2019
■ステージスターは盤上で踊る
++++
「朝霞クンおはよ~」
「ああ、来たか。それじゃあ行くか」
「今日は何するの~? 映画マラソン?」
「いや、今日は映画じゃない」
朝の10時から朝霞クンと待ち合わせ。映画かなって思ったけど今日は違うみたい。朝霞クンとの遊びは、一見それは本当に遊びのように見えるんだけど、実際はステージのためのインプットとか調査活動なんだ。う~ん、見る人が見れば部活も遊びなんだろうけどネ。
今日は映画じゃないって聞いてちょっとホッとしたよね。朝霞クンの映画マラソンて本当に映画ばっかり丸1日見続けるから、そのうち座ってるのがしんどくなってくるんだよね。それでこないだちょっと腰が痛くなっちゃったし。
「映画じゃなかったら、な~に~?」
「今日はボードゲームショップに行こうと思って」
「ボードゲーム? 人生ゲームとか?」
「そうだな、人生ゲームはボードゲームの中でもかなりメジャーだな。普段やらない層にも知れ渡ってるし」
「えっと、朝霞クンが探そうとしてるボードゲームが俺の知らないような物だってことはよ~くわかったよ~」
朝霞クンの趣味と言えば読書と映画なんだけど、その他にも実はボードゲームっていう趣味があるんだって~。朝霞クンの両親がボードゲーム好きで、実家にいた頃は家族でよくやってたそうだ。実家に帰る度に新しいゲームが増えてたりするんだって~。
「でも、朝霞クンがステージに関係ないお出掛けに俺を連れ回すって珍し~」
「ん? お前、これがステージに関係ないとでも思ってたのか」
「ウソ!? これもステージに関係するの!?」
「ステージでやる企画はボードゲームから着想を得てる物も少なくないぞ。それをステージに最適化するようアレンジすることも多々だ」
「へ~、そうだったんだ~。なるほど、子供の頃からボードゲームをやってるのがステージの基礎になってるんだ」
「まあ、そんなようなことだ」
「で、それと俺がどう関係するの?」
「それはお前、企画を回すMCがボードゲームに不慣れだとイレギュラーに対応しきれないだろ」
「あはは~……ボードゲームに慣れることもステージスターとしての心得なの~?」
「その通りだ。言うなれば今日はボードゲーム修行日だ」
どうせやるならステージ関係なく遊びたかった気持ちもあるけど、まずはボードゲームを楽しむことがステージスターとしての第一条件なのかな、こと朝霞班においては。でも、そうだよね。プロデューサーの基礎になってる物事を知っておいた方が後々役に立つかもしれないって、今はそんな風に納得しとこう。
朝霞クンの先導でお店に入ると、所狭しとボードゲームが並べられていた。それに、実際にゲームをやってる人もいる。朝霞クンによれば一言でボードゲームと言ってもジャンルは多種多様。謎解きや人狼系、パズルにアクションなどなど本当にいろいろ揃ってる。
「並んでるのを眺めてるだけでも1日潰せるよな」
「好きな人には楽しいんだろうね~」
「山口、2人用のゲームでもやってみるか。買うから好きなの選んでくれ」
「えっ、いいの?」
「ああ」
「ステージに関係した方がいい?」
「いや、直観でいいぞ。ステージに関係させるのは俺の仕事だからな」
「え~、どれにしようかな~」
何か不穏な言葉が聞こえたような気がするのは気の所為ということにしておいて、俺は朝霞クンと遊びたい2人用のゲームを探す。中には海外のゲームも多くある。一応日本語版のルールも付いてるみたいだけど、それを見ながら候補を絞っていく。
「ねえ朝霞クン、俺これやりたい!」
「どれだ?」
「これ! この、クイキシオってヤツ」
「ふむ、自分のマークのキューブを縦横斜めに列にする……一種の五目並べ系だな。いいじゃないか」
「でもね、これもやってみたいんだよ。キピットっていうの」
「シーソーの上にキューブを積んでいって、手持ちのキューブをなくすっていうゲームか。お前、木が好きなのか」
「よくわかんないけど、直感で選んだらたまたま~」
どっちがよりやりたいかな~って思って吟味しようとしてたら、朝霞クンは2つとも抱えてレジに行っちゃったよね。って言うか俺の選んだヤツ、ちょこちょこ見てた中じゃ4000円弱でちょっとお高めっていう印象だったけど、それをポンと2つとも買っちゃう?
「山口、待たせたな」
「2つとも買っちゃったね~」
「いいんだ、実家であんまり見ないジャンルだから新鮮だと思って」
「朝霞クンの実家ってどんなジャンルのゲームが多いの?」
「陣取りとかシミュレーション、コミュニケーション系とかかな。こんなの買ったって後で母さんにLINEしとこう。それはそうと、さっそくうち行くか。ゲームもやりたいし、DVDも借りて来てるんだ」
「やっぱり映画見るんじゃん!」
「今日は1本だぞ。山口、丸の池の枠もとうとう出されたんだ。1日だって無駄には出来ないだろ」
星ヶ丘放送部の最大の行事が丸の池公園で行われる夏のステージ。朝霞クンはいつだってステージに本気だけど、3年生になって迎える丸の池ステージにかける意気込みは多分いつもの比じゃないはず。ステージの枠も無事にもらえて、いよいよ班での準備も本腰を入れるんだ。
「でも、その前に腹ごしらえしていくぞ。ベーグルでも食ってくか」
「行く行く~! あっ。って言うかさ朝霞クン、今日は何の日でしょ~か!」
「特に覚えがないな」
「やっぱり! 俺の誕生日ですぅ~!」
「いや、そんなウソ泣きしながら言われても」
「今日はこれから遊んでもらうからいいけど、つばちゃんの誕生日も明日だからね。朝霞班の決起集会やろうよ~、ゲンゴローの歓迎会を兼ねてさ~」
end.
++++
山口洋平さんの誕生日なので、単純に洋朝をわちゃわちゃさせるだけ。土曜日なので朝霞班ではなく洋朝でのお出掛け。
朝霞Pはボードゲームが好きという設定があるのだけど、それが生きたことはほぼほぼなかった……
ただ、ステージの台本にしろ今後USDXであーだこーだやるようになってもボードゲームの基礎が生きて来るのかな、とはうっすらと。
.
++++
「朝霞クンおはよ~」
「ああ、来たか。それじゃあ行くか」
「今日は何するの~? 映画マラソン?」
「いや、今日は映画じゃない」
朝の10時から朝霞クンと待ち合わせ。映画かなって思ったけど今日は違うみたい。朝霞クンとの遊びは、一見それは本当に遊びのように見えるんだけど、実際はステージのためのインプットとか調査活動なんだ。う~ん、見る人が見れば部活も遊びなんだろうけどネ。
今日は映画じゃないって聞いてちょっとホッとしたよね。朝霞クンの映画マラソンて本当に映画ばっかり丸1日見続けるから、そのうち座ってるのがしんどくなってくるんだよね。それでこないだちょっと腰が痛くなっちゃったし。
「映画じゃなかったら、な~に~?」
「今日はボードゲームショップに行こうと思って」
「ボードゲーム? 人生ゲームとか?」
「そうだな、人生ゲームはボードゲームの中でもかなりメジャーだな。普段やらない層にも知れ渡ってるし」
「えっと、朝霞クンが探そうとしてるボードゲームが俺の知らないような物だってことはよ~くわかったよ~」
朝霞クンの趣味と言えば読書と映画なんだけど、その他にも実はボードゲームっていう趣味があるんだって~。朝霞クンの両親がボードゲーム好きで、実家にいた頃は家族でよくやってたそうだ。実家に帰る度に新しいゲームが増えてたりするんだって~。
「でも、朝霞クンがステージに関係ないお出掛けに俺を連れ回すって珍し~」
「ん? お前、これがステージに関係ないとでも思ってたのか」
「ウソ!? これもステージに関係するの!?」
「ステージでやる企画はボードゲームから着想を得てる物も少なくないぞ。それをステージに最適化するようアレンジすることも多々だ」
「へ~、そうだったんだ~。なるほど、子供の頃からボードゲームをやってるのがステージの基礎になってるんだ」
「まあ、そんなようなことだ」
「で、それと俺がどう関係するの?」
「それはお前、企画を回すMCがボードゲームに不慣れだとイレギュラーに対応しきれないだろ」
「あはは~……ボードゲームに慣れることもステージスターとしての心得なの~?」
「その通りだ。言うなれば今日はボードゲーム修行日だ」
どうせやるならステージ関係なく遊びたかった気持ちもあるけど、まずはボードゲームを楽しむことがステージスターとしての第一条件なのかな、こと朝霞班においては。でも、そうだよね。プロデューサーの基礎になってる物事を知っておいた方が後々役に立つかもしれないって、今はそんな風に納得しとこう。
朝霞クンの先導でお店に入ると、所狭しとボードゲームが並べられていた。それに、実際にゲームをやってる人もいる。朝霞クンによれば一言でボードゲームと言ってもジャンルは多種多様。謎解きや人狼系、パズルにアクションなどなど本当にいろいろ揃ってる。
「並んでるのを眺めてるだけでも1日潰せるよな」
「好きな人には楽しいんだろうね~」
「山口、2人用のゲームでもやってみるか。買うから好きなの選んでくれ」
「えっ、いいの?」
「ああ」
「ステージに関係した方がいい?」
「いや、直観でいいぞ。ステージに関係させるのは俺の仕事だからな」
「え~、どれにしようかな~」
何か不穏な言葉が聞こえたような気がするのは気の所為ということにしておいて、俺は朝霞クンと遊びたい2人用のゲームを探す。中には海外のゲームも多くある。一応日本語版のルールも付いてるみたいだけど、それを見ながら候補を絞っていく。
「ねえ朝霞クン、俺これやりたい!」
「どれだ?」
「これ! この、クイキシオってヤツ」
「ふむ、自分のマークのキューブを縦横斜めに列にする……一種の五目並べ系だな。いいじゃないか」
「でもね、これもやってみたいんだよ。キピットっていうの」
「シーソーの上にキューブを積んでいって、手持ちのキューブをなくすっていうゲームか。お前、木が好きなのか」
「よくわかんないけど、直感で選んだらたまたま~」
どっちがよりやりたいかな~って思って吟味しようとしてたら、朝霞クンは2つとも抱えてレジに行っちゃったよね。って言うか俺の選んだヤツ、ちょこちょこ見てた中じゃ4000円弱でちょっとお高めっていう印象だったけど、それをポンと2つとも買っちゃう?
「山口、待たせたな」
「2つとも買っちゃったね~」
「いいんだ、実家であんまり見ないジャンルだから新鮮だと思って」
「朝霞クンの実家ってどんなジャンルのゲームが多いの?」
「陣取りとかシミュレーション、コミュニケーション系とかかな。こんなの買ったって後で母さんにLINEしとこう。それはそうと、さっそくうち行くか。ゲームもやりたいし、DVDも借りて来てるんだ」
「やっぱり映画見るんじゃん!」
「今日は1本だぞ。山口、丸の池の枠もとうとう出されたんだ。1日だって無駄には出来ないだろ」
星ヶ丘放送部の最大の行事が丸の池公園で行われる夏のステージ。朝霞クンはいつだってステージに本気だけど、3年生になって迎える丸の池ステージにかける意気込みは多分いつもの比じゃないはず。ステージの枠も無事にもらえて、いよいよ班での準備も本腰を入れるんだ。
「でも、その前に腹ごしらえしていくぞ。ベーグルでも食ってくか」
「行く行く~! あっ。って言うかさ朝霞クン、今日は何の日でしょ~か!」
「特に覚えがないな」
「やっぱり! 俺の誕生日ですぅ~!」
「いや、そんなウソ泣きしながら言われても」
「今日はこれから遊んでもらうからいいけど、つばちゃんの誕生日も明日だからね。朝霞班の決起集会やろうよ~、ゲンゴローの歓迎会を兼ねてさ~」
end.
++++
山口洋平さんの誕生日なので、単純に洋朝をわちゃわちゃさせるだけ。土曜日なので朝霞班ではなく洋朝でのお出掛け。
朝霞Pはボードゲームが好きという設定があるのだけど、それが生きたことはほぼほぼなかった……
ただ、ステージの台本にしろ今後USDXであーだこーだやるようになってもボードゲームの基礎が生きて来るのかな、とはうっすらと。
.