2020
■one step behind
++++
講習会の関係で野坂が緑ヶ丘に行くようになっていくらかが過ぎた頃、MMPは相変わらず特に増えることもなくいつも通りの活動をしてヤした。まァ、全くやることがないワケでもなく、せっかくなら昼放送のことでも打ち合わせたらいーンでねーですか、とUNOを片付けたときのことシた。
「おはよう」
「あれっ。やァー、菜月先輩じゃないスかァー。どーしたンす?」
「いや、うちの友達のツテでMMPに興味があるって子を紹介してもらったから、道案内をだな」
「ナ、ナンダッテー!? こーた、奈々、急いでもっと片付けてくだせー」
「了解ですッ!」
「ところでりっちゃん、本家はやっぱり今日も緑ヶ丘か?」
「そースね。すっかりインターフェイスのトレンドを行く機材と潤沢なアナウンサー資源に夢中スわ」
本家、というのは先にうっかり出た驚きの文言「ナ、ナンダッテー!?」を本来発する男のコトすね。まァ、さすが菜月先輩だけあって野坂の事情はある程度筒抜けてる様子スわ。もしかしたら講習についての相談くらいは受けてるかもしれないスね。
菜月先輩の後ろにいるのは男子と女子が1人ずつ。こーたと奈々が席を片付けてくれたところに通す。汚いところスけど、と。しかしまあ、いくら何でもこの時期に2人同時に見学に来るとは思わなかったンで、それらしい構えを全然してないンすよね。さーて、どーしヤしょ。
「えーと、まずは名前を聞いていースか」
「春日井希です」
「露崎萌香です」
「MMPに興味があるってコトでいースか」
「そうですね」
「と言うか、菜月先輩との関連性は」
「この2人は既にバドサーに入ってるんだ。うちのバドサーの友達から「興味あるみたいだから連れてってやって」って言われただけで、さっき会ったばっかりだ」
「共通の知人スね」
こういう時には大体どういう感じで番組をやっているのかを実演で見せるのが通例なンすけど、どうにもこうにもこのメンバーでそれをやるのかっつー不安が。出来ないこともないンすけどね。ダメ元で菜月先輩に助けを求めると、現役が何とかしろと一蹴。ご尤も。ま、野坂もいヤせんしね。
一応、ヒロをアナウンサー席に座らせ、自分がミキサー席に座る。基本はこういう感じでわーっと番組をやるンすけど如何せん急なンで番組の構成やトーク内容を準備してないんで今日は見せれヤせん、サーセンと逃げる。世の中を渡るには逃げる技術も必要スわ。
「ちなみに、基本的にパートは2つあって、トークをするアナウンサー、機材を扱うミキサーがあるンすけど、お2人さんはどーゆー感じでやりたいスか?」
「私は、機材の方を」
「んー……」
露崎サンの方はミキサーかなと即決したような感じだったスけど、春日井クンの方はなかなか決まらない様子。ま、急ぐ質問でもないンで適当にまた今度でとこの話を切り上げようとした時のコト。
「どっちもやっちゃダメなんですか?」
「ヤ、ダメっつーコトはないスよ。アナがミキサーを触っちゃダメとか、ミキがトークしちゃいけないっつー決まりはないンで」
「じゃどっちもやります」
「二刀流スね。りょーかいス」
過去には三井先輩が勝手にミキサーを触ってマルチっぽいことが出来ると豪語していたり(実際見たことはなかったンすけど)、今ならアナウンサー人員不足のためにミキサーのこーたがアナウンサーとして緊急登板してるンで、アリっちゃアリなんす。
ただ、この人らはアナウンサーとかミキサーっていう、基本となるパートを持って、片手間的な感じでもう一方のことをやってるンす。だけど、春日井クンはアナウンサーもミキサーもちゃんとやれるならやると言ってるンすね。ある意味で、新時代の子なのかもしれないスね。
「土田さん、そう簡単に了承して大丈夫なんですか?」
「ヤ、自分らの現状を考えたら手段を選んでられないじャないスか。手札は多い方がいい」
「まあ、そうですけど。アナウンサーとしての指導がきちんと行き届くかは若干不安ですね……」
「ヒロの覚醒か天性のモノに期待しヤしょー」
ただ、パートが決まっていないことで生じる問題も1つ。
「あと、もう1つ。自分らは向島インターフェイス放送委員会っつー団体に属してて、それの行事にも参加してヤす。そこに出るときは、アナウンサーかミキサー、どっちかのパートに収まってもらうことになりヤすンで、そこんトコはヨロシク」
「そのときはどっちがいいんですかね」
「人数バランス的にはアナウンサーの方がありがたいスね」
「はーい」
「つか、入る体でいーンすか? 自分もナチュラルに話進めてやしたけど」
「俺はそれでいいです」
「あの、バドの方と活動が重なった時なんですけど」
「それは気分で優先する方を決めてもらっていースよ。大きな行事の時は先に連絡をもらえると助かりヤすけど、こういう通常のときは来なかったら休みなんだなって判断してヤすし」
――ということで、1年生を確定で1人とお試しで1人、よーやくゲット出来ヤしたわ。いやー長かった。問題はここから下手扱いて逃げられないかってトコすね。さて、これからいつものぐだぐだを隠すのか、素で行くのかが難しいスわ。
end.
++++
MMPにもとうとう1年生がやってきました。よかったねえ。とりあえずは新規加入ゼロの危機は去ったのかな。
ノサカが相変わらず緑ヶ丘に出張しているようですが、みんなしばらくはしゃーないくらいの感じでいたのかしら。りっちゃんがいいと言えばオッケーだしね。
しかしなあ、せっかく菜月さんが来てくれていたのに自分がそこにいなかったことを知ったらノサカはどんな反応をするかね!
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講習会の関係で野坂が緑ヶ丘に行くようになっていくらかが過ぎた頃、MMPは相変わらず特に増えることもなくいつも通りの活動をしてヤした。まァ、全くやることがないワケでもなく、せっかくなら昼放送のことでも打ち合わせたらいーンでねーですか、とUNOを片付けたときのことシた。
「おはよう」
「あれっ。やァー、菜月先輩じゃないスかァー。どーしたンす?」
「いや、うちの友達のツテでMMPに興味があるって子を紹介してもらったから、道案内をだな」
「ナ、ナンダッテー!? こーた、奈々、急いでもっと片付けてくだせー」
「了解ですッ!」
「ところでりっちゃん、本家はやっぱり今日も緑ヶ丘か?」
「そースね。すっかりインターフェイスのトレンドを行く機材と潤沢なアナウンサー資源に夢中スわ」
本家、というのは先にうっかり出た驚きの文言「ナ、ナンダッテー!?」を本来発する男のコトすね。まァ、さすが菜月先輩だけあって野坂の事情はある程度筒抜けてる様子スわ。もしかしたら講習についての相談くらいは受けてるかもしれないスね。
菜月先輩の後ろにいるのは男子と女子が1人ずつ。こーたと奈々が席を片付けてくれたところに通す。汚いところスけど、と。しかしまあ、いくら何でもこの時期に2人同時に見学に来るとは思わなかったンで、それらしい構えを全然してないンすよね。さーて、どーしヤしょ。
「えーと、まずは名前を聞いていースか」
「春日井希です」
「露崎萌香です」
「MMPに興味があるってコトでいースか」
「そうですね」
「と言うか、菜月先輩との関連性は」
「この2人は既にバドサーに入ってるんだ。うちのバドサーの友達から「興味あるみたいだから連れてってやって」って言われただけで、さっき会ったばっかりだ」
「共通の知人スね」
こういう時には大体どういう感じで番組をやっているのかを実演で見せるのが通例なンすけど、どうにもこうにもこのメンバーでそれをやるのかっつー不安が。出来ないこともないンすけどね。ダメ元で菜月先輩に助けを求めると、現役が何とかしろと一蹴。ご尤も。ま、野坂もいヤせんしね。
一応、ヒロをアナウンサー席に座らせ、自分がミキサー席に座る。基本はこういう感じでわーっと番組をやるンすけど如何せん急なンで番組の構成やトーク内容を準備してないんで今日は見せれヤせん、サーセンと逃げる。世の中を渡るには逃げる技術も必要スわ。
「ちなみに、基本的にパートは2つあって、トークをするアナウンサー、機材を扱うミキサーがあるンすけど、お2人さんはどーゆー感じでやりたいスか?」
「私は、機材の方を」
「んー……」
露崎サンの方はミキサーかなと即決したような感じだったスけど、春日井クンの方はなかなか決まらない様子。ま、急ぐ質問でもないンで適当にまた今度でとこの話を切り上げようとした時のコト。
「どっちもやっちゃダメなんですか?」
「ヤ、ダメっつーコトはないスよ。アナがミキサーを触っちゃダメとか、ミキがトークしちゃいけないっつー決まりはないンで」
「じゃどっちもやります」
「二刀流スね。りょーかいス」
過去には三井先輩が勝手にミキサーを触ってマルチっぽいことが出来ると豪語していたり(実際見たことはなかったンすけど)、今ならアナウンサー人員不足のためにミキサーのこーたがアナウンサーとして緊急登板してるンで、アリっちゃアリなんす。
ただ、この人らはアナウンサーとかミキサーっていう、基本となるパートを持って、片手間的な感じでもう一方のことをやってるンす。だけど、春日井クンはアナウンサーもミキサーもちゃんとやれるならやると言ってるンすね。ある意味で、新時代の子なのかもしれないスね。
「土田さん、そう簡単に了承して大丈夫なんですか?」
「ヤ、自分らの現状を考えたら手段を選んでられないじャないスか。手札は多い方がいい」
「まあ、そうですけど。アナウンサーとしての指導がきちんと行き届くかは若干不安ですね……」
「ヒロの覚醒か天性のモノに期待しヤしょー」
ただ、パートが決まっていないことで生じる問題も1つ。
「あと、もう1つ。自分らは向島インターフェイス放送委員会っつー団体に属してて、それの行事にも参加してヤす。そこに出るときは、アナウンサーかミキサー、どっちかのパートに収まってもらうことになりヤすンで、そこんトコはヨロシク」
「そのときはどっちがいいんですかね」
「人数バランス的にはアナウンサーの方がありがたいスね」
「はーい」
「つか、入る体でいーンすか? 自分もナチュラルに話進めてやしたけど」
「俺はそれでいいです」
「あの、バドの方と活動が重なった時なんですけど」
「それは気分で優先する方を決めてもらっていースよ。大きな行事の時は先に連絡をもらえると助かりヤすけど、こういう通常のときは来なかったら休みなんだなって判断してヤすし」
――ということで、1年生を確定で1人とお試しで1人、よーやくゲット出来ヤしたわ。いやー長かった。問題はここから下手扱いて逃げられないかってトコすね。さて、これからいつものぐだぐだを隠すのか、素で行くのかが難しいスわ。
end.
++++
MMPにもとうとう1年生がやってきました。よかったねえ。とりあえずは新規加入ゼロの危機は去ったのかな。
ノサカが相変わらず緑ヶ丘に出張しているようですが、みんなしばらくはしゃーないくらいの感じでいたのかしら。りっちゃんがいいと言えばオッケーだしね。
しかしなあ、せっかく菜月さんが来てくれていたのに自分がそこにいなかったことを知ったらノサカはどんな反応をするかね!
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