2017(02)
■目まぐるしくブラックな
++++
7月も後半になってテストも近くなると、情報センターも繁忙期に入るんだそうだ。俺にとっては初めてのテスト期間ということもあって、自分のテストのことも心配だけどセンターの繁忙期も心配だ。
繁忙期ともなるとセンターには利用者がひっきりなしにやってくる。だからいつもよりもシフトはカツカツだし、授業の合間の1コマ分だろうと入れるところには容赦なく突っ込まれている。
情報センターで課題をしたりするのは主に文系の人たち。林原さん曰く理系の人はゼミ室とか情報系の教室にこもってやってることが多いとかで。確かに俺も入学するときに学科で小さいノートパソコンを買わされたし、課題とかはそれを使ってる。
「うーい、芹サンが帰ったぞー」
「春山さんおかえりなさーい」
「変わったことはなかったか?」
「特になかったですー」
「ならいいんだけど」
静かだなんて逆に不気味だな、と春山さんはジャンパーを羽織る。繁忙期とは言え静かなこともあると思うんだけど、何がどう不気味なのか、1年の俺にはまだまだ想像もつかないんだ。わからない方が幸せなのかもしれないし、深追いはしない。
すると、自習室の扉が開いて中から人が出てきた。ううん、これは出てきたという感じじゃない。わあわあと男子学生の怒号が響き、その後ろには鋭い目つきの林原さん。何て言うか、尋常じゃない。
「とうとう始まったか」
「春山さん、B-09です」
「へーへー。はい、お疲れしたー」
どうやらこの人は林原さんにつまみ出されたらしい。話にはちらりと聞いたことがあたけど、本当にあるんだ。そっか、そりゃあるよね。春山さんの様子を見てたら全然驚いてないし!
「あの、春山さん。今の人は」
「何らかの規約違反をしたんだろ。だからリンにつまみ出された」
「つまみ出されて、あの人は課題とか」
「知ったこっちゃない。ただ、リンはその辺無慈悲だとは言っとく。保存してあるしてないに関係なく即ブチるからな」
「うわー……」
「これからああいうのも普通に出てくるからな。怒鳴り込まれても怯むなよ」
「がんばりますー」
怒鳴り込まれるとか、怖いですよね! って言うかどのレベルの規約を破ったらつまみ出されるのかっていう基準がよくわかんないし、それは今度林原さんに聞くとして、俺がB番だった場合っていう問題もあるよね!
「春山さん、俺がB番のときにああいう人に出会ったらどうしたらいいんですか?」
「リンみたく極端にやれとは言わないけど、最低限の注意はしろ。何遍言っても聞かないならブラリに登録」
「今の人は何をして追い出されたんですか?」
「さあ。知らないけど、大体のパターンとしては隣近所の奴とウルサくしまくったとか、飲食してたとかじゃねーか? 1回目ならリンだってつまみ出しゃしねーはずだ。何遍言っても聞かねーからああなったんだろ」
春山さんはブラックリストの編集をしつつ、忙しくなってきたなーとアイスコーヒーを煽っている。何でも、春山さんがいない間に林原さんがブラックリストに登録しまくるんだそうだ。
確かに俺も林原さんから一番軽いレベルの登録をいくつも頼まれてたなあと思い出す。軽いレベルの登録ならセンター利用不可になるとかではないし、割と躊躇なくやっちゃってたんだけど。
「リンは課題だろうと卒論だろうと本当に容赦ないからな。特に卒論書いててつまみ出された奴は受付でも問答無用で暴れるから気をつけろ」
「それは確かに暴れるような気もしますけど、卒論でも追い出すんですね!?」
「まあ、その辺は平等だからなあ」
今だからこうやって話してる余裕もあるんだろうけど、これからまだまだ激しくなるんだろうなあ。自分のテストも大変だけど、テスト期間のアルバイトも大変だ。頑張ろう。
end.
++++
毎期同じような話をしてるんだけど、やっぱりミドリにわーひゃー言わせたい。
レポートだろうと卒論だろうと利用者は利用者でみんな平等、そもそもお客様ではないので掴みかかられたりする覚えもないんだそうだ!
アクティブなスタッフが4人だと、文系4年の春山さんがすっごい常駐してるみたいなことになって帰省時のお土産資金に期待が持てそうですね
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7月も後半になってテストも近くなると、情報センターも繁忙期に入るんだそうだ。俺にとっては初めてのテスト期間ということもあって、自分のテストのことも心配だけどセンターの繁忙期も心配だ。
繁忙期ともなるとセンターには利用者がひっきりなしにやってくる。だからいつもよりもシフトはカツカツだし、授業の合間の1コマ分だろうと入れるところには容赦なく突っ込まれている。
情報センターで課題をしたりするのは主に文系の人たち。林原さん曰く理系の人はゼミ室とか情報系の教室にこもってやってることが多いとかで。確かに俺も入学するときに学科で小さいノートパソコンを買わされたし、課題とかはそれを使ってる。
「うーい、芹サンが帰ったぞー」
「春山さんおかえりなさーい」
「変わったことはなかったか?」
「特になかったですー」
「ならいいんだけど」
静かだなんて逆に不気味だな、と春山さんはジャンパーを羽織る。繁忙期とは言え静かなこともあると思うんだけど、何がどう不気味なのか、1年の俺にはまだまだ想像もつかないんだ。わからない方が幸せなのかもしれないし、深追いはしない。
すると、自習室の扉が開いて中から人が出てきた。ううん、これは出てきたという感じじゃない。わあわあと男子学生の怒号が響き、その後ろには鋭い目つきの林原さん。何て言うか、尋常じゃない。
「とうとう始まったか」
「春山さん、B-09です」
「へーへー。はい、お疲れしたー」
どうやらこの人は林原さんにつまみ出されたらしい。話にはちらりと聞いたことがあたけど、本当にあるんだ。そっか、そりゃあるよね。春山さんの様子を見てたら全然驚いてないし!
「あの、春山さん。今の人は」
「何らかの規約違反をしたんだろ。だからリンにつまみ出された」
「つまみ出されて、あの人は課題とか」
「知ったこっちゃない。ただ、リンはその辺無慈悲だとは言っとく。保存してあるしてないに関係なく即ブチるからな」
「うわー……」
「これからああいうのも普通に出てくるからな。怒鳴り込まれても怯むなよ」
「がんばりますー」
怒鳴り込まれるとか、怖いですよね! って言うかどのレベルの規約を破ったらつまみ出されるのかっていう基準がよくわかんないし、それは今度林原さんに聞くとして、俺がB番だった場合っていう問題もあるよね!
「春山さん、俺がB番のときにああいう人に出会ったらどうしたらいいんですか?」
「リンみたく極端にやれとは言わないけど、最低限の注意はしろ。何遍言っても聞かないならブラリに登録」
「今の人は何をして追い出されたんですか?」
「さあ。知らないけど、大体のパターンとしては隣近所の奴とウルサくしまくったとか、飲食してたとかじゃねーか? 1回目ならリンだってつまみ出しゃしねーはずだ。何遍言っても聞かねーからああなったんだろ」
春山さんはブラックリストの編集をしつつ、忙しくなってきたなーとアイスコーヒーを煽っている。何でも、春山さんがいない間に林原さんがブラックリストに登録しまくるんだそうだ。
確かに俺も林原さんから一番軽いレベルの登録をいくつも頼まれてたなあと思い出す。軽いレベルの登録ならセンター利用不可になるとかではないし、割と躊躇なくやっちゃってたんだけど。
「リンは課題だろうと卒論だろうと本当に容赦ないからな。特に卒論書いててつまみ出された奴は受付でも問答無用で暴れるから気をつけろ」
「それは確かに暴れるような気もしますけど、卒論でも追い出すんですね!?」
「まあ、その辺は平等だからなあ」
今だからこうやって話してる余裕もあるんだろうけど、これからまだまだ激しくなるんだろうなあ。自分のテストも大変だけど、テスト期間のアルバイトも大変だ。頑張ろう。
end.
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毎期同じような話をしてるんだけど、やっぱりミドリにわーひゃー言わせたい。
レポートだろうと卒論だろうと利用者は利用者でみんな平等、そもそもお客様ではないので掴みかかられたりする覚えもないんだそうだ!
アクティブなスタッフが4人だと、文系4年の春山さんがすっごい常駐してるみたいなことになって帰省時のお土産資金に期待が持てそうですね
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