはペーパーだろうなあ」
「って言うか、さすがに今度の夏合宿で中継形式の番組をやろうとしてる班はないよね? 出来れば荷物を減らしたいんだけど」
「いや~……うちの班はやらないけど、他の班のことまではわかんないなあ」
end.
++++
今期の対策委員がぶち当たってる最大の問題がクルマ問題ですが、この壁を鋼の議長はどうぶっ壊していくのか! さすがに車は買えないだろうし
お肉が食べたいという欲求に忠実ですね。値引きシールが貼ってある物を買って行くのも現実的。すぐ食べるからそれでいいんだよね
あとサラッと語られたけど、今年の合宿講師もダイさんに決まってたんですね! 決まるまでには奈々が活躍したのかしら。どうだったの?
.