2019
■食欲は食べるにつれ出て来る
++++
「よーし、お肉が焼けましたね~? それでは、いっただきまーす!」
今日は本当にいい天気でバーベキュー日和。隔週水曜4限は佐藤ゼミの合同ゼミという課外授業があって、これもその一環。大学から徒歩30分ほどのところにあるバーベキュー場で、ゼミの2・3・4年生がそれぞれの学年の網を囲んでいる。アタシはお肉が焼けるのを今か今かと待ち続けていて。
昨日の4限後、今日に向けて有志で買い出しに行ってきた。アタシもその買い出しについて行って、あれが欲しいこれが欲しいとガヤをやっててね。塊肉を買ってそれを加工するっていう作業もあったしね。安く買うことは出来るけど、おいしく量を食べたいときに手間を惜しんじゃいけない。
アタシが昨日から丹誠込めて育て上げたお肉がやっと出来上がり、網の上で焼かれていくのをお箸片手にじーっと待っていた。食べ時になったら、戦いが始まるからね。って言うか網が小さいんだよね。学年ごとの網って言うけど、周りに座れるのも12人くらいだし。2年生は25人いるのにね。
「うわー! 千葉ちゃんやよー! みんな逃げてー!」
「酷いなあひらっちゃん。別にみんなには危害は加えないよ。アタシがアタシの思うままに食べるだけだから」
「果林、アンタが思うままに食べたら他のみんなの食べる物がなくなるから」
「だから、なくならないように塊肉を加工したんじゃん」
2年生の網の脇には予算いっぱいの食べ物が積まれている。3、4年生はお酒も飲んでいいから食べ物の割合が少なめだけど、2年生はお酒禁止だからどうしても食べ物に割り振られる。だからと言って高級な物を買っているワケではなく、優先したのはとにかく量。それが買い出し組の総意で。
でも他の学年の人やヒゲからはそんなに食べ物を大量に買ってきて大丈夫なのかっていう風には言われてるよね。絶対に余らせるでしょって。それっていうのも毎年2年生は予算配分をミスって余らせるみたいなんだよね食材を。で、バーベキュー後に食材分配じゃんけん大会が始まるのが例年の流れ。
自分で言うのもなんだけど、アタシっていっぱい食べるからね。アタシの食べる量って世間の常識が通用しないらしいから、先輩やヒゲの言うような例年通りの流れにはならないと思うんですよね。むしろアタシを高校から知ってる桃華は「これだけで足りるかな」って不安がってますよねー。
「ん~…! 何この味付け! 我ながら最っ高!」
「えっマジで?」
「ひらっちゃん食べてみてよ、ホントに美味しいから」
「じゃあ、俺もいただきまーす。……ん。んん~!? 何これうっま! 千葉ちゃん美味いわこれ! 小田ちゃん! 小田ちゃんやべーよこれ!」
「そんなに?」
「いーから食ってみ!?」
「うわぁ…! 千葉さん、これはご飯が欲しいヤツだよ」
「ホントにそれ。小田ちゃん、お米と飯盒ない?」
「どうだろうね? バーベキュー場だしワンチャンあるような気もするけどさすがにお米はないでしょ?」
「あーん、ご飯欲しー!」
甘辛風味に漬け込んだお肉が本当に美味しい。アタシ天才なんじゃないって思うくらいには。これはご飯がないのが悔やまれる。来年はご飯の用意もしておかなくちゃね。予算外の実費でそれ用の道具用意しておいた方がいいかも。その方が他の人に迷惑もかけないしね。
甘辛牛肉の他にも様々なお肉を網の上に並べて、それをどんどん捌いていく。野菜やフランクフルト、シーフードも忘れずに。焼きそばは最後にやることになってるから、それまではウォーミングアップかな。今のところ他の子たちも普通に食べてるし、行き渡らなくて困ってるってことはなさそうだね。
「千葉ちゃんのこの肉さ、下にレタスとかサンチュとか敷いて丼にしたら売れそうじゃない? トッピングにはお好みで温泉玉子」
「あー、いいねえ。ご飯欲しいねえ」
「小田ちゃーん、お米と飯盒ー!」
「それじゃあ、受付で聞いてきてみる?」
アタシが網の面倒を見ている間に小田ちゃんがバーベキュー場の受付で飯盒があるか聞いてくれたけど、さすがにキャンプ場ではないので飯盒はなかったみたい。残念。来年は実費でご飯を何とか出来るようにしておかないとね。レンチンは出来ないから、お湯で戻すか暖めるか、はたまた飯盒か。
ご飯がない以上網の上にあるものでお腹を満たすしかないし、それはもう休む間もなく食べますよね。そうこうしている間にもうお腹いっぱいって子や、そろそろボール遊びでもしようって子が箸を置くんだよね。アタシもボール遊びはしたいけど、全然ご飯が終わりませんよねー。
「千葉ちゃーん、今3回裏ワンナウト1・2塁なんやよー、俺の代走入ってくれーん?」
「え、まだ3回でしょ?」
「3回制ゲームなんよ」
「ひらっちゃん、アタシご飯の最中なんだけど」
「そこを何とか! 姉御、ちょい千葉ちゃん借りるで千葉ちゃんのご飯作っといてあげてくれん?」
「まあ、いいけど」
「えー!? ご飯~!」
少人数制野球に代走で駆り出されることになっちゃったけど、今はそこまでみんなご飯食べてないからアタシの分なくならないよね? むしろこれからまだ焼きそばが出てくるからお腹を空かせておかないと。うーん、やっぱりご飯がないのがなー。お米と飯盒、来年までちゃんと覚えておきたいところですよねー。
end.
++++
佐藤ゼミのバーベキューですが、公式+1年のお話でないので雨神様不在。いい天気のようです。
買い出しの話もやりたかったけど、公式+1年でやってるしね。パパと子供が手を繋いで歩いてたのはバーベキューだっけ学祭だっけ?
そして少人数野球をやっている店長である。ボール遊びするのね店長は。代走の切り札を出して来る辺りがわかってますわ
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「よーし、お肉が焼けましたね~? それでは、いっただきまーす!」
今日は本当にいい天気でバーベキュー日和。隔週水曜4限は佐藤ゼミの合同ゼミという課外授業があって、これもその一環。大学から徒歩30分ほどのところにあるバーベキュー場で、ゼミの2・3・4年生がそれぞれの学年の網を囲んでいる。アタシはお肉が焼けるのを今か今かと待ち続けていて。
昨日の4限後、今日に向けて有志で買い出しに行ってきた。アタシもその買い出しについて行って、あれが欲しいこれが欲しいとガヤをやっててね。塊肉を買ってそれを加工するっていう作業もあったしね。安く買うことは出来るけど、おいしく量を食べたいときに手間を惜しんじゃいけない。
アタシが昨日から丹誠込めて育て上げたお肉がやっと出来上がり、網の上で焼かれていくのをお箸片手にじーっと待っていた。食べ時になったら、戦いが始まるからね。って言うか網が小さいんだよね。学年ごとの網って言うけど、周りに座れるのも12人くらいだし。2年生は25人いるのにね。
「うわー! 千葉ちゃんやよー! みんな逃げてー!」
「酷いなあひらっちゃん。別にみんなには危害は加えないよ。アタシがアタシの思うままに食べるだけだから」
「果林、アンタが思うままに食べたら他のみんなの食べる物がなくなるから」
「だから、なくならないように塊肉を加工したんじゃん」
2年生の網の脇には予算いっぱいの食べ物が積まれている。3、4年生はお酒も飲んでいいから食べ物の割合が少なめだけど、2年生はお酒禁止だからどうしても食べ物に割り振られる。だからと言って高級な物を買っているワケではなく、優先したのはとにかく量。それが買い出し組の総意で。
でも他の学年の人やヒゲからはそんなに食べ物を大量に買ってきて大丈夫なのかっていう風には言われてるよね。絶対に余らせるでしょって。それっていうのも毎年2年生は予算配分をミスって余らせるみたいなんだよね食材を。で、バーベキュー後に食材分配じゃんけん大会が始まるのが例年の流れ。
自分で言うのもなんだけど、アタシっていっぱい食べるからね。アタシの食べる量って世間の常識が通用しないらしいから、先輩やヒゲの言うような例年通りの流れにはならないと思うんですよね。むしろアタシを高校から知ってる桃華は「これだけで足りるかな」って不安がってますよねー。
「ん~…! 何この味付け! 我ながら最っ高!」
「えっマジで?」
「ひらっちゃん食べてみてよ、ホントに美味しいから」
「じゃあ、俺もいただきまーす。……ん。んん~!? 何これうっま! 千葉ちゃん美味いわこれ! 小田ちゃん! 小田ちゃんやべーよこれ!」
「そんなに?」
「いーから食ってみ!?」
「うわぁ…! 千葉さん、これはご飯が欲しいヤツだよ」
「ホントにそれ。小田ちゃん、お米と飯盒ない?」
「どうだろうね? バーベキュー場だしワンチャンあるような気もするけどさすがにお米はないでしょ?」
「あーん、ご飯欲しー!」
甘辛風味に漬け込んだお肉が本当に美味しい。アタシ天才なんじゃないって思うくらいには。これはご飯がないのが悔やまれる。来年はご飯の用意もしておかなくちゃね。予算外の実費でそれ用の道具用意しておいた方がいいかも。その方が他の人に迷惑もかけないしね。
甘辛牛肉の他にも様々なお肉を網の上に並べて、それをどんどん捌いていく。野菜やフランクフルト、シーフードも忘れずに。焼きそばは最後にやることになってるから、それまではウォーミングアップかな。今のところ他の子たちも普通に食べてるし、行き渡らなくて困ってるってことはなさそうだね。
「千葉ちゃんのこの肉さ、下にレタスとかサンチュとか敷いて丼にしたら売れそうじゃない? トッピングにはお好みで温泉玉子」
「あー、いいねえ。ご飯欲しいねえ」
「小田ちゃーん、お米と飯盒ー!」
「それじゃあ、受付で聞いてきてみる?」
アタシが網の面倒を見ている間に小田ちゃんがバーベキュー場の受付で飯盒があるか聞いてくれたけど、さすがにキャンプ場ではないので飯盒はなかったみたい。残念。来年は実費でご飯を何とか出来るようにしておかないとね。レンチンは出来ないから、お湯で戻すか暖めるか、はたまた飯盒か。
ご飯がない以上網の上にあるものでお腹を満たすしかないし、それはもう休む間もなく食べますよね。そうこうしている間にもうお腹いっぱいって子や、そろそろボール遊びでもしようって子が箸を置くんだよね。アタシもボール遊びはしたいけど、全然ご飯が終わりませんよねー。
「千葉ちゃーん、今3回裏ワンナウト1・2塁なんやよー、俺の代走入ってくれーん?」
「え、まだ3回でしょ?」
「3回制ゲームなんよ」
「ひらっちゃん、アタシご飯の最中なんだけど」
「そこを何とか! 姉御、ちょい千葉ちゃん借りるで千葉ちゃんのご飯作っといてあげてくれん?」
「まあ、いいけど」
「えー!? ご飯~!」
少人数制野球に代走で駆り出されることになっちゃったけど、今はそこまでみんなご飯食べてないからアタシの分なくならないよね? むしろこれからまだ焼きそばが出てくるからお腹を空かせておかないと。うーん、やっぱりご飯がないのがなー。お米と飯盒、来年までちゃんと覚えておきたいところですよねー。
end.
++++
佐藤ゼミのバーベキューですが、公式+1年のお話でないので雨神様不在。いい天気のようです。
買い出しの話もやりたかったけど、公式+1年でやってるしね。パパと子供が手を繋いで歩いてたのはバーベキューだっけ学祭だっけ?
そして少人数野球をやっている店長である。ボール遊びするのね店長は。代走の切り札を出して来る辺りがわかってますわ
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