2017(02)
■家主と管理者の攻防
++++
「確か、誕生日を祝うからって呼び出されたんだよな俺は」
「うん、そうだね」
「なのに何で俺が台所に立ってるんだっていう」
「だって、もうエイジの庭みたいになってるじゃん」
今日はエージの誕生日。だからたまにはみんなでぱーっとやろうってことでタカティの部屋に集まってる。夏合宿の関係で仲良くなってる子たちもみんな集まったらいいんじゃないかなってもうわちゃわちゃ。
ハナは同じ1班の奈々を呼んでみた。タカティも4班のユキちゃんを。星ヶ丘勢も合流して6時にやって来るらしい。1年生はまだそこまで絡みがないけど、夏合宿を前に少しくらい仲良くなっといてもいいかなーって。
今回の主催で家主のタカティは、エージにキツく言われてやっと取り込んだ洗濯物を畳んでいる。ハナはお酒の準備をしていて、今回の主役のはずのエージは台所で水仕事からの料理。
「ナニが俺の庭なんだっていう! って言うかお前よくこの部屋で班の打ち合わせをやるの了承したな!」
「えっ、4班ってタカティの部屋で打ち合わせするの!?」
「お店より好き放題出来るし音を出せるしっていう事情で。でも部屋の掃除が捗らなくて」
「だからって俺にやらせるとかどーゆー神経してんだっていう。悪いハナ、高木の監視してくれ。アイツ目ぇ離すとすぐサボるっていう」
すっかり誰の部屋なのかわからなくなってきたところで、洗濯物を畳むタカティを見守る。エージが手伝うなって言うから手は出さない。エージは神経質だから、汚い部屋とか取り込んだままごちゃっとなってる洗濯物に耐えられないんだろうなあ。
すると、ピンポーンとインターホンが鳴る。時間を見れば6時ちょっと前。タカティがそれに出てエントランスのオートロックを解除すれば、少しの時間差で部屋の前からインターホンが鳴る。
「タカティ、来たよー」
「お邪魔しまーすッ! ケーキ作ってきたよッ!」
「おー、サンキュー! 冷蔵庫に入れとくか」
「じゃ、入れとくねッ! ……で、誰が誰? おハナー」
「あ、奈々ー、来たー! えっと、このちまいのがエージで」
「お前にだけはちまいって言われたくないっていう」
「部屋で洗濯物畳んでるのが家主のタカティだよ」
部屋に揃ってはみたものの、全員の顔と名前はまだ知らない。ここで始まるのは自己紹介大会。緑ヶ丘以外の子は向島の奈々と青女のユキちゃん。それから、星ヶ丘のゲンゴローとホッシー。
「って言うかゲンゴロー、星ヶ丘って今日ステージやってたんじゃなかったっけ」
「うん、終わってから来たよ」
「え、体力的にしんどくない? わざわざありがとう」
「明日はそんなに早くないからね。コーキは?」
「ウチの班長に言ったら、「他校にも友達がいるのはいいことなんだ! 誕生日はおめでたいんだ!」って快く送り出してくれたんだ」
「コーキって須賀班だっけ」
「そうなんだ! ……って言うか星羅さんの喋り方は強烈すぎて、一緒にいると移っちゃうんだ」
ホッシーは班の打ち合わせの時も、班長さんの喋り方が移っちゃうんだ、と頬をぱちんとたたいて自分の喋り方に戻そうと頑張ってる。と言うか、既に自分の喋り方がわからなくなってるようにも見える。
「えっと、星ヶ丘勢も名乗ってね。エージ的に謎の人のままだからしょぼんだよ」
「あ、ゲンゴローは知ってんべ。初心者講習会で会ってるし」
「えっと、星ヶ丘の星野煌輝。夏合宿は1班で、アナウンサーとして出てるんだ。カズ先輩のお世話になるんだ」
「星の煌めきを感じる名前だっていう」
「うん、きらきらしてるね」
「班長にも同じことを言われて今の班にお世話になることになったんだ。「名前に同じ“星”が入ってるから仲良くなれるんだ! 将来はきらきら輝くMCになるんだ!」って」
「星ヶ丘のステージの話も聞きたいなあ。エイジ、とりあえず乾杯する?」
「だな」
お酒とジュースを人数分用意して、タカティの音頭で乾杯。台所からエージが簡単なおつまみを運んでくれるのをつまみながら、みんなで自分たちのことを話して何者かを知り合う集まり。まだまだ探り合いだ。
「って言うか誕生日なのに一番働いてるのがエージってしょぼんだよタカティ」
「まあ、しょうがないよね。俺の部屋だけど俺の台所じゃないんだもん」
「しょぼーん」
end.
++++
エイジの誕生日のはずが、家主のTKGがアレなおかげで祝われるはずのエイジが一番働くハメになるナノスパあるある。
ここで星ヶ丘から須賀班の1年生で夏合宿にも出ている星野煌輝が初登場。ホッシーは多分いち氏か誰かが付けた即興のDJネームだと思われる。
俺の部屋だけど俺の台所じゃないwww いや、お前の台所やろがTKGよ
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「確か、誕生日を祝うからって呼び出されたんだよな俺は」
「うん、そうだね」
「なのに何で俺が台所に立ってるんだっていう」
「だって、もうエイジの庭みたいになってるじゃん」
今日はエージの誕生日。だからたまにはみんなでぱーっとやろうってことでタカティの部屋に集まってる。夏合宿の関係で仲良くなってる子たちもみんな集まったらいいんじゃないかなってもうわちゃわちゃ。
ハナは同じ1班の奈々を呼んでみた。タカティも4班のユキちゃんを。星ヶ丘勢も合流して6時にやって来るらしい。1年生はまだそこまで絡みがないけど、夏合宿を前に少しくらい仲良くなっといてもいいかなーって。
今回の主催で家主のタカティは、エージにキツく言われてやっと取り込んだ洗濯物を畳んでいる。ハナはお酒の準備をしていて、今回の主役のはずのエージは台所で水仕事からの料理。
「ナニが俺の庭なんだっていう! って言うかお前よくこの部屋で班の打ち合わせをやるの了承したな!」
「えっ、4班ってタカティの部屋で打ち合わせするの!?」
「お店より好き放題出来るし音を出せるしっていう事情で。でも部屋の掃除が捗らなくて」
「だからって俺にやらせるとかどーゆー神経してんだっていう。悪いハナ、高木の監視してくれ。アイツ目ぇ離すとすぐサボるっていう」
すっかり誰の部屋なのかわからなくなってきたところで、洗濯物を畳むタカティを見守る。エージが手伝うなって言うから手は出さない。エージは神経質だから、汚い部屋とか取り込んだままごちゃっとなってる洗濯物に耐えられないんだろうなあ。
すると、ピンポーンとインターホンが鳴る。時間を見れば6時ちょっと前。タカティがそれに出てエントランスのオートロックを解除すれば、少しの時間差で部屋の前からインターホンが鳴る。
「タカティ、来たよー」
「お邪魔しまーすッ! ケーキ作ってきたよッ!」
「おー、サンキュー! 冷蔵庫に入れとくか」
「じゃ、入れとくねッ! ……で、誰が誰? おハナー」
「あ、奈々ー、来たー! えっと、このちまいのがエージで」
「お前にだけはちまいって言われたくないっていう」
「部屋で洗濯物畳んでるのが家主のタカティだよ」
部屋に揃ってはみたものの、全員の顔と名前はまだ知らない。ここで始まるのは自己紹介大会。緑ヶ丘以外の子は向島の奈々と青女のユキちゃん。それから、星ヶ丘のゲンゴローとホッシー。
「って言うかゲンゴロー、星ヶ丘って今日ステージやってたんじゃなかったっけ」
「うん、終わってから来たよ」
「え、体力的にしんどくない? わざわざありがとう」
「明日はそんなに早くないからね。コーキは?」
「ウチの班長に言ったら、「他校にも友達がいるのはいいことなんだ! 誕生日はおめでたいんだ!」って快く送り出してくれたんだ」
「コーキって須賀班だっけ」
「そうなんだ! ……って言うか星羅さんの喋り方は強烈すぎて、一緒にいると移っちゃうんだ」
ホッシーは班の打ち合わせの時も、班長さんの喋り方が移っちゃうんだ、と頬をぱちんとたたいて自分の喋り方に戻そうと頑張ってる。と言うか、既に自分の喋り方がわからなくなってるようにも見える。
「えっと、星ヶ丘勢も名乗ってね。エージ的に謎の人のままだからしょぼんだよ」
「あ、ゲンゴローは知ってんべ。初心者講習会で会ってるし」
「えっと、星ヶ丘の星野煌輝。夏合宿は1班で、アナウンサーとして出てるんだ。カズ先輩のお世話になるんだ」
「星の煌めきを感じる名前だっていう」
「うん、きらきらしてるね」
「班長にも同じことを言われて今の班にお世話になることになったんだ。「名前に同じ“星”が入ってるから仲良くなれるんだ! 将来はきらきら輝くMCになるんだ!」って」
「星ヶ丘のステージの話も聞きたいなあ。エイジ、とりあえず乾杯する?」
「だな」
お酒とジュースを人数分用意して、タカティの音頭で乾杯。台所からエージが簡単なおつまみを運んでくれるのをつまみながら、みんなで自分たちのことを話して何者かを知り合う集まり。まだまだ探り合いだ。
「って言うか誕生日なのに一番働いてるのがエージってしょぼんだよタカティ」
「まあ、しょうがないよね。俺の部屋だけど俺の台所じゃないんだもん」
「しょぼーん」
end.
++++
エイジの誕生日のはずが、家主のTKGがアレなおかげで祝われるはずのエイジが一番働くハメになるナノスパあるある。
ここで星ヶ丘から須賀班の1年生で夏合宿にも出ている星野煌輝が初登場。ホッシーは多分いち氏か誰かが付けた即興のDJネームだと思われる。
俺の部屋だけど俺の台所じゃないwww いや、お前の台所やろがTKGよ
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