2019(02)
■持ち物チェックの盲点
++++
「えーっと、シャツと、パンツ、それから」
「カズ、靴下! 忘れがちだよ」
「あーそうだ靴下! サンキュー慧梨夏」
明日からインターフェイス夏合宿が始まるということで、さっそくその荷造りの真っ最中。合宿は2泊3日で、その間青年自然の家に泊まることになる。合宿のしおり的な資料を見ながら、施設には何が備え付けられていて、自分ではどんな持ち物が要るのかなと確認するだけの作業。
服や下着類は当然のこと、他には番組に必要な物か。それからちょっとつまめる甘いもの。青年の家の周りにはコンビニも何もない。俺は今回バイクじゃなくてみんなと同じ電車を乗り継ぐコースだから、期間中に外出することもないだろう。物資は十分に揃えておかなくてはならない。
何か、圭斗はなっちさんを乗せて自分の車で現地集合するって言ってたんだよな。圭斗は車があるし、まあアイツの性格ならそうするだろうなと。俺もバイクで現地集合でも良かったけど、如何せん道がね。あんまり行かないトコだから迷ってもダメだし。よりによって合宿で迷子理由の遅刻は恥ずかしい。
「筆記用具、メモ帳、キューシート、音源……ああ、ポータブルのCDプレイヤーが要るな。どこやったっけかなー。ああ、あったあった」
合宿では夜の自由時間なんかにモニター会前最後の班打ち合わせをしたりもする。そのときに手持ちの音源を確認出来るか否かはその打ち合わせの質に大きな差を生む。多少重かろうがめんどくさかろうが、その辺の用意も忘れてはいけない。まあ、一応使う音源はスマホにも入れとこうか。
「それから、ストップウォッチに」
「何か、すごい荷物」
「ミキサーはなあ、音源がある分やっぱちょっとかさばるんだわ」
「仕事道具ね」
「そんなようなこと。お前も遠征の時は何だかんだ荷物デカくなるだろ」
「そうだね、出先でも作業出来るようにいろいろ持ってきますね、確かに」
「遠征ってナチュラルにオタ活の方に行ったな?」
「でもGREENsの遠征でも遊び道具ばっかりどんどん増えてくから同じだよ」
「あれっ、そういやGREENsで何か焼き肉だっけ? いつだっけ」
「来月の2週目くらいを予定してる」
こうやっていろいろ準備してると、これだけ準備してるのに何かが漏れているような気がして仕方ないんだ。うーん、しおりとは別に個人的な持ち物チェックリストとか作っとけばよかった。それに丸しながら準備すれば、漏れもないし効率的だと思うんだよな。いちいちあれこれ思い出しながらやらなくていいし。
「でもなー、個人的には2泊3日分の洗濯物を、しばらくカバンの中に置いとかなきゃいけないのがイヤすぎる。青年の家って自分で洗濯出来るランドリー的なモンないのかな」
「カズがいつもやってる除菌スプレーシュッシュで何かならない?」
「それはもちろんやるけどさ、携帯用スプレー持ってるし。除菌どうこうの問題じゃなくて、洗濯出来ないのがまず論外」
「そんなこと言ってたら旅行出来ないよカズ」
「旅行は出来るだろ。ビジホにだってランドリーコーナーはあるし、朝フロントに出して夕方受け取る洗濯サービスだってあるじゃんか」
「そうだけどさ」
ランドリーコーナーがあれば、洗濯する分洋服とかの荷物がちょっと少なくて済むんだよな。でもいくら洗濯したいからと言ってまさか洗濯板を持ち歩くワケにもいかないし、そこは2泊3日の間の我慢だ。この季節はTシャツにデニムが基本だし、服はさほど問題じゃないんだよ。
「そう言えば慧梨夏、お前俺がいない間どうしてるつもり? 自分の部屋にいるんだろ?」
「まあ、そうね。引きこもってひたすらゲームの周回周回周回ですよ」
「いや、飯はちゃんと食えな」
「大丈夫、ちゃんと手の届くところに食べ物置いとくし」
「食わないよりはいいけど、あんま褒められた食い方じゃねーんだよなあ」
「1人だとそんなモンだよ」
「みなもさんとかいねーのかよ」
「みなもは実家に帰ってますぅ~」
「マジか。あっ、それじゃあコミフェに一緒に行ったっていう友達は?」
「声掛ければ釣れるかもだけど、似たり寄ったりだよ」
俺がいないことで慧梨夏の生活がガタガタになるのは免れない。つかゲームの周回周回周回って。どんだけやる気だよ。そうなったときの慧梨夏は本当に動かないし飯食わないし寝ないし、心配を通り越すレベルだ。こうなったらあれか、冷蔵庫とか冷凍庫にレンチンだけで出来るちゃんとした飯を用意していくべきか。
「慧梨夏、買い物行くぞ」
「えっ、うちも?」
「お前の部屋にレンチンだけで出来る飯を作って置いてくから。友達呼ぶなり何なりして、とにかく1人を回避しろ」
「えー!?」
「1人だとお前は本当にその場から動かないからな。ンなことやってたら腐るぞ」
「もう腐ってますが」
「そっちの意味じゃねーんだよ。とにかく! 買い物に出ます! はい慧梨夏、車」
「え~!?」
自分の荷造りはそっちのけで、2泊3日を乗り切れるだけの慧梨夏の食事の管理が先になってしまうのはご愛敬だ。俺の準備は大体出来てると思うんだよ、うん。これで何か思い出したらそのときに整えるし、ちょっと摘む物を買いに出ないといけないとは思ってたんだ。外界と隔てられた場所での甘いもの大事。
「カズ、話戻るけど旅行の荷造りで忘れそうな物がまだあるの、聞きたい?」
「まあ、教えていただければ」
「スマホの充電器」
「あっ、イヤホン持ってかないとなそーいや。忘れてた」
「もー。充電器忘れちゃえ」
「言っても俺iPhoneだし他に誰かいるだろ、何十人もいりゃ。平気平気。ちゃんと持ってくけど」
end.
++++
合宿前日のいちえりちゃんです。いち氏の荷造りから始まりました。ちゃんとプレーヤーとか持ってく辺りがエラいですね
青年の家では洗濯出来ないのがイヤとか安定のヤツが出てますわ。しかも携帯用の除菌消臭スプレー持ってくとかさすが
慧梨夏のご飯問題は他に誰が解決出来そうかしら。浅浦雅弘か、大穴高崎か? まあでもいろいろいるとは思うけれども
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「えーっと、シャツと、パンツ、それから」
「カズ、靴下! 忘れがちだよ」
「あーそうだ靴下! サンキュー慧梨夏」
明日からインターフェイス夏合宿が始まるということで、さっそくその荷造りの真っ最中。合宿は2泊3日で、その間青年自然の家に泊まることになる。合宿のしおり的な資料を見ながら、施設には何が備え付けられていて、自分ではどんな持ち物が要るのかなと確認するだけの作業。
服や下着類は当然のこと、他には番組に必要な物か。それからちょっとつまめる甘いもの。青年の家の周りにはコンビニも何もない。俺は今回バイクじゃなくてみんなと同じ電車を乗り継ぐコースだから、期間中に外出することもないだろう。物資は十分に揃えておかなくてはならない。
何か、圭斗はなっちさんを乗せて自分の車で現地集合するって言ってたんだよな。圭斗は車があるし、まあアイツの性格ならそうするだろうなと。俺もバイクで現地集合でも良かったけど、如何せん道がね。あんまり行かないトコだから迷ってもダメだし。よりによって合宿で迷子理由の遅刻は恥ずかしい。
「筆記用具、メモ帳、キューシート、音源……ああ、ポータブルのCDプレイヤーが要るな。どこやったっけかなー。ああ、あったあった」
合宿では夜の自由時間なんかにモニター会前最後の班打ち合わせをしたりもする。そのときに手持ちの音源を確認出来るか否かはその打ち合わせの質に大きな差を生む。多少重かろうがめんどくさかろうが、その辺の用意も忘れてはいけない。まあ、一応使う音源はスマホにも入れとこうか。
「それから、ストップウォッチに」
「何か、すごい荷物」
「ミキサーはなあ、音源がある分やっぱちょっとかさばるんだわ」
「仕事道具ね」
「そんなようなこと。お前も遠征の時は何だかんだ荷物デカくなるだろ」
「そうだね、出先でも作業出来るようにいろいろ持ってきますね、確かに」
「遠征ってナチュラルにオタ活の方に行ったな?」
「でもGREENsの遠征でも遊び道具ばっかりどんどん増えてくから同じだよ」
「あれっ、そういやGREENsで何か焼き肉だっけ? いつだっけ」
「来月の2週目くらいを予定してる」
こうやっていろいろ準備してると、これだけ準備してるのに何かが漏れているような気がして仕方ないんだ。うーん、しおりとは別に個人的な持ち物チェックリストとか作っとけばよかった。それに丸しながら準備すれば、漏れもないし効率的だと思うんだよな。いちいちあれこれ思い出しながらやらなくていいし。
「でもなー、個人的には2泊3日分の洗濯物を、しばらくカバンの中に置いとかなきゃいけないのがイヤすぎる。青年の家って自分で洗濯出来るランドリー的なモンないのかな」
「カズがいつもやってる除菌スプレーシュッシュで何かならない?」
「それはもちろんやるけどさ、携帯用スプレー持ってるし。除菌どうこうの問題じゃなくて、洗濯出来ないのがまず論外」
「そんなこと言ってたら旅行出来ないよカズ」
「旅行は出来るだろ。ビジホにだってランドリーコーナーはあるし、朝フロントに出して夕方受け取る洗濯サービスだってあるじゃんか」
「そうだけどさ」
ランドリーコーナーがあれば、洗濯する分洋服とかの荷物がちょっと少なくて済むんだよな。でもいくら洗濯したいからと言ってまさか洗濯板を持ち歩くワケにもいかないし、そこは2泊3日の間の我慢だ。この季節はTシャツにデニムが基本だし、服はさほど問題じゃないんだよ。
「そう言えば慧梨夏、お前俺がいない間どうしてるつもり? 自分の部屋にいるんだろ?」
「まあ、そうね。引きこもってひたすらゲームの周回周回周回ですよ」
「いや、飯はちゃんと食えな」
「大丈夫、ちゃんと手の届くところに食べ物置いとくし」
「食わないよりはいいけど、あんま褒められた食い方じゃねーんだよなあ」
「1人だとそんなモンだよ」
「みなもさんとかいねーのかよ」
「みなもは実家に帰ってますぅ~」
「マジか。あっ、それじゃあコミフェに一緒に行ったっていう友達は?」
「声掛ければ釣れるかもだけど、似たり寄ったりだよ」
俺がいないことで慧梨夏の生活がガタガタになるのは免れない。つかゲームの周回周回周回って。どんだけやる気だよ。そうなったときの慧梨夏は本当に動かないし飯食わないし寝ないし、心配を通り越すレベルだ。こうなったらあれか、冷蔵庫とか冷凍庫にレンチンだけで出来るちゃんとした飯を用意していくべきか。
「慧梨夏、買い物行くぞ」
「えっ、うちも?」
「お前の部屋にレンチンだけで出来る飯を作って置いてくから。友達呼ぶなり何なりして、とにかく1人を回避しろ」
「えー!?」
「1人だとお前は本当にその場から動かないからな。ンなことやってたら腐るぞ」
「もう腐ってますが」
「そっちの意味じゃねーんだよ。とにかく! 買い物に出ます! はい慧梨夏、車」
「え~!?」
自分の荷造りはそっちのけで、2泊3日を乗り切れるだけの慧梨夏の食事の管理が先になってしまうのはご愛敬だ。俺の準備は大体出来てると思うんだよ、うん。これで何か思い出したらそのときに整えるし、ちょっと摘む物を買いに出ないといけないとは思ってたんだ。外界と隔てられた場所での甘いもの大事。
「カズ、話戻るけど旅行の荷造りで忘れそうな物がまだあるの、聞きたい?」
「まあ、教えていただければ」
「スマホの充電器」
「あっ、イヤホン持ってかないとなそーいや。忘れてた」
「もー。充電器忘れちゃえ」
「言っても俺iPhoneだし他に誰かいるだろ、何十人もいりゃ。平気平気。ちゃんと持ってくけど」
end.
++++
合宿前日のいちえりちゃんです。いち氏の荷造りから始まりました。ちゃんとプレーヤーとか持ってく辺りがエラいですね
青年の家では洗濯出来ないのがイヤとか安定のヤツが出てますわ。しかも携帯用の除菌消臭スプレー持ってくとかさすが
慧梨夏のご飯問題は他に誰が解決出来そうかしら。浅浦雅弘か、大穴高崎か? まあでもいろいろいるとは思うけれども
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