2019
■裏で糸引くラブ&ピース
++++
「千尋、ネタは出来たか」
「もーごちゃごちゃだよ」
「ちょっと見せてみろ」
向島大学でのファンフェス班打ち合わせは、高崎先輩が坂井先輩の尻を叩くっつー感じで行われていヤす。坂井先輩は山の中にある大学なら趣味の虫取りが出来るとウキウキして来たよーですが、それを許さないスパルタ班長がいたもンで。
ピントークのネタがどれだけ出来てるのか聞かせてもらッたら、思ったよりもフツーにトークが成り立ってたンすね。高崎先輩もそれには感心してたンすケド、ミキサー席から見えてたネタ帳は真っ白。さすがにこれでは当日が大変だとチクらせてもらいヤした。
結果、坂井先輩をサークル室に軟禁して、自分たちはちょっと外に出て一服してヤした。タバコやコーヒー、クララとの戯れなどなど程良く一服が済んで戻ってきたら、真っ白だった坂井先輩のネタ帳はどーなってるかなーっつーよーなトコから話が始まりヤす。
「何だこれは。完全に虫のことしか考えてねえじゃねえか」
「だってー、高崎が虫取りに出掛けさせてくれないのが悪いんだよー!」
「さっきのトークはそこそこ良かったんだから、それをネタ帳に起こせばよかっただけじゃねえか。何やってんだ」
「あれは追い込まれた結果のトークで、もう内容なんて覚えてませーん」
「お前なあ、ファンフェスの現場で誰が虫について突っ込んだトークなんか聞くっつーんだ」
「Eテレのノリで行けば良いじゃんかー、ニッチな需要を掘り起こそうよう。無難なコトばっかやってたって面白くないじゃんねえりっちゃん。緑ヶ丘は真面目だから」
「緑ヶ丘は正統派っつーのと無難な番組に面白味がないっつーのは否定しヤせんが、どっちかっつーと坂井先輩が星大の人としてはアウトローなんじャないスか?」
星大さんと言や良くも悪くも真面目で大人しいっつー印象スね。ちょっとキャラの濃い人は2、3年に一人出ればいい方だとも聞きヤす。放送のスタンスにしてもそれは同様の印象なんすね。良くも悪くも真面目で大人しい。坂井先輩は星大の人としては珍しいタイプすね。
一方、インターフェイスの雄・緑ヶ丘は王道と言うか正統派を地で行く感じスわね。目の前の高崎先輩にしてもそースわ。まあ、高崎先輩に関して言えば双璧と言われるだけあって技術が凄い人なンで、思いっきりブッ飛んだ番組構成でもこなせるっちゃこなせるンでしょうけどね。
で、自分スわ。向島っつーのは悪ノリのムライズムだの何だのっつーのが蔓延っている時点でお察しかと思いヤすが、まァとにかく自由なンすね。それで何となく技術が育っているのが不思議なくらいにはテキトーで自由なンす。お遊び、おふざけ何でもアリで。
「はー……ったく」
「でも、個人的には坂井先輩の虫番組も楽しみっちゃ楽しみなンすよね」
「そうか、虫か。まあ、俺がタテだろうし虫に関する知識はあまり問われないか」
「そースね。高崎先輩はタテなんで坂井先輩の暴走を止めるだけでいーかと」
「いや、律お前、ダブルトークでやる前提かよ」
「先にダブルトークでやる前提で言ったのは高崎先輩じゃないスか」
「えっ、30分も虫ちゃんの話してもいーの!?」
「うわっ、墓穴掘った」
「やァー高崎先輩、そこはアナウンサーの双璧らしくドドンと受け止めてあげてくーださい」
――というワケで、高崎班の大きなテーマが虫の話に決まったンすけど、一般の人をドン引きさせない程度にという条件は当然設けられヤしたよね。ここから自分のやることはと言えば、この番組に合うBGMや曲探しスね。まァそれは検索しまくれば見つかるンで問題ないスね。
言ってしまえば、自分は所詮向島のムライズムだのラブ&ピースに揉まれてるンで、お遊びやおふざけは十八番スわ。でもって、普段組んでるアナウンサーさんらに比べれば、高崎先輩と坂井先輩は自分にラクをさせてくれるンでまァやりたい放題スよね。自分のコトにより集中出来ると言いヤすか。
「ところで、高崎先輩は何か虫のエピソードはありヤすか?」
「つってもそうパッとは出てこねえぞ」
「じゃあ今から虫取りに出よう! 虫ちゃんとのエピソードを作ろう!」
「それとこれとは別件だ」
「ケチ!」
「何とでも言え。ダブルトークが虫の話になったからっつってピントークのネタ帳が埋まってない事実に変わりねえんだぞ」
「鬼ー!」
「どうやらお前はケツに火がついてるくらいの方がいいモン出せるみてえだからなあ? おら、さっさとピントークのネタ帳作れ」
「りっちゃん助けてー!」
「ヤ、自分はこの間高崎先輩とピントークの打ち合わせするンでサーセン。そしたら高崎先輩、ロビーにでも行きヤす?」
「そうだな。ここじゃ千尋がウルサくて打ち合わせになりゃしねえ」
デジャヴすね。ま、番組の大きなテーマがテーマだけに虫に触れるのも多少はオッケーなんでさっきよりはラクでしょう。自分は高崎先輩とロビーでピントークについての打ち合わせに入りヤす。ここからが大きな勝負スね。
「虫と言えばよ」
「エピソードあるンすか」
「ガキの頃に、まだ暗いうちからクソ爺に叩き起こされてカブトムシだのを取りに拉致られたことがあるんだよな」
「おー、今時なかなかないスね」
「それで出掛けた山の中で沢に落ちてよ」
「散々スね」
「お前は何かあるか、虫の話」
「如何せん住んでるところがここ以上の山なンで腐るほどありヤすけど、自分は蛍が飛んでるとオツだなーと思いヤすね」
「蛍とかいんのか」
「言って山スからね」
end.
++++
FF高崎班と言えば、坂井さんがぎゃあぎゃあ喚いてるくらいがちょうどいいと思うの。去年かその前にやった話の次のシーン。
思いがけず高崎班は虫について話すことになってしまったのだけど、多分この班の主導権はりっちゃんにある
虫についての曲はまあ探せばありそうよね。てんとう虫のサンバとかとんぼとかいろいろあるわね
.
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「千尋、ネタは出来たか」
「もーごちゃごちゃだよ」
「ちょっと見せてみろ」
向島大学でのファンフェス班打ち合わせは、高崎先輩が坂井先輩の尻を叩くっつー感じで行われていヤす。坂井先輩は山の中にある大学なら趣味の虫取りが出来るとウキウキして来たよーですが、それを許さないスパルタ班長がいたもンで。
ピントークのネタがどれだけ出来てるのか聞かせてもらッたら、思ったよりもフツーにトークが成り立ってたンすね。高崎先輩もそれには感心してたンすケド、ミキサー席から見えてたネタ帳は真っ白。さすがにこれでは当日が大変だとチクらせてもらいヤした。
結果、坂井先輩をサークル室に軟禁して、自分たちはちょっと外に出て一服してヤした。タバコやコーヒー、クララとの戯れなどなど程良く一服が済んで戻ってきたら、真っ白だった坂井先輩のネタ帳はどーなってるかなーっつーよーなトコから話が始まりヤす。
「何だこれは。完全に虫のことしか考えてねえじゃねえか」
「だってー、高崎が虫取りに出掛けさせてくれないのが悪いんだよー!」
「さっきのトークはそこそこ良かったんだから、それをネタ帳に起こせばよかっただけじゃねえか。何やってんだ」
「あれは追い込まれた結果のトークで、もう内容なんて覚えてませーん」
「お前なあ、ファンフェスの現場で誰が虫について突っ込んだトークなんか聞くっつーんだ」
「Eテレのノリで行けば良いじゃんかー、ニッチな需要を掘り起こそうよう。無難なコトばっかやってたって面白くないじゃんねえりっちゃん。緑ヶ丘は真面目だから」
「緑ヶ丘は正統派っつーのと無難な番組に面白味がないっつーのは否定しヤせんが、どっちかっつーと坂井先輩が星大の人としてはアウトローなんじャないスか?」
星大さんと言や良くも悪くも真面目で大人しいっつー印象スね。ちょっとキャラの濃い人は2、3年に一人出ればいい方だとも聞きヤす。放送のスタンスにしてもそれは同様の印象なんすね。良くも悪くも真面目で大人しい。坂井先輩は星大の人としては珍しいタイプすね。
一方、インターフェイスの雄・緑ヶ丘は王道と言うか正統派を地で行く感じスわね。目の前の高崎先輩にしてもそースわ。まあ、高崎先輩に関して言えば双璧と言われるだけあって技術が凄い人なンで、思いっきりブッ飛んだ番組構成でもこなせるっちゃこなせるンでしょうけどね。
で、自分スわ。向島っつーのは悪ノリのムライズムだの何だのっつーのが蔓延っている時点でお察しかと思いヤすが、まァとにかく自由なンすね。それで何となく技術が育っているのが不思議なくらいにはテキトーで自由なンす。お遊び、おふざけ何でもアリで。
「はー……ったく」
「でも、個人的には坂井先輩の虫番組も楽しみっちゃ楽しみなンすよね」
「そうか、虫か。まあ、俺がタテだろうし虫に関する知識はあまり問われないか」
「そースね。高崎先輩はタテなんで坂井先輩の暴走を止めるだけでいーかと」
「いや、律お前、ダブルトークでやる前提かよ」
「先にダブルトークでやる前提で言ったのは高崎先輩じゃないスか」
「えっ、30分も虫ちゃんの話してもいーの!?」
「うわっ、墓穴掘った」
「やァー高崎先輩、そこはアナウンサーの双璧らしくドドンと受け止めてあげてくーださい」
――というワケで、高崎班の大きなテーマが虫の話に決まったンすけど、一般の人をドン引きさせない程度にという条件は当然設けられヤしたよね。ここから自分のやることはと言えば、この番組に合うBGMや曲探しスね。まァそれは検索しまくれば見つかるンで問題ないスね。
言ってしまえば、自分は所詮向島のムライズムだのラブ&ピースに揉まれてるンで、お遊びやおふざけは十八番スわ。でもって、普段組んでるアナウンサーさんらに比べれば、高崎先輩と坂井先輩は自分にラクをさせてくれるンでまァやりたい放題スよね。自分のコトにより集中出来ると言いヤすか。
「ところで、高崎先輩は何か虫のエピソードはありヤすか?」
「つってもそうパッとは出てこねえぞ」
「じゃあ今から虫取りに出よう! 虫ちゃんとのエピソードを作ろう!」
「それとこれとは別件だ」
「ケチ!」
「何とでも言え。ダブルトークが虫の話になったからっつってピントークのネタ帳が埋まってない事実に変わりねえんだぞ」
「鬼ー!」
「どうやらお前はケツに火がついてるくらいの方がいいモン出せるみてえだからなあ? おら、さっさとピントークのネタ帳作れ」
「りっちゃん助けてー!」
「ヤ、自分はこの間高崎先輩とピントークの打ち合わせするンでサーセン。そしたら高崎先輩、ロビーにでも行きヤす?」
「そうだな。ここじゃ千尋がウルサくて打ち合わせになりゃしねえ」
デジャヴすね。ま、番組の大きなテーマがテーマだけに虫に触れるのも多少はオッケーなんでさっきよりはラクでしょう。自分は高崎先輩とロビーでピントークについての打ち合わせに入りヤす。ここからが大きな勝負スね。
「虫と言えばよ」
「エピソードあるンすか」
「ガキの頃に、まだ暗いうちからクソ爺に叩き起こされてカブトムシだのを取りに拉致られたことがあるんだよな」
「おー、今時なかなかないスね」
「それで出掛けた山の中で沢に落ちてよ」
「散々スね」
「お前は何かあるか、虫の話」
「如何せん住んでるところがここ以上の山なンで腐るほどありヤすけど、自分は蛍が飛んでるとオツだなーと思いヤすね」
「蛍とかいんのか」
「言って山スからね」
end.
++++
FF高崎班と言えば、坂井さんがぎゃあぎゃあ喚いてるくらいがちょうどいいと思うの。去年かその前にやった話の次のシーン。
思いがけず高崎班は虫について話すことになってしまったのだけど、多分この班の主導権はりっちゃんにある
虫についての曲はまあ探せばありそうよね。てんとう虫のサンバとかとんぼとかいろいろあるわね
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