2018(04)
■家主はまた床で寝ている
++++
MBCCの無制限飲みも無事に終わって、みんな引き上げていった。家主は相変わらず床で毛布にくるまって寝てるけど、起きていても何をするワケでもないからこのままもう少し転がしておく。俺がここから始めるのは部屋の片付けだ。
まず、どれだけの食糧が残っているのかの確認をする。昨日、先輩たちは余った食糧をここに置いて行くこと前提でたくさん買って来ていた。つかコイツが食うことに苦労してるっつーのが暗黙の了解になっている時点でどうなんだっていう。
うん、結構残ってんな。パスタに米、ウインナー。他にも、カズ先輩が作り置きしてった常備菜なんかもある。冷凍庫にはそのままレンチンで食えるようにハンバーグやロールキャベツなんかが作ってあった。凄すぎだべ。
で、何かミドリからもらってきたっていうプレッツェルもまだ少し残ってるし、ぶっちゃけ今日はこれ以上食糧はなくても平気なんじゃないかとも思う。みんなちょっとは持ち寄って来るだろうけど、インターフェイスの1年に特別食う奴もそういなかった気がするし。
「ん?」
突然インターホンが鳴った。家主はそれに気付かずまーだ寝てるから、俺が代わりに出てみる。するとインターホンを押していたのはミドリだったらしく、部屋に通すことに。家主は寝てるけど、問題ないだろ。昨日だって人の応対より寝るの優先だったみたいだし。
「あ、エージ。本当にいた。ちょっと早かったかな」
「まだあんまり片付いてないけど、座る場所がないっつーほどでもないから上がっててくれっていう」
「タカティは?」
「寝てる」
「例によってね。あ、一応食べる物もちょっと持って来てみたんだけど」
「お前これ、プレッツェルじゃねーかっていう。昨日めっちゃ食ったべ俺ら」
「だろうとは思ったけど、緑ヶ丘以外の子を対象にね、うん」
ミドリが例のプレッツェルを増やしてきたけど、カズ先輩に借りてる道具で今日もフォンデュにしたらまあまあ消費できるだろう。昨日もフォンデュでめっちゃ消費したっつー実績がある。
実際、1人につき1ケースくらいを想定して持って来てたみたいだ。それもフライの衣に再利用したりフォンデュにしたり、そのままビールのおともにすることで高木本人が確保していたおやつ分以外は大体消費したっていうな。高崎先輩と果林先輩は1ケース持ち帰ってたし。
「うわー、タカティ本当に寝てるねー」
「どーせしばらく起きんべ」
「って言うか、床で寝なきゃいけない程の状況だったの?」
「いや、どっちかっつーとコイツは床で寝てる日の方が多いべ」
「へー、そうなんだねー」
台所がやっとそれらしく整頓できたところで、今度は部屋の片付けに入る。っつってもゴミなんかは粗方先輩らがちゃんとしてってくれてるから、コロコロをかけたりすればオッケーな状態。
つか、高木が床で寝てると思うようにコロコロがかけられない。昨日はみんなでプレッツェルを食ってるから屑が部屋中に落ちてるはずなんだ。コロコロじゃ足りないし、本当は掃除機をかけたいくらいだっていう。
「おい高木、起きろ!」
1回や2回引っ叩いたくらいじゃ起きないんだよなコイツは。根気よく起こし続けなければならないんだ。いっそコイツを無視して、むしろコイツごと掃除機をかけてやろうか。ミドリがあわあわと「大丈夫?」なんて俺の様子を窺ってるけど、大丈夫なんだよな。
「うー、ん……」
「そろそろ起きろ。掃除機かけたいんだっていう」
「ベッドで二度寝していい…?」
「それはいいけど、起こしたら起きろよ」
「ん」
ぶっちゃけ高木が寝てても起きてても準備には支障がないと言うか、さほど影響がないんだ。今は掃除機をかけるために、床からこの毛布の塊を退かすことが最重要だったワケで、掃除機の同線にさえ入らなきゃ二度寝だろうが何だろうがお好きにどうぞ。
「そう言えばエージ、これ、タカティにお酒持って来たんだけど、どこ置いとこうか」
「歩くのに邪魔にならないトコだったらどこでの大丈夫だべ。つかすげー酒」
「まあ、タカティの誕生会だしお酒をあげるのが無難かなとは」
「確かに。それは間違いないっていう」
ミドリには高木の椅子に座っててもらうことにして、俺はひたすら床の上を片付けていく。机のないこの部屋では、床の衛生状態が何よりも大事になってくる。床の上に直接皿を置いて飯を食うとか正直あり得ないんだけど、机がない以上仕方ない。そろそろ机買ったらいいのに。
そもそもの問題として、どうして俺がコイツの家の冷蔵庫や部屋の掃除なんかの気を遣わなきゃいけないんだって気はする。だけど、一宿一飯の恩義じゃないけど、入り浸ってるからにはある程度働く必要はあるよなって。と言うか、ほっとくととんでもないことになるし。不衛生極まりないと言うか。
「タカティは本当に良く寝るねえ」
「バイトしてた時はちゃんと昼夜が昼夜だったんだけどな。終わった瞬間これだっていう」
「みんなが来るまでには起きてるかな」
「知らね。寝てるんじゃね? えーっと、足りなくなりそうなモンがあったら買い出しに行かなきゃなー」
end.
++++
今度はインターフェイスの1年生でTKG誕の集まりがあるようですが、まーたタカちゃんは床で寝ている模様。
バイトで生活がちゃんと整ったかと思ったんだけど、それが終わってしまえばすっかり昼夜逆転生活に戻ってしまったようですね
そしてミドリのプレッツェルである。エイジがいち氏仕込みの加工術できっと何かしてくれるはずだ
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MBCCの無制限飲みも無事に終わって、みんな引き上げていった。家主は相変わらず床で毛布にくるまって寝てるけど、起きていても何をするワケでもないからこのままもう少し転がしておく。俺がここから始めるのは部屋の片付けだ。
まず、どれだけの食糧が残っているのかの確認をする。昨日、先輩たちは余った食糧をここに置いて行くこと前提でたくさん買って来ていた。つかコイツが食うことに苦労してるっつーのが暗黙の了解になっている時点でどうなんだっていう。
うん、結構残ってんな。パスタに米、ウインナー。他にも、カズ先輩が作り置きしてった常備菜なんかもある。冷凍庫にはそのままレンチンで食えるようにハンバーグやロールキャベツなんかが作ってあった。凄すぎだべ。
で、何かミドリからもらってきたっていうプレッツェルもまだ少し残ってるし、ぶっちゃけ今日はこれ以上食糧はなくても平気なんじゃないかとも思う。みんなちょっとは持ち寄って来るだろうけど、インターフェイスの1年に特別食う奴もそういなかった気がするし。
「ん?」
突然インターホンが鳴った。家主はそれに気付かずまーだ寝てるから、俺が代わりに出てみる。するとインターホンを押していたのはミドリだったらしく、部屋に通すことに。家主は寝てるけど、問題ないだろ。昨日だって人の応対より寝るの優先だったみたいだし。
「あ、エージ。本当にいた。ちょっと早かったかな」
「まだあんまり片付いてないけど、座る場所がないっつーほどでもないから上がっててくれっていう」
「タカティは?」
「寝てる」
「例によってね。あ、一応食べる物もちょっと持って来てみたんだけど」
「お前これ、プレッツェルじゃねーかっていう。昨日めっちゃ食ったべ俺ら」
「だろうとは思ったけど、緑ヶ丘以外の子を対象にね、うん」
ミドリが例のプレッツェルを増やしてきたけど、カズ先輩に借りてる道具で今日もフォンデュにしたらまあまあ消費できるだろう。昨日もフォンデュでめっちゃ消費したっつー実績がある。
実際、1人につき1ケースくらいを想定して持って来てたみたいだ。それもフライの衣に再利用したりフォンデュにしたり、そのままビールのおともにすることで高木本人が確保していたおやつ分以外は大体消費したっていうな。高崎先輩と果林先輩は1ケース持ち帰ってたし。
「うわー、タカティ本当に寝てるねー」
「どーせしばらく起きんべ」
「って言うか、床で寝なきゃいけない程の状況だったの?」
「いや、どっちかっつーとコイツは床で寝てる日の方が多いべ」
「へー、そうなんだねー」
台所がやっとそれらしく整頓できたところで、今度は部屋の片付けに入る。っつってもゴミなんかは粗方先輩らがちゃんとしてってくれてるから、コロコロをかけたりすればオッケーな状態。
つか、高木が床で寝てると思うようにコロコロがかけられない。昨日はみんなでプレッツェルを食ってるから屑が部屋中に落ちてるはずなんだ。コロコロじゃ足りないし、本当は掃除機をかけたいくらいだっていう。
「おい高木、起きろ!」
1回や2回引っ叩いたくらいじゃ起きないんだよなコイツは。根気よく起こし続けなければならないんだ。いっそコイツを無視して、むしろコイツごと掃除機をかけてやろうか。ミドリがあわあわと「大丈夫?」なんて俺の様子を窺ってるけど、大丈夫なんだよな。
「うー、ん……」
「そろそろ起きろ。掃除機かけたいんだっていう」
「ベッドで二度寝していい…?」
「それはいいけど、起こしたら起きろよ」
「ん」
ぶっちゃけ高木が寝てても起きてても準備には支障がないと言うか、さほど影響がないんだ。今は掃除機をかけるために、床からこの毛布の塊を退かすことが最重要だったワケで、掃除機の同線にさえ入らなきゃ二度寝だろうが何だろうがお好きにどうぞ。
「そう言えばエージ、これ、タカティにお酒持って来たんだけど、どこ置いとこうか」
「歩くのに邪魔にならないトコだったらどこでの大丈夫だべ。つかすげー酒」
「まあ、タカティの誕生会だしお酒をあげるのが無難かなとは」
「確かに。それは間違いないっていう」
ミドリには高木の椅子に座っててもらうことにして、俺はひたすら床の上を片付けていく。机のないこの部屋では、床の衛生状態が何よりも大事になってくる。床の上に直接皿を置いて飯を食うとか正直あり得ないんだけど、机がない以上仕方ない。そろそろ机買ったらいいのに。
そもそもの問題として、どうして俺がコイツの家の冷蔵庫や部屋の掃除なんかの気を遣わなきゃいけないんだって気はする。だけど、一宿一飯の恩義じゃないけど、入り浸ってるからにはある程度働く必要はあるよなって。と言うか、ほっとくととんでもないことになるし。不衛生極まりないと言うか。
「タカティは本当に良く寝るねえ」
「バイトしてた時はちゃんと昼夜が昼夜だったんだけどな。終わった瞬間これだっていう」
「みんなが来るまでには起きてるかな」
「知らね。寝てるんじゃね? えーっと、足りなくなりそうなモンがあったら買い出しに行かなきゃなー」
end.
++++
今度はインターフェイスの1年生でTKG誕の集まりがあるようですが、まーたタカちゃんは床で寝ている模様。
バイトで生活がちゃんと整ったかと思ったんだけど、それが終わってしまえばすっかり昼夜逆転生活に戻ってしまったようですね
そしてミドリのプレッツェルである。エイジがいち氏仕込みの加工術できっと何かしてくれるはずだ
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