2019(03)
■新たな時代に振り返る
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大学祭が終わり、サークルの実権が2年生に移って今回が2回目のサークルだ。とは言え、初回の水曜日(月曜は振替休日でサークルも休みだった)は定例会で伊東とL、それから伊東と入れ替わりで定例会に入るハナが留守だったから、実質的に今日が初回のような感じになる。
前回は大学祭の収支報告など、俺と伊東が中心になって進めた事柄を片付けた。大学祭の名残を一掃して、新しい代の活動にに入っていけるように。ま、平たく言えばサークル室の掃除だな。掃除に伊東とLがいなかったのは痛かったが、エージが結構活躍してくれて思ったよりスムーズに進んだ。
「えっ、俺が進めんの?」
「ほら、アタシって全体の前に立つタイプじゃないしー。どっちかって言うと補佐型だと思うんですよねー」
「そんなメチャクチャな。つか前回どうしてたんだよ」
「前回は学祭の収支報告とか片付けメインだから高ピー先輩指揮だよ」
「あーはいそうですか。まあいいか、俺がやる。それじゃあサークルを始めます」
MBCCでは代表という役職がない。アナウンス部長と機材部長のどっちかが実質的なトップとしてサークルをまとめることにはなっていくが、どっちがより強くて、というようなことはない。だからサークルの進行など、前に立って仕切るのはどっちだという問題が代替わり直後には付きまとう。
俺と伊東の場合、俺が仕切るタイプで伊東が補佐タイプだというのがはっきりしていたし、対策委員の活動が落ち着いた俺はMBCCのことに専念出来るという事情があった。だけど今の2年生の場合は、見ての通りLが果林の尻に敷かれながら仕切っていくのだろうと、一瞬で先行きが何となく見えた。
「まず、定例会からの報告です。定例会も代替わりをして、役職が引き継がれました。元々いた2年生が三役に繰り上がるような形で、俺が議長、青女の直が委員長、星大のテルが副委員長という役職になりました。それから、青敬のハマちゃんが新しく定例会に参加してくれることになりました」
「へー、ハマちゃん定例会に出るんだ」
「青敬さんはこれからもインターフェイスで活動していきたいということです。えー、代替わりに伴い各校の1年生が加入しました。ウチからはハナが出てくれてます。で、MBCCの話ではないんだけど、向島の奈々が定例会と対策委員の兼任になるということで、新対策委員のエージと高木になるかな、サポートしてあげて下さい」
「はーい」
代が変わればインターフェイスの色も変わる。俺たちの代は各々が好き勝手にしていたけど、今の2年生の代はとにかく群れてまとまっているという印象がある。仲がいいに越したことはないが、誕生会だの他校のイベントの補佐だの、よくそこまでベタベタ出来るなと思うこともまあある。
「定例会からのお知らせは以上です。他に何か連絡のある人」
「はい!」
「えっ、カズ先輩」
「定例会からのお知らせです!」
「えっ、まだ何かあったっすか!?」
「いや、インターフェイス全体のことじゃねーんだ。えっと、再来週の金曜日、22日に向島さんと合同で交流会を開くことになりました。前半はMBCC主催の飲み会、後半は向島主催の缶蹴り大会ということで、皆さん奮ってご参加下さい!」
「向島との交流会は久し振りだな」
「ね。こないだの定例会でさ、圭斗と久々にやりたいねって話になったんだよ。技術交流会とかは次の代がやりたかったらやればってことで、とりあえず俺らは友好を深めようぜっていうノリだね」
実はこの交流会の話は定例会をやってる最中に伊東が俺に連絡をしてきていたから、今日の発表に至る前から知ってはいた。そして、何人来るかわからないにせよ飲むなら店を押さえろということで、俺がすでに豊葦市駅周辺で予約を取ってある。思い立ったが吉日というヤツだな。
俺らは向島との交流会をやってた世代だが、2年生以下はその経験がないはずだ。昔はよく向島と合同練習会とかで交流していたが、最近ではすっかりご無沙汰だ。確か、最後にやったのは俺らが1年の時の5月頃だろうか。だから、向島のサークルに入るのがワンテンポ遅かったらしい菜月も交流会の経験がなかったと思う。
「しかしまあ、缶蹴りか。この歳じゃなかなかやらない遊びだな」
「向島じゃ結構やるみたいだよ」
「そうか。何にせよ、やり合うなら負ける気は一切ねえぞ」
「良かった、高ピーが乗り気で。向島サイドは高ピーのモチベーションを一番心配してたから」
「あ? 俺のモチベーションだ?」
「高ピーが「下らねえ、やってられっか」って言うんじゃないかっていう心配だね」
「いや、やるぞ。そんなバカげたこと、逆に大学生くらいじゃねえと出来ねえしな。運動能力と戦術が問われる競技だろ? やってやろうじゃねえか」
なんだかんだMBCCは俺も含めて体育会系と言うか、アクティブな奴が多い。だから思いっきり体を動かせる缶蹴りという行事は久々に童心に返れて楽しそうだという意見の方が多数派のようだ。何ならインドア派が多い向島のモチベーションの方が心配じゃねえのかと思うが、連中にはこれが日常なら問題ないだろう。
「あっ、缶蹴りはお酒飲んだ後だし、缶蹴りの会場は向島大学だから各自防寒対策をしっかりして来て下さいと圭斗からお達しがありました」
「そうか、向島は山だもんな。11月下旬にもなればクソ寒みィか」
「うわー……寒いとかちょっとないっすね」
「ちょっとL、仮にも定例会議長がそんなんで大丈夫!?」
「定例会議長は関係ないだろ、何なら先代の議長も寒いのは嫌いだし」
「腰にカイロ貼るかな……」
「えっ、高ピー先輩? その発言は腰に湿布貼ろうかなみたいな風にも聞こえますよ?」
「うるせえ、寒みィモンは寒みィんだ」
「なんか、圭斗と話してた時は身体能力とかでウチが勝てそうかなって思ったけど、そうでもなさそうだね」
「あ? ウチが勝つに決まってんだろ。連中をぶっ潰すんだよ」
end.
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MBCCも代替わりをしました。Lが仕切っていくのがこんな感じで決まって行ったんですね。果林の尻に敷かれてやがるぜ
学祭終わりのサークル室の掃除の件も見てみたかったですが、掃除でいち氏とLがおらんとか大幅な戦力ダウンだわ確かに。
そしてとうとう缶蹴りの件です。高崎は負けず嫌いなので、とにかくMMPをぶっ潰すモードに入ってますね。良かったね圭斗さん、高崎はやる気だ
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大学祭が終わり、サークルの実権が2年生に移って今回が2回目のサークルだ。とは言え、初回の水曜日(月曜は振替休日でサークルも休みだった)は定例会で伊東とL、それから伊東と入れ替わりで定例会に入るハナが留守だったから、実質的に今日が初回のような感じになる。
前回は大学祭の収支報告など、俺と伊東が中心になって進めた事柄を片付けた。大学祭の名残を一掃して、新しい代の活動にに入っていけるように。ま、平たく言えばサークル室の掃除だな。掃除に伊東とLがいなかったのは痛かったが、エージが結構活躍してくれて思ったよりスムーズに進んだ。
「えっ、俺が進めんの?」
「ほら、アタシって全体の前に立つタイプじゃないしー。どっちかって言うと補佐型だと思うんですよねー」
「そんなメチャクチャな。つか前回どうしてたんだよ」
「前回は学祭の収支報告とか片付けメインだから高ピー先輩指揮だよ」
「あーはいそうですか。まあいいか、俺がやる。それじゃあサークルを始めます」
MBCCでは代表という役職がない。アナウンス部長と機材部長のどっちかが実質的なトップとしてサークルをまとめることにはなっていくが、どっちがより強くて、というようなことはない。だからサークルの進行など、前に立って仕切るのはどっちだという問題が代替わり直後には付きまとう。
俺と伊東の場合、俺が仕切るタイプで伊東が補佐タイプだというのがはっきりしていたし、対策委員の活動が落ち着いた俺はMBCCのことに専念出来るという事情があった。だけど今の2年生の場合は、見ての通りLが果林の尻に敷かれながら仕切っていくのだろうと、一瞬で先行きが何となく見えた。
「まず、定例会からの報告です。定例会も代替わりをして、役職が引き継がれました。元々いた2年生が三役に繰り上がるような形で、俺が議長、青女の直が委員長、星大のテルが副委員長という役職になりました。それから、青敬のハマちゃんが新しく定例会に参加してくれることになりました」
「へー、ハマちゃん定例会に出るんだ」
「青敬さんはこれからもインターフェイスで活動していきたいということです。えー、代替わりに伴い各校の1年生が加入しました。ウチからはハナが出てくれてます。で、MBCCの話ではないんだけど、向島の奈々が定例会と対策委員の兼任になるということで、新対策委員のエージと高木になるかな、サポートしてあげて下さい」
「はーい」
代が変わればインターフェイスの色も変わる。俺たちの代は各々が好き勝手にしていたけど、今の2年生の代はとにかく群れてまとまっているという印象がある。仲がいいに越したことはないが、誕生会だの他校のイベントの補佐だの、よくそこまでベタベタ出来るなと思うこともまあある。
「定例会からのお知らせは以上です。他に何か連絡のある人」
「はい!」
「えっ、カズ先輩」
「定例会からのお知らせです!」
「えっ、まだ何かあったっすか!?」
「いや、インターフェイス全体のことじゃねーんだ。えっと、再来週の金曜日、22日に向島さんと合同で交流会を開くことになりました。前半はMBCC主催の飲み会、後半は向島主催の缶蹴り大会ということで、皆さん奮ってご参加下さい!」
「向島との交流会は久し振りだな」
「ね。こないだの定例会でさ、圭斗と久々にやりたいねって話になったんだよ。技術交流会とかは次の代がやりたかったらやればってことで、とりあえず俺らは友好を深めようぜっていうノリだね」
実はこの交流会の話は定例会をやってる最中に伊東が俺に連絡をしてきていたから、今日の発表に至る前から知ってはいた。そして、何人来るかわからないにせよ飲むなら店を押さえろということで、俺がすでに豊葦市駅周辺で予約を取ってある。思い立ったが吉日というヤツだな。
俺らは向島との交流会をやってた世代だが、2年生以下はその経験がないはずだ。昔はよく向島と合同練習会とかで交流していたが、最近ではすっかりご無沙汰だ。確か、最後にやったのは俺らが1年の時の5月頃だろうか。だから、向島のサークルに入るのがワンテンポ遅かったらしい菜月も交流会の経験がなかったと思う。
「しかしまあ、缶蹴りか。この歳じゃなかなかやらない遊びだな」
「向島じゃ結構やるみたいだよ」
「そうか。何にせよ、やり合うなら負ける気は一切ねえぞ」
「良かった、高ピーが乗り気で。向島サイドは高ピーのモチベーションを一番心配してたから」
「あ? 俺のモチベーションだ?」
「高ピーが「下らねえ、やってられっか」って言うんじゃないかっていう心配だね」
「いや、やるぞ。そんなバカげたこと、逆に大学生くらいじゃねえと出来ねえしな。運動能力と戦術が問われる競技だろ? やってやろうじゃねえか」
なんだかんだMBCCは俺も含めて体育会系と言うか、アクティブな奴が多い。だから思いっきり体を動かせる缶蹴りという行事は久々に童心に返れて楽しそうだという意見の方が多数派のようだ。何ならインドア派が多い向島のモチベーションの方が心配じゃねえのかと思うが、連中にはこれが日常なら問題ないだろう。
「あっ、缶蹴りはお酒飲んだ後だし、缶蹴りの会場は向島大学だから各自防寒対策をしっかりして来て下さいと圭斗からお達しがありました」
「そうか、向島は山だもんな。11月下旬にもなればクソ寒みィか」
「うわー……寒いとかちょっとないっすね」
「ちょっとL、仮にも定例会議長がそんなんで大丈夫!?」
「定例会議長は関係ないだろ、何なら先代の議長も寒いのは嫌いだし」
「腰にカイロ貼るかな……」
「えっ、高ピー先輩? その発言は腰に湿布貼ろうかなみたいな風にも聞こえますよ?」
「うるせえ、寒みィモンは寒みィんだ」
「なんか、圭斗と話してた時は身体能力とかでウチが勝てそうかなって思ったけど、そうでもなさそうだね」
「あ? ウチが勝つに決まってんだろ。連中をぶっ潰すんだよ」
end.
++++
MBCCも代替わりをしました。Lが仕切っていくのがこんな感じで決まって行ったんですね。果林の尻に敷かれてやがるぜ
学祭終わりのサークル室の掃除の件も見てみたかったですが、掃除でいち氏とLがおらんとか大幅な戦力ダウンだわ確かに。
そしてとうとう缶蹴りの件です。高崎は負けず嫌いなので、とにかくMMPをぶっ潰すモードに入ってますね。良かったね圭斗さん、高崎はやる気だ
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