2020
■IF界のナチュラルガーデン
++++
「久し振りー、いえーい」
「いえーい」
星港市内、インターフェイス馴染みのコーヒーチェーン店でファンフェス千葉班大集合。アタシの班は3年生が向島のこーたと、あと2年生は青女のユキちゃんとわかばの4人。アタシにとってはよく見るメンバーで構成された班だなって感じで、前回の続きから始める感じ。
出だしの挨拶が「久し振りー、いえーい」だったことからもお察しで、こーたとは去年のファンフェスで、それからユキちゃんとは夏合宿で一緒の班だった。わかばはこれが実質的なインターフェイスデビューということで、緊張した様子。
「わかばとは対策委員の会議振りだね」
「そうですね。あの、知っている人が班長で、良かったです……」
「番組面でも大船に乗ったつもりでいて大丈夫だからねわかば、アタシにおまかせですよ」
「お願いします」
わかばは対策委員として活動してるから、その会議で顔を合わせていた。その頃から物静かな子だなとは思ってたけど、今も同じ青女から出て来てるユキちゃんの様子を窺いながら自分の立ち回りを考えてるって感じかな。
「えっと、多分知らないのこーただけだし、こーたが自己紹介すれば終わるから、はい。3、2、1」
「向島大学MMPが誇るウザい界のアイドル、神崎耕太ですよ。メ~タボッ、ぽ~んぽんっ」
確か、こーたって向島の常識人とか良心枠のツッコミだったと思うけど、それでも向島の人間だから悪ふざけが基本なんだね。去年よりネタが洗練されてる気がする。「メ~タボッ、ぽ~んぽんっ」で自分のお腹をぽんぽん叩くのは初めて見た。
これに唖然としているのが青女勢2人。向島と青女は3年生同士が仲が良くて頻繁に遊んでるような感じらしいんだけど、2年生たちは3年生とあんまり絡まないのかな。と言うかちゃんと絡んでたらもしかしなくても自己紹介なんて要らなかった。
「あの、ユキちゃんわかば、こんなんだけどこーたはミキサーとしてはIFでも指折りの実力派で――」
「あ、啓子先輩から聞いてます」
「ふざけた風に見えてもサドニナを調教した凄腕のミキサーだから、ちゃんと言うことを聞きなさいとは」
「あ、青女ではサドニナを調教出来るっていうのが売りになる感じ?」
「もう! サドニナったら酷いんですよ! 今、植物園ステージの練習をちょこちょこ始めてるんですけど、まーあ人の言うことなんか聞きやしないし、練習メニュー無視して歌ってるし! どうやったら真面目に練習するのかを教えて欲しいですよ本当に!」
「そう言えば青女さんの春ステージって2年生主体でやるんだったね」
「もーう、アタシ最近睡眠不足で」
ホントにサドニナをどうにかする方法を教えて欲しいですよ、とユキちゃんは悲壮感を漂わせる。わかばによれば、啓子さんのサポートがあるとは言え一応主体となるのは2年生なので、ステージの構成など、台本的要素を考えるのはユキちゃんの仕事なんだそうだ。
ユキちゃんの言うようにサドニナがとにかく好き勝手にしていてお手上げ状態だと。それを見かねた啓子さんから、夏合宿でサドニナを見事なまでに手懐けていたこーたからその手腕を盗んで来るといいよと言われて今日この現場に臨んでいると。
「まあ、サドニナのことはともかく、わかばのことに関してはきちんと面倒を見ますから安心してくださいね」
「ありがとうございます」
定例会議長・Lによれば、この班はとにもかくにもわかばのフォローをメインに組まれたとのこと。ピントークでわかばとペアを組むラジオメイン校のアナウンサーとしてのアタシ、ミキサーとしてきちんとサポート出来るこーた、同じ大学の子と敢えて同じ班にすることで安心してもらうためのユキちゃんという具合に。
「一応、ピントークはアタシとわかば、ユキちゃんとこーたって感じになるからね」
「はーい」
「さて、どういう番組にしましょうか」
「番組の内容とは反れるんですけど、こーた先輩、夏合宿のときに頭に付けてたお花つけましょ」
「はい!? ユキちゃん!?」
「こーた先輩がお花付けてくれたらあたしの羽飾りと会わせたナチュラルガーデンテイストでいい感じになると思うんですよ」
パッと見たユキちゃんの特徴が、頭に付けた羽飾り。草木を編んだみたいなかんむりって言えばいいのかな、そんなのも被ってるけど大きな羽飾りがとにかく目を引く。去年の夏合宿ではペアを組んだサドニナにお揃いの花飾りをつけさせられていたこーただけど、これが青女2年生アナの系譜なのかな。
「……ナチュラルガーデンテイスト…?」
「ほら、わかばが意味がわからないという顔をしていますよ。ユキちゃん、考え直しましょう?」
「意訳すれば初夏っぽい、爽やかなお庭のイメージですよ。風と光の織りなす緑の癒し空間と言うか」
「なるほどね。お花を付けるかはともかく目指す番組のイメージとしては悪くないかも」
「何でそこで班長が乗っちゃうんですか…!」
「いいね、言っちゃえばアタシも“カリン”だし、“わかば”もいるし、それなりのお庭にはなるね」
「あとおハナとあやめがいれば言うことなしでしたね」
何となく目指す番組のイメージが見えて来たところで、ユキちゃん風ナチュラルガーデンテイストの構想をどんどん固めていく。それに沿って各々のピントークやダブルトークを練って練っている中で、ユキちゃんとこーたはまだお花のことで戦っている。
「何かこーた、いろんな意味で大変そうだなあ」
「あの、ユキちゃん、それくらいに……啓子先輩に、叱られるよ……」
end.
++++
ナチュラルガーデンテイストとは ウザドルと愉快な仲間たちという感じの千葉班です。
青女ではサドニナの扱いに相当苦労するのか、サドニナを調教した実績のある神崎は非常に凄腕のミキサーという評価です。
ユキちゃんはサドニナ比でまだ常識人扱いだけど、ノリは割ときゃいきゃいしてるのでお花をつけるとかそういうことには前向きです
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「久し振りー、いえーい」
「いえーい」
星港市内、インターフェイス馴染みのコーヒーチェーン店でファンフェス千葉班大集合。アタシの班は3年生が向島のこーたと、あと2年生は青女のユキちゃんとわかばの4人。アタシにとってはよく見るメンバーで構成された班だなって感じで、前回の続きから始める感じ。
出だしの挨拶が「久し振りー、いえーい」だったことからもお察しで、こーたとは去年のファンフェスで、それからユキちゃんとは夏合宿で一緒の班だった。わかばはこれが実質的なインターフェイスデビューということで、緊張した様子。
「わかばとは対策委員の会議振りだね」
「そうですね。あの、知っている人が班長で、良かったです……」
「番組面でも大船に乗ったつもりでいて大丈夫だからねわかば、アタシにおまかせですよ」
「お願いします」
わかばは対策委員として活動してるから、その会議で顔を合わせていた。その頃から物静かな子だなとは思ってたけど、今も同じ青女から出て来てるユキちゃんの様子を窺いながら自分の立ち回りを考えてるって感じかな。
「えっと、多分知らないのこーただけだし、こーたが自己紹介すれば終わるから、はい。3、2、1」
「向島大学MMPが誇るウザい界のアイドル、神崎耕太ですよ。メ~タボッ、ぽ~んぽんっ」
確か、こーたって向島の常識人とか良心枠のツッコミだったと思うけど、それでも向島の人間だから悪ふざけが基本なんだね。去年よりネタが洗練されてる気がする。「メ~タボッ、ぽ~んぽんっ」で自分のお腹をぽんぽん叩くのは初めて見た。
これに唖然としているのが青女勢2人。向島と青女は3年生同士が仲が良くて頻繁に遊んでるような感じらしいんだけど、2年生たちは3年生とあんまり絡まないのかな。と言うかちゃんと絡んでたらもしかしなくても自己紹介なんて要らなかった。
「あの、ユキちゃんわかば、こんなんだけどこーたはミキサーとしてはIFでも指折りの実力派で――」
「あ、啓子先輩から聞いてます」
「ふざけた風に見えてもサドニナを調教した凄腕のミキサーだから、ちゃんと言うことを聞きなさいとは」
「あ、青女ではサドニナを調教出来るっていうのが売りになる感じ?」
「もう! サドニナったら酷いんですよ! 今、植物園ステージの練習をちょこちょこ始めてるんですけど、まーあ人の言うことなんか聞きやしないし、練習メニュー無視して歌ってるし! どうやったら真面目に練習するのかを教えて欲しいですよ本当に!」
「そう言えば青女さんの春ステージって2年生主体でやるんだったね」
「もーう、アタシ最近睡眠不足で」
ホントにサドニナをどうにかする方法を教えて欲しいですよ、とユキちゃんは悲壮感を漂わせる。わかばによれば、啓子さんのサポートがあるとは言え一応主体となるのは2年生なので、ステージの構成など、台本的要素を考えるのはユキちゃんの仕事なんだそうだ。
ユキちゃんの言うようにサドニナがとにかく好き勝手にしていてお手上げ状態だと。それを見かねた啓子さんから、夏合宿でサドニナを見事なまでに手懐けていたこーたからその手腕を盗んで来るといいよと言われて今日この現場に臨んでいると。
「まあ、サドニナのことはともかく、わかばのことに関してはきちんと面倒を見ますから安心してくださいね」
「ありがとうございます」
定例会議長・Lによれば、この班はとにもかくにもわかばのフォローをメインに組まれたとのこと。ピントークでわかばとペアを組むラジオメイン校のアナウンサーとしてのアタシ、ミキサーとしてきちんとサポート出来るこーた、同じ大学の子と敢えて同じ班にすることで安心してもらうためのユキちゃんという具合に。
「一応、ピントークはアタシとわかば、ユキちゃんとこーたって感じになるからね」
「はーい」
「さて、どういう番組にしましょうか」
「番組の内容とは反れるんですけど、こーた先輩、夏合宿のときに頭に付けてたお花つけましょ」
「はい!? ユキちゃん!?」
「こーた先輩がお花付けてくれたらあたしの羽飾りと会わせたナチュラルガーデンテイストでいい感じになると思うんですよ」
パッと見たユキちゃんの特徴が、頭に付けた羽飾り。草木を編んだみたいなかんむりって言えばいいのかな、そんなのも被ってるけど大きな羽飾りがとにかく目を引く。去年の夏合宿ではペアを組んだサドニナにお揃いの花飾りをつけさせられていたこーただけど、これが青女2年生アナの系譜なのかな。
「……ナチュラルガーデンテイスト…?」
「ほら、わかばが意味がわからないという顔をしていますよ。ユキちゃん、考え直しましょう?」
「意訳すれば初夏っぽい、爽やかなお庭のイメージですよ。風と光の織りなす緑の癒し空間と言うか」
「なるほどね。お花を付けるかはともかく目指す番組のイメージとしては悪くないかも」
「何でそこで班長が乗っちゃうんですか…!」
「いいね、言っちゃえばアタシも“カリン”だし、“わかば”もいるし、それなりのお庭にはなるね」
「あとおハナとあやめがいれば言うことなしでしたね」
何となく目指す番組のイメージが見えて来たところで、ユキちゃん風ナチュラルガーデンテイストの構想をどんどん固めていく。それに沿って各々のピントークやダブルトークを練って練っている中で、ユキちゃんとこーたはまだお花のことで戦っている。
「何かこーた、いろんな意味で大変そうだなあ」
「あの、ユキちゃん、それくらいに……啓子先輩に、叱られるよ……」
end.
++++
ナチュラルガーデンテイストとは ウザドルと愉快な仲間たちという感じの千葉班です。
青女ではサドニナの扱いに相当苦労するのか、サドニナを調教した実績のある神崎は非常に凄腕のミキサーという評価です。
ユキちゃんはサドニナ比でまだ常識人扱いだけど、ノリは割ときゃいきゃいしてるのでお花をつけるとかそういうことには前向きです
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