2019
■裏の話のまたその裏側
++++
「コシー、お疲れーっす」
「お疲れさまです。と言うか本当に2次会行かなかったんですか」
「俺この後用事あってさー。それに、何やかんや長くなるでしょ? 先輩メインだからなかなか断れないし。明日も早いから響かないようにね」
今日は久々に結婚式の披露宴会場の現場にお邪魔した。もちろん新郎新婦の関係や参列者などではなく、バイトでだ。俺は結婚式で使う映像作品を作る会社でアルバイトをしている。今日執り行われた披露宴で使った映像を担当していたんだ。今月は他にも何件か現場に出向くことになるだろう。
今回の現場では俺が日頃指導している諏訪姉妹も現場デビューした。まだ何をするというワケではないけれど、現場ではどういう仕事があって、どういう風に立ち振る舞って……ということを教えるという仕事。俺も社員さんのアシスタントだけど、今日は姉妹がいたから何だこの集団、的な感じにはなっていたと思う。
この披露宴というのが俺の中では少しワケありと言うか、曰く付きと言うか。別に仏滅に行われた式だからというワケではない。バイト後にこうして落ち合った先輩が少し関係している。この人は水沢祐大さんといって、俺から見れば2コ上? の向島の先輩だ。麻里と付き合っていて、マーとも仲が良かったように思う。
何を隠そう今日の式というのが俗に言うインターフェイス婚。向島の馬場さんという先輩と、青女の高田さんという先輩の結婚式だったそうだ。ダイさんはその参列者で、他にもインターフェイス関係の人がわらわら来ていたそうだ。だけど学年や学校の関係で俺の知っている人はほとんどいなかった。
「わかる? だらだらと酒ばっか飲んでる2次会はさ、出たい気分のときとそうじゃない気分の時があるのよ。出たくないからと言って、それじゃーすぐ直帰しますかって言ったらそーでもないのよ」
「わからないでもないです」
「だからちょっとだけ付き合ってね。マーから聞いてる話、コシにも確認しときたいし」
ちょっとだけ飯に付き合ってね、と連れて来られたのはステーキ店だ。俺も腹が減ってたし、ちょうどいいと思って。ここで俺はチキンステーキを、ダイさんは和風おろしハンバーグを注文。サラダバーで適当なものを摘みながら本題へ。そもそもが接点のほとんどない先輩だから、本題に入ってもらわないとどうしていいかわからない。
「マーから聞いたけど、こないだ俺と馬場ちゃんが密会してた飲み屋、コシの後輩の子がバイトしてる店だったみたいね」
「あ、聞いてたんですね。と言うかすみません、勝手にベラベラ喋っちゃって」
「ううん、今回のケースに関してはむしろオッケーよ。マーに話が伝わったおかげでより今の対策委員に近い子……この場合、ウチと緑ヶ丘の3年生になるのかな? その辺にアドバイス出来たワケだし」
こないだ、洋平からここだけの話なんですけど~って相談を受けてたんだ。ウチの店で初心者講習会の関係の密会が行われてたんですけど~って。その会話内容がとても不穏で、だけど自分は店員だし、でも前対策委員だから気になってしょうがなくて~って。で、その密会をしていたのが今日の新郎・馬場さんとダイさんだ。
どう不穏だったのかと言うと、馬場さんに向島の三井が接触して講習会の講師を依頼したと。だけど講習会を主催する対策委員は顔を出さないし、どうなってるんだと。対策委員は本当に実在するのか、講習会はあるのか、そんなようなことを話していたということらしい。
「その後のことって何か聞いた?」
「いえ、俺は何も聞いてないです」
「何かさ、馬場ちゃん言ってたけど講習会の日にち? 間違ってたらしいじゃん。ミッツは「対策委員の子が間違った日付を言ってきて~」とか言ってたそうだけど」
「それはさすがにないでしょう」
「だよね」
スマホに何か通知が入ったようで、バイト関係でもいけないから一言断りを入れてスマホに目をやる。と言うかタイムリーだな。俺にLINEを送ってきたのは戸田だ。その内容は「こっしー例のプロ講師(笑)について何か知ってんの」と。
「ダイさん、ウチの対策委員からLINE来ました」
「おっ、タイムリーじゃん。講習会上手く行ったのかな?」
「聞いてみますか」
「聞いて聞いて~」
例のプロ講師については単に映像を作った客というだけで他には何も知らないとだけ答え、俺が戸田に質問返しをする。講習会はどうだったのかと。プロ講師の代わりは誰か見つかったのか、これまでの粗筋は何となく聞いてるけど、と。するとすぐに返事が来た。
「あー……何か、馬場さんが結果ドタキャンみたいになった後は、なっちが講師になったっぽいですね。講習会自体は結果的にとても良かったと」
「あー、菜月がフォローしたワケね。よかったよかった」
戸田からのLINEには続きがあった。ダイさんとの件には関係ないから言わなかったけど。その内容は「こっしーの後釜が見つかったかも」と。インターフェイスどうこうじゃなく、朝霞班に関わることだろう。俺の後釜……つまり、変なミキサーがいたのかもしれない。それも含めて戸田には「良かったな」と返信をした。
そんなことを話していたら、各自の鉄板が届いた。さっそく熱々の肉を頬張り、接点があまりないからこその他愛ない会話を積み重ねる。インターフェイスも放送部も、そろそろ大きな波が来る頃だろう。俺は外から見守るだけだけど。と言うか、班にミキサーなんか来よう物なら朝霞は喜びのあまり発狂しないだろうか。大丈夫かな。
「って言うかさコシ、あの店マジでいいね。俺あそこマジで気に入っちゃったのよ」
「あの店って言うと玄ですか?」
「そーそー。今度マーとかも誘って一緒に飲まない?」
「いいですね。俺がいると洋平割が利くか裏メニューが頼めるようになるんで、前より充実すると思います」
「えっ、マジで」
「マジです」
end.
++++
何か大変なことになってましたね。こっしーさんとダイさんの密会?です。一仕事終えた後で。
ダイさんはその時代の人にしては自由過ぎる感じの人だったのかしら。ダイさんの評価というのがまた気になりますね
さて、ここから次の動きに向かっていくよ! 夏に向けた動きやら、6月組の誕生会やら……今年はどんな感じになるのかな
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「コシー、お疲れーっす」
「お疲れさまです。と言うか本当に2次会行かなかったんですか」
「俺この後用事あってさー。それに、何やかんや長くなるでしょ? 先輩メインだからなかなか断れないし。明日も早いから響かないようにね」
今日は久々に結婚式の披露宴会場の現場にお邪魔した。もちろん新郎新婦の関係や参列者などではなく、バイトでだ。俺は結婚式で使う映像作品を作る会社でアルバイトをしている。今日執り行われた披露宴で使った映像を担当していたんだ。今月は他にも何件か現場に出向くことになるだろう。
今回の現場では俺が日頃指導している諏訪姉妹も現場デビューした。まだ何をするというワケではないけれど、現場ではどういう仕事があって、どういう風に立ち振る舞って……ということを教えるという仕事。俺も社員さんのアシスタントだけど、今日は姉妹がいたから何だこの集団、的な感じにはなっていたと思う。
この披露宴というのが俺の中では少しワケありと言うか、曰く付きと言うか。別に仏滅に行われた式だからというワケではない。バイト後にこうして落ち合った先輩が少し関係している。この人は水沢祐大さんといって、俺から見れば2コ上? の向島の先輩だ。麻里と付き合っていて、マーとも仲が良かったように思う。
何を隠そう今日の式というのが俗に言うインターフェイス婚。向島の馬場さんという先輩と、青女の高田さんという先輩の結婚式だったそうだ。ダイさんはその参列者で、他にもインターフェイス関係の人がわらわら来ていたそうだ。だけど学年や学校の関係で俺の知っている人はほとんどいなかった。
「わかる? だらだらと酒ばっか飲んでる2次会はさ、出たい気分のときとそうじゃない気分の時があるのよ。出たくないからと言って、それじゃーすぐ直帰しますかって言ったらそーでもないのよ」
「わからないでもないです」
「だからちょっとだけ付き合ってね。マーから聞いてる話、コシにも確認しときたいし」
ちょっとだけ飯に付き合ってね、と連れて来られたのはステーキ店だ。俺も腹が減ってたし、ちょうどいいと思って。ここで俺はチキンステーキを、ダイさんは和風おろしハンバーグを注文。サラダバーで適当なものを摘みながら本題へ。そもそもが接点のほとんどない先輩だから、本題に入ってもらわないとどうしていいかわからない。
「マーから聞いたけど、こないだ俺と馬場ちゃんが密会してた飲み屋、コシの後輩の子がバイトしてる店だったみたいね」
「あ、聞いてたんですね。と言うかすみません、勝手にベラベラ喋っちゃって」
「ううん、今回のケースに関してはむしろオッケーよ。マーに話が伝わったおかげでより今の対策委員に近い子……この場合、ウチと緑ヶ丘の3年生になるのかな? その辺にアドバイス出来たワケだし」
こないだ、洋平からここだけの話なんですけど~って相談を受けてたんだ。ウチの店で初心者講習会の関係の密会が行われてたんですけど~って。その会話内容がとても不穏で、だけど自分は店員だし、でも前対策委員だから気になってしょうがなくて~って。で、その密会をしていたのが今日の新郎・馬場さんとダイさんだ。
どう不穏だったのかと言うと、馬場さんに向島の三井が接触して講習会の講師を依頼したと。だけど講習会を主催する対策委員は顔を出さないし、どうなってるんだと。対策委員は本当に実在するのか、講習会はあるのか、そんなようなことを話していたということらしい。
「その後のことって何か聞いた?」
「いえ、俺は何も聞いてないです」
「何かさ、馬場ちゃん言ってたけど講習会の日にち? 間違ってたらしいじゃん。ミッツは「対策委員の子が間違った日付を言ってきて~」とか言ってたそうだけど」
「それはさすがにないでしょう」
「だよね」
スマホに何か通知が入ったようで、バイト関係でもいけないから一言断りを入れてスマホに目をやる。と言うかタイムリーだな。俺にLINEを送ってきたのは戸田だ。その内容は「こっしー例のプロ講師(笑)について何か知ってんの」と。
「ダイさん、ウチの対策委員からLINE来ました」
「おっ、タイムリーじゃん。講習会上手く行ったのかな?」
「聞いてみますか」
「聞いて聞いて~」
例のプロ講師については単に映像を作った客というだけで他には何も知らないとだけ答え、俺が戸田に質問返しをする。講習会はどうだったのかと。プロ講師の代わりは誰か見つかったのか、これまでの粗筋は何となく聞いてるけど、と。するとすぐに返事が来た。
「あー……何か、馬場さんが結果ドタキャンみたいになった後は、なっちが講師になったっぽいですね。講習会自体は結果的にとても良かったと」
「あー、菜月がフォローしたワケね。よかったよかった」
戸田からのLINEには続きがあった。ダイさんとの件には関係ないから言わなかったけど。その内容は「こっしーの後釜が見つかったかも」と。インターフェイスどうこうじゃなく、朝霞班に関わることだろう。俺の後釜……つまり、変なミキサーがいたのかもしれない。それも含めて戸田には「良かったな」と返信をした。
そんなことを話していたら、各自の鉄板が届いた。さっそく熱々の肉を頬張り、接点があまりないからこその他愛ない会話を積み重ねる。インターフェイスも放送部も、そろそろ大きな波が来る頃だろう。俺は外から見守るだけだけど。と言うか、班にミキサーなんか来よう物なら朝霞は喜びのあまり発狂しないだろうか。大丈夫かな。
「って言うかさコシ、あの店マジでいいね。俺あそこマジで気に入っちゃったのよ」
「あの店って言うと玄ですか?」
「そーそー。今度マーとかも誘って一緒に飲まない?」
「いいですね。俺がいると洋平割が利くか裏メニューが頼めるようになるんで、前より充実すると思います」
「えっ、マジで」
「マジです」
end.
++++
何か大変なことになってましたね。こっしーさんとダイさんの密会?です。一仕事終えた後で。
ダイさんはその時代の人にしては自由過ぎる感じの人だったのかしら。ダイさんの評価というのがまた気になりますね
さて、ここから次の動きに向かっていくよ! 夏に向けた動きやら、6月組の誕生会やら……今年はどんな感じになるのかな
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