2017(02)
■狂気に中てられて
++++
その姿は、まさに壮絶。目の下には色の濃いクマが出来ていて、睡眠時間が減ってるんだろうなというのがわかる。ペンを握る手はひっきりなしに動いているけど、広げられている紙はこの教室とは関係のない物。
「朝霞クン、レジュメが止まってるよ」
「ちょっと待て伏見、今話しかけるな。乗ってるんだ」
「でも、レジュメの合間の息抜きだったんでしょ、部活の作業って」
「うるさい、部活の方が大事だ」
「も~」
ここはゼミ室で、次のコマまでの空き時間を利用して来週の発表に向けたレジュメを作っている、はずだった。だけど、朝霞クンは完全にレジュメを放り出してしまっている様子。
この朝霞クンという人は、放送部でステージの台本なんかを書いている人。部活にかける情熱は凄まじくて、去年も夏や大学祭の前はひいひい言いながらも狂気じみた笑みを浮かべて台本を書いてたっけ。
あたしも映研で短編作品の脚本を書いてたりするから作業中のこととか、気持ちなんかはちょっとわかるつもりでいた。だけど、朝霞クンは本当に次元が違う。生きるか死ぬかっていう、ギリギリを楽しんでいるようにも見える。
「朝霞クン、ひょっとしなくても勉強は苦手ですね?」
「うるさい。今は部活の方が大事だ」
「読書出来ないタイプでしょう」
「読書は趣味だ」
「へえ。何読むの?」
「濫読派だからこれとは一概に言えないけど――って、話しかけんなっつってるだろ。あーもう、脳が散った」
「えっ、何、脳が散るって。こわっ」
「思いついたことはそのときに書いとかないと次のイメージに押されて散っちまうんだ。だから邪魔すんな」
話を聞く限り、朝霞クンはポンポンといろんなことを発想出来るけど、それを書き留めたりまとめたりする手が追いつかないのかなって。だから人に話しかけられると手が止まってせっかく浮かんだアイディアが散っちゃう。
映像作品のそれとは同じじゃないかもしれないけど、朝霞クンの頭の中でも誰かが勝手に動き出して、その場を支配するようなことがあるのかな。あたしはたまにお話の登場人物が勝手に動き出すことがあるけど。
ペアで発表を指名されている以上、朝霞クンもレジュメの作業をやってくれないことには始まらないんだけどなあ。そう思うには思うんだけど、ノリノリなのを止めるのも申し訳なくて。あと、怒ると怖いし。
ブツブツと、セリフなんかを呟きながら手を動かす朝霞クン。表情がコロコロと変わっていくのが面白い。壇上のセリフを唱える時は目映い笑顔なのに、一瞬で元の眉間に皺の寄った仏頂面に戻るところとか。
「朝霞クンも、セリフに表情が引っ張られる方の人なの?」
「MCを考えてる時はアイツっぽい顔にはなってると思う。それがどうかしたか。台本あるあるか」
「どちら様ですかって感じの笑顔だったから気になって」
「うるさい。“俺”はどうせ凶悪だよ」
「一応気にはしてるの?」
「しんどいときに無理矢理笑ったら子供に泣かれたことがある」
「眉間とクマだと思うなあ。それが良くなれば普通に凛々しい感じのカッコよさがあるよ朝霞クンて」
「どーも。褒めてもしばらくはレジュメ出来ないぞ」
そう言って朝霞クンはまた笑顔でペンを動かし始めた。MC仕様の目映い笑顔の中にも朝霞クン特有の凶悪さ……と言うか、眉間のシワとクマがあるから怖いんだよなあ。でも、朝霞クンが普通にニコニコしてても怖いから今の方が“ぽい”かも。レジュメはやって欲しいけど。
「朝霞クン、その調子でテスト大丈夫?」
「出席とレポート100%の授業しか取ってない。すべてはステージのためだ」
「ええー……」
去年の朝霞クンも見てたけど、今年はさらにパワーアップしてる気がする。だけどどこまでやっちゃんだろうって、不思議と引き込まれちゃう。気になってきちゃうよね、何でだろう。
end.
++++
多分今年度初めての朝霞Pとふしみん。と言うかペアで発表を指名されてるのに課題そっちのけの朝霞Pwww ふしみんがんばれ
台本書きながら顔がコロコロ変わってる朝霞Pはそれはそれで面白そうだ。洋平ちゃん仕様の顔をしてる朝霞Pなんて想像出来ないんだけども
しんどいときに無理矢理笑って子供に泣かれる朝霞Pというのも見てみたい気がするよ!
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その姿は、まさに壮絶。目の下には色の濃いクマが出来ていて、睡眠時間が減ってるんだろうなというのがわかる。ペンを握る手はひっきりなしに動いているけど、広げられている紙はこの教室とは関係のない物。
「朝霞クン、レジュメが止まってるよ」
「ちょっと待て伏見、今話しかけるな。乗ってるんだ」
「でも、レジュメの合間の息抜きだったんでしょ、部活の作業って」
「うるさい、部活の方が大事だ」
「も~」
ここはゼミ室で、次のコマまでの空き時間を利用して来週の発表に向けたレジュメを作っている、はずだった。だけど、朝霞クンは完全にレジュメを放り出してしまっている様子。
この朝霞クンという人は、放送部でステージの台本なんかを書いている人。部活にかける情熱は凄まじくて、去年も夏や大学祭の前はひいひい言いながらも狂気じみた笑みを浮かべて台本を書いてたっけ。
あたしも映研で短編作品の脚本を書いてたりするから作業中のこととか、気持ちなんかはちょっとわかるつもりでいた。だけど、朝霞クンは本当に次元が違う。生きるか死ぬかっていう、ギリギリを楽しんでいるようにも見える。
「朝霞クン、ひょっとしなくても勉強は苦手ですね?」
「うるさい。今は部活の方が大事だ」
「読書出来ないタイプでしょう」
「読書は趣味だ」
「へえ。何読むの?」
「濫読派だからこれとは一概に言えないけど――って、話しかけんなっつってるだろ。あーもう、脳が散った」
「えっ、何、脳が散るって。こわっ」
「思いついたことはそのときに書いとかないと次のイメージに押されて散っちまうんだ。だから邪魔すんな」
話を聞く限り、朝霞クンはポンポンといろんなことを発想出来るけど、それを書き留めたりまとめたりする手が追いつかないのかなって。だから人に話しかけられると手が止まってせっかく浮かんだアイディアが散っちゃう。
映像作品のそれとは同じじゃないかもしれないけど、朝霞クンの頭の中でも誰かが勝手に動き出して、その場を支配するようなことがあるのかな。あたしはたまにお話の登場人物が勝手に動き出すことがあるけど。
ペアで発表を指名されている以上、朝霞クンもレジュメの作業をやってくれないことには始まらないんだけどなあ。そう思うには思うんだけど、ノリノリなのを止めるのも申し訳なくて。あと、怒ると怖いし。
ブツブツと、セリフなんかを呟きながら手を動かす朝霞クン。表情がコロコロと変わっていくのが面白い。壇上のセリフを唱える時は目映い笑顔なのに、一瞬で元の眉間に皺の寄った仏頂面に戻るところとか。
「朝霞クンも、セリフに表情が引っ張られる方の人なの?」
「MCを考えてる時はアイツっぽい顔にはなってると思う。それがどうかしたか。台本あるあるか」
「どちら様ですかって感じの笑顔だったから気になって」
「うるさい。“俺”はどうせ凶悪だよ」
「一応気にはしてるの?」
「しんどいときに無理矢理笑ったら子供に泣かれたことがある」
「眉間とクマだと思うなあ。それが良くなれば普通に凛々しい感じのカッコよさがあるよ朝霞クンて」
「どーも。褒めてもしばらくはレジュメ出来ないぞ」
そう言って朝霞クンはまた笑顔でペンを動かし始めた。MC仕様の目映い笑顔の中にも朝霞クン特有の凶悪さ……と言うか、眉間のシワとクマがあるから怖いんだよなあ。でも、朝霞クンが普通にニコニコしてても怖いから今の方が“ぽい”かも。レジュメはやって欲しいけど。
「朝霞クン、その調子でテスト大丈夫?」
「出席とレポート100%の授業しか取ってない。すべてはステージのためだ」
「ええー……」
去年の朝霞クンも見てたけど、今年はさらにパワーアップしてる気がする。だけどどこまでやっちゃんだろうって、不思議と引き込まれちゃう。気になってきちゃうよね、何でだろう。
end.
++++
多分今年度初めての朝霞Pとふしみん。と言うかペアで発表を指名されてるのに課題そっちのけの朝霞Pwww ふしみんがんばれ
台本書きながら顔がコロコロ変わってる朝霞Pはそれはそれで面白そうだ。洋平ちゃん仕様の顔をしてる朝霞Pなんて想像出来ないんだけども
しんどいときに無理矢理笑って子供に泣かれる朝霞Pというのも見てみたい気がするよ!
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