2019(02)
■MMP don't really change
++++
「さて、昼放送のペアが決まったから発表するよ。今回のペアを決めるにあたって、僕は慣習よりも活動の継続を重視したとはお伝えしておきます」
向島大学でも秋学期が始まり、MMPの活動も再開された。来週からは本格的に昼放送も始まるし、そのペア決めはうちと圭斗との間での話し合いで決められた。だけど、圭斗の前置きの通り、活動の継続ということが割と真面目な問題として挙がって来る現状だ。
「えー、まず、火曜日に菜月さんと野坂。木曜日にヒロと神崎・奈々。ここはミキサーが変則的だけども話し合いで回してください。で、金曜日に僕とりっちゃんのペアでやっていくことになります」
「見事に真新しさがありませんね」
「先に言っただろう、慣習よりも活動の継続を重視したって。「極力組んだことのないペアで」なんて慣わしをいちいち守ってたら活動がままならないんだよ」
そもそも、アナミキ合わせて8人しかいないサークルで「組んだことのないペアで」なんて言っていてもしょうがない。それに、履修や収録日程の都合もある。そうそう簡単に決められるものではない。それなら、何期連続になろうが活動を絶やさないことの方が大事だという結論に達した。
実際、うちとノサカは3期連続だし、圭斗とりっちゃんにしても2期連続のペアになる。みんなそれぞれサークルの他にも忙しいんだ。何か、三井とかいうよくわからないヤツは凄く忙しいと宣言していて昼放送をやろうにも誰とも予定が合わなかったから、やりたければ空いてる曜日にマルチでやってくれと宣告した。
「――とまあ、そういうことだからノサカ、よろしく」
「よろしくお願いします!」
「まあ、お察しだろうけれども収録はこれまで通り土曜2時からな。くれぐれも、わかったな」
「はい、遅れないよう努力します」
「いやァー、せッかくオープンキャンパスで菜月先輩と組んでラクさせてもらってたンすけどねェー、やッぱ舞い戻るンすねェー」
「ん、そう言わずに頼むよりっちゃん」
「別に圭斗先輩と組むのがイヤとは言ってヤせんよ。別の意味でのユルさは自分に合ってヤすから。ただ、ハチャメチャな要求だけ減らしてもらえれば助かるなァーってだけで」
「努力します」
「何だろうなあ、ノサカと圭斗の「努力します」が薄っぺらすぎてどう反応したらいいか困るヤツだ」
「ホントにそれなんスわ」
うちとノサカ、圭斗とりっちゃんに関しては勝手知ったるいつものペアっていう感じでこれまでとの変更点は特にない。うちとりっちゃんがそれぞれの相棒に対してちょっと要望と言うか、睨みを利かせる必要があるというくらいで。
ヒロとカンザキ・奈々ペア……トリオと言う方が正しいかもしれない変則グループに関しては、はじめての昼放送になる奈々を2年生がどうリードしていくかが問われるだろう。ヒロはちょっと不安だけど、カンザキがいるからミキサー的には問題なさそうだ。どうかな。
「あとは、10月ということで大学祭に向けた準備も進めて行きましょう。金曜日のDJブースに土日の食品ブースだね。やることが山積みなので10月は既定の活動日、月水金以外も来れる人は来て準備を進めてください」
「はーい。食品ブースって何出すか決めてたっけ」
「夏の時点では中華風スープにしようという話にはなってたね」
「試作と原価計算か」
「そうなるね」
「あと、番組の企画と装飾制作」
「装飾に関しては例によって菜月さんを主にお願いするような形になるね」
「はいはい、やりますよ」
まあ、うちはバイトもしてないし、時間はそこそこあるから結構な頻度でここにきて作業をすることにはなるんだろうなあ。装飾も何気に作る物がいっぱいあるから早め早めに動いておかないと後から大変なことになる。
中華風スープは確か野菜を限界までペラッペラに薄切りにして、そこにスープの素と肉団子をぶち込むだけのヤツだ。如何せんこのメンツに高度な調理は期待出来ないし、何よりめんどくさいので作り置き出来る方がいいだろうとのことで。
「ああ、そうだノサカ」
「はい」
「昼放送の話に戻るけど、初回収録は5日の土曜日だ。それで、ラグビー見たいから7時までには家にいたい」
「わかりました。菜月先輩、ラグビーに興味が?」
「いや、あんまりよく知らないんだけど、せっかくやってるから見ようかなと。まあ、どうせ見るならある程度ルールや楽しみ方を分かってた方がいいんだろうけど、独学じゃなかなかな。でも、わかんないなりにスポーツ中継は好きだから」
「やァー菜月先輩、それだッたら収録ついでにそのテレビ観戦に野坂を付き合わせればいーンでないです?」
「ああ、そうですよ菜月先輩。ラグビーと言えば野坂さんみたいなところがありますし」
「あ、そっか。今の今まですっかり忘れてた。そういやお前、ラグビー経験者だったな」
「一応高校の3年間、ラグビー部でした」
「うちとしたことが、そんな初歩的なことを忘れてるとはな。そうとなったらノサカ君、テレビ観戦に付き合わないか?」
「喜んでお付き合いいたします! 実況でも解説でも、お任せください!」
2時からの収録だから7時には間に合うと思いたいけど、それでも絶対とは言えないのがノサカの遅刻癖だ。さすがに初回だからちゃんと来るとは思いたいけど、思うだけ思ってアレだったらやっぱりなって落胆するだけだから過度な期待はやめよう。
「……やっぱり野坂さんてクズですよね」
「何か言ったかウザドル」
「別にぃ~? 女の子からのデートのお誘いをゲスな蹴り方した人と同じ人には見えないなぁ~と思っただけですしぃ~?」
「ん、神崎、その話を詳しくいいかな?」
「あっ、圭斗先輩聞いてくださいよ野坂さんったらね?」
「やめろこーた!」
end.
++++
MMPも動いて行くようですが、ここは菜月さんの孤独な戦いがこれから始まるのかな? 圭斗さん頑張れ
さて、今年っぽい要素でラグビーのことも拾ってみましたが、ラグビー経験者というノサカの設定を忘れていたのは何を隠そう私だ
で、もうひとつ今年っぽい要素?はノサカのモテ期?のことだけども、その辺りはこれからどうなっていくのかしら
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「さて、昼放送のペアが決まったから発表するよ。今回のペアを決めるにあたって、僕は慣習よりも活動の継続を重視したとはお伝えしておきます」
向島大学でも秋学期が始まり、MMPの活動も再開された。来週からは本格的に昼放送も始まるし、そのペア決めはうちと圭斗との間での話し合いで決められた。だけど、圭斗の前置きの通り、活動の継続ということが割と真面目な問題として挙がって来る現状だ。
「えー、まず、火曜日に菜月さんと野坂。木曜日にヒロと神崎・奈々。ここはミキサーが変則的だけども話し合いで回してください。で、金曜日に僕とりっちゃんのペアでやっていくことになります」
「見事に真新しさがありませんね」
「先に言っただろう、慣習よりも活動の継続を重視したって。「極力組んだことのないペアで」なんて慣わしをいちいち守ってたら活動がままならないんだよ」
そもそも、アナミキ合わせて8人しかいないサークルで「組んだことのないペアで」なんて言っていてもしょうがない。それに、履修や収録日程の都合もある。そうそう簡単に決められるものではない。それなら、何期連続になろうが活動を絶やさないことの方が大事だという結論に達した。
実際、うちとノサカは3期連続だし、圭斗とりっちゃんにしても2期連続のペアになる。みんなそれぞれサークルの他にも忙しいんだ。何か、三井とかいうよくわからないヤツは凄く忙しいと宣言していて昼放送をやろうにも誰とも予定が合わなかったから、やりたければ空いてる曜日にマルチでやってくれと宣告した。
「――とまあ、そういうことだからノサカ、よろしく」
「よろしくお願いします!」
「まあ、お察しだろうけれども収録はこれまで通り土曜2時からな。くれぐれも、わかったな」
「はい、遅れないよう努力します」
「いやァー、せッかくオープンキャンパスで菜月先輩と組んでラクさせてもらってたンすけどねェー、やッぱ舞い戻るンすねェー」
「ん、そう言わずに頼むよりっちゃん」
「別に圭斗先輩と組むのがイヤとは言ってヤせんよ。別の意味でのユルさは自分に合ってヤすから。ただ、ハチャメチャな要求だけ減らしてもらえれば助かるなァーってだけで」
「努力します」
「何だろうなあ、ノサカと圭斗の「努力します」が薄っぺらすぎてどう反応したらいいか困るヤツだ」
「ホントにそれなんスわ」
うちとノサカ、圭斗とりっちゃんに関しては勝手知ったるいつものペアっていう感じでこれまでとの変更点は特にない。うちとりっちゃんがそれぞれの相棒に対してちょっと要望と言うか、睨みを利かせる必要があるというくらいで。
ヒロとカンザキ・奈々ペア……トリオと言う方が正しいかもしれない変則グループに関しては、はじめての昼放送になる奈々を2年生がどうリードしていくかが問われるだろう。ヒロはちょっと不安だけど、カンザキがいるからミキサー的には問題なさそうだ。どうかな。
「あとは、10月ということで大学祭に向けた準備も進めて行きましょう。金曜日のDJブースに土日の食品ブースだね。やることが山積みなので10月は既定の活動日、月水金以外も来れる人は来て準備を進めてください」
「はーい。食品ブースって何出すか決めてたっけ」
「夏の時点では中華風スープにしようという話にはなってたね」
「試作と原価計算か」
「そうなるね」
「あと、番組の企画と装飾制作」
「装飾に関しては例によって菜月さんを主にお願いするような形になるね」
「はいはい、やりますよ」
まあ、うちはバイトもしてないし、時間はそこそこあるから結構な頻度でここにきて作業をすることにはなるんだろうなあ。装飾も何気に作る物がいっぱいあるから早め早めに動いておかないと後から大変なことになる。
中華風スープは確か野菜を限界までペラッペラに薄切りにして、そこにスープの素と肉団子をぶち込むだけのヤツだ。如何せんこのメンツに高度な調理は期待出来ないし、何よりめんどくさいので作り置き出来る方がいいだろうとのことで。
「ああ、そうだノサカ」
「はい」
「昼放送の話に戻るけど、初回収録は5日の土曜日だ。それで、ラグビー見たいから7時までには家にいたい」
「わかりました。菜月先輩、ラグビーに興味が?」
「いや、あんまりよく知らないんだけど、せっかくやってるから見ようかなと。まあ、どうせ見るならある程度ルールや楽しみ方を分かってた方がいいんだろうけど、独学じゃなかなかな。でも、わかんないなりにスポーツ中継は好きだから」
「やァー菜月先輩、それだッたら収録ついでにそのテレビ観戦に野坂を付き合わせればいーンでないです?」
「ああ、そうですよ菜月先輩。ラグビーと言えば野坂さんみたいなところがありますし」
「あ、そっか。今の今まですっかり忘れてた。そういやお前、ラグビー経験者だったな」
「一応高校の3年間、ラグビー部でした」
「うちとしたことが、そんな初歩的なことを忘れてるとはな。そうとなったらノサカ君、テレビ観戦に付き合わないか?」
「喜んでお付き合いいたします! 実況でも解説でも、お任せください!」
2時からの収録だから7時には間に合うと思いたいけど、それでも絶対とは言えないのがノサカの遅刻癖だ。さすがに初回だからちゃんと来るとは思いたいけど、思うだけ思ってアレだったらやっぱりなって落胆するだけだから過度な期待はやめよう。
「……やっぱり野坂さんてクズですよね」
「何か言ったかウザドル」
「別にぃ~? 女の子からのデートのお誘いをゲスな蹴り方した人と同じ人には見えないなぁ~と思っただけですしぃ~?」
「ん、神崎、その話を詳しくいいかな?」
「あっ、圭斗先輩聞いてくださいよ野坂さんったらね?」
「やめろこーた!」
end.
++++
MMPも動いて行くようですが、ここは菜月さんの孤独な戦いがこれから始まるのかな? 圭斗さん頑張れ
さて、今年っぽい要素でラグビーのことも拾ってみましたが、ラグビー経験者というノサカの設定を忘れていたのは何を隠そう私だ
で、もうひとつ今年っぽい要素?はノサカのモテ期?のことだけども、その辺りはこれからどうなっていくのかしら
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