2020
■緑大パズルをトントトン
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「対策委員です。今日は夏合宿の班決めということで、長丁場になると思いますがよろしくお願いします」
「よろしくお願いしまーす」
今日の対策委員は、いよいよやって来る夏合宿の班決めだ。アオの挨拶の通り、長丁場になると思う。各大学から合宿への参加者を募った結果、今年は6班の編成で行くことになった。1班につき人数はアナミキ3人ずつの6人。いろいろなバランスを見ながら当てはめていく。
対策委員は7人で、班は6。ということは、班長にならない人が1人出て来る。ここは満場一致でわかばが残り6人のうち誰かの班に副班長として入ってもらうことに決まった。今年は3年生の参加者が現段階でいないから、2年生がしっかりと番組面でもやっていかないといけない。
「2年生がちょうど12人だから、班長6人とわかば・定例会組でまずペアを作る感じだね」
「あっごめん、ひとつだけいいかな?」
「はい、ゲンゴロー」
「えっと、ウチのこの子。この子は、出来れば男子中心の班に入れて欲しい」
「男子中心? ラジオメインの人間と組ませてとかじゃなくて」
「ちょっと、いろいろあって女の子が怖くなっちゃって」
「そしたらタカティかエージの班を男子で固めるか。定例会で男子って言ったら……ミドリか。アナウンサーだし、タカティとミドリで2年は固定して、その班にこの、谷本君を入れようか。ゲンゴロー、それでいい?」
「うん、ありがとう。タカティ、よろしくね」
「うん。どんな子か後で教えて。こっちも気を付けなきゃいけないことがあるなら知っといた方がいいだろうし」
思わぬ形で俺の班が真っ先に2枠埋まった。あと3枠はどうなるかなあ。ただ、ひとつ決まり始めるとあとは消去法にも似た形でトントントーンとパズルのピースがハマって行く。大学のカラーやパートなどの条件を照らし合わせると、2年生は割とあっさり決まった。
そしてもうひとつ先に決めておかなければならないことがあった。緑ヶ丘の1年生だ。MBCCの1年生は6人いる。この6人を、それぞれ1人ずつ各班に分配しようという話になったんだ。どの子がどういう子で、という説明を俺とエイジで進めて行く。
「緑ヶ丘の子は3人が先輩と一緒になるんだね。心強いなあ」
「サキは自己主張出来るか怪しいし、ハナと一緒にしとくか」
「そうだね。あと、俺は個人的にシノをエイジに任せたい」
「何でだっていう」
「いや、だってそうでしょ。シノ、インターフェイスの現場に出たら絶対テンション上がって空回るよ。いつもはササが操縦してるから何とかなってるけどさあ」
「あー……そう言われればそうだな。わかった。シノは俺が引き取る。くるみは奈々と相性良さそうだな」
「あー、わかるわかる。レナはアオと相性良さそうだね」
「ぽいな。そしたらあと誰だ?」
「ササとすがやん。2人ともアナだし俺はどっちでもいいよ。ゲンゴロー、さっきの谷本君てミキサーだっけ?」
「うん、ミキサー」
「一応聞くけど、対人恐怖ではないんだよね?」
「うん。それは大丈夫」
「ササとすがやんかー……どっちも対人スキル的には問題なさそうだけどどうしたモンかな」
「ウチの子をまだ引き取ってないのがサドニナだし、サドニナとの相性で考えた方がいいかもしれない」
「すがやんだな」
「じゃ、俺はササで」
緑ヶ丘の1年生に関してはほとんど俺とエイジが2人で決めてしまった感じだけど、他のメンバーも俺たちが言うならそうなんだろうっていう感じで任せてくれてよかった。もちろん、他の大学の子に関してはその大学の人に情報を出してもらうのがいいけどね。
ここまでで俺の班は男子が4人。ただ、1人も女子がいないのはさすがに不自然すぎるということで、あんまりきゃぴきゃぴと、かつ派手でケバくない感じの女子を星大から1人引き取ることになった。それから、班長が緑ヶ丘だし青敬の子も引き取ろうかみたいなノリで6人目が決まった。
「え、ちょっと待ってよ? 俺はササと組めないから白川さんになるでしょ、ミドリが……星ヶ丘と青敬だったら、どっちかなー…?」
「高木、険しい顔して何考えてんだ?」
「ペアのこと。星ヶ丘と青敬のミキサーが1人ずついるんだけど、ミドリにどっちを見てもらおうかなって」
「青敬を任せた方がよくね? 星ヶ丘だったら何だかんだ基礎はあるべ、つばめサンの叩き上げだっていう」
「ごめんタカティ! 彩人だけど、本業はプロデューサーだからミキサーの事に関しては……こっちでも練習させるけど、ラジオのことについてはお願い!」
「了解。Pだったら逆に言えば構成考えたりするのは得意なんだよね」
「うん、まさにそういう感じ!」
「そしたら、ササと谷本君のペアにしようか。ササなら大丈夫でしょう」
「ササって、緑ヶ丘の背高い子?」
「そうだよ」
「彩人、初心者講習会でその子と仲良くなったって言ってたし、そうしてもらえると有り難いな。ごめん、ウチの都合で何でも」
「ううん、お互い様だよ。仲が良いならこっちもやりやすいし」
そんな感じで6人が埋まり、班決めをイチ抜けした俺は他の班の枠が埋まって行くのをたまに横槍を入れつつ眺めていた。こういう時、抜けた人間の仕事は組み合わせ方が破綻してないかを見極めることだ。
「大体埋まって来たべ」
「何か、各大学の濃いキャラの子はエイジの班に放り込めって感じになってるけど?」
「エージなら何とかしてくれると思って」
「俺は別にいいけど、わかばにはしんどいだろ」
「あの……エージさん、いろいろな意味で、よろしくお願いします……」
end.
++++
彩人は例の件を少し引き摺っているようで、合宿の班編成でもその辺のことを考慮した決め方になっているようです。
いや、それより最後の方にちょろっと言われてるエイジの班よ。何、各大学の濃いキャラを放り込めって。保護者属性頑張れ。
と言うかエイジのつばちゃんへの信頼が凄まじいですね。やっぱ去年の姿を見てるからっていうのも絶大なんだろうなあ。
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「対策委員です。今日は夏合宿の班決めということで、長丁場になると思いますがよろしくお願いします」
「よろしくお願いしまーす」
今日の対策委員は、いよいよやって来る夏合宿の班決めだ。アオの挨拶の通り、長丁場になると思う。各大学から合宿への参加者を募った結果、今年は6班の編成で行くことになった。1班につき人数はアナミキ3人ずつの6人。いろいろなバランスを見ながら当てはめていく。
対策委員は7人で、班は6。ということは、班長にならない人が1人出て来る。ここは満場一致でわかばが残り6人のうち誰かの班に副班長として入ってもらうことに決まった。今年は3年生の参加者が現段階でいないから、2年生がしっかりと番組面でもやっていかないといけない。
「2年生がちょうど12人だから、班長6人とわかば・定例会組でまずペアを作る感じだね」
「あっごめん、ひとつだけいいかな?」
「はい、ゲンゴロー」
「えっと、ウチのこの子。この子は、出来れば男子中心の班に入れて欲しい」
「男子中心? ラジオメインの人間と組ませてとかじゃなくて」
「ちょっと、いろいろあって女の子が怖くなっちゃって」
「そしたらタカティかエージの班を男子で固めるか。定例会で男子って言ったら……ミドリか。アナウンサーだし、タカティとミドリで2年は固定して、その班にこの、谷本君を入れようか。ゲンゴロー、それでいい?」
「うん、ありがとう。タカティ、よろしくね」
「うん。どんな子か後で教えて。こっちも気を付けなきゃいけないことがあるなら知っといた方がいいだろうし」
思わぬ形で俺の班が真っ先に2枠埋まった。あと3枠はどうなるかなあ。ただ、ひとつ決まり始めるとあとは消去法にも似た形でトントントーンとパズルのピースがハマって行く。大学のカラーやパートなどの条件を照らし合わせると、2年生は割とあっさり決まった。
そしてもうひとつ先に決めておかなければならないことがあった。緑ヶ丘の1年生だ。MBCCの1年生は6人いる。この6人を、それぞれ1人ずつ各班に分配しようという話になったんだ。どの子がどういう子で、という説明を俺とエイジで進めて行く。
「緑ヶ丘の子は3人が先輩と一緒になるんだね。心強いなあ」
「サキは自己主張出来るか怪しいし、ハナと一緒にしとくか」
「そうだね。あと、俺は個人的にシノをエイジに任せたい」
「何でだっていう」
「いや、だってそうでしょ。シノ、インターフェイスの現場に出たら絶対テンション上がって空回るよ。いつもはササが操縦してるから何とかなってるけどさあ」
「あー……そう言われればそうだな。わかった。シノは俺が引き取る。くるみは奈々と相性良さそうだな」
「あー、わかるわかる。レナはアオと相性良さそうだね」
「ぽいな。そしたらあと誰だ?」
「ササとすがやん。2人ともアナだし俺はどっちでもいいよ。ゲンゴロー、さっきの谷本君てミキサーだっけ?」
「うん、ミキサー」
「一応聞くけど、対人恐怖ではないんだよね?」
「うん。それは大丈夫」
「ササとすがやんかー……どっちも対人スキル的には問題なさそうだけどどうしたモンかな」
「ウチの子をまだ引き取ってないのがサドニナだし、サドニナとの相性で考えた方がいいかもしれない」
「すがやんだな」
「じゃ、俺はササで」
緑ヶ丘の1年生に関してはほとんど俺とエイジが2人で決めてしまった感じだけど、他のメンバーも俺たちが言うならそうなんだろうっていう感じで任せてくれてよかった。もちろん、他の大学の子に関してはその大学の人に情報を出してもらうのがいいけどね。
ここまでで俺の班は男子が4人。ただ、1人も女子がいないのはさすがに不自然すぎるということで、あんまりきゃぴきゃぴと、かつ派手でケバくない感じの女子を星大から1人引き取ることになった。それから、班長が緑ヶ丘だし青敬の子も引き取ろうかみたいなノリで6人目が決まった。
「え、ちょっと待ってよ? 俺はササと組めないから白川さんになるでしょ、ミドリが……星ヶ丘と青敬だったら、どっちかなー…?」
「高木、険しい顔して何考えてんだ?」
「ペアのこと。星ヶ丘と青敬のミキサーが1人ずついるんだけど、ミドリにどっちを見てもらおうかなって」
「青敬を任せた方がよくね? 星ヶ丘だったら何だかんだ基礎はあるべ、つばめサンの叩き上げだっていう」
「ごめんタカティ! 彩人だけど、本業はプロデューサーだからミキサーの事に関しては……こっちでも練習させるけど、ラジオのことについてはお願い!」
「了解。Pだったら逆に言えば構成考えたりするのは得意なんだよね」
「うん、まさにそういう感じ!」
「そしたら、ササと谷本君のペアにしようか。ササなら大丈夫でしょう」
「ササって、緑ヶ丘の背高い子?」
「そうだよ」
「彩人、初心者講習会でその子と仲良くなったって言ってたし、そうしてもらえると有り難いな。ごめん、ウチの都合で何でも」
「ううん、お互い様だよ。仲が良いならこっちもやりやすいし」
そんな感じで6人が埋まり、班決めをイチ抜けした俺は他の班の枠が埋まって行くのをたまに横槍を入れつつ眺めていた。こういう時、抜けた人間の仕事は組み合わせ方が破綻してないかを見極めることだ。
「大体埋まって来たべ」
「何か、各大学の濃いキャラの子はエイジの班に放り込めって感じになってるけど?」
「エージなら何とかしてくれると思って」
「俺は別にいいけど、わかばにはしんどいだろ」
「あの……エージさん、いろいろな意味で、よろしくお願いします……」
end.
++++
彩人は例の件を少し引き摺っているようで、合宿の班編成でもその辺のことを考慮した決め方になっているようです。
いや、それより最後の方にちょろっと言われてるエイジの班よ。何、各大学の濃いキャラを放り込めって。保護者属性頑張れ。
と言うかエイジのつばちゃんへの信頼が凄まじいですね。やっぱ去年の姿を見てるからっていうのも絶大なんだろうなあ。
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