2019(04)
■淡々と降る悪魔のささやき
++++
いろんなイベントが中止になったり延期になったりっていうニュースばかりがどんどん積み重なっている今日この頃。就活の合同企業説明会なんかも順調に中止になっていて、就活サイトでのエントリー以外にもネット就活を本格化しなきゃいけない頃合いかなあなんて考えていたところ。
そんな中、就活イベントで出会った星ヶ丘の朝霞クンと昨日お茶してたんですね。イベントも中止ばっかりだし、説明会もないしどーするって。同じような興味関心があって行く先々で顔を合わせてたから、本来はライバルなんだろうけどこういうときには情報共有をしたりしますよね。
何にせよ、しばらくはどんなイベントも様子見だろうねという結論に達するのは早かった。ウイルスどうこうについては最早自分たちでどうにか出来る問題でもないと。そんなことより他の話をっていう風に違う話題に移るのもまた早かった。何ならそっちの方が本題になってた感がある。
「って言うか、リンちゃんも何気にフットワーク軽いよねえ」
「オレは言うほどでもない。朝霞と知り合った件についてもこの男のフットワークの軽さの結果だからな」
「2人とも、お茶が入りました。粗茶ですが」
「いただくか」
「ありがとう」
昨日朝霞クンとお茶してたところに通りかかったリンちゃんが、なんと朝霞クンと友達だったんだって。一見接点がなさそうだけどどこで知り合ったのって聞いたら、西海駅前のバーだって。何か違う友達つてに仲良くなったみたい。で、うちとリンちゃんが友達でっていう流れで今日は朝霞クン宅でゲーム大会が開催されるよね。
カズには就活で知り合った男の子と会ってくるよと正直に言ったらちょっと嫌そうな顔をしてたけど、リンちゃんも交えてのゲーム大会ですよとそこで行われることを付け加えたら一切口出ししなくなったんでリン様マジリン様。お金だけは守れとの激励をいただきました。心配しなくても今日は賭けゲームじゃない……はず。
「ところで、しばらくゲームをぶっ通しでやるとして、このメンツでご飯ってどうする? 誰か料理出来る? 宮林さんは――」
「宮ちゃんにやらせるくらいならオレがやった方がいくらかマシだ。かく言うオレも出来る方ではないと言っておこう」
「じゃあ、食べに行くか買いに行くかしよっか。俺も得意じゃないし」
「そうしましょ、そうしましょ。てかリンちゃんうちの料理音痴知ってたっけ?」
「1年の時の調理実習で食わされた物の衝撃は未だ消えとらんとは言っておこう」
「高崎クンにも同じコト言われるんだよね」
何か食べるものあったかな、と朝霞クンが台所を物色しているのを後目に、うちとリンちゃんはゲームのセッティングの方を進めていきますよね。朝霞クンはパソコンでのゲームを最近ちょっと始めたばっかりみたくて、家庭用ゲーム機にはあんまり触ったことがないらしい。得意なのはボードゲームだって。
実際朝霞クンの部屋を軽く見渡しただけでも、本棚の一角にはボードゲームと思しきコーナーが出来ていて、いろいろやってるんだねっていうのが見て取れる。本とかCDとかDVDとか、結構いろいろ揃ってる感じ。そっちのラインナップにも実に惹かれますね、どんなのがあるんだろうって。
「朝霞、お前も来い」
「え、俺もやるの」
「当然だ。それと、何に使えるかわからんから一応録画するからな」
「ところでリン様?」
「何だ」
「録画するのはいいけど、それってうちが入ってていいんですかね」
「問題なかろう。伏せるべき情報は編集でどうにでもなる」
「ところでリン君」
「何だ」
「録画するのはいいけど、宮林さんもゲームめちゃくちゃ上手いんでしょ。それって俺が入ってていいんですかね」
「問題ない。下手くそをイジるかイジらんかは編集次第だ」
「何なら生で「初心者に教える」をやってくれていいんですよ」
何を隠そうこの2人、USDXの新メンバー・バネ様とレイ君だったのです! 昨日朝霞クンがね。ポロッと口を滑らせちゃったんですよね。言ってもリンちゃんがバネ様だっていうのは動画に初登場したときから何となく気付いてたんでやっぱりかって感じで今更だったけど。
朝霞クンが用意してくれたお菓子を真ん中に置いて、いざゲーム大会の始まり。うちとリンちゃんの真剣勝負もありつつ、個人的には「初心者に教える」シリーズが生で見られることの方がありがたみがありますよね。
「ところで、宮ちゃんは今度出るどうぶつの森をやるのか」
「あっ、やりますよねー。もちろん。って言うか外に出なくても変な顔されなくてこのご時世悪いことばっかりでもないなって実感してる」
「まあ、宮ちゃんの場合は通常運転だからな」
「小さい映画館はやってないところもあったりして、俺は個人的に大打撃だよ」
「朝霞クンも一緒にあつ森やろうよ」
「え、そしたら俺Switch買うところから始めないといけない感じだね」
「朝霞、キョージュに交渉してはどうだ」
「交渉って?」
「実況の役に立たせるからハード購入資金を少し補助してくれと」
ノリで言ったことが思いがけずガチな話になりそうでちょっと驚いてますよね。リンちゃんからキョージュって名前が出てきたのもそうだけど、ハード購入資金の工面って辺りが生々しい。悪魔のささやきのようだね。
「えっ、さすがにそれってマズいんじゃないの」
「あつ森実況の企画を持ち込めばよかろう。なに、1回生配信すれば元は取れるのではないか」
「えっ、そしたらうちがレイ君に「Switch代の足しに」って投げ銭すればいい感じですか? 札で殴る準備する?」
「あの、さすがに目の前でやられると申し訳なさしかない」
「と言うか前々から疑問に思っていたのだが、宮ちゃんは毎度USDXが生放送する度に投げている金をどこから調達しているのかと。バイトだけでそこまでにはなるまい」
「うちも創作者の端くれ、投げ銭していただく側になることもあるのですよ……フフフ……」
「ああ、同人活動の成果か」
「え、宮林さん同人やってるの」
「小説を少々、絵はもっと少々。朝霞クンて物書きだったよね。今度イベントあるんだけど一緒に本出さない? 今ならうちのスペースに余裕あるから」
end.
++++
混ぜるなキケンがいつの間にやらしれっと合流していたようで、朝霞P宅でのゲーム大会から始まります。
この大会では慧梨夏のハードを使うみたいだけど、確かに朝霞Pはゲーム機というゲーム機を持ってないのよね。パソコンとボードゲームだけで。
と言うか慧梨夏が「あつ森やろうよ」とか「本出そうよ」とか朝霞Pを誘いまくっている件。
.
++++
いろんなイベントが中止になったり延期になったりっていうニュースばかりがどんどん積み重なっている今日この頃。就活の合同企業説明会なんかも順調に中止になっていて、就活サイトでのエントリー以外にもネット就活を本格化しなきゃいけない頃合いかなあなんて考えていたところ。
そんな中、就活イベントで出会った星ヶ丘の朝霞クンと昨日お茶してたんですね。イベントも中止ばっかりだし、説明会もないしどーするって。同じような興味関心があって行く先々で顔を合わせてたから、本来はライバルなんだろうけどこういうときには情報共有をしたりしますよね。
何にせよ、しばらくはどんなイベントも様子見だろうねという結論に達するのは早かった。ウイルスどうこうについては最早自分たちでどうにか出来る問題でもないと。そんなことより他の話をっていう風に違う話題に移るのもまた早かった。何ならそっちの方が本題になってた感がある。
「って言うか、リンちゃんも何気にフットワーク軽いよねえ」
「オレは言うほどでもない。朝霞と知り合った件についてもこの男のフットワークの軽さの結果だからな」
「2人とも、お茶が入りました。粗茶ですが」
「いただくか」
「ありがとう」
昨日朝霞クンとお茶してたところに通りかかったリンちゃんが、なんと朝霞クンと友達だったんだって。一見接点がなさそうだけどどこで知り合ったのって聞いたら、西海駅前のバーだって。何か違う友達つてに仲良くなったみたい。で、うちとリンちゃんが友達でっていう流れで今日は朝霞クン宅でゲーム大会が開催されるよね。
カズには就活で知り合った男の子と会ってくるよと正直に言ったらちょっと嫌そうな顔をしてたけど、リンちゃんも交えてのゲーム大会ですよとそこで行われることを付け加えたら一切口出ししなくなったんでリン様マジリン様。お金だけは守れとの激励をいただきました。心配しなくても今日は賭けゲームじゃない……はず。
「ところで、しばらくゲームをぶっ通しでやるとして、このメンツでご飯ってどうする? 誰か料理出来る? 宮林さんは――」
「宮ちゃんにやらせるくらいならオレがやった方がいくらかマシだ。かく言うオレも出来る方ではないと言っておこう」
「じゃあ、食べに行くか買いに行くかしよっか。俺も得意じゃないし」
「そうしましょ、そうしましょ。てかリンちゃんうちの料理音痴知ってたっけ?」
「1年の時の調理実習で食わされた物の衝撃は未だ消えとらんとは言っておこう」
「高崎クンにも同じコト言われるんだよね」
何か食べるものあったかな、と朝霞クンが台所を物色しているのを後目に、うちとリンちゃんはゲームのセッティングの方を進めていきますよね。朝霞クンはパソコンでのゲームを最近ちょっと始めたばっかりみたくて、家庭用ゲーム機にはあんまり触ったことがないらしい。得意なのはボードゲームだって。
実際朝霞クンの部屋を軽く見渡しただけでも、本棚の一角にはボードゲームと思しきコーナーが出来ていて、いろいろやってるんだねっていうのが見て取れる。本とかCDとかDVDとか、結構いろいろ揃ってる感じ。そっちのラインナップにも実に惹かれますね、どんなのがあるんだろうって。
「朝霞、お前も来い」
「え、俺もやるの」
「当然だ。それと、何に使えるかわからんから一応録画するからな」
「ところでリン様?」
「何だ」
「録画するのはいいけど、それってうちが入ってていいんですかね」
「問題なかろう。伏せるべき情報は編集でどうにでもなる」
「ところでリン君」
「何だ」
「録画するのはいいけど、宮林さんもゲームめちゃくちゃ上手いんでしょ。それって俺が入ってていいんですかね」
「問題ない。下手くそをイジるかイジらんかは編集次第だ」
「何なら生で「初心者に教える」をやってくれていいんですよ」
何を隠そうこの2人、USDXの新メンバー・バネ様とレイ君だったのです! 昨日朝霞クンがね。ポロッと口を滑らせちゃったんですよね。言ってもリンちゃんがバネ様だっていうのは動画に初登場したときから何となく気付いてたんでやっぱりかって感じで今更だったけど。
朝霞クンが用意してくれたお菓子を真ん中に置いて、いざゲーム大会の始まり。うちとリンちゃんの真剣勝負もありつつ、個人的には「初心者に教える」シリーズが生で見られることの方がありがたみがありますよね。
「ところで、宮ちゃんは今度出るどうぶつの森をやるのか」
「あっ、やりますよねー。もちろん。って言うか外に出なくても変な顔されなくてこのご時世悪いことばっかりでもないなって実感してる」
「まあ、宮ちゃんの場合は通常運転だからな」
「小さい映画館はやってないところもあったりして、俺は個人的に大打撃だよ」
「朝霞クンも一緒にあつ森やろうよ」
「え、そしたら俺Switch買うところから始めないといけない感じだね」
「朝霞、キョージュに交渉してはどうだ」
「交渉って?」
「実況の役に立たせるからハード購入資金を少し補助してくれと」
ノリで言ったことが思いがけずガチな話になりそうでちょっと驚いてますよね。リンちゃんからキョージュって名前が出てきたのもそうだけど、ハード購入資金の工面って辺りが生々しい。悪魔のささやきのようだね。
「えっ、さすがにそれってマズいんじゃないの」
「あつ森実況の企画を持ち込めばよかろう。なに、1回生配信すれば元は取れるのではないか」
「えっ、そしたらうちがレイ君に「Switch代の足しに」って投げ銭すればいい感じですか? 札で殴る準備する?」
「あの、さすがに目の前でやられると申し訳なさしかない」
「と言うか前々から疑問に思っていたのだが、宮ちゃんは毎度USDXが生放送する度に投げている金をどこから調達しているのかと。バイトだけでそこまでにはなるまい」
「うちも創作者の端くれ、投げ銭していただく側になることもあるのですよ……フフフ……」
「ああ、同人活動の成果か」
「え、宮林さん同人やってるの」
「小説を少々、絵はもっと少々。朝霞クンて物書きだったよね。今度イベントあるんだけど一緒に本出さない? 今ならうちのスペースに余裕あるから」
end.
++++
混ぜるなキケンがいつの間にやらしれっと合流していたようで、朝霞P宅でのゲーム大会から始まります。
この大会では慧梨夏のハードを使うみたいだけど、確かに朝霞Pはゲーム機というゲーム機を持ってないのよね。パソコンとボードゲームだけで。
と言うか慧梨夏が「あつ森やろうよ」とか「本出そうよ」とか朝霞Pを誘いまくっている件。
.