2019(04)
■夢と現実を反復横跳び
++++
「リアルガチ誕生日をフミに祝ってもらえるとか幸せ過ぎるんだけど!? 土曜日NGだと思ってたから来てくれるかなって思ったけど!」
「言って土曜日NGだったのはサークルをやってる期間中だから、今は余裕でヒマっていう。でも2月29日生まれとか珍しいなマジで。29日生まれだと普段誕生日ってどうしてんの? 3月1日?」
「法的には28日らしいよ。だからってワケでもないけど2月中にやっちゃうかな」
「へー、そうなんだ」
今日は小林君……もといヤスの誕生日ということで遊びに誘われて現在に至っている。小林君からそろそろ君付けをやめて欲しいという要望があって、希望通りに互いに君付けをやめたワケだけども、どうにもこうにもむず痒いと言うか、慣れないと言うか。確かにある程度仲良くなったんだけど、名前の呼び方だけがこう……ねえ。違和感バリバリ。嫌なワケじゃないんだけどなあ。
名前の呼び方が変わったからと言って特に関係が変わったとかではない。今まで通りの距離感で今まで通りの付き合い方をしている。こーたも一緒にぎゃあぎゃあやったりとか。それはそうとして2月29日生まれの人ってリアルに初めて会うな。うるう年だし、4年に1回だし、しかもそれがヤスの誕生日だと思うとこう、特別感がグッと増し増しになると言うか。ヤスのイケメン度が一気に増すよな。
「ところで、バレンタインはどうだった? 先輩からもらえた?」
「うっ」
「わーかりやすっ。よかったねえ、先輩からチョコもらえたんだ」
「ウソが吐けない顔だとはいろんな人から言われるけど、そんなにわかりやすい?」
「わかりやすすぎる。でもこーたはフミの先輩への気持ちを完全に尊敬の方に解釈してるから逆に気付いてないっぽいけどね」
「尊敬もガチだし」
ヤスには俺が菜月先輩をお慕いしているというような話をしたのだけど、以来こうしてちょこちょこと恋愛事情についてつつかれるようになった。俺はウソの吐けない顔だとは対策委員でもよく言われるけど、菜月先輩への気持ちを完璧に隠してるつもりではいる。圭斗先輩にはバレてるだろうなとは思うし、バレてる体でいろいろお話することもあったけど、まさかその他の人にバレてるとは思わないじゃないか。
だけど、こーたが俺の菜月先輩への想いを完全に尊敬の方に解釈してるというのはありがたい情報だったな。いや、何度でも言うけど尊敬もガチだしウソじゃない。こーたでそうなら俺に比較的近い人はそう解釈してるのかな、と。ヤスによれば、俺は菜月先輩を強く尊敬するあまり信仰にも似たクソデカ感情を拗らせてるけど恋愛関係とかではない的なことをこーたが言っていたそうだ。つか何だよ信仰にも似たクソデカ感情って。
「ヤス」
「あっ、泰稚さん! おざっす!」
「ヤスなんだ!」
「星羅さんもおざっす! あっフミ、こちら俺の部活の先輩。そんで泰稚さん、こちらが野坂君です」
「ヤスがお世話になってます。野坂君の噂はヤスとこーたからかねがね」
「噂…? こーたともお知り合いなんですか」
「ヤスとこーたは高校の吹奏楽部の後輩なんだ。野坂君については向島の理系で成績がオールSのイケメンで運動神経も抜群っていう完璧超人だとは」
「どんな話になってんだ…!」
「でもフミ初めて会った俺にも基本情報の勉強とか見てくれたじゃん。泰稚さんはともかくカンさんは俺のことバカにしてー!」
「野坂君はこれから応用情報?」
「はい、次の4月に」
「簡単じゃないけど、頑張って」
ヤスの先輩だという菅野さんも星ヶ丘の情報系の学科だそうで、基本情報や応用情報といった情報系の資格を取得している。菅野さんの彼女さんだという星羅さんは薬学を学ばれているとのこと。薬学部は6年制なので、3年生と言えどもまだまだ半分だそうだ。やっぱり大学が違えば学ぶこともいろいろだし、制度も違って来るのだと感心してしまう。そうだよな、俺は圭斗先輩が在籍されている環境科学部のことも、菜月先輩の在籍されている社会学部のこともよく知らないもんな。
「泰稚さんと星羅さんはデートっすか?」
「うーん、まあ、ただの買い物だけどデートっちゃデートなのかな。今度夢の国行く予定だったけど、こんな感じだし中止になって」
「あー、そうっすよね。人混みに出るなーってヤツっすよね」
「でも、俺がいないことを前提に組んだアスレクイズマップどうしようかなって。せっかくヤスにもテストプレイしてもらったのに」
「まあ、いるならいるで泰稚さんゲーマスでいいんじゃないすか?」
「それもそうか。まだどうするかは決定じゃないけど、考えとこう」
「菅野さんは、ゲームのプログラムを組んでいらっしゃるのですか?」
「趣味でマイクラのプラグインとかMODをちょっと」
そう聞いて思い出したのは、本能の方が近付くなと警鐘を鳴らし続けていた某院生の顔。ひょんなことから京川さんからUSDX・キョージュの中の人だよと暴露をされたのだけど、
あれは本当に衝撃だった。京川さんは自分でも少しはシステムを触るけど、最近はコンちゃんに任せっきりだよ~なんて笑っていたように思う。
「俺が来春から所属するゼミの院生の先輩が自分でも少しプログラムを組んだりするしグループでゲーム実況をやるという風に聞いてしこたまビックリしていたのですが、菅野さんもゲームのプラグラムを組んでいらしたのですね。うーん、俺もやってみたいなあ」
「グループで実況やってる向島の院生…? 野坂君、もしかしてその人、京川さんっていうちょっと胡散臭めの人じゃない?」
「ご存知なのですか!? と言うか、それをご存知だということは、もしかしてもしかするのですか!?」
「思ってる通りで合ってると思うよ」
「ナ、ナンダッテー!? も、もしや、あなたがコンちゃんでいらっしゃるのですか…!」
「そうだね。USDXでコンを担当してます。ちなみにヤスにはコンのアシスタントとして裏で働いてもらってます」
「泰稚さん、そんなあっさりバラしていって大丈夫なんすか」
「野坂君には京川さんがそうしたんだし今更感もある。推しのソルさんには変わらず夢を抱いててもらって」
「ああ……そうですよね! ソルさんもご存知なんですよね! 俺の想像ではお肉の食べっぷりが素敵な果てしない男前なんですが…!」
「それは合ってるよ」
「やっぱり!」
学科の勉強や応用情報のこと、ゲームのプログラムのこと、USDXのこと、こーたやヤスのあの頃話などなど菅野さんにはまだまだいろいろ聞きたいことが山積みなのだけど、この後にも用事があるとのことなので一旦お別れしてヤスとの話に戻る。目が凄くイキイキしてるって言われたけど、それは仕方ない。興味関心の強い話題を掘り起こせそうな相手を前にすると、どうも。
「ヤス、ケーキでも食べ行く? 誕生日だし良かったらごちそうするけど」
「マジで! 行く行く! あっ、フミの誕生日っていつ?」
「俺? 3月5日」
end.
++++
唐突にコバヤスの誕生日が今日という感じに降って来たのでこんな感じになりましたとさ。うるう日生まれのコバヤスです
去年とその前の年度ではきっちり夢の国デートに行っていたらしいスガセラも、今年はこんな感じなので中止。時勢ですね。
ノサカがソル推しだってのはコバヤスから伝わってたような感じなのかしら。お肉の食べっぷりが素敵な果てしない男前……まあ、そうなんだが
.
++++
「リアルガチ誕生日をフミに祝ってもらえるとか幸せ過ぎるんだけど!? 土曜日NGだと思ってたから来てくれるかなって思ったけど!」
「言って土曜日NGだったのはサークルをやってる期間中だから、今は余裕でヒマっていう。でも2月29日生まれとか珍しいなマジで。29日生まれだと普段誕生日ってどうしてんの? 3月1日?」
「法的には28日らしいよ。だからってワケでもないけど2月中にやっちゃうかな」
「へー、そうなんだ」
今日は小林君……もといヤスの誕生日ということで遊びに誘われて現在に至っている。小林君からそろそろ君付けをやめて欲しいという要望があって、希望通りに互いに君付けをやめたワケだけども、どうにもこうにもむず痒いと言うか、慣れないと言うか。確かにある程度仲良くなったんだけど、名前の呼び方だけがこう……ねえ。違和感バリバリ。嫌なワケじゃないんだけどなあ。
名前の呼び方が変わったからと言って特に関係が変わったとかではない。今まで通りの距離感で今まで通りの付き合い方をしている。こーたも一緒にぎゃあぎゃあやったりとか。それはそうとして2月29日生まれの人ってリアルに初めて会うな。うるう年だし、4年に1回だし、しかもそれがヤスの誕生日だと思うとこう、特別感がグッと増し増しになると言うか。ヤスのイケメン度が一気に増すよな。
「ところで、バレンタインはどうだった? 先輩からもらえた?」
「うっ」
「わーかりやすっ。よかったねえ、先輩からチョコもらえたんだ」
「ウソが吐けない顔だとはいろんな人から言われるけど、そんなにわかりやすい?」
「わかりやすすぎる。でもこーたはフミの先輩への気持ちを完全に尊敬の方に解釈してるから逆に気付いてないっぽいけどね」
「尊敬もガチだし」
ヤスには俺が菜月先輩をお慕いしているというような話をしたのだけど、以来こうしてちょこちょこと恋愛事情についてつつかれるようになった。俺はウソの吐けない顔だとは対策委員でもよく言われるけど、菜月先輩への気持ちを完璧に隠してるつもりではいる。圭斗先輩にはバレてるだろうなとは思うし、バレてる体でいろいろお話することもあったけど、まさかその他の人にバレてるとは思わないじゃないか。
だけど、こーたが俺の菜月先輩への想いを完全に尊敬の方に解釈してるというのはありがたい情報だったな。いや、何度でも言うけど尊敬もガチだしウソじゃない。こーたでそうなら俺に比較的近い人はそう解釈してるのかな、と。ヤスによれば、俺は菜月先輩を強く尊敬するあまり信仰にも似たクソデカ感情を拗らせてるけど恋愛関係とかではない的なことをこーたが言っていたそうだ。つか何だよ信仰にも似たクソデカ感情って。
「ヤス」
「あっ、泰稚さん! おざっす!」
「ヤスなんだ!」
「星羅さんもおざっす! あっフミ、こちら俺の部活の先輩。そんで泰稚さん、こちらが野坂君です」
「ヤスがお世話になってます。野坂君の噂はヤスとこーたからかねがね」
「噂…? こーたともお知り合いなんですか」
「ヤスとこーたは高校の吹奏楽部の後輩なんだ。野坂君については向島の理系で成績がオールSのイケメンで運動神経も抜群っていう完璧超人だとは」
「どんな話になってんだ…!」
「でもフミ初めて会った俺にも基本情報の勉強とか見てくれたじゃん。泰稚さんはともかくカンさんは俺のことバカにしてー!」
「野坂君はこれから応用情報?」
「はい、次の4月に」
「簡単じゃないけど、頑張って」
ヤスの先輩だという菅野さんも星ヶ丘の情報系の学科だそうで、基本情報や応用情報といった情報系の資格を取得している。菅野さんの彼女さんだという星羅さんは薬学を学ばれているとのこと。薬学部は6年制なので、3年生と言えどもまだまだ半分だそうだ。やっぱり大学が違えば学ぶこともいろいろだし、制度も違って来るのだと感心してしまう。そうだよな、俺は圭斗先輩が在籍されている環境科学部のことも、菜月先輩の在籍されている社会学部のこともよく知らないもんな。
「泰稚さんと星羅さんはデートっすか?」
「うーん、まあ、ただの買い物だけどデートっちゃデートなのかな。今度夢の国行く予定だったけど、こんな感じだし中止になって」
「あー、そうっすよね。人混みに出るなーってヤツっすよね」
「でも、俺がいないことを前提に組んだアスレクイズマップどうしようかなって。せっかくヤスにもテストプレイしてもらったのに」
「まあ、いるならいるで泰稚さんゲーマスでいいんじゃないすか?」
「それもそうか。まだどうするかは決定じゃないけど、考えとこう」
「菅野さんは、ゲームのプログラムを組んでいらっしゃるのですか?」
「趣味でマイクラのプラグインとかMODをちょっと」
そう聞いて思い出したのは、本能の方が近付くなと警鐘を鳴らし続けていた某院生の顔。ひょんなことから京川さんからUSDX・キョージュの中の人だよと暴露をされたのだけど、
あれは本当に衝撃だった。京川さんは自分でも少しはシステムを触るけど、最近はコンちゃんに任せっきりだよ~なんて笑っていたように思う。
「俺が来春から所属するゼミの院生の先輩が自分でも少しプログラムを組んだりするしグループでゲーム実況をやるという風に聞いてしこたまビックリしていたのですが、菅野さんもゲームのプラグラムを組んでいらしたのですね。うーん、俺もやってみたいなあ」
「グループで実況やってる向島の院生…? 野坂君、もしかしてその人、京川さんっていうちょっと胡散臭めの人じゃない?」
「ご存知なのですか!? と言うか、それをご存知だということは、もしかしてもしかするのですか!?」
「思ってる通りで合ってると思うよ」
「ナ、ナンダッテー!? も、もしや、あなたがコンちゃんでいらっしゃるのですか…!」
「そうだね。USDXでコンを担当してます。ちなみにヤスにはコンのアシスタントとして裏で働いてもらってます」
「泰稚さん、そんなあっさりバラしていって大丈夫なんすか」
「野坂君には京川さんがそうしたんだし今更感もある。推しのソルさんには変わらず夢を抱いててもらって」
「ああ……そうですよね! ソルさんもご存知なんですよね! 俺の想像ではお肉の食べっぷりが素敵な果てしない男前なんですが…!」
「それは合ってるよ」
「やっぱり!」
学科の勉強や応用情報のこと、ゲームのプログラムのこと、USDXのこと、こーたやヤスのあの頃話などなど菅野さんにはまだまだいろいろ聞きたいことが山積みなのだけど、この後にも用事があるとのことなので一旦お別れしてヤスとの話に戻る。目が凄くイキイキしてるって言われたけど、それは仕方ない。興味関心の強い話題を掘り起こせそうな相手を前にすると、どうも。
「ヤス、ケーキでも食べ行く? 誕生日だし良かったらごちそうするけど」
「マジで! 行く行く! あっ、フミの誕生日っていつ?」
「俺? 3月5日」
end.
++++
唐突にコバヤスの誕生日が今日という感じに降って来たのでこんな感じになりましたとさ。うるう日生まれのコバヤスです
去年とその前の年度ではきっちり夢の国デートに行っていたらしいスガセラも、今年はこんな感じなので中止。時勢ですね。
ノサカがソル推しだってのはコバヤスから伝わってたような感じなのかしら。お肉の食べっぷりが素敵な果てしない男前……まあ、そうなんだが
.