2019

■苛烈なアポイントメント戦争

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「対策委員です」

 ファンタジックフェスタが終わり、インターフェイスで次にやって来る行事は対策委員主催の初心者講習会になる。6月第2週の土曜日、10日に開催するという風にはもう決まっていて、ここから本腰を入れて話し合うことになる。
 初心者講習会というのはその名の通り学生ラジオ初心者に対する講習を講師の人にやってもらうという会だ。インターフェイスでやっているラジオの基礎を、各大学で共有しておきましょうという目的だ。練習なんかは各々の大学に持ち帰ってやってもらえばいいんだけど、アナウンサーとミキサーというパートごとの講習もある。
 俺たち対策委員がこれから話し合うのは講師候補と、講習して欲しい内容になる。講習して欲しい内容は自分たちが去年受けた講習を思い返しながらこれは今年も必要だ、去年はなかったけど今年はこういうことも入れて欲しいというようにまとめておく。それらは講師が決まったときに、打ち合わせで伝える事柄になる。

「さて! 講師問題だよ…! やっぱり、今の3年生の先輩はスキー場DJにも行ってる世代だし、経験も実力も俺たちとは段違いじゃんな。こう、知見を伝えていただけると有り難いなあ」
「で、誰にお願いするのかっていう話ですよねー?」
「それな。まあ、ある程度の実力に、ラジオに初めて触れる1年生に向けた話にもなるワケだから、ある程度の人望。それから」
「ある程度の何?」
「実力、経験、人望、それから」
「野坂、増えた増えた」

 それは増えもするだろう。去年の講師は緑ヶ丘の広瀬先輩と青女の加藤先輩、それからウチの村井さんだった。初心者講習会の講師に選ばれる人はその学年を代表する先輩なんだ。それならば、俺たちの主催する講習会でもそれ相応の先輩に講師をお願いしたいと思うのは対策委員としては当たり前じゃないか。
 インターフェイスと言う組織や現場の雰囲気も、交流が盛んで楽しいですよという感じで伝えたいと思っている。今は昔ほどガチな一般公開の機会もないけど、その分講習会や夏合宿での交流に、作品出典で各大学の色を生かした作品をモニターし合ったりと、今には今の空気があるんだ。

「とりあえず、この人が講師だったら嬉しいなーって人を何人か挙げてみようか」
「そうだね。はいはーい!」
「はい、果林」
「実力者と言えば! やっぱり高ピー先輩は外せないでしょう~! 身内だけど事実だからね、アリだよね」
「身内でも実力者には違いないから何の問題もない。むしろ、お前風に言えば「ですよねー」だ。えー、ミキサーはどうするつばめ、ゴティ」
「ミキサーはカズさん一択っしょ」
「まあ、次点石川先輩っつー感じだわね」
「ですよねー」

 今の3年生はアナウンサーに人数が偏ってるから、ミキサーの先輩はその候補になる人も少ないという問題があった。候補に挙がる先輩が少ないと、その先輩に断られてしまうと講師を確保出来ないという問題も発生する。早いところ候補を絞って先輩の予定を押さえないと。
 俺はバイトをしてないからちょっとよくわからないけど、1ヶ月先くらいだったらもうバイトのシフトが入ってたりもするんだろ? よくわからないけど。打ち合わせの日程を取るのもあるし、大前提として8日の土曜日がお休みであることだ。いくらこっちが盛り上がっても、すでに予定が入っていれば。……うん。

「講師候補の先輩を今回中に絞るぞ! 絞ってお願いをするんだ! 予定を押さえろー!」
「あっ。って言うかさ野坂、アナの方はインフォメーションの話も入ってくるからやっぱり青女の先輩が1人いた方がスムーズだと思うんだよね」
「そうか、それがあったか。啓子さん、今青女のアナウンサーの先輩って誰がいたっけ」
「ヒビキ先輩とヒメ先輩とアヤネ先輩がいるけど、アクティブなのはヒビキ先輩だけだね」
「うわあ……断られたら終わるヤツー……」

 初心者講習会では午前中に全体講習、午後はアナミキに分かれてパート別講習をやるって感じなんだけど、アナウンサー講習の方ではインフォメーション放送なるものについて触れるのだ。よくある迷子放送や落とし物放送をイメージしてもらえればわかりやすいと思う。インフォに関しては青女さんが突出しているんだ。

「まあ、これで実質ヒビキ先輩と、アナ1人ミキ1人って感じで絞っていけばいいんだな…? わかりやすくていい」
「でもさ、今のところ高崎サンとカズさんが候補に挙がってんじゃん。メイン講師2人がどっちも緑ヶ丘って、それはそれで大丈夫なのって思うには思う。あまりにも緑ヶ丘緑ヶ丘しすぎないかって不安ではある」
「あー……でも、そうなるとミキサーは大分厳しいし、アナさんも高崎先輩という圧倒的な実力の先輩がいる以上お願いはしたい。このクラスの先輩になると各大学とインターフェイスの違いも併せて説明してくれると思うけど。と言うか、そうしてもらえるよう打ち合わせでお願いするのがこっちの仕事じゃんな」
「あーね。一理ある」

 つばめの言うこともわかるんだ。せっかくインターフェイスの行事なんだからいろんな大学の先輩に話を聞きたいという思いもある。だけどウチにはミキサーの先輩はいないし、アナウンサー……あっ、菜月先輩なら余裕で講師をお願いしたいレベルじゃないか! でも、菜月先輩は人見知りだしな~…! どうかな~…!

「まあ、何にせよ一刻も早く報告をだな」
「明日にでも話しとけばいい?」
「出来るようであればお願いします」


end.


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初心者講習会に向けた動きが始まりました。対策委員の長い戦いが始まる。
さて、例によって講師問題から始まりますね。先輩に予定が既にあったら詰むのでは?という観点はあまりやってなかったかも。
と言うか、対策委員ですっつって話は始まるけど、それまでにノサカが何分遅れて来てるのかっていう話ね。

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