2017(02)
■かの顔が揺らめいている
++++
「ねえちー、明日の土曜日か日曜日お休み?」
「うん、休みだよー。どうかした?」
あずさがうちに遊びに来ている。テストはいいのって聞いたら、やっぱり3年生になると履修も少なくなるみたいで今までよりは少し余裕があるんだって。って言うか私大の子って大体国立より早い印象があるけど、春学期の星ヶ丘は一緒なんだね。
「あのね、今度の土日にあたしの友達がステージやるんだって。放送部の子なんだけど」
「へー」
「でね、興味があるんだけど1人じゃちょっと怖くて」
「一緒に行けばいい?」
「うん! ちー、ありがとー!」
星ヶ丘で放送部のステージだったら丸の池公園だっけ。朝霞が何かそんなようなことを言ってた気がする。って言うか朝霞が燃えてるヤツだよね。向舞祭の練習も丸の池が終わったら本腰を入れるって言ってたし。
あずさは星ヶ丘で映画研究会に入っている。本当は放送部にも興味があったそうなんだけど、星ヶ丘の放送部の暗部と言うか闇と言うか。そんな話を聞いて怖いなって思ってやめたんだって。
もしあずさが星ヶ丘の放送部に入ってたら俺ともインターフェイスの場で会うことになってたのかなーって話はしてたけど。ゼミに放送部の子がいてステージの話とかしてるんだね。やっぱりまだ興味はあるのかなあ。
「あのね、丸の池公園なんだって。でね、その子発表の資料作ってる時とかレジュメやってるときもずーっとステージの台本ばっかり書いててさ! 資料だってほとんどあたしが作ったんだよ!」
「がんばったねあずさ」
「でしょ!? それでさ、本当にずーっとやってるから休んだ方がいいんじゃないのーって言っても休んだら脳が散るーって言ってさ。脳が散るって何!? 怖すぎ! 何か休むとアイディアが散っちゃうんだって」
「へー、独特な表現だなあ」
「だけどさ、そこまでして書いてた台本がさ、実際ステージでどうなるのかって気になって。普段は人当たりもいい子なのにステージの台本書き始めると鬼気迫るって感じだし」
って言うかそれ、どこかで聞いたことがあるなあ。って言うか俺が思ってる某鬼のプロデューサーと同じ人なんじゃないかなあ、星ヶ丘だけに。朝霞だったら勉強よりもステージを優先するだろうし。
「でもさ聞いてちー!」
「どうしたの?」
「たまにちーにやってる手とかのマッサージあるでしょ? あれをね、その子にやったんだよ。案の定邪魔するなって言われたんだけどさ、ペンを持ってない右手をむにむに~って」
「言われる前提だったんだね」
「でもね、やってるうちに左手も差し出してくれたの! ペンを置かせることに成功したんだよ!」
「すごいじゃんあずさ。休むと脳が散る、だっけ? なのにペンを置いてくれたんだ」
左利き、ってことはやっぱり朝霞かあ。でも、ステージに絡まないなら怖くないし、きっとあずさともいい友達なんだろうな。ステージが絡む時期だから話もちょっと怖いんだけど。脳が散るって。朝霞らしいと言えばらしいけど。
多分朝霞だと思うその“ゼミの友達”は、俺と比べると体も細いしご飯を食べる量も少ない。なのにどこからステージに対するパワーが出て来るんだろうって語るあずさのテンションの方が俺には新鮮で。
きっとその友達は映研で脚本とかを書いてるあずさと同じ“書く人”だからこそ自分にはない凄さとか、そんなようなことが気になるのかなって。他の友達のことをこんなに興奮してる様子で話してるのは見たことがない。
「ちー、土曜日にする? 日曜日にする? ちーの都合のいい時でいいよ」
「その友達はどっちに出てるの?」
「あっ、聞いてなかった…! でも1時間×2って言ってたから多分どっちも出ると思う!」
「時間帯もあるよね。丸1日見るならいいけど、その友達だけ見たいんだったら時間も気にしないといけないでしょ?」
「全然考えてなかったなあ。ちー、どうしよう」
「どうしようって。その子に何時ごろ出るのって聞いてみたら? さすがに学校には来てたでしょ?」
「……その子、ステージ前にテストで時間取られるのが勿体ないって言って、テストのある授業取ってなくて今週来てないんだよ。連絡しても反応してくれるか」
……絶対朝霞だ! この思考回路、間違いない!
う、う~ん……ステージを見てみたいような気もするけど、少しの恐怖が。
end.
++++
ふしみんとちーちゃん。ふしみんが大学のお友達の話をちーちゃんにしているようです。
しかし、そのお友達の話にちーちゃん、どうやら心当たりがあるようで。恐怖すら覚えるのは、自分と対の性質を持つ鬼のP……
図らずも定例会メンバーが丸の池公園に揃っていくのかね。確か何年か前にいち氏と圭斗さんが見に来てたね
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「ねえちー、明日の土曜日か日曜日お休み?」
「うん、休みだよー。どうかした?」
あずさがうちに遊びに来ている。テストはいいのって聞いたら、やっぱり3年生になると履修も少なくなるみたいで今までよりは少し余裕があるんだって。って言うか私大の子って大体国立より早い印象があるけど、春学期の星ヶ丘は一緒なんだね。
「あのね、今度の土日にあたしの友達がステージやるんだって。放送部の子なんだけど」
「へー」
「でね、興味があるんだけど1人じゃちょっと怖くて」
「一緒に行けばいい?」
「うん! ちー、ありがとー!」
星ヶ丘で放送部のステージだったら丸の池公園だっけ。朝霞が何かそんなようなことを言ってた気がする。って言うか朝霞が燃えてるヤツだよね。向舞祭の練習も丸の池が終わったら本腰を入れるって言ってたし。
あずさは星ヶ丘で映画研究会に入っている。本当は放送部にも興味があったそうなんだけど、星ヶ丘の放送部の暗部と言うか闇と言うか。そんな話を聞いて怖いなって思ってやめたんだって。
もしあずさが星ヶ丘の放送部に入ってたら俺ともインターフェイスの場で会うことになってたのかなーって話はしてたけど。ゼミに放送部の子がいてステージの話とかしてるんだね。やっぱりまだ興味はあるのかなあ。
「あのね、丸の池公園なんだって。でね、その子発表の資料作ってる時とかレジュメやってるときもずーっとステージの台本ばっかり書いててさ! 資料だってほとんどあたしが作ったんだよ!」
「がんばったねあずさ」
「でしょ!? それでさ、本当にずーっとやってるから休んだ方がいいんじゃないのーって言っても休んだら脳が散るーって言ってさ。脳が散るって何!? 怖すぎ! 何か休むとアイディアが散っちゃうんだって」
「へー、独特な表現だなあ」
「だけどさ、そこまでして書いてた台本がさ、実際ステージでどうなるのかって気になって。普段は人当たりもいい子なのにステージの台本書き始めると鬼気迫るって感じだし」
って言うかそれ、どこかで聞いたことがあるなあ。って言うか俺が思ってる某鬼のプロデューサーと同じ人なんじゃないかなあ、星ヶ丘だけに。朝霞だったら勉強よりもステージを優先するだろうし。
「でもさ聞いてちー!」
「どうしたの?」
「たまにちーにやってる手とかのマッサージあるでしょ? あれをね、その子にやったんだよ。案の定邪魔するなって言われたんだけどさ、ペンを持ってない右手をむにむに~って」
「言われる前提だったんだね」
「でもね、やってるうちに左手も差し出してくれたの! ペンを置かせることに成功したんだよ!」
「すごいじゃんあずさ。休むと脳が散る、だっけ? なのにペンを置いてくれたんだ」
左利き、ってことはやっぱり朝霞かあ。でも、ステージに絡まないなら怖くないし、きっとあずさともいい友達なんだろうな。ステージが絡む時期だから話もちょっと怖いんだけど。脳が散るって。朝霞らしいと言えばらしいけど。
多分朝霞だと思うその“ゼミの友達”は、俺と比べると体も細いしご飯を食べる量も少ない。なのにどこからステージに対するパワーが出て来るんだろうって語るあずさのテンションの方が俺には新鮮で。
きっとその友達は映研で脚本とかを書いてるあずさと同じ“書く人”だからこそ自分にはない凄さとか、そんなようなことが気になるのかなって。他の友達のことをこんなに興奮してる様子で話してるのは見たことがない。
「ちー、土曜日にする? 日曜日にする? ちーの都合のいい時でいいよ」
「その友達はどっちに出てるの?」
「あっ、聞いてなかった…! でも1時間×2って言ってたから多分どっちも出ると思う!」
「時間帯もあるよね。丸1日見るならいいけど、その友達だけ見たいんだったら時間も気にしないといけないでしょ?」
「全然考えてなかったなあ。ちー、どうしよう」
「どうしようって。その子に何時ごろ出るのって聞いてみたら? さすがに学校には来てたでしょ?」
「……その子、ステージ前にテストで時間取られるのが勿体ないって言って、テストのある授業取ってなくて今週来てないんだよ。連絡しても反応してくれるか」
……絶対朝霞だ! この思考回路、間違いない!
う、う~ん……ステージを見てみたいような気もするけど、少しの恐怖が。
end.
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ふしみんとちーちゃん。ふしみんが大学のお友達の話をちーちゃんにしているようです。
しかし、そのお友達の話にちーちゃん、どうやら心当たりがあるようで。恐怖すら覚えるのは、自分と対の性質を持つ鬼のP……
図らずも定例会メンバーが丸の池公園に揃っていくのかね。確か何年か前にいち氏と圭斗さんが見に来てたね
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