2020
■労働・睡眠時間の比率
++++
「ふあ~わ」
「シノ、凄い大あくびだな」
「ねみーの。朝早いから。通学時間が長いとさー、早起きしなきゃいけないだろ。それがねみーの。原付でちょっとぶーんと走れば着くお前にはわかんねーよ」
シノが、凄く眠そうにしている。俺にはその気持ちが凄くよくわかる。シノは通学に1時間半とかそれくらいかかるらしくて、確かにそれだけ遠ければ1限に間に合うように通学するとなるとかなりの早起きをしなきゃいけないはずだ。つらい。
俺は大学まで45分くらいのところに住んでいるけど、今でも正直ギリギリだ。これ以上距離が遠くなったり時間を早めなきゃいけなくなったらちゃんと大学に通える自信が無くなって来る。今はちゃんと通えてるのかと聞かれると……うん、まあ、それなりには。
「シノ、授業にはちゃんと出れてる?」
「最近1限がちょっと怪しいっす」
「必修は落とさないように気を付けた方がいいよ。体育とか語学とか」
「高木先輩、シノは既に今週の体育すっ飛ばしてますよ」
「えっ、体育は実質的に出席評価みたいなものだし出た方がいいよ」
まあ、俺もちゃんと全部出てたかって聞かれるとそうじゃないんだけど、俺も先輩たちから必修は落とさないようにしろって言われ続けて来たし、最終的にはしっかりと単位は取れたから。何て言うか、シノが心配になってきちゃうよね。俺でもちゃんとやれたのにって。
「おはよーございまーす」
「果林先輩おはようございます」
「シノ、眠そうだねえ」
「眠いんすよー。果林先輩って眠くならないんすか? いつも目ぱっちり開いてますけど。バイト深夜だって言ってなかったでしたっけ」
「深夜だね。基本22時から朝6時」
「いつ寝てるんすか? バイト終わってから寝るんすか?」
「そうだね。バイト終わってから、2限からの日だったら10時前くらいまで3時間ちょっと寝て。あと、バイト前にもちょっと仮眠取ってるかな」
何か、そういう物だって思っちゃってるからもう驚かなくなってたんだけど、果林先輩って確かにいつ寝てるのかが結構謎だ。去年もバイト明けの水曜2限に体育取ってたし、いくら仮眠を取ったからと言ってもさすがに体育は。あ、でも先輩的にはバイト明けの座学の方がしんどいんだったっけ。
「ちなみに、果林先輩ってそれで月にいくらくらい稼ぐんですか?」
「月なら大体14万とか15万くらいかな」
「すげー!」
「でも、それだと年間103万超えません?」
「千葉家は103万超えていいから働けって家風だから」
「え、それってなんでなんですか? 親の税金上がりません?」
「働かざる者食うべからず。アタシが稼ぐことで上がる税金よりも、アタシが稼がないことで負担になる食費の方が高いからね」
なるほど、と1年生の声が揃う。それでなくても千葉家は果林先輩以外の家族も食べる量が多いらしく、食費がとんでもないことになるんだそうだ。税金の二桁万円より三桁の食費……果林先輩が言うと納得でしかないけど普通に考えるとそれもおかしいんだよなあ。
でも果林先輩の話にはシノが強く興味を引かれているようだ。果林先輩の働き方と言うか、稼ぎ方と言うか。手っ取り早く稼ぐにはやっぱり深夜帯がいいのかなあ、などといろいろ思考を巡らせているみたいだ。だけど、眠い云々の話をしてるのに、深夜帯のバイトを検討するのはちょっと。
「果林先輩、俺、大学の近くに1人暮らししたいんすよ。通学時間がクソ眠いんで」
「へえ、いいじゃん。今もそんなに近くないんだよね」
「そーなんすよ。で、親に1人暮らしを打診したら、2年になるまでに70万貯めたら1人暮らししていいって言うんす? その70万が1人暮らしの準備資金とかで。だから稼ぎたいんすよね。休みの日とか結構バイト入ってるんすけど、なかなか貯まんなくて」
「時給いくら?」
「900円っす」
「まあそんなモンか。ササは時給いくら?」
「俺は930円ですね。3ヶ月過ぎたらもうちょっと上げてもらえるらしいです」
「なるほどね」
その辺りの賃金の話は、単発でしかバイトをしたことのない俺には別世界だ。だけど、シノには明確な目標があってアルバイトをしているみたいだし、来年にはぜひ1人暮らしが出来るように頑張ってもらいたい。でも、今の様子を見てると1人暮らしを始めたら尚更堕落しそうな気が。
「果林先輩、シノが既にちょっと授業怪しいみたいなんです」
「必修はちゃんと取っといた方がいいよ。それから、時間過ぎたらレポートを受け付けてもらえないとかもあるし、スケジュール管理はしっかりと。タカちゃんそれで失敗してるから」
「あー、ありましたねそんなことも」
「レポートってどう出すんですか?」
「紙で提出するレポートの場合は、学生課にそういうのを入れるポストみたいなのがあるんだけど、時間が来たらその瞬間受付が終わって滑り込むことも出来なくなるから気をつけてね。俺、去年寝坊でレポート出しそびれたから」
「おいシノ、そういうのもあるって」
「ヤベ―!」
……と、1年生には言うけど、俺も自分が気を付けなきゃいけないんだよね。学年が上がって専門的な授業が増えてるし。しっかりやっておきたい。まあ、最終手段はあるにはあるんだけど。
end.
++++
17年度の+2年の話では、ミキサーの方の篠木君は高木君の血が流れているというヒゲさんからの評価でしたね。
というワケでササシノとタカりん。果林のバイトの話はやっぱり一般の学生からすると事情が違い過ぎました。働かざる者食うべからずがガチ。
で、バイトをしていない例外のTKGがいるワケだけど、君はなんやかんや今年も単発じゃないバイトはしないのかな?
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「ふあ~わ」
「シノ、凄い大あくびだな」
「ねみーの。朝早いから。通学時間が長いとさー、早起きしなきゃいけないだろ。それがねみーの。原付でちょっとぶーんと走れば着くお前にはわかんねーよ」
シノが、凄く眠そうにしている。俺にはその気持ちが凄くよくわかる。シノは通学に1時間半とかそれくらいかかるらしくて、確かにそれだけ遠ければ1限に間に合うように通学するとなるとかなりの早起きをしなきゃいけないはずだ。つらい。
俺は大学まで45分くらいのところに住んでいるけど、今でも正直ギリギリだ。これ以上距離が遠くなったり時間を早めなきゃいけなくなったらちゃんと大学に通える自信が無くなって来る。今はちゃんと通えてるのかと聞かれると……うん、まあ、それなりには。
「シノ、授業にはちゃんと出れてる?」
「最近1限がちょっと怪しいっす」
「必修は落とさないように気を付けた方がいいよ。体育とか語学とか」
「高木先輩、シノは既に今週の体育すっ飛ばしてますよ」
「えっ、体育は実質的に出席評価みたいなものだし出た方がいいよ」
まあ、俺もちゃんと全部出てたかって聞かれるとそうじゃないんだけど、俺も先輩たちから必修は落とさないようにしろって言われ続けて来たし、最終的にはしっかりと単位は取れたから。何て言うか、シノが心配になってきちゃうよね。俺でもちゃんとやれたのにって。
「おはよーございまーす」
「果林先輩おはようございます」
「シノ、眠そうだねえ」
「眠いんすよー。果林先輩って眠くならないんすか? いつも目ぱっちり開いてますけど。バイト深夜だって言ってなかったでしたっけ」
「深夜だね。基本22時から朝6時」
「いつ寝てるんすか? バイト終わってから寝るんすか?」
「そうだね。バイト終わってから、2限からの日だったら10時前くらいまで3時間ちょっと寝て。あと、バイト前にもちょっと仮眠取ってるかな」
何か、そういう物だって思っちゃってるからもう驚かなくなってたんだけど、果林先輩って確かにいつ寝てるのかが結構謎だ。去年もバイト明けの水曜2限に体育取ってたし、いくら仮眠を取ったからと言ってもさすがに体育は。あ、でも先輩的にはバイト明けの座学の方がしんどいんだったっけ。
「ちなみに、果林先輩ってそれで月にいくらくらい稼ぐんですか?」
「月なら大体14万とか15万くらいかな」
「すげー!」
「でも、それだと年間103万超えません?」
「千葉家は103万超えていいから働けって家風だから」
「え、それってなんでなんですか? 親の税金上がりません?」
「働かざる者食うべからず。アタシが稼ぐことで上がる税金よりも、アタシが稼がないことで負担になる食費の方が高いからね」
なるほど、と1年生の声が揃う。それでなくても千葉家は果林先輩以外の家族も食べる量が多いらしく、食費がとんでもないことになるんだそうだ。税金の二桁万円より三桁の食費……果林先輩が言うと納得でしかないけど普通に考えるとそれもおかしいんだよなあ。
でも果林先輩の話にはシノが強く興味を引かれているようだ。果林先輩の働き方と言うか、稼ぎ方と言うか。手っ取り早く稼ぐにはやっぱり深夜帯がいいのかなあ、などといろいろ思考を巡らせているみたいだ。だけど、眠い云々の話をしてるのに、深夜帯のバイトを検討するのはちょっと。
「果林先輩、俺、大学の近くに1人暮らししたいんすよ。通学時間がクソ眠いんで」
「へえ、いいじゃん。今もそんなに近くないんだよね」
「そーなんすよ。で、親に1人暮らしを打診したら、2年になるまでに70万貯めたら1人暮らししていいって言うんす? その70万が1人暮らしの準備資金とかで。だから稼ぎたいんすよね。休みの日とか結構バイト入ってるんすけど、なかなか貯まんなくて」
「時給いくら?」
「900円っす」
「まあそんなモンか。ササは時給いくら?」
「俺は930円ですね。3ヶ月過ぎたらもうちょっと上げてもらえるらしいです」
「なるほどね」
その辺りの賃金の話は、単発でしかバイトをしたことのない俺には別世界だ。だけど、シノには明確な目標があってアルバイトをしているみたいだし、来年にはぜひ1人暮らしが出来るように頑張ってもらいたい。でも、今の様子を見てると1人暮らしを始めたら尚更堕落しそうな気が。
「果林先輩、シノが既にちょっと授業怪しいみたいなんです」
「必修はちゃんと取っといた方がいいよ。それから、時間過ぎたらレポートを受け付けてもらえないとかもあるし、スケジュール管理はしっかりと。タカちゃんそれで失敗してるから」
「あー、ありましたねそんなことも」
「レポートってどう出すんですか?」
「紙で提出するレポートの場合は、学生課にそういうのを入れるポストみたいなのがあるんだけど、時間が来たらその瞬間受付が終わって滑り込むことも出来なくなるから気をつけてね。俺、去年寝坊でレポート出しそびれたから」
「おいシノ、そういうのもあるって」
「ヤベ―!」
……と、1年生には言うけど、俺も自分が気を付けなきゃいけないんだよね。学年が上がって専門的な授業が増えてるし。しっかりやっておきたい。まあ、最終手段はあるにはあるんだけど。
end.
++++
17年度の+2年の話では、ミキサーの方の篠木君は高木君の血が流れているというヒゲさんからの評価でしたね。
というワケでササシノとタカりん。果林のバイトの話はやっぱり一般の学生からすると事情が違い過ぎました。働かざる者食うべからずがガチ。
で、バイトをしていない例外のTKGがいるワケだけど、君はなんやかんや今年も単発じゃないバイトはしないのかな?
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