2019(02)
■ナツキレンタルシステムズ
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夏合宿の班打ち合わせを班員の住んでいるマンションの一室で行うとかいう前代未聞のコトが、さも平然と行われているのが果林率いる4班のアソビっつーモンを感じさせヤすね。っつーワケで、今日はタカティ宅での班打ち合わせスわ。星港市内でオートロックのマンションとか、イートコに住んでヤすわ。
昼食のカルボナーラを食べながら、班の方針だとか、しょーもないことをただうだうだと喋るだけの打ち合わせ。がっつりとした番組のことはメシが終わってからっつーことにはなってヤす。ただ、如何せん四次元胃袋の果林が班長なだけにメシの規模はお察しスわ。まだもー少しかかりヤすね。菜月先輩のデザートもありヤすし。
「夏合宿の打ち合わせって、こんなにフランクな感じなんですね」
「ね。もうちょっとピリピリしてるかと思った」
「ヤ、それはこの班がいい意味で特殊なンすわ。ピリピリすっトコはかーなりヤバくなりヤすからね」
「大体、個人宅で班打ち合わせをするのもまあないしな。しかし、高木はよく部屋を開放したな」
「まあ、俺としては部屋の掃除をする機会になりますし、遅刻の心配がないので気が楽と言えば楽ですね」
「って言うか台所がある方が、食べ物には苦労しないしね。個人宅打ち合わせ最高」
「ま、班長がこんな調子なンでね」
一般の班員は紙皿によそわれた、班長はフライパンいっぱいのカルボナーラを食べながら、他愛もない話は続く。ヨソの班はどーしたとか、時期が時期だけにゲンゴローのステージはどーだったかとか、そんなような話を。ちなみに、ステージの方は無事成功したらしースわ。おめでとーごぜーヤす。
「果林のご飯がまだかかりそうだし、忘れる前にやっとこう。りっちゃん誕生日おめでとう」
「菜月先輩あざーす」
「えっ、りっちゃん先輩今日が誕生日なんですか!?」
「わー、おめでとうございますー」
「やァー、あざーす」
誕生日だからと言って特に何もないスし、なんなら向島大学的にはテスト期間スわ。えっ? そんなときに班打ち合わせをやるのかって? 私大組が自分と菜月先輩の都合を心配してくれヤしたけど、ゆーて自分と菜月先輩なンで、逆にテストがどーしたっつーレベルで。
「えー、知ってたらケーキ買ってきたのにー」
「やァー、ユキちゃんのその気持ちだけで十分スわ」
「りっちゃん、これがカンザキだったら?」
「そりゃァー、リツさんの誕生日がめでたいンで現金寄越せっつー。前後半年毟り取りヤすよ」
「カツアゲもいいトコじゃないか。安定のラブピだな」
「自分は菜月先輩みたく都合よく叩ける財布を持ってないンすよ」
と言うか、誕生日が中途半端な時期でよかった点はかの財布の人スわね。普通に授業のある時期だとか、授業はなくても野坂みたく特別活動の入ってくる時期になると人の誕生日にかこつけて遊びたがる人がいるンでね。結局野坂は春にもらってたあの下着セットをどーしたンすかねェ。
「りっちゃんの誕生日ということで、うちがちょっとしたプレゼントを用意したぞ」
「マジすか! 菜月先輩にそんなモンをいただいちまって、バチが当たりませんかね」
「バチも何も。これだな、この紙袋」
はいどうぞ、と菜月先輩が提げてきた紙袋の中を確認すると、ご丁寧にも梱包用のプチプチにくるまれたCDケースだということがわかりヤす。つか、集合する時点で大分重そうな感じではあったンすけど、まさか自分宛てスか。それはそれでビックリスよ。ヤ、ガチでバチが当たりそうスわ。野坂にバレないようにしたいスね。
「菜月先輩、これは」
「ミキノートを見ながらうちのCDラックのラインアップが気になるみたいな話はしてただろ。本当にあげるワケじゃないけど、貸すからぜひ聴いてください」
「マジすか。だって菜月先輩がCDケースごと外に出すだなんてそうないじゃないスか。えっ、本当にいーンすか」
「りっちゃんだからケースごと貸せるんじゃないか。丁重に扱ってくれるはずだという信頼があるからな」
「ヤ、あざす。本当にありがとうございます。ゆっくり聴かせていただきます」
菜月先輩は好みの音楽を探すのに日々CDショップに足を運んでいる。そこで気になったCDを買い漁っては光熱費が払えなくなったり、というようなことを繰り返しているくらいには音楽が好きな人で。自分もよくショップには行きヤすし、MMPの中では一番音楽の好みが近いということもあって話が弾むンすわね。
だけどCDの扱い方がまた几帳面と言うか、潔癖にも近いンすわ。買ったときについているビニールの包装は捨てずにそのままケースのカバーとして使い回すし、ぞんざいな扱いをされるのがイヤでCDを人に貸すコトはほとンどしない。例外が昼放送の音源として野坂にしている1週間レンタル。それでも貸しているのはディスクだけで。
その菜月先輩が、CDをケースと歌詞カードも一緒に貸してくれるっつーコトがどれだけ大層なコトかと。しかもご丁寧にもプチプチにまでくるんでもらって。自分に対する信頼があるっつーのは名誉なコトすね。でも、それと同時にプレッシャーでもありヤすね。
「やァー、これは本当に嬉しいス」
「喜んでもらえて何より」
「菜月先輩、12月に期待してて下さい。自分がとびっきりのお返しをしヤすんで」
「えっ、本当に期待して大丈夫か?」
「任せて下さいよ! このリツさんがちょぉーっと本気を出せば、チョロチョロのチョロですわ。言葉通りの意味のラブ&ピースを披露しヤす」
まさかこんな時期に誕生日イベントをやってもらえるとは思いヤせんでしたわ。しかも需要と供給がベストマッチ。さすが菜月先輩。でも、バレると面倒なんで野坂には黙っておいた方がいースね。嫉妬深いんスよね、アイツはなかなかに。
「果林、そろそろ食べ終わるか?」
「もうちょっとなんで、あと5分待って下さい」
「そーでした、本題は夏合宿の打ち合わせでした。テンション上がってすっかり忘れちまいましたわ」
end.
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りっちゃん誕です。めでたい。りっちゃんの誕生日ということで、菜月さんからのプレゼントです。
今回のりっちゃんはそのテンションの高揚から、普段の飄々とした感じとはまた違う、リアルなトーンが少し出た模様。
そして警戒されるノサカである。まあ、言わないけどりっちゃんはノサカの片想いに気付いてるもんな! そら菜月さんからプレゼントもらったとか言ったら面倒よ
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夏合宿の班打ち合わせを班員の住んでいるマンションの一室で行うとかいう前代未聞のコトが、さも平然と行われているのが果林率いる4班のアソビっつーモンを感じさせヤすね。っつーワケで、今日はタカティ宅での班打ち合わせスわ。星港市内でオートロックのマンションとか、イートコに住んでヤすわ。
昼食のカルボナーラを食べながら、班の方針だとか、しょーもないことをただうだうだと喋るだけの打ち合わせ。がっつりとした番組のことはメシが終わってからっつーことにはなってヤす。ただ、如何せん四次元胃袋の果林が班長なだけにメシの規模はお察しスわ。まだもー少しかかりヤすね。菜月先輩のデザートもありヤすし。
「夏合宿の打ち合わせって、こんなにフランクな感じなんですね」
「ね。もうちょっとピリピリしてるかと思った」
「ヤ、それはこの班がいい意味で特殊なンすわ。ピリピリすっトコはかーなりヤバくなりヤすからね」
「大体、個人宅で班打ち合わせをするのもまあないしな。しかし、高木はよく部屋を開放したな」
「まあ、俺としては部屋の掃除をする機会になりますし、遅刻の心配がないので気が楽と言えば楽ですね」
「って言うか台所がある方が、食べ物には苦労しないしね。個人宅打ち合わせ最高」
「ま、班長がこんな調子なンでね」
一般の班員は紙皿によそわれた、班長はフライパンいっぱいのカルボナーラを食べながら、他愛もない話は続く。ヨソの班はどーしたとか、時期が時期だけにゲンゴローのステージはどーだったかとか、そんなような話を。ちなみに、ステージの方は無事成功したらしースわ。おめでとーごぜーヤす。
「果林のご飯がまだかかりそうだし、忘れる前にやっとこう。りっちゃん誕生日おめでとう」
「菜月先輩あざーす」
「えっ、りっちゃん先輩今日が誕生日なんですか!?」
「わー、おめでとうございますー」
「やァー、あざーす」
誕生日だからと言って特に何もないスし、なんなら向島大学的にはテスト期間スわ。えっ? そんなときに班打ち合わせをやるのかって? 私大組が自分と菜月先輩の都合を心配してくれヤしたけど、ゆーて自分と菜月先輩なンで、逆にテストがどーしたっつーレベルで。
「えー、知ってたらケーキ買ってきたのにー」
「やァー、ユキちゃんのその気持ちだけで十分スわ」
「りっちゃん、これがカンザキだったら?」
「そりゃァー、リツさんの誕生日がめでたいンで現金寄越せっつー。前後半年毟り取りヤすよ」
「カツアゲもいいトコじゃないか。安定のラブピだな」
「自分は菜月先輩みたく都合よく叩ける財布を持ってないンすよ」
と言うか、誕生日が中途半端な時期でよかった点はかの財布の人スわね。普通に授業のある時期だとか、授業はなくても野坂みたく特別活動の入ってくる時期になると人の誕生日にかこつけて遊びたがる人がいるンでね。結局野坂は春にもらってたあの下着セットをどーしたンすかねェ。
「りっちゃんの誕生日ということで、うちがちょっとしたプレゼントを用意したぞ」
「マジすか! 菜月先輩にそんなモンをいただいちまって、バチが当たりませんかね」
「バチも何も。これだな、この紙袋」
はいどうぞ、と菜月先輩が提げてきた紙袋の中を確認すると、ご丁寧にも梱包用のプチプチにくるまれたCDケースだということがわかりヤす。つか、集合する時点で大分重そうな感じではあったンすけど、まさか自分宛てスか。それはそれでビックリスよ。ヤ、ガチでバチが当たりそうスわ。野坂にバレないようにしたいスね。
「菜月先輩、これは」
「ミキノートを見ながらうちのCDラックのラインアップが気になるみたいな話はしてただろ。本当にあげるワケじゃないけど、貸すからぜひ聴いてください」
「マジすか。だって菜月先輩がCDケースごと外に出すだなんてそうないじゃないスか。えっ、本当にいーンすか」
「りっちゃんだからケースごと貸せるんじゃないか。丁重に扱ってくれるはずだという信頼があるからな」
「ヤ、あざす。本当にありがとうございます。ゆっくり聴かせていただきます」
菜月先輩は好みの音楽を探すのに日々CDショップに足を運んでいる。そこで気になったCDを買い漁っては光熱費が払えなくなったり、というようなことを繰り返しているくらいには音楽が好きな人で。自分もよくショップには行きヤすし、MMPの中では一番音楽の好みが近いということもあって話が弾むンすわね。
だけどCDの扱い方がまた几帳面と言うか、潔癖にも近いンすわ。買ったときについているビニールの包装は捨てずにそのままケースのカバーとして使い回すし、ぞんざいな扱いをされるのがイヤでCDを人に貸すコトはほとンどしない。例外が昼放送の音源として野坂にしている1週間レンタル。それでも貸しているのはディスクだけで。
その菜月先輩が、CDをケースと歌詞カードも一緒に貸してくれるっつーコトがどれだけ大層なコトかと。しかもご丁寧にもプチプチにまでくるんでもらって。自分に対する信頼があるっつーのは名誉なコトすね。でも、それと同時にプレッシャーでもありヤすね。
「やァー、これは本当に嬉しいス」
「喜んでもらえて何より」
「菜月先輩、12月に期待してて下さい。自分がとびっきりのお返しをしヤすんで」
「えっ、本当に期待して大丈夫か?」
「任せて下さいよ! このリツさんがちょぉーっと本気を出せば、チョロチョロのチョロですわ。言葉通りの意味のラブ&ピースを披露しヤす」
まさかこんな時期に誕生日イベントをやってもらえるとは思いヤせんでしたわ。しかも需要と供給がベストマッチ。さすが菜月先輩。でも、バレると面倒なんで野坂には黙っておいた方がいースね。嫉妬深いんスよね、アイツはなかなかに。
「果林、そろそろ食べ終わるか?」
「もうちょっとなんで、あと5分待って下さい」
「そーでした、本題は夏合宿の打ち合わせでした。テンション上がってすっかり忘れちまいましたわ」
end.
++++
りっちゃん誕です。めでたい。りっちゃんの誕生日ということで、菜月さんからのプレゼントです。
今回のりっちゃんはそのテンションの高揚から、普段の飄々とした感じとはまた違う、リアルなトーンが少し出た模様。
そして警戒されるノサカである。まあ、言わないけどりっちゃんはノサカの片想いに気付いてるもんな! そら菜月さんからプレゼントもらったとか言ったら面倒よ
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