2020(02)
■腕が伴いキャラが生きる
＋＋＋＋
「夏合宿の班編成が出ましたー」
「おっ、あやめマジパねえ！」
対策委員の会議が終わった後、奈々から今年の夏合宿の班編成が送られてきた。青浪敬愛大学AKBCからは私を含めて４人参加することになっている。AKBCって人がいないことはないけどみんな自由過ぎて、年度が変わる頃には存亡の危機って毎年言ってるみたいだけど、今年は大丈夫そうかな。
青敬のキャンパス移転を経て、元々あったキャンパスに残った学部の人は活動を終了するかこっちのキャンパスに通って活動をするかっていう選択を強いられた。今のAKBCをまとめてるハマちゃん先輩は残留組だし、私やかんなは移転組と、そのときいたメンバーでも来年度から通うキャンパスはバラバラって感じだったから。
結局、ハマちゃん先輩はこっちのキャンパスに通ってるし、新しくAKBCに入って来た人はほとんどがこっちのキャンパスに通ってる人。ハマちゃん先輩は毎回通うのが大変じゃないのかなって思うけど、嫌そうな顔ひとつせずに来てくれている。
「これが班割りです。自分の名前探してねー」
AKBCに入ってくれた１年生の中で、夏合宿に出るのは３人。明るくて人懐こい本浦当麻、集中力は凄いけど他は抜けてる上川北星。この２人がミキサーで。で、元気がいいと言えば聞こえはいいけど、元気すぎるのが玉に瑕の清田雨竜。この子がアナウンサー。
「あ、俺２班だ！ すげー！ これ見ただけじゃ何もわかんねー！」
「俺は３班か。確かにこれを見ただけじゃ何もわかんないな。北星は？」
「あ、えー……字ばっかりでわからない。目がかすむ」
「自分の名前くらい見つけろよ。ほら、あったぞ俺の下。４班だって」
「ありがと～」
今年の班編成名簿には、誰が何のパートでどこの大学から出てる人かっていうのが書かれている。だからと言って１年生には何が何だかさっぱりだろうけど。私ならこれを見て何かわかるかって言ったら２年生の事しかわからないし、ハマちゃん先輩もその辺はふわふわ。実際に会ってみてからだね。
「あやめ、コイツら預ける班の２年生ってどんな感じの子なんだ？ それによって変わることもあるだろ」
「あっ、それ聞きたいっす！」
「雨竜の班の班長は緑ヶ丘のエージだね。すごいしっかりしてるし緑ヶ丘だけあってラジオも上手いよ。ちょっと潔癖だから清潔感を大事にして行くといいね。あと、わかばはちょっと内気だから、あんまりうるさいと引かれるね」
「えー！ 静かにしろとか無理ゲーなんすけど！」
「で、当麻の班も緑ヶ丘のタカティか。タカティもミキサーは上手いけど、正統派って言うよりはトリッキーな感じ。それ以外も面白い子ではあるね。あと、ミドリはほわほわしてる。２年生屈指のまったり組かも」
「緑ヶ丘なのに正統派じゃないってパねえな。変則的なのって向島のイメージだ」
「ですよね。でも、野坂先輩も向島なのに超正統派なんで、人によるんじゃないですか？ で、北星の班の奈々は向島の子だね。明るく楽しく元気よくを地で行く感じの子だけど、北星はぼやぼやしてるから、どうかなあ。でもマリンもいるし、要所でシメてもらいたい」
「え～……俺はシメられる前提なんですか～」
「ウチにいるみたくあんまりボケボケしてたらね」
当麻は何の心配もないけど、雨竜と北星がインターフェイスデビューするに当たってとにかく心配。他の大学さんにもキャラの濃い子はいるだろうけど、それでも他の大学さんはラジオの技術が伴ってるからただの変人で済みそうだし。
雨竜はハマちゃん先輩を越えるうるささで、とにかく派手好きなんだよね。１年生で作ったお試しの映像作品を見たけど、何て言うか……効果を入れれば入れるだけいいって思ってそうな感じ。もう、視覚でうるささが際立ってる。元気だし、悪い子ではないんだけど。
北星はとにかくボケボケしてるから、起きてるかなってちょっと心配になる。だけど、映像の編集作業とかをしてるときの集中力は本当に凄まじいし、作り上げる物も凄い。既に技術が伴ってる。だからラジオでもやってはくれるんだろうけど、如何せん普段が普段だけに。
だけど、逆に言えば当麻があんまりキャラ立ちしてないなあとも思えてきてしまうワケで。別にキャラ立ちしてなきゃいけないってこともないんだけど。よくいる普通のいい子って感じになって埋没しないかな、大丈夫かな。コミュニケーションに難はないから大丈夫だろうけど。
「ま、何にせよ楽しんで来い！ 俺から言えるのはそれだけだ」
「ハマちゃん先輩いい風にまとめようとしましたよね」
「いや、実際俺は楽しかったしな！ お前らにもたくさん友達作って欲しいし、いろんな刺激を受けて欲しいわけよ」
「まあ、それはそうですね」
「そのうち班長から連絡が来るだろうしね。もう来てる子もいるかもだけど」
「俺はもう来てますね」
「さすがエージ」
「いや、班長からは来なくて副班長が送って来るパターンも」
「言ったら難ですけど、今年の対策委員はみんな割とちゃんとして……たと思いますけど、どうかなー」
end.
＋＋＋＋
多分今期初になるAKBC、青敬の話です。あやめがいつの間にか先輩になってるし、ハマちゃんはサークルの度に新キャンパスに通ってます。
思いがけず青敬にも３人の１年生キャラクターが出て来て、この３人も含めて青敬もインターフェイスも賑やかにしていければいいなあと。
そして潔癖というエイジの評価と、要所でシメてほしいというマリンへの期待である。あやめは２年生をどう見ているのやら。
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「夏合宿の班編成が出ましたー」
「おっ、あやめマジパねえ！」
対策委員の会議が終わった後、奈々から今年の夏合宿の班編成が送られてきた。青浪敬愛大学AKBCからは私を含めて４人参加することになっている。AKBCって人がいないことはないけどみんな自由過ぎて、年度が変わる頃には存亡の危機って毎年言ってるみたいだけど、今年は大丈夫そうかな。
青敬のキャンパス移転を経て、元々あったキャンパスに残った学部の人は活動を終了するかこっちのキャンパスに通って活動をするかっていう選択を強いられた。今のAKBCをまとめてるハマちゃん先輩は残留組だし、私やかんなは移転組と、そのときいたメンバーでも来年度から通うキャンパスはバラバラって感じだったから。
結局、ハマちゃん先輩はこっちのキャンパスに通ってるし、新しくAKBCに入って来た人はほとんどがこっちのキャンパスに通ってる人。ハマちゃん先輩は毎回通うのが大変じゃないのかなって思うけど、嫌そうな顔ひとつせずに来てくれている。
「これが班割りです。自分の名前探してねー」
AKBCに入ってくれた１年生の中で、夏合宿に出るのは３人。明るくて人懐こい本浦当麻、集中力は凄いけど他は抜けてる上川北星。この２人がミキサーで。で、元気がいいと言えば聞こえはいいけど、元気すぎるのが玉に瑕の清田雨竜。この子がアナウンサー。
「あ、俺２班だ！ すげー！ これ見ただけじゃ何もわかんねー！」
「俺は３班か。確かにこれを見ただけじゃ何もわかんないな。北星は？」
「あ、えー……字ばっかりでわからない。目がかすむ」
「自分の名前くらい見つけろよ。ほら、あったぞ俺の下。４班だって」
「ありがと～」
今年の班編成名簿には、誰が何のパートでどこの大学から出てる人かっていうのが書かれている。だからと言って１年生には何が何だかさっぱりだろうけど。私ならこれを見て何かわかるかって言ったら２年生の事しかわからないし、ハマちゃん先輩もその辺はふわふわ。実際に会ってみてからだね。
「あやめ、コイツら預ける班の２年生ってどんな感じの子なんだ？ それによって変わることもあるだろ」
「あっ、それ聞きたいっす！」
「雨竜の班の班長は緑ヶ丘のエージだね。すごいしっかりしてるし緑ヶ丘だけあってラジオも上手いよ。ちょっと潔癖だから清潔感を大事にして行くといいね。あと、わかばはちょっと内気だから、あんまりうるさいと引かれるね」
「えー！ 静かにしろとか無理ゲーなんすけど！」
「で、当麻の班も緑ヶ丘のタカティか。タカティもミキサーは上手いけど、正統派って言うよりはトリッキーな感じ。それ以外も面白い子ではあるね。あと、ミドリはほわほわしてる。２年生屈指のまったり組かも」
「緑ヶ丘なのに正統派じゃないってパねえな。変則的なのって向島のイメージだ」
「ですよね。でも、野坂先輩も向島なのに超正統派なんで、人によるんじゃないですか？ で、北星の班の奈々は向島の子だね。明るく楽しく元気よくを地で行く感じの子だけど、北星はぼやぼやしてるから、どうかなあ。でもマリンもいるし、要所でシメてもらいたい」
「え～……俺はシメられる前提なんですか～」
「ウチにいるみたくあんまりボケボケしてたらね」
当麻は何の心配もないけど、雨竜と北星がインターフェイスデビューするに当たってとにかく心配。他の大学さんにもキャラの濃い子はいるだろうけど、それでも他の大学さんはラジオの技術が伴ってるからただの変人で済みそうだし。
雨竜はハマちゃん先輩を越えるうるささで、とにかく派手好きなんだよね。１年生で作ったお試しの映像作品を見たけど、何て言うか……効果を入れれば入れるだけいいって思ってそうな感じ。もう、視覚でうるささが際立ってる。元気だし、悪い子ではないんだけど。
北星はとにかくボケボケしてるから、起きてるかなってちょっと心配になる。だけど、映像の編集作業とかをしてるときの集中力は本当に凄まじいし、作り上げる物も凄い。既に技術が伴ってる。だからラジオでもやってはくれるんだろうけど、如何せん普段が普段だけに。
だけど、逆に言えば当麻があんまりキャラ立ちしてないなあとも思えてきてしまうワケで。別にキャラ立ちしてなきゃいけないってこともないんだけど。よくいる普通のいい子って感じになって埋没しないかな、大丈夫かな。コミュニケーションに難はないから大丈夫だろうけど。
「ま、何にせよ楽しんで来い！ 俺から言えるのはそれだけだ」
「ハマちゃん先輩いい風にまとめようとしましたよね」
「いや、実際俺は楽しかったしな！ お前らにもたくさん友達作って欲しいし、いろんな刺激を受けて欲しいわけよ」
「まあ、それはそうですね」
「そのうち班長から連絡が来るだろうしね。もう来てる子もいるかもだけど」
「俺はもう来てますね」
「さすがエージ」
「いや、班長からは来なくて副班長が送って来るパターンも」
「言ったら難ですけど、今年の対策委員はみんな割とちゃんとして……たと思いますけど、どうかなー」
end.
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多分今期初になるAKBC、青敬の話です。あやめがいつの間にか先輩になってるし、ハマちゃんはサークルの度に新キャンパスに通ってます。
思いがけず青敬にも３人の１年生キャラクターが出て来て、この３人も含めて青敬もインターフェイスも賑やかにしていければいいなあと。
そして潔癖というエイジの評価と、要所でシメてほしいというマリンへの期待である。あやめは２年生をどう見ているのやら。
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