2020
■直進オーバードライブ
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初心者講習会前日、対策委員が全員集まって最後の会議。今日確認するのは明日の段取り。明日は対策委員と講師の先輩が一般の参加者より少し早めに集合して準備や段取りの確認をする。講習会は10時から開始して3時ごろに終わる予定だ。
講師の先輩たちとは今までに結構話し合い出来たし、抜けているところはないと思いたいけど。特に、先輩たちは緑ヶ丘で打ち合わせや見本番組の練習をしていたから、俺とエイジは日常的にその話をしていたワケで。もちろん、そこで話し合ったことは(エイジが)対策委員のみんなに共有している。
「機材保障費は1人500円。この管理はゲンゴローにお願いします」
「わかったよ。もう1回確認していい? 機材保障費って、もらった後はどうするんだっけ」
「今回は星大の機材も使うから、機材保障費の割合は定例会5:対策委員2.5:星大2.5になるはず。講習会終了後に清算して、定例会分については奈々に預ける感じで」
どうやら、機材保障費についての制度が今年度から変わったらしい。インターフェイスの行事では、参加者は1人500円の機材保障費を出さなくちゃいけない。これは、機材に何かあったときに修理したり買い直したりするためのお金。
インターフェイスの機材を使った時は定例会に全額、そして、ある大学さんの機材を借りる時はその大学さんに全額機材保障費が渡っていたんだ。だけど前年度はこれで問題が起きたらしく、お金のことについても定例会で改めて話し合われたとか。
その結果、対策委員主催行事で集めた機材保障費は定例会と分け合うことになった。だけど大学から機材を借りたときのフォローも必要だということで、全額までは行かないけど、気持ちばかりのお金を渡すことになったんだって。ちなみに、これもL先輩が進めた改革。
「あとは先輩たちの交通費と昼食代だね」
「いいかゲンゴロー、昼飯代は上限1000円で、あとは実費だからな。果林先輩の飯代なんか絶対賄えんべ」
「昼食代は上限1000円ね。オッケー」
「今までの会計は大丈夫?」
「今のところ大丈夫かな。過去の会計帳簿を見本にしてやってるから、出来てるとは思う」
「そっか、会計にはお手本があるんだね」
「そうだね。山口先輩とつばめ先輩が歴代の会計だったみたいだけど、帳簿を見るだけで2人とも凄く仕事が出来るんだなって圧倒されてるよ。でも、制度が変わってもやることは変わんないから。その点、機材管理担当はいろいろ変わって忙しいでしょ? タカティ大丈夫?」
「うん。俺は全然。何なら定例会との連携は日頃から出来てるし、現状何の問題もないよ」
「そうだタカティ、今日はこの後フィネスタの物置から機材回収だよね」
「あっ、そうだ。そういうことなので、皆さん協力お願いします」
ちなみに、今の対策委員が最初にぶち当たりそうな壁が、この機材回収だ。向島インターフェイス放送委員会は、フィネスタという企業さんにお世話になっている。そのテナントがあるビルの6階に物置があって、機材はそこに保管されているんだ。
頭数はある。何ならミキサーもそこそこ多い。2年に少ない男子も3人いる。それで何が問題かって言ったら、運搬手段だ。対策委員のメンバーは、日常的に車を使わなかったんだ。定例会は車持ちの子がいるけど、対策委員は……うん。
講習会では星大さんの機材を使うんじゃなかったのかって? 講習の都合上、インターフェイスの機材も使う必要が出て来たんだ。それで、星大にある機材も借りるしインターフェイスの機材も運搬する、と。なかなかハードな感じになってますよねー。
「アオ、結局車ってどうしたの? こないだは何とかするって言ってたけど」
「レンタカーを借りて来た。プロボックスバンを3時間2700円で」
「アオが運転するの?」
「私以外に免許ある人がいればお任せするけど」
「いや、そこは土地勘のあるアオに頼むべ」
「今日は星大に機材置いて返却でしょ? 明日はどうするの?」
「明日はミドリがバイトで大学に来てるから、ドライバーをお願いしようと思って。ああ、その間私はミドリと入れ替わりでバイトに入ることになるんだけど、タカティがいれば大丈夫かと」
同じ情報センターでバイトしてるからこそ出来た荒業だなと思う。アオって常に冷静沈着で最大効率の手法をサッと出して来るってイメージだけど、実際は目の前の壁を力尽くで殴って壊すタイプみたい。強引にでも最短ルートを行こうとすると言うか。
機材の搬入と搬出に関しては俺が最前線で動く感じで行くことになり、行きも帰りも車の助手席が指定席になるようだ。今日この後の搬出も、みんなで徒歩でフィネスタさんの物置に行って、車に乗れなかった人や方向の違う人はその場で解散だもんね。
「はい。そういうことなので、あと5分したらフィネスタに移動します。私は車取って来るんであとはタカティ、よろしく」
「えっ、俺!? エイジじゃなくて!?」
「機材の話だから機材管理担当に任せただけだけど」
end.
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そうだぞ! 蒼希は情報センターでもリン様の跡を継ぐのではって言われてる武闘派だぞ! 鉄拳制裁も厭わないんだぞ!
というワケで、フェーズ1よりはドタバタ感の少ない初心者講習会前夜です。タカちゃんの酷使がちょこちょこあるようですね。
と言うか去年の対策委員が作ってた弁当の規模によってはそれが財政圧迫の原因にもなってたんじゃないかって思うんだ
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初心者講習会前日、対策委員が全員集まって最後の会議。今日確認するのは明日の段取り。明日は対策委員と講師の先輩が一般の参加者より少し早めに集合して準備や段取りの確認をする。講習会は10時から開始して3時ごろに終わる予定だ。
講師の先輩たちとは今までに結構話し合い出来たし、抜けているところはないと思いたいけど。特に、先輩たちは緑ヶ丘で打ち合わせや見本番組の練習をしていたから、俺とエイジは日常的にその話をしていたワケで。もちろん、そこで話し合ったことは(エイジが)対策委員のみんなに共有している。
「機材保障費は1人500円。この管理はゲンゴローにお願いします」
「わかったよ。もう1回確認していい? 機材保障費って、もらった後はどうするんだっけ」
「今回は星大の機材も使うから、機材保障費の割合は定例会5:対策委員2.5:星大2.5になるはず。講習会終了後に清算して、定例会分については奈々に預ける感じで」
どうやら、機材保障費についての制度が今年度から変わったらしい。インターフェイスの行事では、参加者は1人500円の機材保障費を出さなくちゃいけない。これは、機材に何かあったときに修理したり買い直したりするためのお金。
インターフェイスの機材を使った時は定例会に全額、そして、ある大学さんの機材を借りる時はその大学さんに全額機材保障費が渡っていたんだ。だけど前年度はこれで問題が起きたらしく、お金のことについても定例会で改めて話し合われたとか。
その結果、対策委員主催行事で集めた機材保障費は定例会と分け合うことになった。だけど大学から機材を借りたときのフォローも必要だということで、全額までは行かないけど、気持ちばかりのお金を渡すことになったんだって。ちなみに、これもL先輩が進めた改革。
「あとは先輩たちの交通費と昼食代だね」
「いいかゲンゴロー、昼飯代は上限1000円で、あとは実費だからな。果林先輩の飯代なんか絶対賄えんべ」
「昼食代は上限1000円ね。オッケー」
「今までの会計は大丈夫?」
「今のところ大丈夫かな。過去の会計帳簿を見本にしてやってるから、出来てるとは思う」
「そっか、会計にはお手本があるんだね」
「そうだね。山口先輩とつばめ先輩が歴代の会計だったみたいだけど、帳簿を見るだけで2人とも凄く仕事が出来るんだなって圧倒されてるよ。でも、制度が変わってもやることは変わんないから。その点、機材管理担当はいろいろ変わって忙しいでしょ? タカティ大丈夫?」
「うん。俺は全然。何なら定例会との連携は日頃から出来てるし、現状何の問題もないよ」
「そうだタカティ、今日はこの後フィネスタの物置から機材回収だよね」
「あっ、そうだ。そういうことなので、皆さん協力お願いします」
ちなみに、今の対策委員が最初にぶち当たりそうな壁が、この機材回収だ。向島インターフェイス放送委員会は、フィネスタという企業さんにお世話になっている。そのテナントがあるビルの6階に物置があって、機材はそこに保管されているんだ。
頭数はある。何ならミキサーもそこそこ多い。2年に少ない男子も3人いる。それで何が問題かって言ったら、運搬手段だ。対策委員のメンバーは、日常的に車を使わなかったんだ。定例会は車持ちの子がいるけど、対策委員は……うん。
講習会では星大さんの機材を使うんじゃなかったのかって? 講習の都合上、インターフェイスの機材も使う必要が出て来たんだ。それで、星大にある機材も借りるしインターフェイスの機材も運搬する、と。なかなかハードな感じになってますよねー。
「アオ、結局車ってどうしたの? こないだは何とかするって言ってたけど」
「レンタカーを借りて来た。プロボックスバンを3時間2700円で」
「アオが運転するの?」
「私以外に免許ある人がいればお任せするけど」
「いや、そこは土地勘のあるアオに頼むべ」
「今日は星大に機材置いて返却でしょ? 明日はどうするの?」
「明日はミドリがバイトで大学に来てるから、ドライバーをお願いしようと思って。ああ、その間私はミドリと入れ替わりでバイトに入ることになるんだけど、タカティがいれば大丈夫かと」
同じ情報センターでバイトしてるからこそ出来た荒業だなと思う。アオって常に冷静沈着で最大効率の手法をサッと出して来るってイメージだけど、実際は目の前の壁を力尽くで殴って壊すタイプみたい。強引にでも最短ルートを行こうとすると言うか。
機材の搬入と搬出に関しては俺が最前線で動く感じで行くことになり、行きも帰りも車の助手席が指定席になるようだ。今日この後の搬出も、みんなで徒歩でフィネスタさんの物置に行って、車に乗れなかった人や方向の違う人はその場で解散だもんね。
「はい。そういうことなので、あと5分したらフィネスタに移動します。私は車取って来るんであとはタカティ、よろしく」
「えっ、俺!? エイジじゃなくて!?」
「機材の話だから機材管理担当に任せただけだけど」
end.
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そうだぞ! 蒼希は情報センターでもリン様の跡を継ぐのではって言われてる武闘派だぞ! 鉄拳制裁も厭わないんだぞ!
というワケで、フェーズ1よりはドタバタ感の少ない初心者講習会前夜です。タカちゃんの酷使がちょこちょこあるようですね。
と言うか去年の対策委員が作ってた弁当の規模によってはそれが財政圧迫の原因にもなってたんじゃないかって思うんだ
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