2017(02)
■キチンとキッチン
++++
「リーツ! リィーツゥー!」
「あー、何だァうるせースわ」
「冴サンのお帰りだ! うい、もらったからこれでナンか作れ」
ドタバタと、急に冴が帰って来たと思ったら、その手にはジャガイモ。それも3コ5コとかいう次元じゃない。担いでいたリュックサックからこれでもかとジャガイモが出て来る。
ざっと数えただけでも30はありやスわ。まァ、ウチは山なンで星港と比べれば涼しいし、保存をするにしても少しくらいは長持ちするかもしんねースわ。でもこれはねーわ。
「もらったって、この量をスか」
「バイト先の先輩が北辰の人で、その人もトチ狂ったよーな人なんすケド、その人の親戚がさらにキチってンすわ。ちなみに自分のノルマは軽い方ス」
「まあ、何でもいーンすけど、これを自分にどーしろと」
「何かちゃちゃっと作れよォー」
自分からすればお前も十分キチってる……などと言おうモンならこの残虐な姉にナニをされるかわかったモンじゃネーんで黙っときヤすけど。しかし、ジャガイモねえ。何作ろ。
今の時間が夕方の5時。これから作ると完全に夕飯スわ。親に連絡だけして今日の夕飯にしやすかね。今日で15個くらいは使っておきたいところ。一気に消費できるメニューて何かあったかなァー。
そもそも、自分は別に料理が趣味とかジャない。バイト先のサ店がメニューにないメニューも注文される緩い店っていう事情で言われたモンを作ってたらいつの間にかちょいちょい出来るようになってたとかそーゆーアレす。
個人的には料理よりもコーヒーを上手く淹れられるようになりたいンすけどねェー。豆も機器も、人里離れた喫茶店の割にこだわってヤすわ。静かで落ち着いた雰囲気だから好きなンすけど、このメニュー制度だけはどうにかなんねーかと。筑前煮て。
「リツ、何作んの」
「無難に煮っ転がしとポテグラとかでいースよね」
「ジャンルがちげーじゃンかよ、和と洋とかひっちゃかめっちゃかじゃんかー」
「うっせーわ! この量を芽ェ生やす前に消費するにはスタートダッシュしかねーだろーが! ゼッテー飽きるしお前。ヒマなら皮剥くの手伝え」
「ヤなこった」
そこたらじゅうに服を脱ぎ散らかして、部屋でゴロゴロしてるかシャワーしに行ったかっつートコすかね。二卵性とは言え、双子の片割れがこうだと「似てないね」って言われるのが嬉しくてしゃーないスわ。
あーあ。こんなにジャガイモばっかあってどーするンすかねェーこれから。これがMMPの案件だったら野坂とこーたで瞬殺出来んのになー。菜月先輩のカレー、そーいや最近食ってないスね。
しかしまァ、そのバイト先の先輩って人がどんだけキチってんのか逆に興味が湧いてきヤすわ。冴がキチってるって言うだけあって相当キチってんだろうけど。今度ミドリに会う機会でもあれば聞いてみてもいーかもしンないスね。
「今日の夕飯は律が作ってんのか」
「怜スか」
振り向けば、怜がこっちの様子を覗いていた。怜は一番上の姉で、星大の4年スね。現在星港市にアパートを借りて暮らしてるンすけど、冴が可愛く見えるくらいには残虐も残虐ス。ちなみに軽音サークルでギター弾いてるらしース。
「あー、何か冴のムチャ振りで。バイト先の先輩が芋を大量によこしてきたらしーンす? 冴がキチってるっつーだけあってガチでキチってンすかねェーバイト先って」
「私は理系だから知らないけど、情報センターのスタッフは人相と愛想が悪いとはよく聞くな。スタッフに逆らうと卒論書いててもデータブッチされて摘まみ出されるとか」
「へェー、そりゃァ愉快スわァー」
「でも、星大はいかにもな優等生か、お前風に言やキチってる奴しかいないからな。ウチのサークルにもアレなのいるし」
「ベースすか。ベースは変人てよく言いヤすよね」
「いや、ドラム」
出来たら呼んでくれと怜も自室に引き籠もってしまった。ああ、可愛さ溢れる末っ子のリツさんを誰も助けてくれないしむしろ虐げられる家ナンダー。的な。
「うーい、冴ー、怜ー。そろそろ出来やスぜー、準備手伝えー」
end.
++++
存在は匂わせてあったけど、まさかこのタイミングでりっちゃんちの一番上のお姉さん、怜さんが出て来るとは思わなかったヤツ。
冴さんが情報センターで押し付けられてきたジャガイモは、りっちゃんが美味しく調理してくれましたとさ。まあ、ノサカと神崎がおれば消費も速いよなあ。
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「リーツ! リィーツゥー!」
「あー、何だァうるせースわ」
「冴サンのお帰りだ! うい、もらったからこれでナンか作れ」
ドタバタと、急に冴が帰って来たと思ったら、その手にはジャガイモ。それも3コ5コとかいう次元じゃない。担いでいたリュックサックからこれでもかとジャガイモが出て来る。
ざっと数えただけでも30はありやスわ。まァ、ウチは山なンで星港と比べれば涼しいし、保存をするにしても少しくらいは長持ちするかもしんねースわ。でもこれはねーわ。
「もらったって、この量をスか」
「バイト先の先輩が北辰の人で、その人もトチ狂ったよーな人なんすケド、その人の親戚がさらにキチってンすわ。ちなみに自分のノルマは軽い方ス」
「まあ、何でもいーンすけど、これを自分にどーしろと」
「何かちゃちゃっと作れよォー」
自分からすればお前も十分キチってる……などと言おうモンならこの残虐な姉にナニをされるかわかったモンじゃネーんで黙っときヤすけど。しかし、ジャガイモねえ。何作ろ。
今の時間が夕方の5時。これから作ると完全に夕飯スわ。親に連絡だけして今日の夕飯にしやすかね。今日で15個くらいは使っておきたいところ。一気に消費できるメニューて何かあったかなァー。
そもそも、自分は別に料理が趣味とかジャない。バイト先のサ店がメニューにないメニューも注文される緩い店っていう事情で言われたモンを作ってたらいつの間にかちょいちょい出来るようになってたとかそーゆーアレす。
個人的には料理よりもコーヒーを上手く淹れられるようになりたいンすけどねェー。豆も機器も、人里離れた喫茶店の割にこだわってヤすわ。静かで落ち着いた雰囲気だから好きなンすけど、このメニュー制度だけはどうにかなんねーかと。筑前煮て。
「リツ、何作んの」
「無難に煮っ転がしとポテグラとかでいースよね」
「ジャンルがちげーじゃンかよ、和と洋とかひっちゃかめっちゃかじゃんかー」
「うっせーわ! この量を芽ェ生やす前に消費するにはスタートダッシュしかねーだろーが! ゼッテー飽きるしお前。ヒマなら皮剥くの手伝え」
「ヤなこった」
そこたらじゅうに服を脱ぎ散らかして、部屋でゴロゴロしてるかシャワーしに行ったかっつートコすかね。二卵性とは言え、双子の片割れがこうだと「似てないね」って言われるのが嬉しくてしゃーないスわ。
あーあ。こんなにジャガイモばっかあってどーするンすかねェーこれから。これがMMPの案件だったら野坂とこーたで瞬殺出来んのになー。菜月先輩のカレー、そーいや最近食ってないスね。
しかしまァ、そのバイト先の先輩って人がどんだけキチってんのか逆に興味が湧いてきヤすわ。冴がキチってるって言うだけあって相当キチってんだろうけど。今度ミドリに会う機会でもあれば聞いてみてもいーかもしンないスね。
「今日の夕飯は律が作ってんのか」
「怜スか」
振り向けば、怜がこっちの様子を覗いていた。怜は一番上の姉で、星大の4年スね。現在星港市にアパートを借りて暮らしてるンすけど、冴が可愛く見えるくらいには残虐も残虐ス。ちなみに軽音サークルでギター弾いてるらしース。
「あー、何か冴のムチャ振りで。バイト先の先輩が芋を大量によこしてきたらしーンす? 冴がキチってるっつーだけあってガチでキチってンすかねェーバイト先って」
「私は理系だから知らないけど、情報センターのスタッフは人相と愛想が悪いとはよく聞くな。スタッフに逆らうと卒論書いててもデータブッチされて摘まみ出されるとか」
「へェー、そりゃァ愉快スわァー」
「でも、星大はいかにもな優等生か、お前風に言やキチってる奴しかいないからな。ウチのサークルにもアレなのいるし」
「ベースすか。ベースは変人てよく言いヤすよね」
「いや、ドラム」
出来たら呼んでくれと怜も自室に引き籠もってしまった。ああ、可愛さ溢れる末っ子のリツさんを誰も助けてくれないしむしろ虐げられる家ナンダー。的な。
「うーい、冴ー、怜ー。そろそろ出来やスぜー、準備手伝えー」
end.
++++
存在は匂わせてあったけど、まさかこのタイミングでりっちゃんちの一番上のお姉さん、怜さんが出て来るとは思わなかったヤツ。
冴さんが情報センターで押し付けられてきたジャガイモは、りっちゃんが美味しく調理してくれましたとさ。まあ、ノサカと神崎がおれば消費も速いよなあ。
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