2019
■過去の人と伸びて行く道
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最近は5月とは思えないほどの暑さで、いくら俺が寒いよりは暑い方が好きだと言ってもさすがにやり過ぎだと思う。どうして寒いよりは暑い方がマシかと言うと、寒いとガチで動けなくなるが、暑い分にはまだビールが美味いとかいい要素もあるからだ。そう、暑くなるとビールが飲みたくなる。
――というワケで、懐かしい面々と久々に顔を合わせるビアガーデン。前対策委員の同士である性悪の似非優等生・石川と、活動序盤の大問題児・山口の3人でやって来た。山口とはこないだのファンフェスで会ったばかりだけど、性悪は対策解散以来か? とにかく久し振りだ。
「高崎クン……はこないだ会ったけど、石川クンは久し振りでしょでしょ~」
「話には聞いてたけど、お前は本当に変わりないな」
「つかビアガーデンとか最高かよ」
「今日は俺もバイトないし~、せっかくだし昼から飲まない? 的な~」
山口が予約を入れておいてくれたのは、バーベキュービアガーデンのランチコースだ。昼時間だと夜のコースよりも値段が少し安く済むのと、一応は学生だし授業があるから明日に響くのも、ということで昼からのコースにしたそうだ。
肉の串やら何やらが食い放題だし、ビールも国内外の結構な銘柄が飲み放題。さすが山口と言ったところか、これは期待以上だった。俺たちの学年でたまに何らかの会が企画されるとその幹事は大体山口だ。買って出るだけあって上手いんだ、段取りが。
「そう言えばさ~、いきなり残念な話するんだけどさ~、長野っちがさ~、消化器やらかして入院しちゃったんだよね~」
「えっ、マジか。いつからだ?」
「ファンフェスの日に~。ほら高崎クン、朝霞クンの班。直前までバタバタしてたデショ?」
「ああ、何か果林のトコでリク消化してたな。もしかして長野の件が関係してんのか」
「松江クンと長野っちが一緒のときに血を吐いちゃったみたくて、そのまま長野っちについててあげてたんだって。それでファンフェスに来れなくなっちゃってさ~」
「まあ、解釈のしようによっては長野1人の時じゃなくて良かったとも言えるな」
「本当にそれなんだよ石川クン!」
血を吐くだの何だのという話をしながら肉を食っている俺たちも俺たちだが、長野の見舞いに行ってきた時の様子を山口は語る。思ったよりも元気そうだったこと、見舞いに持って行った折り紙と筆記用具に対して思ったよりいい反応をしていたことなんかを。
そこで、長野の後輩とかいう奴がインターフェイスの活動に興味を持っているらしいということも聞いた。出たいなら出ればいいという至極真っ当なことを朝霞が言い、星ヶ丘の対策委員……つばめの連絡先を一方的に渡して連絡が渡るようにしたそうだ。
「もう初心者講習会の時期なんだよね~って思っちゃうよね~」
「ああ、そう言われればそんな季節だな。初心者講習会は会場になった学校の機材を使うし、対策委員解散の時に俺があれだけ綺麗に片付けて来たインターフェイスの機材は未だ動かされることもなく物置で眠ってるワケだけれども」
「石川お前、ファンフェスで定例会が星大の機材使ったの根に持ってるだろ」
「当たり前だろ。いくら機材保障費を全額もらったからと言っても俺はまだ許してないからな。定例会の怠慢としか言いようがない」
「ホ~ント、石川クンて松岡クンが話に絡んでると途端に辛辣でしょでしょ~」
「彼とは合わないんだ」
串の様子を見ながら山口は怪訝な顔の石川を煽り続ける。石川と圭斗は仲が悪い。顔を合わせれば一応互いにそれらしく取り繕うけれども、互いに合わないし苦手であると公言している。件の機材の件も、大石を板挟みにした定例会議長・圭斗と星大の機材管理担当・石川の戦いだったと伊東は言う。
「講習会と言えばさ~、講師? 高崎クンと石川クンって声かかってないの~?」
「俺は声がかかりそうになったけど先に牽制してあったから」
「てめェはホント抜かりねえな」
「今年はサークル以外のこともやりたいんだ。研究とか余暇とかな」
「掃いて捨てるほどいるアナがやるならともかく人数いねえミキがそれやるとか」
「ミキなら伊東がいるだろ」
「まあね~? 伊東クンも確かに上手だけどね~」
「定例会委員長としてはともかく、ミキサーとしてのアイツは信用出来るからな。それよりアナウンサー講師だろ。なあ高崎」
「まあ、声はかかってんだよな実際」
「お~、さぁっすが~」
「まあ、妥当な人選だな」
「で、一応前向きな返事をしてバイトの日程調整をしてるってトコだ」
講習会の講師をやる方向で返事はしてあって、細かい打ち合わせはこれからやっていくことになる。俺は全体講習をやるように頼まれてるから、アナウンサーのこともミキサーのことも平等にやって欲しいそうだ。
俺はファンフェスをもってインターフェイスの表立った活動からは退いて、後は1・2年の育成にシフトしていくつもりでいた。いや、講習会の講師は育成の分野ではあるが、そんなに目立つことをやるつもりでもなかった。誤算と言えば誤算で。ぶっちゃけこういう話は菜月に行くと思ってたからな。
「あっ高崎クンお肉焼けたよ~」
「サンキュ」
「石川クンホタテ食べる~?」
「ああ、もらう。と言うかお前は食べてるのか」
「食べてる食べてる! でも~、職業病かもね~。串を見てるとこう、様子を見たくなると言うか~」
「インターフェイス的にはどうなんだ、山口」
「どうもこうも~、あとはもう自分の部活でステージスターを全うするよ~」
「まあ、普通はそうだよな」
「間違いない」
インターフェイスのことやその他の情報交換、肉を食ったりビールを飲んだりとなかなかに忙しい。肉に、ビールに、時々しょうもない話を。今後あと何回こんな風に会うかはわからないが、各々の場所でそれぞれの道を行くのだろう。風の噂で名前くらいは聞くこともあるだろうか。
end.
++++
書いた時はここまで暑くなるとは思わなかったのですが、クソ暑いですね。る~び~にはいい季節。
というワケで前対策の男子3人が集合です。長野っちは入院中だからね。めんどくさい系男子3人すね
そう言えばファンフェスの機材関係のあれこれって圭斗さんとイシカー兄さんとの戦争でしたね。ちーちゃんを挟んでの。
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最近は5月とは思えないほどの暑さで、いくら俺が寒いよりは暑い方が好きだと言ってもさすがにやり過ぎだと思う。どうして寒いよりは暑い方がマシかと言うと、寒いとガチで動けなくなるが、暑い分にはまだビールが美味いとかいい要素もあるからだ。そう、暑くなるとビールが飲みたくなる。
――というワケで、懐かしい面々と久々に顔を合わせるビアガーデン。前対策委員の同士である性悪の似非優等生・石川と、活動序盤の大問題児・山口の3人でやって来た。山口とはこないだのファンフェスで会ったばかりだけど、性悪は対策解散以来か? とにかく久し振りだ。
「高崎クン……はこないだ会ったけど、石川クンは久し振りでしょでしょ~」
「話には聞いてたけど、お前は本当に変わりないな」
「つかビアガーデンとか最高かよ」
「今日は俺もバイトないし~、せっかくだし昼から飲まない? 的な~」
山口が予約を入れておいてくれたのは、バーベキュービアガーデンのランチコースだ。昼時間だと夜のコースよりも値段が少し安く済むのと、一応は学生だし授業があるから明日に響くのも、ということで昼からのコースにしたそうだ。
肉の串やら何やらが食い放題だし、ビールも国内外の結構な銘柄が飲み放題。さすが山口と言ったところか、これは期待以上だった。俺たちの学年でたまに何らかの会が企画されるとその幹事は大体山口だ。買って出るだけあって上手いんだ、段取りが。
「そう言えばさ~、いきなり残念な話するんだけどさ~、長野っちがさ~、消化器やらかして入院しちゃったんだよね~」
「えっ、マジか。いつからだ?」
「ファンフェスの日に~。ほら高崎クン、朝霞クンの班。直前までバタバタしてたデショ?」
「ああ、何か果林のトコでリク消化してたな。もしかして長野の件が関係してんのか」
「松江クンと長野っちが一緒のときに血を吐いちゃったみたくて、そのまま長野っちについててあげてたんだって。それでファンフェスに来れなくなっちゃってさ~」
「まあ、解釈のしようによっては長野1人の時じゃなくて良かったとも言えるな」
「本当にそれなんだよ石川クン!」
血を吐くだの何だのという話をしながら肉を食っている俺たちも俺たちだが、長野の見舞いに行ってきた時の様子を山口は語る。思ったよりも元気そうだったこと、見舞いに持って行った折り紙と筆記用具に対して思ったよりいい反応をしていたことなんかを。
そこで、長野の後輩とかいう奴がインターフェイスの活動に興味を持っているらしいということも聞いた。出たいなら出ればいいという至極真っ当なことを朝霞が言い、星ヶ丘の対策委員……つばめの連絡先を一方的に渡して連絡が渡るようにしたそうだ。
「もう初心者講習会の時期なんだよね~って思っちゃうよね~」
「ああ、そう言われればそんな季節だな。初心者講習会は会場になった学校の機材を使うし、対策委員解散の時に俺があれだけ綺麗に片付けて来たインターフェイスの機材は未だ動かされることもなく物置で眠ってるワケだけれども」
「石川お前、ファンフェスで定例会が星大の機材使ったの根に持ってるだろ」
「当たり前だろ。いくら機材保障費を全額もらったからと言っても俺はまだ許してないからな。定例会の怠慢としか言いようがない」
「ホ~ント、石川クンて松岡クンが話に絡んでると途端に辛辣でしょでしょ~」
「彼とは合わないんだ」
串の様子を見ながら山口は怪訝な顔の石川を煽り続ける。石川と圭斗は仲が悪い。顔を合わせれば一応互いにそれらしく取り繕うけれども、互いに合わないし苦手であると公言している。件の機材の件も、大石を板挟みにした定例会議長・圭斗と星大の機材管理担当・石川の戦いだったと伊東は言う。
「講習会と言えばさ~、講師? 高崎クンと石川クンって声かかってないの~?」
「俺は声がかかりそうになったけど先に牽制してあったから」
「てめェはホント抜かりねえな」
「今年はサークル以外のこともやりたいんだ。研究とか余暇とかな」
「掃いて捨てるほどいるアナがやるならともかく人数いねえミキがそれやるとか」
「ミキなら伊東がいるだろ」
「まあね~? 伊東クンも確かに上手だけどね~」
「定例会委員長としてはともかく、ミキサーとしてのアイツは信用出来るからな。それよりアナウンサー講師だろ。なあ高崎」
「まあ、声はかかってんだよな実際」
「お~、さぁっすが~」
「まあ、妥当な人選だな」
「で、一応前向きな返事をしてバイトの日程調整をしてるってトコだ」
講習会の講師をやる方向で返事はしてあって、細かい打ち合わせはこれからやっていくことになる。俺は全体講習をやるように頼まれてるから、アナウンサーのこともミキサーのことも平等にやって欲しいそうだ。
俺はファンフェスをもってインターフェイスの表立った活動からは退いて、後は1・2年の育成にシフトしていくつもりでいた。いや、講習会の講師は育成の分野ではあるが、そんなに目立つことをやるつもりでもなかった。誤算と言えば誤算で。ぶっちゃけこういう話は菜月に行くと思ってたからな。
「あっ高崎クンお肉焼けたよ~」
「サンキュ」
「石川クンホタテ食べる~?」
「ああ、もらう。と言うかお前は食べてるのか」
「食べてる食べてる! でも~、職業病かもね~。串を見てるとこう、様子を見たくなると言うか~」
「インターフェイス的にはどうなんだ、山口」
「どうもこうも~、あとはもう自分の部活でステージスターを全うするよ~」
「まあ、普通はそうだよな」
「間違いない」
インターフェイスのことやその他の情報交換、肉を食ったりビールを飲んだりとなかなかに忙しい。肉に、ビールに、時々しょうもない話を。今後あと何回こんな風に会うかはわからないが、各々の場所でそれぞれの道を行くのだろう。風の噂で名前くらいは聞くこともあるだろうか。
end.
++++
書いた時はここまで暑くなるとは思わなかったのですが、クソ暑いですね。る~び~にはいい季節。
というワケで前対策の男子3人が集合です。長野っちは入院中だからね。めんどくさい系男子3人すね
そう言えばファンフェスの機材関係のあれこれって圭斗さんとイシカー兄さんとの戦争でしたね。ちーちゃんを挟んでの。
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