2018(05)

■Light Right Allright!!

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「さ、ボウリング大会が終了したッつーコトで、食事にしヤしょー」

 今日はMMPの3年生追いコンという行事が開かれている。4年生追いコンとか卒業式の後に行われる卒コンという行事は他の大学さんでもやってるらしい一般的な物らしいんだけど、MMP独自の行事と言えるのがこの3年生追いコンだ。
 基本的に3年生追いコンというのも他のコンパと同様に飲み会が基本ではあったんだけど、別に飲み会に限らず昼間に普通に遊ぶのでもいいんじゃないかなという3年生のご意向でボウリング大会と食事会という形式になっている。
 食事のメニューは菜月先輩の希望で鍋が採用された。食べ放題形式で、好きな具材を注文してそれぞれの卓で盛り付けていくという形式の。今日の参加者が8人だから、2テーブルに分かれての食卓になる。で、ここで大事になってくるのがその席順だ。

「えー、席は公正にくじ引きで決めさせていただきヤす。では先程のボウリングで見事勝利しヤした3年生方から」
「ん、では最も活躍した菜月さんから引いてもらって」
「それじゃあ引くぞ」

 俺としては当然菜月先輩と圭斗先輩のお近くに座らせていただければこれ以上ないほどの幸福だ。と言うか2年生と奈々はこれから嫌でも顔を合わせるワケだし、やはりここは菜月先輩と圭斗先輩とご一緒したいという気持ちがとても強い。
 くじを引く順番はボウリング大会勝者の3年生チームから順番に、1・2年チームはスコア順ということになった。一応1・2年チームでスコアを一番稼いだのは俺だから、3年生ラストの圭斗先輩の次に引くことになる。

「あ、1番だった」
「右側の奥にどーぞ。では次の人」
「はーい。俺はどこになるかな~。あっ、7番だ」
「三井先輩は左側のそっち側ス。はい、次の人ー」
「僕だね。ん、4番で」
「圭斗先輩は右側の、菜月先輩の斜め向かいスね。はい、次ー」

 これは断固として右側を狙いに行かなくてはならないヤツ! しかしこの手のくじ引きで菜月先輩または圭斗先輩とご一緒出来た試しがほぼほぼないんだよな~…! オープンキャンパスのペア決め然り、缶蹴り一次会の飲み会然りで。
 で、こんな時に大体俺の前に立ちはだかって来るのがラスボスの律だ。事あるごとに律は! 俺の望むポジションを見事なまでに掻っ攫って行きやがる! いや、運だとは分かってるんだけど律のくじ運は一体何なんだ、羨ましすぎるだろ。

「野坂、とっとと引かないなら棄権にしヤすぜ」
「あー引きます! 引きますから! これだ!」
「えー、3番スね。圭斗先輩の横、菜月先輩の向かいスね」
「よ、よっしゃあああ! ついに来た! 俺の時代が! これは1年間対策委員お疲れ様でしたという天からのご褒美なのだな!」
「ノサカ、そんなに圭斗の隣が嬉しいのか」
「当然です! もちろん菜月先輩とご一緒出来ることにも感謝をし、その喜びを深く噛みしめているところです!」
「お前のその熱量には引くぞ」

 結局、こちらの卓のもう1枠には奈々が入ることになり、楽しい鍋大会がスタートすることになった。向こうの卓では三井先輩が律とこーたのドSコンビとナチュ畜のヒロにラブピされているし、こちらの卓は幸せに包まれていて天国と地獄とはまさにこのことだな。

「今日は3年生追いコンということでうちが鍋のお世話をしますから、先輩たちはゆーっくりしててくださいッ!」
「奈々はいい子だなあ。ノサカ、お前も見習え」
「お言葉を返すようですが、俺が鍋の世話をするともれなく惨劇になるとは」
「でも、全く料理が出来ないワケじゃないじゃないか。揚げ物を作れるくらいだし」
「あれは母さんの監督があったから出来たのであって、一人では怖くて揚げ物なんて出来ません」
「菜月先輩嫌いな物があったら言ってくださいねッ! 極力避けますからッ!」
「奈々、菜月さんを甘やかさなくていいんだよ」
「圭斗のクセに。でも、こういう鍋系の大会になると高崎とかいう鬼畜野郎が問答無用で器を緑にしてくるからな」
「それは最初にワガママ放題をして高崎を困らせた所為じゃないか。自業自得だね」

 ……などとナチュラルに出て来るそのお名前ですよ。いや、いいんですけど。対策委員時代は唯一無二の相棒でいらしたようだし、今でも仲のいい友人だとは知っているから。でも、ぶっちゃけめっちゃ嫉妬はしますよね。

「最初にワガママ放題をし過ぎるとだんだん呆れて扱いも雑になってくるのは何となくわかりますッ! うちのミーちゃんも雄平さんからの扱いがだんだんと雑になってて」
「ん、越谷さんに関してはご愁傷さまですとしか言いようがないね。あれからどうなったんだい? 越谷さんは確か実家に戻ったよね」
「ミーちゃん今日雄平さんに会いに光洋まで出かけてるんですッ! 文鳥カフェに行くんですって」
「ナ、ナンダッテー。それは熱いヤツだね」
「圭斗、それノサカのヤツな」
「圭斗先輩に使っていただけるのであればむしろ本望です!」
「あっ、いい感じに煮えてるじゃないか。奈々と圭斗は情報交換に夢中だし、うちがやろう。ノサカ、器」

 ナ、ナンダッテー!? 菜月先輩にお鍋をよそっていただけるだなんてこれ以上ない幸福…! いや、カレーをよそってもらえるのも昼放送の収録で2人だったのもこれ以上ない幸福なんだけど、これ以上ない幸福はいくつあったっていいじゃないか!
 菜月先輩は熱い熱いと少々苦戦しながらみんなの分を器に盛り、それから自分の分をよそい始めた。野菜が全く食べられないこともないけど、出来ればくたくたになってからということで現段階では避けられているのもとても可愛らしい。いや、食べるに越したことはないんだけど。

「菜月先輩、お水のおかわりはいかがですか?」
「それじゃあもらおうかな」
「では失礼します」
「ノサカ、この辺にある白菜はうちが育ててるヤツだからな、食べるなよ。それから次はしらたき頼むから」
「白菜に関してはわかりました。しかし、しらたきはどれだけの量を頼まれるのでしょうか…?」
「ごく一般的な量だ」
「菜月さん、一般的な量に止めるんだよ」


end.


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来年度はノサナツ年なので一応今年度のうちから少し匂わせておこうかしら……ということも全くないくじ引き話です。
いろんな話が説明もなしにぶっこまれる不親切仕様の話だけど実際の会話ってこんなモンよねとゴリ押し
そして久し振りにこっしーさんの名前を聞いたけど、何年か前にその件やってるので気になる方はどうぞ

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