2017(02)
■即興ワーキング!
公式学年+2年
++++
「高木先輩助けてくださーい!」
あまり絡みのない2年生が、突然泣きついて来る。その手には番組のキューシート。今日は緑ヶ丘大学のオープンキャンパス2日目。佐藤ゼミでは総合案内のインフォメーション放送や大学生活に関する2年生の番組などを担当することになっているのだけど。
「どうしたの?」
「あの、今日篠木君お休みでウチの班のミキサーがいなくなっちゃって、それで佐々木君に相談したら「このキューシートは高木先輩しか捌けない」って言われてそれで」
「えっ、今日シノ休みなの?」
「インフルになっちゃったとかって」
「って言うか夏にインフルってかかるんだ。それはいいけどキューシート見せてもらっていい?」
その子からシノが書いていたらしいキューシートを受け取ると……うわあ。なんだこれ。気合が空回ってると言うか、持ち得る技術を全て注ぎ込みましたって感じのヤツ。そういうことはMBCCの昼放送かインターフェイスの夏合宿でやってほしい。
それはそうと、この子たちはこのキューシートに沿った練習をしてしまっているそうだし、俺を囲む子たちの後ろの方ではササが「すみません」と言いたげに手を合わせている。仕方ない。
「わかった、やるよ。で、番組っていつ?」
「昼休み明けの一発目なんですけど」
「あー……うん、わかった。昼明けの一発目ね」
「よろしくお願いします!」
キラキラと目を輝かせてこれで何とかなるよーと言っている子たちの前では、俺の身に降りかかったこの絶望的な事態を口に出すことは出来なかった。どうしよう、いつご飯食べよう。
「高木先輩ホントすみません。俺じゃそのキューシートは無理でした」
「ああ、うん。ササはアナだししょうがないよ」
「ただの風邪なら番組の時だけでも叩き起こして引き摺って来ようかとも思ったんですけど、インフルじゃさすがに」
「うん、パンデミックが起こるね」
すると、控室の方から遠目でも、この人混みでもよくわかる黄色いジャージが。果林先輩だ。昼休みの1時間を持たせるためだけに先生から招集されている。えっ、もうそんな時間?
「タカちゃん、ササ、おはよう」
「おはようございます」
「タカちゃんどうかした? 浮かない顔してるけど」
「あ、えーと……ご飯をいつ食べようかなって考えてました。果林先輩と1時間やった後に2年生の番組でミキサーやることになっちゃって、その後でまた自分たちのインフォメーションがあって」
「えっ、高木先輩ホントすいません自分が無茶言った所為で」
「ううん、大丈夫大丈夫。ササは気にしないで」
「タカちゃんクリームパン大丈夫だっけ」
「あ、はい大丈夫です」
まさかだ。果林先輩がどこからともなく取り出したのはコンビニで買った風なちゃんとしたクリームパン。まあ、果林先輩だし非常食という意味では食べ物が出て来ても不思議じゃないけど。それが俺に手渡される。
「これ、そこで大学のノベルティとして配ってたんだよね。経済学部が開発しました的なヤツ」
「あ、確かに大学の校章が印刷されてますね」
「いっちー先輩曰く経済の製品ってコスパいいらしいし、タカちゃん今のうちにそれ食べちゃって。ミキサーだし食べても別にトークするワケじゃないから問題ないじゃんね」
「それでは、いただきます」
しっかりとしたクリームパンだ。パン1個でもしばらくは繋げる。第一、俺はよく寝坊で昼食を学食のポテトだけで済ますとかもザラ。クリームパンだなんて結構な質量だ。
「よし、頑張ろう」
「高木先輩ホントありがとうございます!」
「今度シノに言っとかなきゃ。それだけやれるなら普段からやって欲しいって」
「タカちゃんも機材部長が板についてきてるねー」
「いえ、俺はまだまだです」
「そうだね。自分のキューシートはもうちょっと遊べたはずだよね。せっかく昼のフリータイムなのに」
「あー……えーと……じゃあ、即興で。やりながら構成を変えていく感じでいいですか」
「オッケー、やろうよ」
さ、怒涛の3時間が始まるぞ。今までにこんなに長時間ミキサー席にぶっ通しで座ってたことなんてないからどうなるかはわかんないけど、腹ごしらえは済んだし何とかなると思いたい。
って言うか、自分のキューシートを書いた時は結構クセが出過ぎたかなーと思ったけど、これでまだ「もうちょっと遊べる」構成だったのか。俺もまだまだだ。
end.
++++
+2年の時間軸ではタカちゃんもMBCCの機材部長だし、MBCCの後輩たちがゼミに入って来たりしていて賑やかです。高木先輩っていう響きが何とも。
うん、まあTKGだったらちょっと食べないくらい耐えられるはずなんだけど、一応は食べたいのね。公式の時間軸みたいな食生活が続いてるのには間違いなさそうだけどもw
夏のインフルエンザっていうのが結構厄介みたいですね。緑大のオープンキャンパスは全国各地から人が来るので確かにパンデミックになりそうだなあ
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公式学年+2年
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「高木先輩助けてくださーい!」
あまり絡みのない2年生が、突然泣きついて来る。その手には番組のキューシート。今日は緑ヶ丘大学のオープンキャンパス2日目。佐藤ゼミでは総合案内のインフォメーション放送や大学生活に関する2年生の番組などを担当することになっているのだけど。
「どうしたの?」
「あの、今日篠木君お休みでウチの班のミキサーがいなくなっちゃって、それで佐々木君に相談したら「このキューシートは高木先輩しか捌けない」って言われてそれで」
「えっ、今日シノ休みなの?」
「インフルになっちゃったとかって」
「って言うか夏にインフルってかかるんだ。それはいいけどキューシート見せてもらっていい?」
その子からシノが書いていたらしいキューシートを受け取ると……うわあ。なんだこれ。気合が空回ってると言うか、持ち得る技術を全て注ぎ込みましたって感じのヤツ。そういうことはMBCCの昼放送かインターフェイスの夏合宿でやってほしい。
それはそうと、この子たちはこのキューシートに沿った練習をしてしまっているそうだし、俺を囲む子たちの後ろの方ではササが「すみません」と言いたげに手を合わせている。仕方ない。
「わかった、やるよ。で、番組っていつ?」
「昼休み明けの一発目なんですけど」
「あー……うん、わかった。昼明けの一発目ね」
「よろしくお願いします!」
キラキラと目を輝かせてこれで何とかなるよーと言っている子たちの前では、俺の身に降りかかったこの絶望的な事態を口に出すことは出来なかった。どうしよう、いつご飯食べよう。
「高木先輩ホントすみません。俺じゃそのキューシートは無理でした」
「ああ、うん。ササはアナだししょうがないよ」
「ただの風邪なら番組の時だけでも叩き起こして引き摺って来ようかとも思ったんですけど、インフルじゃさすがに」
「うん、パンデミックが起こるね」
すると、控室の方から遠目でも、この人混みでもよくわかる黄色いジャージが。果林先輩だ。昼休みの1時間を持たせるためだけに先生から招集されている。えっ、もうそんな時間?
「タカちゃん、ササ、おはよう」
「おはようございます」
「タカちゃんどうかした? 浮かない顔してるけど」
「あ、えーと……ご飯をいつ食べようかなって考えてました。果林先輩と1時間やった後に2年生の番組でミキサーやることになっちゃって、その後でまた自分たちのインフォメーションがあって」
「えっ、高木先輩ホントすいません自分が無茶言った所為で」
「ううん、大丈夫大丈夫。ササは気にしないで」
「タカちゃんクリームパン大丈夫だっけ」
「あ、はい大丈夫です」
まさかだ。果林先輩がどこからともなく取り出したのはコンビニで買った風なちゃんとしたクリームパン。まあ、果林先輩だし非常食という意味では食べ物が出て来ても不思議じゃないけど。それが俺に手渡される。
「これ、そこで大学のノベルティとして配ってたんだよね。経済学部が開発しました的なヤツ」
「あ、確かに大学の校章が印刷されてますね」
「いっちー先輩曰く経済の製品ってコスパいいらしいし、タカちゃん今のうちにそれ食べちゃって。ミキサーだし食べても別にトークするワケじゃないから問題ないじゃんね」
「それでは、いただきます」
しっかりとしたクリームパンだ。パン1個でもしばらくは繋げる。第一、俺はよく寝坊で昼食を学食のポテトだけで済ますとかもザラ。クリームパンだなんて結構な質量だ。
「よし、頑張ろう」
「高木先輩ホントありがとうございます!」
「今度シノに言っとかなきゃ。それだけやれるなら普段からやって欲しいって」
「タカちゃんも機材部長が板についてきてるねー」
「いえ、俺はまだまだです」
「そうだね。自分のキューシートはもうちょっと遊べたはずだよね。せっかく昼のフリータイムなのに」
「あー……えーと……じゃあ、即興で。やりながら構成を変えていく感じでいいですか」
「オッケー、やろうよ」
さ、怒涛の3時間が始まるぞ。今までにこんなに長時間ミキサー席にぶっ通しで座ってたことなんてないからどうなるかはわかんないけど、腹ごしらえは済んだし何とかなると思いたい。
って言うか、自分のキューシートを書いた時は結構クセが出過ぎたかなーと思ったけど、これでまだ「もうちょっと遊べる」構成だったのか。俺もまだまだだ。
end.
++++
+2年の時間軸ではタカちゃんもMBCCの機材部長だし、MBCCの後輩たちがゼミに入って来たりしていて賑やかです。高木先輩っていう響きが何とも。
うん、まあTKGだったらちょっと食べないくらい耐えられるはずなんだけど、一応は食べたいのね。公式の時間軸みたいな食生活が続いてるのには間違いなさそうだけどもw
夏のインフルエンザっていうのが結構厄介みたいですね。緑大のオープンキャンパスは全国各地から人が来るので確かにパンデミックになりそうだなあ
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