2017(02)
■ガールズトークでトワイライト
++++
「お邪魔します」
「どうぞーッ! いらっしゃーいッ!」
水鈴さんに誘われて、今日は水鈴さんの家にお泊りをすることになった。水鈴さんの妹の奈々とはインターフェイスの夏合宿で知り合っている。同じ1年生のミキサーだし、共通の知り合いがいくらかいる関係で少し仲良くなった。
玄関では奈々が出迎えてくれて、スリッパを出してくれる。こっちだよーとリビングに通されれば、ちゅんちゅんと鳥の鳴き声がする。これが、岡島家の人たちが溺愛しているという文鳥のピー子ちゃん。後で撮らせてもらおう。
「あっ何か飲み物飲む? 紅茶とコーヒー、ココア、麦茶、何がいい?」
「それじゃあ紅茶で」
どうしてこんなお泊り会が開かれているのかと言うと、水鈴さんが私の状況を見かねて。かんなが例によって萩さんと家でいちゃいちゃしてるから、私も好き放題しなさいって。
秋学期に入って大学祭が近くなると萩さんは忙しくなるらしく、これから会えなくなるであろう分を先に埋めてるんだって。萩さんは謝ってくれるけど逆に気を遣っちゃうよね。いい人だからこう、ね。
「はいあやめ、お紅茶」
「ありがとう」
「お姉ちゃんが彼氏さんと家でラブラブしてるんだってねーッ」
「もう、ホント大変だよ。部屋が隣り合ってるから気配を意識させないようにとかさ。邪魔しちゃ悪いかなって」
「えーッ! あやめの家でもあるのに何であやめが遠慮しなきゃいけないのッ!」
「――って水鈴さんも言ってくれてて今日に至ってるんだよ」
「あ、そっか。そうだよね」
今日は夕飯も岡島家の皆さんと一緒に食べることになっている。お母さんとかお父さんとかには私の話ももう通ってるとかで。2泊でも3泊でもどうぞって言ってくれてたみたいだけど、さすがにそれは図々しすぎるからお泊りは1日だけ。
「あやめは彼氏とか好きな人とかいないの?」
「そんなことに時間を費やすなら作品を作りたい」
「うっすうっす」
「あっ、友達の時間は別だよ。奈々は?」
「うちはねー、同じ学部の子がちょっと気になっててーッ」
たまに一緒に遊びに行ったりしてるんだー、と語る奈々が乙女だ。こういう子を可愛いって云うんだろうな。でも私は恋愛より作品と向き合ってたいし、今はまだわかんないな。
「やっぱり奈々も好きな人が出来たらああいう感じになるの?」
「そんなッ! うちはミーちゃんほどオープンじゃないし激しくもないしッ! って言うかミーちゃんは特殊だからねッ! 雄平さんじゃなかったら捕まってるしッ!」
「なるほど、越谷さんだから上手く回ってる、と」
「絶対そうッ! うちは何だかんだ将来的に雄平さんがうちのお義兄ちゃんになるって信じてる派だしッ」
「越谷さんと水鈴さん、お似合いなのにねー。越谷さんは断固ないみたいな感じだし」
「ねーッ!」
「……奈々、これがもしかして恋バナ…?」
「人の話だから厳密にはちょっと違うと思うけど、あやめ基準なら恋バナでオッケーだと思う」
「恋愛の話は圭斗先輩に聞くといいとも聞いたけど」
「あー、圭斗先輩はねー、すごいよ。ディープだよ。うちらが圭斗先輩の前に立つのはまだ早いよ」
夜はきっと奈々と布団を並べてこういう話をするのかな。お泊り会の醍醐味って夜のお喋りだよね。昔はかんなと並んで寝てたけど、今は部屋も別だしなかなかないなあ。
「こらー、チビたち。お姉さんの名前が出てきた気がするぞーッ!」
「ミーちゃんいつからいたのッ!」
「奈々ー、何年後になるかわかんないけどお望みのお義兄ちゃん連れて来てあげるからねーッ!」
「楽しみにしてるーッ!」
「その時の写真はあやめに撮ってもらわなきゃねッ!」
「腕を磨きます。でも、このまま行けば多分萩さんとかんなの方が先ですよね」
「……それは言わない約束じゃない、あやめちゃん」
「結婚式で流す再現VTRで友人役の水鈴さんと越谷さんがそれっぽい棒読みの演技をしてるうちに自分たちも触発されて、というのに期待しましょう」
「ほんとそれ」
きっと、夜のお喋りには水鈴さんも加わって、よりディープな話になるんだろうな。恋がどういうことなのかは私にはまだわからないけど、そういう感情があると知っていることが作品にもいつか役に立つだろうし。
「あやめちゃん今日の夕飯は水鈴さん特製のハンバーグだよ。雄平のお墨付きだから」
「……奈々、何で付き合ってないの?」
「うちも聞きたい」
「それはアタシが一番聞きたいからッ!」
end.
++++
あやめが何気に岡島姉妹の両方と繋がってるよなあと思った件。IFの1年女子ミキだし何かしら喋ってるだろう。
例によって姉カップルがいちゃついているらしいのですが、萩さんの多忙で頻度が下がって来ると姉妹関係はどうなるかな?
そして水鈴さんは安定のフルスロットル。こっしーさん生きて。でもあやめの機材の中には動かぬ証拠になりそうな素材がいくつかあるんだよなあ……
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「お邪魔します」
「どうぞーッ! いらっしゃーいッ!」
水鈴さんに誘われて、今日は水鈴さんの家にお泊りをすることになった。水鈴さんの妹の奈々とはインターフェイスの夏合宿で知り合っている。同じ1年生のミキサーだし、共通の知り合いがいくらかいる関係で少し仲良くなった。
玄関では奈々が出迎えてくれて、スリッパを出してくれる。こっちだよーとリビングに通されれば、ちゅんちゅんと鳥の鳴き声がする。これが、岡島家の人たちが溺愛しているという文鳥のピー子ちゃん。後で撮らせてもらおう。
「あっ何か飲み物飲む? 紅茶とコーヒー、ココア、麦茶、何がいい?」
「それじゃあ紅茶で」
どうしてこんなお泊り会が開かれているのかと言うと、水鈴さんが私の状況を見かねて。かんなが例によって萩さんと家でいちゃいちゃしてるから、私も好き放題しなさいって。
秋学期に入って大学祭が近くなると萩さんは忙しくなるらしく、これから会えなくなるであろう分を先に埋めてるんだって。萩さんは謝ってくれるけど逆に気を遣っちゃうよね。いい人だからこう、ね。
「はいあやめ、お紅茶」
「ありがとう」
「お姉ちゃんが彼氏さんと家でラブラブしてるんだってねーッ」
「もう、ホント大変だよ。部屋が隣り合ってるから気配を意識させないようにとかさ。邪魔しちゃ悪いかなって」
「えーッ! あやめの家でもあるのに何であやめが遠慮しなきゃいけないのッ!」
「――って水鈴さんも言ってくれてて今日に至ってるんだよ」
「あ、そっか。そうだよね」
今日は夕飯も岡島家の皆さんと一緒に食べることになっている。お母さんとかお父さんとかには私の話ももう通ってるとかで。2泊でも3泊でもどうぞって言ってくれてたみたいだけど、さすがにそれは図々しすぎるからお泊りは1日だけ。
「あやめは彼氏とか好きな人とかいないの?」
「そんなことに時間を費やすなら作品を作りたい」
「うっすうっす」
「あっ、友達の時間は別だよ。奈々は?」
「うちはねー、同じ学部の子がちょっと気になっててーッ」
たまに一緒に遊びに行ったりしてるんだー、と語る奈々が乙女だ。こういう子を可愛いって云うんだろうな。でも私は恋愛より作品と向き合ってたいし、今はまだわかんないな。
「やっぱり奈々も好きな人が出来たらああいう感じになるの?」
「そんなッ! うちはミーちゃんほどオープンじゃないし激しくもないしッ! って言うかミーちゃんは特殊だからねッ! 雄平さんじゃなかったら捕まってるしッ!」
「なるほど、越谷さんだから上手く回ってる、と」
「絶対そうッ! うちは何だかんだ将来的に雄平さんがうちのお義兄ちゃんになるって信じてる派だしッ」
「越谷さんと水鈴さん、お似合いなのにねー。越谷さんは断固ないみたいな感じだし」
「ねーッ!」
「……奈々、これがもしかして恋バナ…?」
「人の話だから厳密にはちょっと違うと思うけど、あやめ基準なら恋バナでオッケーだと思う」
「恋愛の話は圭斗先輩に聞くといいとも聞いたけど」
「あー、圭斗先輩はねー、すごいよ。ディープだよ。うちらが圭斗先輩の前に立つのはまだ早いよ」
夜はきっと奈々と布団を並べてこういう話をするのかな。お泊り会の醍醐味って夜のお喋りだよね。昔はかんなと並んで寝てたけど、今は部屋も別だしなかなかないなあ。
「こらー、チビたち。お姉さんの名前が出てきた気がするぞーッ!」
「ミーちゃんいつからいたのッ!」
「奈々ー、何年後になるかわかんないけどお望みのお義兄ちゃん連れて来てあげるからねーッ!」
「楽しみにしてるーッ!」
「その時の写真はあやめに撮ってもらわなきゃねッ!」
「腕を磨きます。でも、このまま行けば多分萩さんとかんなの方が先ですよね」
「……それは言わない約束じゃない、あやめちゃん」
「結婚式で流す再現VTRで友人役の水鈴さんと越谷さんがそれっぽい棒読みの演技をしてるうちに自分たちも触発されて、というのに期待しましょう」
「ほんとそれ」
きっと、夜のお喋りには水鈴さんも加わって、よりディープな話になるんだろうな。恋がどういうことなのかは私にはまだわからないけど、そういう感情があると知っていることが作品にもいつか役に立つだろうし。
「あやめちゃん今日の夕飯は水鈴さん特製のハンバーグだよ。雄平のお墨付きだから」
「……奈々、何で付き合ってないの?」
「うちも聞きたい」
「それはアタシが一番聞きたいからッ!」
end.
++++
あやめが何気に岡島姉妹の両方と繋がってるよなあと思った件。IFの1年女子ミキだし何かしら喋ってるだろう。
例によって姉カップルがいちゃついているらしいのですが、萩さんの多忙で頻度が下がって来ると姉妹関係はどうなるかな?
そして水鈴さんは安定のフルスロットル。こっしーさん生きて。でもあやめの機材の中には動かぬ証拠になりそうな素材がいくつかあるんだよなあ……
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