2020(02)
■いろいろユニーク
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「――ということで、夏合宿をこの班でやっていくことになりました。便宜上3班らしいんで、よろしくお願いします」
タカティが班長、俺が副班長として夏合宿の3班が結成され、この6人で動いて行くことになった。今年は3年生の参加はなくて、どこの班も2年生2人、1年生4人の編成になっているらしい。顔合わせでやってきたのは地下鉄と私鉄の境目、青池駅前のファストフード店。
どんな子がいるのかなとみんなの顔を確認していると、この班は男子が多いなって感じがする。一応、俺と同じ星大から女子が出てるけど、名前の字面だけじゃ正直男子か女子かわからなかったからね。まあ、名前の字面は俺も人の事は言えないんだけど。
「そしたら自己紹介しよっか。俺が班長の高木隆志です。DJネームはタカティで、ミキサーです。はい、次ミドリ」
「はーい。えっと、星大の川北碧です。DJネームはそのまんまミドリで、アナウンサーです。よろしくお願いしまーす」
「そしたら、隣の子に行ってぐるっと回そうか。そしたら次の子」
「星大の白川伊織です。DJネームは……ミドリさん、どれがそうですか?」
「この場合オリじゃない?」
「じゃあオリで。パートはアナウンサーです。よろしくお願いします」
オリちゃんは名前も見た目も中性的な女の子だ。性格はまったり系かなあ。知ってる人で言えば大石先輩に似た感じかもしれない。あんまりキツイ感じの子ではないよね。でも、同じ星大のアナウンサーで同じ班になるとは思わなかったから、編成を見たときはちょっとビックリした。
「緑ヶ丘の佐々木陸です。DJネームはササで、パートはアナウンサーです」
「星ヶ丘の谷本彩人っす。DJネームの概念がないんすけど、どーしたらいいすか?」
「あー、星ヶ丘だもんね。みんなから呼ばれてるあだ名とか、こう呼ばれたいとか」
「普通に彩人って呼ばれてますね。自分は名字よりかは下の名前で彩人って呼んで欲しいっすね」
「とりあえず暫定的に彩人で行くことにして、またゲンゴローか誰かに相談してみて。別に決めないなら決めないでいいから」
「わかりました」
「それじゃあ次の子」
「青敬の本浦当麻です。名前はモトとか浦ちゃんとか当麻とか、いろいろ呼ばれてて、パートはミキサーです。よろしくお願いします」
自己紹介が終わって思ったのは、1年生の男の子がイケメン過ぎないかって。クール系のササに、緑メッシュが目を引く華やかな彩人、それからキャップが似合うスポーティーな当麻。タイプも多種多様だ。オリちゃんはあんまりイケメンとかに興味なさそうなタイプだから、この状況にも顔色一つ変えてない。
「そしたら、ペア決めをしようかな。ペアの組み方には一定のルールがあるんだよね。1年と2年で組むようにするとか、同じ大学同士では組めないとか。この班の場合だと、俺とササは組んじゃいけないんだ。で、俺のペアは消去法になっちゃうけど、オリだね。よろしく」
「よろしくお願いします」
「ところで当麻」
「はい」
「大学でどれだけミキサーに触ってる?」
「初心者講習会の後でちょっと触ったくらいですね。あやめさんにちょこちょこ聞いてるんですけど、ラジオにすぐ対応出来るかって言ったら、うーんって感じで」
「彩人は? ゲンゴローと戸田先輩に教えてもらってるそうだけど」
「あっ、そうっす。本業じゃないんで練習もあんまガツガツとは出来てないっすけど、簡単になら」
「そしたら、当麻はミドリと組んでもらって、ラジオの事とかいろいろ教えてもらう感じで行こうか。で、ササと彩人で組もう。1年ペアになっちゃってゴメンだけど、いつでも相談に乗るし」
ペア決めなんて言うけど、班を決めた時点でペアなんか実質的に決まってるような物なんだ。それはこないだのファンフェスの班編成の時に見ていたからよーくわかる。実際、ペアありきの班編成でもある。タカティも、対策委員の会議中からペアを決めて班の運営を考えてただろうから。
で、これは内密に聞いてたことだけど、この3班という班は、ちょっとした大人の事情で男子ばかりが固められた班らしい。あんまり大ごとにしちゃダメそうな雰囲気だったからあんまり深くは聞かなかったけど、センシティブな話だからとはタカティ談。
「そう言えばタカティさ、この班の打ち合わせってどうして青池だったの? 打ち合わせって大体花栄じゃない」
「ミドリもだし、この辺に住んでる子が多かったからね。あと、少しでも大学から近い方が楽っていう、完全に俺の都合。あと人混みが好きじゃない」
「いいと思うっすよ、ナイス都合っす。近いの最高」
「ありがとう。彩人もこの辺に住んでる? 星ヶ丘だったら」
「そうっすね。大学からチャリ圏内で」
「当麻はどこに住んでるの?」
「俺は丸の池公園の近くですね」
「じゃあちょっと遠くなっちゃったかな」
「言って地下鉄で一本なんで全然問題ないですよ」
何か、班長だからかタカティがいつもより頑張って場を回そうとしてる感じが伝わって来るなあ。人見知りだったと思うんだけど。もしかしたら男子中心の班ってこともタカティにはいい風に働いてるのかな。俺も2年生だし、頑張らないとね。
end.
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件の3班をミドリ視点でお送りしています。3班はイケメンが多いらしいんでノサカ大歓喜ですね。よかったね。モニター会には来るのかしら。
彩人を巡る大人の事情についてはミドリは詳しく聞いてないみたいだけど、空気を読む能力についてはさすが情報センターで鍛えられてるだけある
つか彩人結構積極的だし、家が近いから普通にTKGの部屋にお邪魔するか自分の家に呼んでミキサーのこととか聞きそうで怖いわw
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「――ということで、夏合宿をこの班でやっていくことになりました。便宜上3班らしいんで、よろしくお願いします」
タカティが班長、俺が副班長として夏合宿の3班が結成され、この6人で動いて行くことになった。今年は3年生の参加はなくて、どこの班も2年生2人、1年生4人の編成になっているらしい。顔合わせでやってきたのは地下鉄と私鉄の境目、青池駅前のファストフード店。
どんな子がいるのかなとみんなの顔を確認していると、この班は男子が多いなって感じがする。一応、俺と同じ星大から女子が出てるけど、名前の字面だけじゃ正直男子か女子かわからなかったからね。まあ、名前の字面は俺も人の事は言えないんだけど。
「そしたら自己紹介しよっか。俺が班長の高木隆志です。DJネームはタカティで、ミキサーです。はい、次ミドリ」
「はーい。えっと、星大の川北碧です。DJネームはそのまんまミドリで、アナウンサーです。よろしくお願いしまーす」
「そしたら、隣の子に行ってぐるっと回そうか。そしたら次の子」
「星大の白川伊織です。DJネームは……ミドリさん、どれがそうですか?」
「この場合オリじゃない?」
「じゃあオリで。パートはアナウンサーです。よろしくお願いします」
オリちゃんは名前も見た目も中性的な女の子だ。性格はまったり系かなあ。知ってる人で言えば大石先輩に似た感じかもしれない。あんまりキツイ感じの子ではないよね。でも、同じ星大のアナウンサーで同じ班になるとは思わなかったから、編成を見たときはちょっとビックリした。
「緑ヶ丘の佐々木陸です。DJネームはササで、パートはアナウンサーです」
「星ヶ丘の谷本彩人っす。DJネームの概念がないんすけど、どーしたらいいすか?」
「あー、星ヶ丘だもんね。みんなから呼ばれてるあだ名とか、こう呼ばれたいとか」
「普通に彩人って呼ばれてますね。自分は名字よりかは下の名前で彩人って呼んで欲しいっすね」
「とりあえず暫定的に彩人で行くことにして、またゲンゴローか誰かに相談してみて。別に決めないなら決めないでいいから」
「わかりました」
「それじゃあ次の子」
「青敬の本浦当麻です。名前はモトとか浦ちゃんとか当麻とか、いろいろ呼ばれてて、パートはミキサーです。よろしくお願いします」
自己紹介が終わって思ったのは、1年生の男の子がイケメン過ぎないかって。クール系のササに、緑メッシュが目を引く華やかな彩人、それからキャップが似合うスポーティーな当麻。タイプも多種多様だ。オリちゃんはあんまりイケメンとかに興味なさそうなタイプだから、この状況にも顔色一つ変えてない。
「そしたら、ペア決めをしようかな。ペアの組み方には一定のルールがあるんだよね。1年と2年で組むようにするとか、同じ大学同士では組めないとか。この班の場合だと、俺とササは組んじゃいけないんだ。で、俺のペアは消去法になっちゃうけど、オリだね。よろしく」
「よろしくお願いします」
「ところで当麻」
「はい」
「大学でどれだけミキサーに触ってる?」
「初心者講習会の後でちょっと触ったくらいですね。あやめさんにちょこちょこ聞いてるんですけど、ラジオにすぐ対応出来るかって言ったら、うーんって感じで」
「彩人は? ゲンゴローと戸田先輩に教えてもらってるそうだけど」
「あっ、そうっす。本業じゃないんで練習もあんまガツガツとは出来てないっすけど、簡単になら」
「そしたら、当麻はミドリと組んでもらって、ラジオの事とかいろいろ教えてもらう感じで行こうか。で、ササと彩人で組もう。1年ペアになっちゃってゴメンだけど、いつでも相談に乗るし」
ペア決めなんて言うけど、班を決めた時点でペアなんか実質的に決まってるような物なんだ。それはこないだのファンフェスの班編成の時に見ていたからよーくわかる。実際、ペアありきの班編成でもある。タカティも、対策委員の会議中からペアを決めて班の運営を考えてただろうから。
で、これは内密に聞いてたことだけど、この3班という班は、ちょっとした大人の事情で男子ばかりが固められた班らしい。あんまり大ごとにしちゃダメそうな雰囲気だったからあんまり深くは聞かなかったけど、センシティブな話だからとはタカティ談。
「そう言えばタカティさ、この班の打ち合わせってどうして青池だったの? 打ち合わせって大体花栄じゃない」
「ミドリもだし、この辺に住んでる子が多かったからね。あと、少しでも大学から近い方が楽っていう、完全に俺の都合。あと人混みが好きじゃない」
「いいと思うっすよ、ナイス都合っす。近いの最高」
「ありがとう。彩人もこの辺に住んでる? 星ヶ丘だったら」
「そうっすね。大学からチャリ圏内で」
「当麻はどこに住んでるの?」
「俺は丸の池公園の近くですね」
「じゃあちょっと遠くなっちゃったかな」
「言って地下鉄で一本なんで全然問題ないですよ」
何か、班長だからかタカティがいつもより頑張って場を回そうとしてる感じが伝わって来るなあ。人見知りだったと思うんだけど。もしかしたら男子中心の班ってこともタカティにはいい風に働いてるのかな。俺も2年生だし、頑張らないとね。
end.
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件の3班をミドリ視点でお送りしています。3班はイケメンが多いらしいんでノサカ大歓喜ですね。よかったね。モニター会には来るのかしら。
彩人を巡る大人の事情についてはミドリは詳しく聞いてないみたいだけど、空気を読む能力についてはさすが情報センターで鍛えられてるだけある
つか彩人結構積極的だし、家が近いから普通にTKGの部屋にお邪魔するか自分の家に呼んでミキサーのこととか聞きそうで怖いわw
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