2019(04)
■添え物のお仕事
++++
「でも、本当にゲーム上手な子連れて来たねえ」
「俺も下手な方ではないとは思ってたけど、まさかここまでガチでボコボコにされるとは思ってなかったんだよ」
こないだ、年末のシャッフルバンド音楽祭で知り合ったブルースプリングのピアノ君ことリン君と一緒にゲームをやる機会を設けた。音楽祭の現場でもいろいろ話してたんだけど、彼、ゲーム音楽を通ってるだけじゃなくて自分でも結構ゲームをやってるっぽかったから。
それで一緒にゲームをやったまではよかった。俺とコンも一応ゲーム実況をやってる身だし、そこそこ渡り合えるだろうと思ってたら完膚なきまでにボコボコにされて。リン君曰く、忖度と接待は出来ないとのこと。してもらう必要もなかったけど、ここまでボコボコにされると逆にその上手さにも感動し始めていた。
ここで考えていたのは身内にいるPSお化けと対等にやり合えるのではないかということ。そこで俺たちは詳細を伝えることなくプロさんの部屋にリン君を招き、SDXが誇るプレイヤースキルお化けのソルさんにぶつけることを画策したんだ。
「俺も久々にガチでやれたからな。面白かった」
「えっ、普段から俺ら3人相手してんのにガチじゃなかっただと…?」
「樹理はキャラ遊びの方に重点置いてるから動画の方じゃ手抜いてるし、そもそもお前はチョロい。コンとは得意ジャンルが合わねえからな」
「ンだとテメー! スガ、お前も何とか言え!」
「いや、実際俺はシミュレーションとか戦略ゲーの方が得意だし、ソルさんが得意にしてるFPSとかはそこまででもないから」
「そうだよね、戦略ゲーとかだとコンちゃんは拓馬もボコボコにするからね。あれっ? チータ君、君は何が得意なのかな?」
「うるせー!」
結果としてはかなりいい勝負を演じ、見ているだけなのにすごく興奮した。一応録画していたそれをプロさんが動画化したいなあと言い出し、リン君の方もそれを許諾してくれたということで、今回の勝負は「刺客登場!?」的なノリで公開されることになるだろう。
でも、ちょっとしたお遊びと言うかエキシビションマッチのつもりだったけどここまで盛り上がってしまうとプロさんが動画化したいと言うのもわかるんだ。ソルさんと互角の実力をした人が1人来るだけでこうもメリハリのある物が撮れるのかという感動すら覚えた。
――となると今まで自分たちがやっていたことは何だったのかという気がしないこともないけど、SDXというグループはゲーム実況の前にキャラクター遊びが目的の団体だ。コン、それからチータというキャラクターはメインを張れずとも添え物としては悪くない味をしているとは思う。
「それで、リン君だっけ。一応今やったのは動画化させてくれるみたいだけど、これからどうする?」
「これからとは」
「リン君さえ良かったら、正式にSDXのメンバーとして一緒に遊ばない?」
「それは構わんが」
「それじゃあ改めてよろしくね。SDXっていうグループはゲーム実況をやってるんだけど、それと並行してキャラクター遊びがメインなんだ」
「キャラクター遊びとは」
「僕ならキョージュだし拓馬ならソル、現実世界とは違うそれぞれのキャラクターをその設定に沿って演じることだね。自分から二次元の方に寄って行くと言うか」
「現実との乖離ではないが、キャラクターは本人のアバターではなくあくまでそのキャラクターなのだな」
「まあ、そんなようなこと。で、バネっていうキャラクターはどういう子にしようか」
ここからは、今いるキャラクターとの兼ね合いも含めてバネというキャラクターを作って行く作業だ。リン君本人の忖度や接待が出来ないという性質は残していく。PSを買われて加入するから、プロさんのように微妙に下手に見えるよう調整することもない。プロさんも本当は結構なPSお化けなんだよなあ。
自信家でビッグマウスだけど実力は伴う……って、まだ付き合いはそんなにないけどリン君という人と何ら変わらないような気がする。だけどそれはそれで、今のSDXにはいないタイプだから良しとしようかとはプロさん。忖度と接待が出来ない人に、画面上でも多くは求めないよと。
「ところで、キャラクターたちの関係性と言うか、相関図などは粗方出来ているのか」
「まあ、言って4人だから大体だね」
「誰とどういう関係性でやるのかということもある種キャラクター遊びに措いては重要な事柄だろう」
「確かにね。一応チータが煽りキャラみたいな感じでみんなにわーわー噛みついては軽くあしらわれたり無視されてるって体でやってるんだけどね。だけどそれがみんなを繋ぐ実質的なハブみたいな感じで」
「ほう? 煽られたら黙らせるために殺せばいいのだな」
「そのパターンはまだあんまりやってないけど、バネの芸にしてもいいかもね。無言でこう」
「は!? 俺ただただ殺されんの!?」
「ただただうるせえからな」
「そーゆーキャラとしてやってるだけじゃねーかよー…!」
おいおいと泣き真似を始めてしまったカンを後目に、ソルさんとリン君はやれやれと呆れた様子。ああ、この構図も今後はよく見れそうだ。
「あの、プロさん。ちょっと俺思ったんですけど、今後リン君が加入してくれることになったら、企画なんかはどうしましょう。ただ安直に強い人をモブたちが束になって倒しに行くみたいなことばっかりってワケにも行かなくなるんじゃないかって」
「そうだねえ、その辺のことも考えていかなきゃねえ。どっちにしてもこれまでのSDXとはいろいろ変わって来そうだし、これを機にUSDXに改名しようか。進化しますよっていう宣言も兼ねて」
「じゃあ、ロゴ変更とアイキャッチ制作、それからバネのキャラクター絵が必要になってくるんですね」
「ああ、そうだね。コンちゃん、依頼しといてくれる? SDXの通帳そこにあるから確認しといて」
「わかりました」
end.
++++
添え物としての仕事を全うしようとするコンちゃんことスガPですが、これからお前さんがSDX改めUSDXを動かしてくんや…!
というワケで、SDXにリン様が加入して動きが見られました。ここから冬のナノスパの入り乱れる人間関係がわーっとなるぞ!
もうね、プロ氏あれよ。自分で物事は考えるけどめんどくさかったり自分の仕事じゃねえなって思ったらあっさり投げるよね
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「でも、本当にゲーム上手な子連れて来たねえ」
「俺も下手な方ではないとは思ってたけど、まさかここまでガチでボコボコにされるとは思ってなかったんだよ」
こないだ、年末のシャッフルバンド音楽祭で知り合ったブルースプリングのピアノ君ことリン君と一緒にゲームをやる機会を設けた。音楽祭の現場でもいろいろ話してたんだけど、彼、ゲーム音楽を通ってるだけじゃなくて自分でも結構ゲームをやってるっぽかったから。
それで一緒にゲームをやったまではよかった。俺とコンも一応ゲーム実況をやってる身だし、そこそこ渡り合えるだろうと思ってたら完膚なきまでにボコボコにされて。リン君曰く、忖度と接待は出来ないとのこと。してもらう必要もなかったけど、ここまでボコボコにされると逆にその上手さにも感動し始めていた。
ここで考えていたのは身内にいるPSお化けと対等にやり合えるのではないかということ。そこで俺たちは詳細を伝えることなくプロさんの部屋にリン君を招き、SDXが誇るプレイヤースキルお化けのソルさんにぶつけることを画策したんだ。
「俺も久々にガチでやれたからな。面白かった」
「えっ、普段から俺ら3人相手してんのにガチじゃなかっただと…?」
「樹理はキャラ遊びの方に重点置いてるから動画の方じゃ手抜いてるし、そもそもお前はチョロい。コンとは得意ジャンルが合わねえからな」
「ンだとテメー! スガ、お前も何とか言え!」
「いや、実際俺はシミュレーションとか戦略ゲーの方が得意だし、ソルさんが得意にしてるFPSとかはそこまででもないから」
「そうだよね、戦略ゲーとかだとコンちゃんは拓馬もボコボコにするからね。あれっ? チータ君、君は何が得意なのかな?」
「うるせー!」
結果としてはかなりいい勝負を演じ、見ているだけなのにすごく興奮した。一応録画していたそれをプロさんが動画化したいなあと言い出し、リン君の方もそれを許諾してくれたということで、今回の勝負は「刺客登場!?」的なノリで公開されることになるだろう。
でも、ちょっとしたお遊びと言うかエキシビションマッチのつもりだったけどここまで盛り上がってしまうとプロさんが動画化したいと言うのもわかるんだ。ソルさんと互角の実力をした人が1人来るだけでこうもメリハリのある物が撮れるのかという感動すら覚えた。
――となると今まで自分たちがやっていたことは何だったのかという気がしないこともないけど、SDXというグループはゲーム実況の前にキャラクター遊びが目的の団体だ。コン、それからチータというキャラクターはメインを張れずとも添え物としては悪くない味をしているとは思う。
「それで、リン君だっけ。一応今やったのは動画化させてくれるみたいだけど、これからどうする?」
「これからとは」
「リン君さえ良かったら、正式にSDXのメンバーとして一緒に遊ばない?」
「それは構わんが」
「それじゃあ改めてよろしくね。SDXっていうグループはゲーム実況をやってるんだけど、それと並行してキャラクター遊びがメインなんだ」
「キャラクター遊びとは」
「僕ならキョージュだし拓馬ならソル、現実世界とは違うそれぞれのキャラクターをその設定に沿って演じることだね。自分から二次元の方に寄って行くと言うか」
「現実との乖離ではないが、キャラクターは本人のアバターではなくあくまでそのキャラクターなのだな」
「まあ、そんなようなこと。で、バネっていうキャラクターはどういう子にしようか」
ここからは、今いるキャラクターとの兼ね合いも含めてバネというキャラクターを作って行く作業だ。リン君本人の忖度や接待が出来ないという性質は残していく。PSを買われて加入するから、プロさんのように微妙に下手に見えるよう調整することもない。プロさんも本当は結構なPSお化けなんだよなあ。
自信家でビッグマウスだけど実力は伴う……って、まだ付き合いはそんなにないけどリン君という人と何ら変わらないような気がする。だけどそれはそれで、今のSDXにはいないタイプだから良しとしようかとはプロさん。忖度と接待が出来ない人に、画面上でも多くは求めないよと。
「ところで、キャラクターたちの関係性と言うか、相関図などは粗方出来ているのか」
「まあ、言って4人だから大体だね」
「誰とどういう関係性でやるのかということもある種キャラクター遊びに措いては重要な事柄だろう」
「確かにね。一応チータが煽りキャラみたいな感じでみんなにわーわー噛みついては軽くあしらわれたり無視されてるって体でやってるんだけどね。だけどそれがみんなを繋ぐ実質的なハブみたいな感じで」
「ほう? 煽られたら黙らせるために殺せばいいのだな」
「そのパターンはまだあんまりやってないけど、バネの芸にしてもいいかもね。無言でこう」
「は!? 俺ただただ殺されんの!?」
「ただただうるせえからな」
「そーゆーキャラとしてやってるだけじゃねーかよー…!」
おいおいと泣き真似を始めてしまったカンを後目に、ソルさんとリン君はやれやれと呆れた様子。ああ、この構図も今後はよく見れそうだ。
「あの、プロさん。ちょっと俺思ったんですけど、今後リン君が加入してくれることになったら、企画なんかはどうしましょう。ただ安直に強い人をモブたちが束になって倒しに行くみたいなことばっかりってワケにも行かなくなるんじゃないかって」
「そうだねえ、その辺のことも考えていかなきゃねえ。どっちにしてもこれまでのSDXとはいろいろ変わって来そうだし、これを機にUSDXに改名しようか。進化しますよっていう宣言も兼ねて」
「じゃあ、ロゴ変更とアイキャッチ制作、それからバネのキャラクター絵が必要になってくるんですね」
「ああ、そうだね。コンちゃん、依頼しといてくれる? SDXの通帳そこにあるから確認しといて」
「わかりました」
end.
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添え物としての仕事を全うしようとするコンちゃんことスガPですが、これからお前さんがSDX改めUSDXを動かしてくんや…!
というワケで、SDXにリン様が加入して動きが見られました。ここから冬のナノスパの入り乱れる人間関係がわーっとなるぞ!
もうね、プロ氏あれよ。自分で物事は考えるけどめんどくさかったり自分の仕事じゃねえなって思ったらあっさり投げるよね
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