2017(02)
■イツモノライフ
++++
「W杯出場おめでとう! そしてありがとう! みんなも緊急召集に応えてくれてありがとう! じゃあ、祝勝会を始めます!」
今日は急遽IFサッカー部の活動が入ってきた。部長の伊東クンのテンションからわかるように、相当盛り上がってる。祝勝会と銘打たれてはいるけど俺たちがやるのはいつも通りの活動、フットサルだよね。
「伊東クン、その試合の日って夏合宿だったでしょ~? オンタイムで見れた~?」
「合宿は昼で解散じゃんか。それでソッコー帰って家のこと全部やってテレビの前に陣取ってた」
「彼女さんは~?」
「俺と慧梨夏には趣味には相互不干渉っていうルールがあるからな。完全放置」
身長の似た者同士でストレッチに入ろうとして気付く。いつも俺はスガノ君と組んでるんだけど、今日のスガノ君はコートの隅の方に座っている。具合が悪いってワケでもなさそうだけど。ど~したのかな。
「スガノく~ん、ストレッチの相手がいないの~」
「悪い洋平、内履き買ったのに忘れてきた」
「えっ、意外~」
「ほら、俺もスガもバンドでバタバタしてたしさー。俺は忘れ物ないけど!」
スガノ君て本当にしっかりしてるから、忘れ物って聞いてビックリ。ドヤ顔のカンノ君を睨みつけてはいるけれど、今日は強く出れないみたい。ちなみに、2人は一緒にバンドもやってるんだって~。
とりあえず、上履きがなくても出来るストレッチを手伝ってもらう。難なら俺も靴を脱げばいいだけの話で。身長が近くないとやりにくいメニューもあるからさ~。趣味でケガするのは避けたいし。
「カンカン、息吐いて力抜いてー」
「ぎゃー! イタいイタい裂ける、裂けるってカズ!」
「カズ、もっとやっていいぞ」
「スガちゃんが言うならしょうがないなー」
「ぎにゃー!」
開脚からの前屈。伊東クンは股も180度近く開くし体も床にべたっと全部付く驚異の柔軟性。カンノ君はちょっとカタい。俺は人並み~。スガノ君に後ろから背中を押してもらって、ぐーっと、前へ。ちょうどそのとき。
「泰稚ー! なんだ!」
突如体育館に響く自前エコーと、独特の喋り方。星ヶ丘勢なら顔を見なくてもわかる、星羅ちゃんの声。
「星羅ちゃ~ん。ど~したの~?」
「洋平なんだ。久し振りなんだ。泰稚が靴を忘れたんだ。だから届けに来たんだ」
「星羅、ありがとう」
星羅ちゃんから真新しい靴を受け取ったスガノ君はそれに足を通す。IFサッカー部で女の子のいる光景が物珍しいのかみんな寄ってきて、なんだなんだと星羅ちゃんは困惑顔。
星ヶ丘以外の子に星羅ちゃんのことを紹介して、星羅ちゃんも自己紹介。それから、泰稚がいつもお世話になってますなんだ、とお嫁さんみたいな挨拶を。
「スガノ君が今日ここでやるって聞いてたの?」
「聞いてたんだ。行き先と目的もしっかり伝えてくれたんだ」
「すげー! スガちゃん旦那の鑑!」
「泰稚は昨日ちゃんと支度してたんだ。でも、靴が置いてあったんだ。それで、急いで持ってきたんだ」
「えっ、スガちゃん星羅さんと一緒に住んでるの?」
「たまたまだ」
「星羅ん家、親父さんが音楽やる人で家にスタジオあるんだぜ! それで俺らもお世話になってんの。もちろんスガは彼氏として親父さんの公認だぜ!」
「親父さんのハードル越えてるとかすげーよスガちゃん!」
部内では挨拶程度でいちゃいちゃしてるのは見られないスガノ君と星羅ちゃん。だけど、こうして2人並んでカップルっぽい日常の話を聞けるのは本当に貴重。やっぱりこの2人いいよね~、なんだ~。
「まだまだ暑いんだ。熱中症に気をつけるんだ。優しい塩ソーダ飴なんだ。よかったらどうぞなんだ」
「星羅ちゃんありがと~」
「洋平、ちょっと見てっていいんだ?」
「どうぞどうぞ~! ねっ、いいよね部長~」
今日はみんなスガノ君に花を持たせようとしてたのは言うまでもないし、スガノ君本人もちょっと張り切ってたよね~。
「カンー! へっぽこなんだー!」
「うるせー星羅! お前はスガの応援でもしとけ!」
「泰稚ー! かっこいいんだー!」
「あの、星羅、それはちょっと勘弁」
「じゃあボクはどうすればいいんだ?」
end.
++++
えっ、星羅ン家ってスタジオあるの?w 何気に星羅とカンDがわちゃわちゃしてるのが好き。
急遽招集されたIFサッカー部の面々である。意外にちゃんと活動してるのねここの人たちって。急に呼んでも出て来れるのすげーわ純粋に
「洋平なんだ。久し振りなんだ」って淡々と言ってる星羅がかわいいだけのヤツ
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「W杯出場おめでとう! そしてありがとう! みんなも緊急召集に応えてくれてありがとう! じゃあ、祝勝会を始めます!」
今日は急遽IFサッカー部の活動が入ってきた。部長の伊東クンのテンションからわかるように、相当盛り上がってる。祝勝会と銘打たれてはいるけど俺たちがやるのはいつも通りの活動、フットサルだよね。
「伊東クン、その試合の日って夏合宿だったでしょ~? オンタイムで見れた~?」
「合宿は昼で解散じゃんか。それでソッコー帰って家のこと全部やってテレビの前に陣取ってた」
「彼女さんは~?」
「俺と慧梨夏には趣味には相互不干渉っていうルールがあるからな。完全放置」
身長の似た者同士でストレッチに入ろうとして気付く。いつも俺はスガノ君と組んでるんだけど、今日のスガノ君はコートの隅の方に座っている。具合が悪いってワケでもなさそうだけど。ど~したのかな。
「スガノく~ん、ストレッチの相手がいないの~」
「悪い洋平、内履き買ったのに忘れてきた」
「えっ、意外~」
「ほら、俺もスガもバンドでバタバタしてたしさー。俺は忘れ物ないけど!」
スガノ君て本当にしっかりしてるから、忘れ物って聞いてビックリ。ドヤ顔のカンノ君を睨みつけてはいるけれど、今日は強く出れないみたい。ちなみに、2人は一緒にバンドもやってるんだって~。
とりあえず、上履きがなくても出来るストレッチを手伝ってもらう。難なら俺も靴を脱げばいいだけの話で。身長が近くないとやりにくいメニューもあるからさ~。趣味でケガするのは避けたいし。
「カンカン、息吐いて力抜いてー」
「ぎゃー! イタいイタい裂ける、裂けるってカズ!」
「カズ、もっとやっていいぞ」
「スガちゃんが言うならしょうがないなー」
「ぎにゃー!」
開脚からの前屈。伊東クンは股も180度近く開くし体も床にべたっと全部付く驚異の柔軟性。カンノ君はちょっとカタい。俺は人並み~。スガノ君に後ろから背中を押してもらって、ぐーっと、前へ。ちょうどそのとき。
「泰稚ー! なんだ!」
突如体育館に響く自前エコーと、独特の喋り方。星ヶ丘勢なら顔を見なくてもわかる、星羅ちゃんの声。
「星羅ちゃ~ん。ど~したの~?」
「洋平なんだ。久し振りなんだ。泰稚が靴を忘れたんだ。だから届けに来たんだ」
「星羅、ありがとう」
星羅ちゃんから真新しい靴を受け取ったスガノ君はそれに足を通す。IFサッカー部で女の子のいる光景が物珍しいのかみんな寄ってきて、なんだなんだと星羅ちゃんは困惑顔。
星ヶ丘以外の子に星羅ちゃんのことを紹介して、星羅ちゃんも自己紹介。それから、泰稚がいつもお世話になってますなんだ、とお嫁さんみたいな挨拶を。
「スガノ君が今日ここでやるって聞いてたの?」
「聞いてたんだ。行き先と目的もしっかり伝えてくれたんだ」
「すげー! スガちゃん旦那の鑑!」
「泰稚は昨日ちゃんと支度してたんだ。でも、靴が置いてあったんだ。それで、急いで持ってきたんだ」
「えっ、スガちゃん星羅さんと一緒に住んでるの?」
「たまたまだ」
「星羅ん家、親父さんが音楽やる人で家にスタジオあるんだぜ! それで俺らもお世話になってんの。もちろんスガは彼氏として親父さんの公認だぜ!」
「親父さんのハードル越えてるとかすげーよスガちゃん!」
部内では挨拶程度でいちゃいちゃしてるのは見られないスガノ君と星羅ちゃん。だけど、こうして2人並んでカップルっぽい日常の話を聞けるのは本当に貴重。やっぱりこの2人いいよね~、なんだ~。
「まだまだ暑いんだ。熱中症に気をつけるんだ。優しい塩ソーダ飴なんだ。よかったらどうぞなんだ」
「星羅ちゃんありがと~」
「洋平、ちょっと見てっていいんだ?」
「どうぞどうぞ~! ねっ、いいよね部長~」
今日はみんなスガノ君に花を持たせようとしてたのは言うまでもないし、スガノ君本人もちょっと張り切ってたよね~。
「カンー! へっぽこなんだー!」
「うるせー星羅! お前はスガの応援でもしとけ!」
「泰稚ー! かっこいいんだー!」
「あの、星羅、それはちょっと勘弁」
「じゃあボクはどうすればいいんだ?」
end.
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えっ、星羅ン家ってスタジオあるの?w 何気に星羅とカンDがわちゃわちゃしてるのが好き。
急遽招集されたIFサッカー部の面々である。意外にちゃんと活動してるのねここの人たちって。急に呼んでも出て来れるのすげーわ純粋に
「洋平なんだ。久し振りなんだ」って淡々と言ってる星羅がかわいいだけのヤツ
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