2020(02)
■そうめんとご挨拶
++++
「そ、そうめん…?」
「これが伊東流だ」
「さ、どんどん揚がって来るからどんどん食べてねー」
今日は日中のバイトだったんだけど、一緒に夕方上がりだった伊東さんからこの後の予定を尋ねられた。「もし余裕があるならそうめん食べない?」と。L先輩の住んでいる部屋でそうめん大会をやるからと誘われて、何かノリと勢いで大学近くのコムギハイツまでやって来た。
L先輩の部屋には既に高崎先輩がスタンバイしていて、ビールの支度は万全といった様子。そうめんって大会にするような物だったっけと思いつつ、流しそうめんみたいな感じで楽しくやるのかなと思っていたら。伊東さんがエコバッグから取り出したのは大量の食材で。
「L先輩、これってそうめん大会ですよね? どう見ても天ぷら祭りって感じなんですけど」
「俺は場所提供をしてくれって頼まれただけだから内容までは知らなかったんだけど、確かにこれは天ぷら祭りだ」
そうめんもあるにはある。だけど、机の上を埋め尽くしているのは様々な天ぷらだ。各種野菜にイカ、鶏肉などなど。一応塩も用意してもらってるみたいだけど、そうめんのつゆを使って食べるのがこの場での主流らしいからそれに倣って。
「何でまた今日はそうめん大会を?」
「こないだMBCCでジャガイモ大会やったでしょ? 高ピーには別途開催のつもりだったから、それをここで」
「で、天ぷらを」
「そうめんに天ぷらっていうのは伊東家流の食べ方だね。うちじゃ昔からこうなんだよ」
伊東さんはまだ天ぷらを揚げてるから食べるのはもうちょっと後らしいけど、ほぼ伊東さんが使うらしい薬味はしっかりと準備してある。バイトの後に一緒にうどんとか食べてても、伊東さんて本当に薬味めっちゃ使う人だもんな。
「うん、うめえ。さすが伊東。ほら、お前らも食えよ」
「あっはい、食べてます」
「陸、お前はどれくらい食えるんだ」
「量ですか?」
「量だな。コイツが全然食いやがらねえからな。お前はそこそこタッパあるし、せめて普通くらいは食うだろ?」
「そうですね。普通くらいですね。高崎先輩はどれくらい食べるんですか?」
「俺か。果林よりは食わねえけど、MBCCの他の連中よりは食うって感じだな」
「果林先輩は比較対象にしちゃダメですよね。果林先輩の食べる量を初めて見たとき、本当にビックリしました」
高崎先輩は天ぷらもそうめんもバランスよくたくさん食べているし、L先輩は少しのそうめんをつるつると控えめに食べている。L先輩はMBCCの中でも小食な方だなって思う。何なら女子(異次元の果林先輩を除く)より食べてないかもしれない。
俺は気付けば野菜の天ぷらを中心に食べていたようで、伊東さんが自分くらいにしか需要がないだろうと思っていたらしいミョウガの天ぷらなんかもパクパクと食べていたから驚かれてしまった。実は、薬味は俺も嫌いじゃない。そうめんつゆの中にもおろしショウガを溶かしている。
「高崎先輩は甘い物が好きだという風に聞いてますけど」
「あー、くるみからか」
「ですね。ナチュールのメイプルくるみカステラが好きなんですね」
「あれは美味い。豊葦の食いモンの中で五指に入る美味さだ。つかくるみの野郎、どこそこのカフェに連れてけとか最近調子乗ってやがる」
「あはは……すごい度胸だな……」
「高ピーと言えばガッツリ系も外せないでしょ。炭水化物オン炭水化物とか。はー、俺も食べよう。いただきまーす」
「やっぱお前薬味安定だな」
「味が締まるよ、薬味があると」
「言いたいことはわかるが程度が異常だ」
伊東さんは野菜の天ぷらの方が好きなようで、まずはかき揚げを食べるみたいだ。伊東家ではそうめんのおともとして、あとは、浅浦さんの家の年越しそばのおともとしても天ぷら大会は開かれるらしい。手間じゃないのかな、揚げものって。1人暮らしだとまずやらないだろうな。
「高崎先輩は自炊とかしますか?」
「どの程度の自炊を期待してるかは知らねえが、簡単にやる程度だ。チャーハンを作ったり、食パンでサラダチキンを挟むレベルのな」
「リクは最近どう? インターフェイスの方は」
「夏合宿の班顔合わせが終わって、昨日はペアの子と打ち合わせをするつもりが買い物で終わりました」
「もうそんな季節か。懐かしいな」
「予定合えばモニター会、見に行こっかな」
インターフェイスの夏合宿は、それこそ一大イベント。2日目夜から行われるモニター会で番組を発表するみたいだけど、これはインターフェイスの人なら誰でも見に来ていいそうで、番組のレビューを書いて集めるとか。怖っ。
「一緒に買い物とか仲良くないと出来なくね? もうそんな仲良くなってんの」
「そうですね、初心者講習会で知り合って、結構仲良くやってます」
「あ、ペアって1年の子?」
「ですね。星ヶ丘の男子です。昨日は向こうの家で夕飯食べさせてもらって、そのまま飲みながら話してました」
「それで朝からバイトってお前タフだね意外に」
「ササって誰の班だっけ、高木だっけ?」
「そうですね、高木先輩が班長で」
「高木が班長になる時代か」
「はー、時代だねえ。タカシが班長か」
「先輩たち、アイツ、意外にやるらしいですよ?」
そうめんと天ぷらを食べながら、今度は先輩たちが現役だったときの話を聞いて行く。インターフェイスに歴史ありといった様子。もしかしなくても、4年生の先輩とこうやってそうめんを食べる機会ってかなりレアなんじゃないのか? 今度彩人に聞いてみようかな、4年生の先輩と絡むことあるって。
end.
++++
ササ、彩人は部屋が隣なのをいいことに4年の先輩とどちゃくそ絡んでるどころか家に押しかけて修行してるぞ!
というワケで、伊東家流そうめん回。日曜日のネタがなかった。でもこの会の後でササは月曜1限から体育っていう。タフだね。18歳、19歳。若いね。
現4年の先輩たちは、タカちゃんの役職や成長で時代を実感している様子。まあ、あのタカちゃんが班長って聞くと、おお~ってなるよね
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「そ、そうめん…?」
「これが伊東流だ」
「さ、どんどん揚がって来るからどんどん食べてねー」
今日は日中のバイトだったんだけど、一緒に夕方上がりだった伊東さんからこの後の予定を尋ねられた。「もし余裕があるならそうめん食べない?」と。L先輩の住んでいる部屋でそうめん大会をやるからと誘われて、何かノリと勢いで大学近くのコムギハイツまでやって来た。
L先輩の部屋には既に高崎先輩がスタンバイしていて、ビールの支度は万全といった様子。そうめんって大会にするような物だったっけと思いつつ、流しそうめんみたいな感じで楽しくやるのかなと思っていたら。伊東さんがエコバッグから取り出したのは大量の食材で。
「L先輩、これってそうめん大会ですよね? どう見ても天ぷら祭りって感じなんですけど」
「俺は場所提供をしてくれって頼まれただけだから内容までは知らなかったんだけど、確かにこれは天ぷら祭りだ」
そうめんもあるにはある。だけど、机の上を埋め尽くしているのは様々な天ぷらだ。各種野菜にイカ、鶏肉などなど。一応塩も用意してもらってるみたいだけど、そうめんのつゆを使って食べるのがこの場での主流らしいからそれに倣って。
「何でまた今日はそうめん大会を?」
「こないだMBCCでジャガイモ大会やったでしょ? 高ピーには別途開催のつもりだったから、それをここで」
「で、天ぷらを」
「そうめんに天ぷらっていうのは伊東家流の食べ方だね。うちじゃ昔からこうなんだよ」
伊東さんはまだ天ぷらを揚げてるから食べるのはもうちょっと後らしいけど、ほぼ伊東さんが使うらしい薬味はしっかりと準備してある。バイトの後に一緒にうどんとか食べてても、伊東さんて本当に薬味めっちゃ使う人だもんな。
「うん、うめえ。さすが伊東。ほら、お前らも食えよ」
「あっはい、食べてます」
「陸、お前はどれくらい食えるんだ」
「量ですか?」
「量だな。コイツが全然食いやがらねえからな。お前はそこそこタッパあるし、せめて普通くらいは食うだろ?」
「そうですね。普通くらいですね。高崎先輩はどれくらい食べるんですか?」
「俺か。果林よりは食わねえけど、MBCCの他の連中よりは食うって感じだな」
「果林先輩は比較対象にしちゃダメですよね。果林先輩の食べる量を初めて見たとき、本当にビックリしました」
高崎先輩は天ぷらもそうめんもバランスよくたくさん食べているし、L先輩は少しのそうめんをつるつると控えめに食べている。L先輩はMBCCの中でも小食な方だなって思う。何なら女子(異次元の果林先輩を除く)より食べてないかもしれない。
俺は気付けば野菜の天ぷらを中心に食べていたようで、伊東さんが自分くらいにしか需要がないだろうと思っていたらしいミョウガの天ぷらなんかもパクパクと食べていたから驚かれてしまった。実は、薬味は俺も嫌いじゃない。そうめんつゆの中にもおろしショウガを溶かしている。
「高崎先輩は甘い物が好きだという風に聞いてますけど」
「あー、くるみからか」
「ですね。ナチュールのメイプルくるみカステラが好きなんですね」
「あれは美味い。豊葦の食いモンの中で五指に入る美味さだ。つかくるみの野郎、どこそこのカフェに連れてけとか最近調子乗ってやがる」
「あはは……すごい度胸だな……」
「高ピーと言えばガッツリ系も外せないでしょ。炭水化物オン炭水化物とか。はー、俺も食べよう。いただきまーす」
「やっぱお前薬味安定だな」
「味が締まるよ、薬味があると」
「言いたいことはわかるが程度が異常だ」
伊東さんは野菜の天ぷらの方が好きなようで、まずはかき揚げを食べるみたいだ。伊東家ではそうめんのおともとして、あとは、浅浦さんの家の年越しそばのおともとしても天ぷら大会は開かれるらしい。手間じゃないのかな、揚げものって。1人暮らしだとまずやらないだろうな。
「高崎先輩は自炊とかしますか?」
「どの程度の自炊を期待してるかは知らねえが、簡単にやる程度だ。チャーハンを作ったり、食パンでサラダチキンを挟むレベルのな」
「リクは最近どう? インターフェイスの方は」
「夏合宿の班顔合わせが終わって、昨日はペアの子と打ち合わせをするつもりが買い物で終わりました」
「もうそんな季節か。懐かしいな」
「予定合えばモニター会、見に行こっかな」
インターフェイスの夏合宿は、それこそ一大イベント。2日目夜から行われるモニター会で番組を発表するみたいだけど、これはインターフェイスの人なら誰でも見に来ていいそうで、番組のレビューを書いて集めるとか。怖っ。
「一緒に買い物とか仲良くないと出来なくね? もうそんな仲良くなってんの」
「そうですね、初心者講習会で知り合って、結構仲良くやってます」
「あ、ペアって1年の子?」
「ですね。星ヶ丘の男子です。昨日は向こうの家で夕飯食べさせてもらって、そのまま飲みながら話してました」
「それで朝からバイトってお前タフだね意外に」
「ササって誰の班だっけ、高木だっけ?」
「そうですね、高木先輩が班長で」
「高木が班長になる時代か」
「はー、時代だねえ。タカシが班長か」
「先輩たち、アイツ、意外にやるらしいですよ?」
そうめんと天ぷらを食べながら、今度は先輩たちが現役だったときの話を聞いて行く。インターフェイスに歴史ありといった様子。もしかしなくても、4年生の先輩とこうやってそうめんを食べる機会ってかなりレアなんじゃないのか? 今度彩人に聞いてみようかな、4年生の先輩と絡むことあるって。
end.
++++
ササ、彩人は部屋が隣なのをいいことに4年の先輩とどちゃくそ絡んでるどころか家に押しかけて修行してるぞ!
というワケで、伊東家流そうめん回。日曜日のネタがなかった。でもこの会の後でササは月曜1限から体育っていう。タフだね。18歳、19歳。若いね。
現4年の先輩たちは、タカちゃんの役職や成長で時代を実感している様子。まあ、あのタカちゃんが班長って聞くと、おお~ってなるよね
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