2019
■Beautiful Follow-through
++++
「ホンマ何やの! 確かにボクは向島やよ? しやけどダブルトークの経験なんかいっこもないんやよ! 向島でも出来やんことはあるんやよ!」
「今更文句を言うな、あれはクジ運以外の何物でもなかったじゃないか」
「しやかてやよ、そーゆー時ってフツー対策委員とかダブルトークやったコトある人が「ヒロ代わろーか」とか「ヒロもダブルトーク練習しなアカンやろ」とかゆーてくれるモンとちゃうん!?」
「あーもううるさいなお前は! やったことがあってもなくてもお前の場合は雰囲気でぐだぐだにするんだから同じだ!」
「何やの、オールSのクセに! ノサカにはボクの気持ちなんかわからんのやよ!」
「何故そこで俺の成績が出てくるのか意味が分からない」
別にボクは「ダブルトークのこともいろいろ教えてね」ってファンフェスの挨拶してきた山口先輩に対して怒っとるワケと違うんやよね。向島やったらラジオの大体のことは出来るって、ステージの人なら確かにそう思うかもしれん。ヨソの学校のコトなんかよー知らんから、イメージで思いこむコトもまーあるんはわかる。
あと、それから先月あった番組制作会でダブルトークの練習が出来んかったんも、それはクジの結果やししゃーないとは思わんでもない。ノサカはウルサイけど、そんなコトはボクもわかっとる。ピントークで大トリ。オイシイっちゃオイシかったワケやし。でも今はそうやない。
「ノサカ、ヒロは一体どうしたんだ?」
「ええとですね……先日山口先輩からファンフェスの班が決定した旨の挨拶メールが届きまして、その中に「ラジオは不慣れだけど頑張ります。ダブルトークのこともいろいろ教えてね」という文面がありまして。先日の制作会でヒロはピントークでしたので……」
「ああ、そう言えばそうだったな」
「そこは菜月先輩が女気を見せてボクと代わってくれるべきやと思ったんですね」
「悪いヒロ、その発想はなかった」
「何やの!」
「まあ、その経験を生かして今度の春にも番組制作会をやるなら同じ悲劇が起こらないように頑張って企画してくれ」
春の番組制作会っていう、ダブルトークの練習会みたいな行事がこないだあってんけど、アナウンサーがたまたま奇数やってんよね。初心者講習会みたく別に何を教えてもらえるワケでもない会やったんやけど、とりあえずやってみるっていうことすら出来んかったんよね。
別に制作会やなくても普段のサークルでやればいいだけの話とちゃうんって言われたらそれまでやけど、どーも普段のサークルやとやる気が。何でやろか。菜月先輩おるんやから教えてもらえばいいんやろうけど。でも、鼻もぐずぐずやし喋る気にならんのやよね。
ボクとノサカは対策委員っていうインターフェイスの組織におるんやけど、初心者講習会とか夏合宿とか、そーゆーんを企画したりするん。春の番組制作会も対策委員の管轄やからゆーて菜月先輩は経験を生かせーゆーたんやろうけど。完全に投げられた感じしかせんわ。
「しかし、ヒロと山口先輩という組み合わせが未知数過ぎて俺も少し怖いです。ヒロはいい加減だし、山口先輩はふわふわしてる? というような雰囲気ですし」
「ヒロはよくも悪くも緩いけど、山口はああ見えて見た目ほど緩くないからまあその辺は大丈夫だろ、知らないけど」
「あ、菜月先輩が責任逃れの「知らんけど」って付けとる」
「ヒロ! お前は!」
「実際うちもそこまで山口のことを知ってるワケじゃないからな。如何せん星ヶ丘だし。でも、逆に星ヶ丘ということはライブ慣れしてるし、アナウンサーなら周りに目をやる力は抜群にあるはずだ。ステージ上で周りを見てるはずだし」
「確かに。そういう考え方も出来ますね」
「逆に、ステージ系の奴にありがちなのが台本を一言一句作ってそれを読み上げるってヤツだけど、山口はステージでもラジオっぽい運び方をするそうだ。まあ、ラジオの基本とかそういうことはノサカがリードしてもらう感じで」
「ええと、ダブルトークは」
「……えーと」
「ダブルトークは」
「……うん、頑張れ!」
「あっまた投げた!」
「ちょっ、菜月先輩!?」
ボクには何のヒントにもならんかったけど、菜月先輩はボクらの話を聞いてくれるだけまだいい先輩なんかもしれん。番組のことでも聞いたら教えてくれるし。圭斗先輩はラジオのこととかを聞く相手としてはちょっとちゃうかなって。インターフェイスの大人の事情のことは聞いてみたいけど。
やけどMMPのアナウンス部長って菜月先輩とちゃうんよね。ボク的には菜月先輩がアナ部長っぽいと思うんやけど。三井先輩っていう人がMMPのアナウンス部長なんやけど、まあめんどくさいよね。自分抜きで発声練習とかやりに行ったら怒るか拗ねるかするし。しやのにおらんかったりするからね。
「やァー、はよーごぜーやス」
「おはようりっちゃん」
「ところで菜月先輩、ファンフェスの練習でこの部屋を使わせてもらうことって出来ヤすか」
「いいんじゃないか? 変に荒らしたりしなければ」
「じャ、お借りしやーす」
「でも、またどうしてこんな僻地で」
「インターフェイスの機材環境に一番近いのがウチだからスね。高崎先輩たっての希望で」
「高崎は豊葦市内だしまだいいにしても、千尋は遠いだろ」
「坂井先輩は山で虫取りがしたいとかで大賛成シた」
「やっぱ星大の人ってよくわかんないなあ」
みんな着々と準備しとんのやね。ウチの班もそのうち練習したりするんかな。どーなるんかな。よーわからんけどなるようになるんかな、知らんけど。
end.
++++
年度末辺りによく見るようなヒロのアレが年度頭から出てきました。冷静に考えればこの時期にぶり返してもおかしくはなかった
今回はヒロ目線でファンフェスのあれこれを言ってるんですが、菜月さんが今回結構いい加減ですね、知らんけど。
そして双璧の一角、高崎と対峙するりっちゃんも着々と準備を進めているようです。今年もクララと戯れよう!
.
++++
「ホンマ何やの! 確かにボクは向島やよ? しやけどダブルトークの経験なんかいっこもないんやよ! 向島でも出来やんことはあるんやよ!」
「今更文句を言うな、あれはクジ運以外の何物でもなかったじゃないか」
「しやかてやよ、そーゆー時ってフツー対策委員とかダブルトークやったコトある人が「ヒロ代わろーか」とか「ヒロもダブルトーク練習しなアカンやろ」とかゆーてくれるモンとちゃうん!?」
「あーもううるさいなお前は! やったことがあってもなくてもお前の場合は雰囲気でぐだぐだにするんだから同じだ!」
「何やの、オールSのクセに! ノサカにはボクの気持ちなんかわからんのやよ!」
「何故そこで俺の成績が出てくるのか意味が分からない」
別にボクは「ダブルトークのこともいろいろ教えてね」ってファンフェスの挨拶してきた山口先輩に対して怒っとるワケと違うんやよね。向島やったらラジオの大体のことは出来るって、ステージの人なら確かにそう思うかもしれん。ヨソの学校のコトなんかよー知らんから、イメージで思いこむコトもまーあるんはわかる。
あと、それから先月あった番組制作会でダブルトークの練習が出来んかったんも、それはクジの結果やししゃーないとは思わんでもない。ノサカはウルサイけど、そんなコトはボクもわかっとる。ピントークで大トリ。オイシイっちゃオイシかったワケやし。でも今はそうやない。
「ノサカ、ヒロは一体どうしたんだ?」
「ええとですね……先日山口先輩からファンフェスの班が決定した旨の挨拶メールが届きまして、その中に「ラジオは不慣れだけど頑張ります。ダブルトークのこともいろいろ教えてね」という文面がありまして。先日の制作会でヒロはピントークでしたので……」
「ああ、そう言えばそうだったな」
「そこは菜月先輩が女気を見せてボクと代わってくれるべきやと思ったんですね」
「悪いヒロ、その発想はなかった」
「何やの!」
「まあ、その経験を生かして今度の春にも番組制作会をやるなら同じ悲劇が起こらないように頑張って企画してくれ」
春の番組制作会っていう、ダブルトークの練習会みたいな行事がこないだあってんけど、アナウンサーがたまたま奇数やってんよね。初心者講習会みたく別に何を教えてもらえるワケでもない会やったんやけど、とりあえずやってみるっていうことすら出来んかったんよね。
別に制作会やなくても普段のサークルでやればいいだけの話とちゃうんって言われたらそれまでやけど、どーも普段のサークルやとやる気が。何でやろか。菜月先輩おるんやから教えてもらえばいいんやろうけど。でも、鼻もぐずぐずやし喋る気にならんのやよね。
ボクとノサカは対策委員っていうインターフェイスの組織におるんやけど、初心者講習会とか夏合宿とか、そーゆーんを企画したりするん。春の番組制作会も対策委員の管轄やからゆーて菜月先輩は経験を生かせーゆーたんやろうけど。完全に投げられた感じしかせんわ。
「しかし、ヒロと山口先輩という組み合わせが未知数過ぎて俺も少し怖いです。ヒロはいい加減だし、山口先輩はふわふわしてる? というような雰囲気ですし」
「ヒロはよくも悪くも緩いけど、山口はああ見えて見た目ほど緩くないからまあその辺は大丈夫だろ、知らないけど」
「あ、菜月先輩が責任逃れの「知らんけど」って付けとる」
「ヒロ! お前は!」
「実際うちもそこまで山口のことを知ってるワケじゃないからな。如何せん星ヶ丘だし。でも、逆に星ヶ丘ということはライブ慣れしてるし、アナウンサーなら周りに目をやる力は抜群にあるはずだ。ステージ上で周りを見てるはずだし」
「確かに。そういう考え方も出来ますね」
「逆に、ステージ系の奴にありがちなのが台本を一言一句作ってそれを読み上げるってヤツだけど、山口はステージでもラジオっぽい運び方をするそうだ。まあ、ラジオの基本とかそういうことはノサカがリードしてもらう感じで」
「ええと、ダブルトークは」
「……えーと」
「ダブルトークは」
「……うん、頑張れ!」
「あっまた投げた!」
「ちょっ、菜月先輩!?」
ボクには何のヒントにもならんかったけど、菜月先輩はボクらの話を聞いてくれるだけまだいい先輩なんかもしれん。番組のことでも聞いたら教えてくれるし。圭斗先輩はラジオのこととかを聞く相手としてはちょっとちゃうかなって。インターフェイスの大人の事情のことは聞いてみたいけど。
やけどMMPのアナウンス部長って菜月先輩とちゃうんよね。ボク的には菜月先輩がアナ部長っぽいと思うんやけど。三井先輩っていう人がMMPのアナウンス部長なんやけど、まあめんどくさいよね。自分抜きで発声練習とかやりに行ったら怒るか拗ねるかするし。しやのにおらんかったりするからね。
「やァー、はよーごぜーやス」
「おはようりっちゃん」
「ところで菜月先輩、ファンフェスの練習でこの部屋を使わせてもらうことって出来ヤすか」
「いいんじゃないか? 変に荒らしたりしなければ」
「じャ、お借りしやーす」
「でも、またどうしてこんな僻地で」
「インターフェイスの機材環境に一番近いのがウチだからスね。高崎先輩たっての希望で」
「高崎は豊葦市内だしまだいいにしても、千尋は遠いだろ」
「坂井先輩は山で虫取りがしたいとかで大賛成シた」
「やっぱ星大の人ってよくわかんないなあ」
みんな着々と準備しとんのやね。ウチの班もそのうち練習したりするんかな。どーなるんかな。よーわからんけどなるようになるんかな、知らんけど。
end.
++++
年度末辺りによく見るようなヒロのアレが年度頭から出てきました。冷静に考えればこの時期にぶり返してもおかしくはなかった
今回はヒロ目線でファンフェスのあれこれを言ってるんですが、菜月さんが今回結構いい加減ですね、知らんけど。
そして双璧の一角、高崎と対峙するりっちゃんも着々と準備を進めているようです。今年もクララと戯れよう!
.