2018
■雑談から輪を作る
++++
班長からよろしくお願いしますという挨拶のメールが来ると、いよいよファンフェスに向けて動き出したんだなという感じがする。5月2週の土日にかけて行われるファンフェスで、インターフェイスは土曜日にDJブースを出展することになっている。
うちは大石が班長を務める班に入ることになった。今の3年がアナウンサーばかりに、そして2年がミキサーに偏っているという都合で、3年アナと2年ミキという班編成になりがちだったとは定例会議長サマ談。例に漏れずウチのミキサーも緑ヶ丘の2年だ。
「――ということで、よろしくー」
「よろしく」
さっそく初回打ち合わせということで、星港市の端の端、夢ヶ丘駅前のドーナツ屋に集合。各々食べたい物を買ってから、席に落ち着く。合宿や班の打ち合わせはこんな感じで適当な店で行われることが多い。
「えーと、改めまして、班長の大石です。よろしくー」
「って言うか大石先輩、率直な疑問いいすか」
「うん、いいよ」
「なっち先輩って班長じゃないんすね。正直意外だったっす」
「うちもちょっと驚いてる。いや、班長がやりたかったワケじゃないぞ。向島だからとか対策の前議長だからとかいう理由で圭斗が押しつけてくるかなーと思ったけど」
こういうイベントでの班長は夏合宿なら対策委員、ファンフェスなら定例会といった具合に、その行事を管轄する方の面々が務めることが多い。それで班長の頭数が足りなければ実力やら人間性を見て選ぶこともある。
今回のファンフェスでは、7班に対して定例会の人数が6。でもって謎に定例会の3年が2人いる班もあるとかで班長が2人足りないらしかったのだ。高崎に白羽の矢が立つのはわかるにしても、よくわからなかったのは山口だ。
「それは朝霞の意向だね。自分の班で定例会2人使っちゃってるし、星ヶ丘はラジオ系のイベントじゃあまり役に立てないからせめてって言ってアニに班長をお願いすることになったんだよ」
「ふーん。定例会でも大人の事情は発動するんだな」
「そうだね。まあ、班決めはほとんど圭斗とカズがわーって当てはめてたような感じだったけど」
班編成は、いつだって戦争だ。うちも去年の夏合宿で経験したからわかるけど、まあめんどくさい。大学の偏りがないようにしないといけなかったり、男女比に学年比、実力を見るのも必要だし、人間関係が一番面倒だ。
大石の話を聞く限り、今回のファンフェスではどことどこがギスギスしていてという案件はあまり聞かれなかった。強いてNGコードがあったとすれば、伊東と三井をくっつけてくれるなというくらいで。
「なっち、抹茶のドーナツばっかりだね」
「新しいのとか期間限定はとりあえず食べときたい方で」
「何か意外っす。なっち先輩てそういうミーハーな感じじゃないと思ってました」
「コンビニとか行っても新商品はとりあえず買うぞ。お前はどうなんだ。一人暮らしならコンビニのお世話にもなるだろ」
「俺はそこまでっすね。食わなくて平気と言うか」
「Lって信じられないくらい小食だよね。今もドーナツ1コで足りる?」
「1コ食えば十分すよ、カフェオレもありますし」
うちは2つ、大石は4つドーナツを皿に載せているのにLはたったひとつだ。高崎から「コイツが全然食わねえ」みたいな愚痴を聞かされたことはあったけど、まさかここまでとは。背ばかり高くてほっそい理由もわかった気がする。
今なら大石、普段ならノサカを見ているから少し食べっぷりのいい男の方が見ていて安心すると言うか、ほっとする。圭斗だのコイツだの、量を食べない男を見ていると、よくそれで生命を維持出来るなと思う。
「でも、俺ばっかりじゃなくないすか。前に定例会の決起集会的な飲みやったときとか、朝霞先輩も全然食ってなかったっすよ」
「朝霞は一口が小さくて長いだけで、最終的に結構食べてるよ。飲み会とかはそれで食いっぱぐれるだけで、小食ではなかったはず」
抹茶のドーナツうまー。でも、大石がキープしてるエンゼルクリームも絶対うまーなんだよなー、知ってるんだよ。いいなー、新製品もいいけどやっぱり定番もうまうましておきたい。近所に店がないんだよ。
「なっち?」
「あ、いや。普通のエンゼルクリームも恋しいなと思って」
「食べたらいいと思うよ」
「太るかなあとか」
「動いたらいいんじゃないかなあ」
「運動って言ってもなかなか」
「運動じゃなくても、大掃除とかでいいんじゃない? ほら、雑巾掛けって二の腕に効くって」
「大掃除をしようと思う! どうすればいいんだ大石!」
「えっとねー」
「掃除のことなら俺に任せてくださいなっち先輩!」
番組の真面目な打ち合わせはある程度雑談を終えてから。食べながらじゃ話も進まないし、雑談で打ち解けないと真面目な話も出来やしない。何か、悪くなさそうな班のような気がするぞ。
end.
++++
FF大石班がドーナツうまーってやってるのも何気に風物詩のようになってますね。ナツちーがかわいいんですよちきしょう
そして掃除の件でしゃしゃり出てくるLである。そらその筋の人やもんなあ。菜月さんの部屋はやりがいがありそうだ
そういや他のFF班はどうなってるのかしら。今期は大石班以外も覗いてみたいですね
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班長からよろしくお願いしますという挨拶のメールが来ると、いよいよファンフェスに向けて動き出したんだなという感じがする。5月2週の土日にかけて行われるファンフェスで、インターフェイスは土曜日にDJブースを出展することになっている。
うちは大石が班長を務める班に入ることになった。今の3年がアナウンサーばかりに、そして2年がミキサーに偏っているという都合で、3年アナと2年ミキという班編成になりがちだったとは定例会議長サマ談。例に漏れずウチのミキサーも緑ヶ丘の2年だ。
「――ということで、よろしくー」
「よろしく」
さっそく初回打ち合わせということで、星港市の端の端、夢ヶ丘駅前のドーナツ屋に集合。各々食べたい物を買ってから、席に落ち着く。合宿や班の打ち合わせはこんな感じで適当な店で行われることが多い。
「えーと、改めまして、班長の大石です。よろしくー」
「って言うか大石先輩、率直な疑問いいすか」
「うん、いいよ」
「なっち先輩って班長じゃないんすね。正直意外だったっす」
「うちもちょっと驚いてる。いや、班長がやりたかったワケじゃないぞ。向島だからとか対策の前議長だからとかいう理由で圭斗が押しつけてくるかなーと思ったけど」
こういうイベントでの班長は夏合宿なら対策委員、ファンフェスなら定例会といった具合に、その行事を管轄する方の面々が務めることが多い。それで班長の頭数が足りなければ実力やら人間性を見て選ぶこともある。
今回のファンフェスでは、7班に対して定例会の人数が6。でもって謎に定例会の3年が2人いる班もあるとかで班長が2人足りないらしかったのだ。高崎に白羽の矢が立つのはわかるにしても、よくわからなかったのは山口だ。
「それは朝霞の意向だね。自分の班で定例会2人使っちゃってるし、星ヶ丘はラジオ系のイベントじゃあまり役に立てないからせめてって言ってアニに班長をお願いすることになったんだよ」
「ふーん。定例会でも大人の事情は発動するんだな」
「そうだね。まあ、班決めはほとんど圭斗とカズがわーって当てはめてたような感じだったけど」
班編成は、いつだって戦争だ。うちも去年の夏合宿で経験したからわかるけど、まあめんどくさい。大学の偏りがないようにしないといけなかったり、男女比に学年比、実力を見るのも必要だし、人間関係が一番面倒だ。
大石の話を聞く限り、今回のファンフェスではどことどこがギスギスしていてという案件はあまり聞かれなかった。強いてNGコードがあったとすれば、伊東と三井をくっつけてくれるなというくらいで。
「なっち、抹茶のドーナツばっかりだね」
「新しいのとか期間限定はとりあえず食べときたい方で」
「何か意外っす。なっち先輩てそういうミーハーな感じじゃないと思ってました」
「コンビニとか行っても新商品はとりあえず買うぞ。お前はどうなんだ。一人暮らしならコンビニのお世話にもなるだろ」
「俺はそこまでっすね。食わなくて平気と言うか」
「Lって信じられないくらい小食だよね。今もドーナツ1コで足りる?」
「1コ食えば十分すよ、カフェオレもありますし」
うちは2つ、大石は4つドーナツを皿に載せているのにLはたったひとつだ。高崎から「コイツが全然食わねえ」みたいな愚痴を聞かされたことはあったけど、まさかここまでとは。背ばかり高くてほっそい理由もわかった気がする。
今なら大石、普段ならノサカを見ているから少し食べっぷりのいい男の方が見ていて安心すると言うか、ほっとする。圭斗だのコイツだの、量を食べない男を見ていると、よくそれで生命を維持出来るなと思う。
「でも、俺ばっかりじゃなくないすか。前に定例会の決起集会的な飲みやったときとか、朝霞先輩も全然食ってなかったっすよ」
「朝霞は一口が小さくて長いだけで、最終的に結構食べてるよ。飲み会とかはそれで食いっぱぐれるだけで、小食ではなかったはず」
抹茶のドーナツうまー。でも、大石がキープしてるエンゼルクリームも絶対うまーなんだよなー、知ってるんだよ。いいなー、新製品もいいけどやっぱり定番もうまうましておきたい。近所に店がないんだよ。
「なっち?」
「あ、いや。普通のエンゼルクリームも恋しいなと思って」
「食べたらいいと思うよ」
「太るかなあとか」
「動いたらいいんじゃないかなあ」
「運動って言ってもなかなか」
「運動じゃなくても、大掃除とかでいいんじゃない? ほら、雑巾掛けって二の腕に効くって」
「大掃除をしようと思う! どうすればいいんだ大石!」
「えっとねー」
「掃除のことなら俺に任せてくださいなっち先輩!」
番組の真面目な打ち合わせはある程度雑談を終えてから。食べながらじゃ話も進まないし、雑談で打ち解けないと真面目な話も出来やしない。何か、悪くなさそうな班のような気がするぞ。
end.
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FF大石班がドーナツうまーってやってるのも何気に風物詩のようになってますね。ナツちーがかわいいんですよちきしょう
そして掃除の件でしゃしゃり出てくるLである。そらその筋の人やもんなあ。菜月さんの部屋はやりがいがありそうだ
そういや他のFF班はどうなってるのかしら。今期は大石班以外も覗いてみたいですね
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