2019(03)
■湧き出るネタの波に乗れ
++++
「おたま様~! 大っ変…!」
「どーしたのアヤちゃん、先輩でも見つけた?」
「先輩は残念ながら見つかっていません!」
「じゃあどうしたの?」
「可愛いカップルいた~、おたま様~、コピー本作って~!」
突然アヤちゃんが「おたま様会いましょ!?」なんて連絡を入れてくるから、絶賛原稿中の部屋に招き入れますよね。部屋に入るなり崩れ落ちたアヤちゃんは、何かいろいろとろけたような顔をして、つやっつやしている。そう言えば、最近は部活の方で忙しくしてたんだっけ。
アヤちゃんは外に出かける時もいいネタはないかアンテナを張っている。それはうちもだけど、やっぱり活動の基盤が星港市内だから母数が多いんですよね。地下鉄の中とかで見た物を、ニヤニヤして怪しまれないようにスマホを見てる振りしてメモったりしてるんだって。それはうちもよくやる。
「で、可愛いカップルって?」
「私、昨日公演の打ち上げでスイーツバイキングに行ってきたんですよ、部活の先輩と」
「えー、いいなあバイキング!」
「たまちゃんはカズさんに言えば自宅で出来るでしょ」
「でもお店のバイキングも行きたい」
「じゃ今度行こう!」
「やったあ! で、何を見たの」
「おそろコーデのカップルですよ」
2人ともが白いパーカーを着て、フードを紺の羽織の上からぴょこんと出してるお揃いコーデのカップルが同じスイーツバイキングの会場にいたんだって。アヤちゃんの話を聞きながら、うちは紙の上にその情報を記していきますよね。そりゃあ、コピー本を作るにはネタをまとめないと。
こういう感じ? と描いた絵にアヤちゃんはここがこういう感じで、ここはこういう感じでした! と情報を出していく。それをまとめたり手直ししたりで完成してきますよね。うちは6割BL書きだけど男女の話を書かないワケじゃないし、残り4割来るかなこれ。
「わんこ系のそこそこのイケメンと、すっごい可愛い女の子で!」
「ああ~、目の保養だね~」
「それ! 多分歳も私たちと同じくらいなの! で、女の子がイチゴとかあんまり得意じゃないっぽくって、男の子のお皿にぽいぽい乗っけてるのもかわいいし、男の子が女の子にたくさん種類あるプリンをそれぞれお皿に乗っけて持ってきてあげてるのがもう!」
「優しい」
「よね」
当然アヤちゃんはアヤちゃんでオフの人との打ち上げなのでそっちの会話にも参加しつつ、目と意識は完全にそのカップルの方に向けてたっていうんだからさすがですよ。さすアヤ。アヤちゃん曰く、バイキングはフルーツがとても新鮮で美味しかったそうです。
そんな中でもアヤちゃんは、女の子が甘い物を食べて幸せそうにしてる顔が可愛いだとか、そんな女の子を向かいで見てる男の子が幸せそうにしてるのもまた可愛いとか、そんなことをきっちり見てたみたい。ありがとうございます雨宮は絶賛原稿で缶詰のためネタ提供は大変助かります。
「それで! 途中で男の子が小さな包みを取り出して女の子に手渡してて!」
「お~!? 指輪来る~!?」
「残念、指輪ではなかった」
「なんだ」
「イヤーカフかな?」
「あっ、でもアクセサリーなんだね」
「そう! もらった女の子が自分の元々つけてたイヤリング外してそれに付け替えててさ、「似合ってる?」か「上手くつけれてる?」かわかんないけど男の子に見せてて、ちょっとズレてたのかな? それを男の子が直してあげてて~!」
「おおー、いいねー」
「だって、耳とかってよっぽどの関係じゃないと触れないし触らせたくなくない!?」
「ない」
「でしょ!? あの2人ホンっトかわいかったぁー! なんならバイキングよりもご褒美だった……」
「でも、クリスマスにはまだちょっと早いけどプレゼントなんだね。誕生日とかかな?」
「ああー、そうかもね」
で、うちは自分のことを思い出しますよね。カズと付き合い始めたばかりの頃、クリスマスのデートでマフラーをもらって、それを巻いてもらったことなんかをね。そのマフラーは結構ぼろぼろになっちゃってるんだけど、まだ使ってるよね。思い入れがありすぎて捨てられないと言うか。冬のトレードマークだもんね、赤白ボーダーは。
「あと、関係ないけど女の子着やせしてるだけでおっぱい絶対大きい」
「アヤちゃん? 突然何を言うのかな?」
「違うの! 女の子の方がさ、ピンヒールのニーハイブーツでさ、それがすっごい似合ってたの! 黒のショーパンで! そしたらさ、下半身の衣装はそのままに、こう、着て欲しい衣装をね? 妄想するじゃないですか」
「何せ可愛かったと」
「そう! で、我々の業界の衣装って、露出高いのもまあまああるじゃないですか」
「それはアヤちゃんの好みでは」
抜群のスタイルを武器にするアヤちゃんは、露出高い衣装もバッチリ自分のモノにしてますよね。元々露出高い衣装好きみたいだしね、アヤちゃん。
「否定もしませんが、ボンテージとか、クールでハードな衣装を着せてみたらさ、こう、元が白い肌だからかその補正でおっぱいもすごく綺麗でね、谷間がね、目映くてね」
「それはアヤちゃんの妄想ですよね?」
「妄想ですよ。男の子は腹心の部下にしよう。で、女の子が悪の組織を統べるっていう感じでね? でも対立組織に攻め込まれたときに女首領は捕まり、拘束され、部下の目の前であられもない姿に。抵抗する術を無くしただただされるがままになりながらも女首領は気高き魂を」
「こらこら~! そのカップルに謝れ! それまでの可愛いネタがどっか行ったわ!」
「紙の上にあるでしょ!」
「アヤちゃんホント成人向けの申し子だわ」
「ここだけの話、今年成人ですが厳密にはまだ19です」
「こらこらこら~!」
「あっでもえっちな本はちゃんと大学生になってから買い始めました! じゃないと作家さんにご迷惑をかけますからね! おたま様からいただいた物はありがたく読ませていただいております!」
「まあ、何せアヤちゃんからいただいたネタは一般向けとして調理させていただきますよ。後半のは却下で」
「ええ~」
まったくもう。後半のでそれまでの初々しいネタがどっか行きそうになっちゃったよ。とりあえず、書く物が増える方が筆が乗るし、今やってる原稿にもう1個加えるぞ~! ひゅーっ、忙しいなあ!
end.
++++
ナツノサのデートもどきを目撃していたカナコの図は○年前にもあったけど、今回もそのパターンをやりたいと思いました、まる
ナツノサの方では電車に乗るまでしかやってなかったのですが、ノサカお前、菜月さんにプレゼントなんかいつの間に用意したんや
慧梨夏は慧梨夏でネタを投下されてわーってなってるのでよかったね。いち氏はいつ同人活動禁止令を通達するんやろか
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「おたま様~! 大っ変…!」
「どーしたのアヤちゃん、先輩でも見つけた?」
「先輩は残念ながら見つかっていません!」
「じゃあどうしたの?」
「可愛いカップルいた~、おたま様~、コピー本作って~!」
突然アヤちゃんが「おたま様会いましょ!?」なんて連絡を入れてくるから、絶賛原稿中の部屋に招き入れますよね。部屋に入るなり崩れ落ちたアヤちゃんは、何かいろいろとろけたような顔をして、つやっつやしている。そう言えば、最近は部活の方で忙しくしてたんだっけ。
アヤちゃんは外に出かける時もいいネタはないかアンテナを張っている。それはうちもだけど、やっぱり活動の基盤が星港市内だから母数が多いんですよね。地下鉄の中とかで見た物を、ニヤニヤして怪しまれないようにスマホを見てる振りしてメモったりしてるんだって。それはうちもよくやる。
「で、可愛いカップルって?」
「私、昨日公演の打ち上げでスイーツバイキングに行ってきたんですよ、部活の先輩と」
「えー、いいなあバイキング!」
「たまちゃんはカズさんに言えば自宅で出来るでしょ」
「でもお店のバイキングも行きたい」
「じゃ今度行こう!」
「やったあ! で、何を見たの」
「おそろコーデのカップルですよ」
2人ともが白いパーカーを着て、フードを紺の羽織の上からぴょこんと出してるお揃いコーデのカップルが同じスイーツバイキングの会場にいたんだって。アヤちゃんの話を聞きながら、うちは紙の上にその情報を記していきますよね。そりゃあ、コピー本を作るにはネタをまとめないと。
こういう感じ? と描いた絵にアヤちゃんはここがこういう感じで、ここはこういう感じでした! と情報を出していく。それをまとめたり手直ししたりで完成してきますよね。うちは6割BL書きだけど男女の話を書かないワケじゃないし、残り4割来るかなこれ。
「わんこ系のそこそこのイケメンと、すっごい可愛い女の子で!」
「ああ~、目の保養だね~」
「それ! 多分歳も私たちと同じくらいなの! で、女の子がイチゴとかあんまり得意じゃないっぽくって、男の子のお皿にぽいぽい乗っけてるのもかわいいし、男の子が女の子にたくさん種類あるプリンをそれぞれお皿に乗っけて持ってきてあげてるのがもう!」
「優しい」
「よね」
当然アヤちゃんはアヤちゃんでオフの人との打ち上げなのでそっちの会話にも参加しつつ、目と意識は完全にそのカップルの方に向けてたっていうんだからさすがですよ。さすアヤ。アヤちゃん曰く、バイキングはフルーツがとても新鮮で美味しかったそうです。
そんな中でもアヤちゃんは、女の子が甘い物を食べて幸せそうにしてる顔が可愛いだとか、そんな女の子を向かいで見てる男の子が幸せそうにしてるのもまた可愛いとか、そんなことをきっちり見てたみたい。ありがとうございます雨宮は絶賛原稿で缶詰のためネタ提供は大変助かります。
「それで! 途中で男の子が小さな包みを取り出して女の子に手渡してて!」
「お~!? 指輪来る~!?」
「残念、指輪ではなかった」
「なんだ」
「イヤーカフかな?」
「あっ、でもアクセサリーなんだね」
「そう! もらった女の子が自分の元々つけてたイヤリング外してそれに付け替えててさ、「似合ってる?」か「上手くつけれてる?」かわかんないけど男の子に見せてて、ちょっとズレてたのかな? それを男の子が直してあげてて~!」
「おおー、いいねー」
「だって、耳とかってよっぽどの関係じゃないと触れないし触らせたくなくない!?」
「ない」
「でしょ!? あの2人ホンっトかわいかったぁー! なんならバイキングよりもご褒美だった……」
「でも、クリスマスにはまだちょっと早いけどプレゼントなんだね。誕生日とかかな?」
「ああー、そうかもね」
で、うちは自分のことを思い出しますよね。カズと付き合い始めたばかりの頃、クリスマスのデートでマフラーをもらって、それを巻いてもらったことなんかをね。そのマフラーは結構ぼろぼろになっちゃってるんだけど、まだ使ってるよね。思い入れがありすぎて捨てられないと言うか。冬のトレードマークだもんね、赤白ボーダーは。
「あと、関係ないけど女の子着やせしてるだけでおっぱい絶対大きい」
「アヤちゃん? 突然何を言うのかな?」
「違うの! 女の子の方がさ、ピンヒールのニーハイブーツでさ、それがすっごい似合ってたの! 黒のショーパンで! そしたらさ、下半身の衣装はそのままに、こう、着て欲しい衣装をね? 妄想するじゃないですか」
「何せ可愛かったと」
「そう! で、我々の業界の衣装って、露出高いのもまあまああるじゃないですか」
「それはアヤちゃんの好みでは」
抜群のスタイルを武器にするアヤちゃんは、露出高い衣装もバッチリ自分のモノにしてますよね。元々露出高い衣装好きみたいだしね、アヤちゃん。
「否定もしませんが、ボンテージとか、クールでハードな衣装を着せてみたらさ、こう、元が白い肌だからかその補正でおっぱいもすごく綺麗でね、谷間がね、目映くてね」
「それはアヤちゃんの妄想ですよね?」
「妄想ですよ。男の子は腹心の部下にしよう。で、女の子が悪の組織を統べるっていう感じでね? でも対立組織に攻め込まれたときに女首領は捕まり、拘束され、部下の目の前であられもない姿に。抵抗する術を無くしただただされるがままになりながらも女首領は気高き魂を」
「こらこら~! そのカップルに謝れ! それまでの可愛いネタがどっか行ったわ!」
「紙の上にあるでしょ!」
「アヤちゃんホント成人向けの申し子だわ」
「ここだけの話、今年成人ですが厳密にはまだ19です」
「こらこらこら~!」
「あっでもえっちな本はちゃんと大学生になってから買い始めました! じゃないと作家さんにご迷惑をかけますからね! おたま様からいただいた物はありがたく読ませていただいております!」
「まあ、何せアヤちゃんからいただいたネタは一般向けとして調理させていただきますよ。後半のは却下で」
「ええ~」
まったくもう。後半のでそれまでの初々しいネタがどっか行きそうになっちゃったよ。とりあえず、書く物が増える方が筆が乗るし、今やってる原稿にもう1個加えるぞ~! ひゅーっ、忙しいなあ!
end.
++++
ナツノサのデートもどきを目撃していたカナコの図は○年前にもあったけど、今回もそのパターンをやりたいと思いました、まる
ナツノサの方では電車に乗るまでしかやってなかったのですが、ノサカお前、菜月さんにプレゼントなんかいつの間に用意したんや
慧梨夏は慧梨夏でネタを投下されてわーってなってるのでよかったね。いち氏はいつ同人活動禁止令を通達するんやろか
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