2018(04)
■２位程度のいい予感！
＋＋＋＋
「ダン、ダダン！ ダン、ダダダン！」
「三浦お前、このクソ寒いのによくそんな元気だな」
「寒いからこそ動くんですよ鵠沼クン！ ダンダン！」
「まあ、それ自体はわかんないでもないけどな」
「それから、三浦は昨日テレビでやってた週末占いで２位だったんだよ。だからいい予感がする！」
「ホント単純じゃん？」
三浦のテンションがクソ高いのは今に始まったことじゃない。だけど、このクソ寒いのに力強くドリブルをしながらぴょんぴょん飛び跳ねていて元気だなと思う。子供は風の子に近い物を感じるし、バカは風邪ひかないにも似た何かか。小学生男子なら絶対短パン履いてたタイプだろう。
「みんなー、お土産でーす」
「わーい！ ありがとうございまーす！」
テストが終わって春休みに入っても、GREENsの活動は平常通り続いていた。ほら、何か年末までで活動が一段落するサークルとか、春休みと同時に休みっつーサークルもあるらしいじゃんな。とにかくGREENsは平常通りの活動が続いていて、さっそく慧梨夏サンの声が体育館にこだまする。
東都で就職した姉貴サンが用事で週末だけ帰って来たとかで、金は出すから配りやすい適当なお土産を買って来てくれと頼んでいたらしい。星港駅もまあまあお土産の種類は多いけど、その辺はやっぱ東都駅が圧倒的だと思う。お土産買うなら空港に行けとも聞くけど。
「お～っ、美味しそう！」
「いろんな味があるみたいだけど、争奪戦してたら本当の戦争になっちゃうからうちがランダムで配るね。この味が良かったとかそういうのはもらった人同士で交渉してね。はい美弥子サンどうぞー。キャップ、もとい総司さんどうぞー」
はいどーぞはいどーぞと慧梨夏サンがランダムにお土産を配っていく。俺と三浦にもはいどーぞと手渡されたのは、スティックタイプのワッフルケーキだ。ふかふかのワッフルの間に、クリームが挟まれている。その味の種類が結構多いらしく、もらった人から包みに貼られたシールを確認しては何味だと一喜一憂。
「鵠沼クン何味だった？」
「えっと、これは、ピスタチオチーズケーキって書いてる。お前は？」
「いよかん！ 元キャップは何味ですか！」
「俺はレーズンだな」
「ほほう。では新キャップ、サトシさんは！」
「俺はイチゴだ。康平、俺のイチゴとピスタチオを交換しないか」
「いいっすよ」
「有り難い」
これの方が好きっていうのが明確にあると、交換欲が出て来るんだろうな。俺は特に何が特別好きというのがないと言うか、どれも美味そうだと思うからもらったものをありがたくいただくだけなんだけど。他にはチョコクリームや抹茶、モモなど本当に数多くの味があるらしい。
そんな中で、みんなの味を聞いて回っていた三浦が戻って来た。戻ってきた三浦は先のドリブルと同じくらいに高いテンションだ。弾むようにステップを踏みながら「誰がどの味で」などと報告をしてくる。多分言わない方がいいと思うんだけど、こういうお土産って大体箱の中に簡易パンフみたいな紙か冊子が入ってんだ。
「これだけ人数いるのに味ダブりがあんまりないってスゴくない!? ねえスゴくない鵠沼クン！」
「ああ、凄いじゃんな」
「これだけ味がある中でいよかんもらえた三浦はラッキー！」
「お前いよかん好きなのか」
「聞いて回った味の中では一番美味しそうだと思った。さすが、２位だけある！」
「２位にしちゃラッキー具合がしょぼくね？」
「いい予感は当たってるの！ だから超ラッキー！」
「いよかん味だったことがいい予感なのか」
「そう！ いよかんいい予感！」
「うわ、出た」
三浦のダジャレ癖。事あるごとにハイテンションでダジャレを言い放つ三浦はバカなのか頭の回転が早いのかわからなくなりつつある。今回はうっかり俺が誘発させた感があるのは少し反省。いよかんでいい予感ってか。でも、本当に好きな味だったならそれは本当にラッキーなんだろう。これだけ種類があるんだし。
「んー！ おいひー！ 慧梨夏サンおいしーです！」
「うん、適当に買って来てって頼んだ割に凄くいいの買って来てくれてうちもビックリしてる」
「慧梨夏サンのお姉ちゃんセンスいいっすね！ 都会で洗練されたんですかね！」
「元々オシャレな人ではあるよね」
「ほー、やっぱ都会の人ってオシャレなんですねー」
交換の結果手元に残ったイチゴ味のケーキを俺も一口。うん、美味い。俺もたまには何か違うお土産買って来てみようかな。毎回鳥サブレだし。光洋土産の定番っちゃ定番だし外さないけど、たまにはこう、気分転換も必要なのかな。ま、その時になったらまた考えるか。いや、その時になったら忘れて普通に鳥サブレ買ってるな多分。
「さ、箱片したら動かなきゃね。寒い寒い」
「鵠沼クン鳥サブレの予定ある!?」
「お前、欲求がダイレクト過ぎじゃん!? 普通「帰省の予定ある？」って聞くトコだろ。何だ鳥サブレの予定って。強いて言えばないけどな！」
「えー!?」
「お前、それ以上言うならゼミ合宿の長篠土産お前にだけ買って来ねーぞ」
「えーっ！ 三浦にも買って来てよ！」
end.
＋＋＋＋
いよかん食べていい予感！ これがやりたかったがためのGREENs回でした。
占いの結果をどう見るかは気持ち次第といったところですが、２位らしいちょっとしたウキウキ感もさっちゃんにかかれば凄いことみたいだ
そういやGREENsと言えば恒例行事になりつつある節分だけど、今年もやるのかな？ｗ
.
＋＋＋＋
「ダン、ダダン！ ダン、ダダダン！」
「三浦お前、このクソ寒いのによくそんな元気だな」
「寒いからこそ動くんですよ鵠沼クン！ ダンダン！」
「まあ、それ自体はわかんないでもないけどな」
「それから、三浦は昨日テレビでやってた週末占いで２位だったんだよ。だからいい予感がする！」
「ホント単純じゃん？」
三浦のテンションがクソ高いのは今に始まったことじゃない。だけど、このクソ寒いのに力強くドリブルをしながらぴょんぴょん飛び跳ねていて元気だなと思う。子供は風の子に近い物を感じるし、バカは風邪ひかないにも似た何かか。小学生男子なら絶対短パン履いてたタイプだろう。
「みんなー、お土産でーす」
「わーい！ ありがとうございまーす！」
テストが終わって春休みに入っても、GREENsの活動は平常通り続いていた。ほら、何か年末までで活動が一段落するサークルとか、春休みと同時に休みっつーサークルもあるらしいじゃんな。とにかくGREENsは平常通りの活動が続いていて、さっそく慧梨夏サンの声が体育館にこだまする。
東都で就職した姉貴サンが用事で週末だけ帰って来たとかで、金は出すから配りやすい適当なお土産を買って来てくれと頼んでいたらしい。星港駅もまあまあお土産の種類は多いけど、その辺はやっぱ東都駅が圧倒的だと思う。お土産買うなら空港に行けとも聞くけど。
「お～っ、美味しそう！」
「いろんな味があるみたいだけど、争奪戦してたら本当の戦争になっちゃうからうちがランダムで配るね。この味が良かったとかそういうのはもらった人同士で交渉してね。はい美弥子サンどうぞー。キャップ、もとい総司さんどうぞー」
はいどーぞはいどーぞと慧梨夏サンがランダムにお土産を配っていく。俺と三浦にもはいどーぞと手渡されたのは、スティックタイプのワッフルケーキだ。ふかふかのワッフルの間に、クリームが挟まれている。その味の種類が結構多いらしく、もらった人から包みに貼られたシールを確認しては何味だと一喜一憂。
「鵠沼クン何味だった？」
「えっと、これは、ピスタチオチーズケーキって書いてる。お前は？」
「いよかん！ 元キャップは何味ですか！」
「俺はレーズンだな」
「ほほう。では新キャップ、サトシさんは！」
「俺はイチゴだ。康平、俺のイチゴとピスタチオを交換しないか」
「いいっすよ」
「有り難い」
これの方が好きっていうのが明確にあると、交換欲が出て来るんだろうな。俺は特に何が特別好きというのがないと言うか、どれも美味そうだと思うからもらったものをありがたくいただくだけなんだけど。他にはチョコクリームや抹茶、モモなど本当に数多くの味があるらしい。
そんな中で、みんなの味を聞いて回っていた三浦が戻って来た。戻ってきた三浦は先のドリブルと同じくらいに高いテンションだ。弾むようにステップを踏みながら「誰がどの味で」などと報告をしてくる。多分言わない方がいいと思うんだけど、こういうお土産って大体箱の中に簡易パンフみたいな紙か冊子が入ってんだ。
「これだけ人数いるのに味ダブりがあんまりないってスゴくない!? ねえスゴくない鵠沼クン！」
「ああ、凄いじゃんな」
「これだけ味がある中でいよかんもらえた三浦はラッキー！」
「お前いよかん好きなのか」
「聞いて回った味の中では一番美味しそうだと思った。さすが、２位だけある！」
「２位にしちゃラッキー具合がしょぼくね？」
「いい予感は当たってるの！ だから超ラッキー！」
「いよかん味だったことがいい予感なのか」
「そう！ いよかんいい予感！」
「うわ、出た」
三浦のダジャレ癖。事あるごとにハイテンションでダジャレを言い放つ三浦はバカなのか頭の回転が早いのかわからなくなりつつある。今回はうっかり俺が誘発させた感があるのは少し反省。いよかんでいい予感ってか。でも、本当に好きな味だったならそれは本当にラッキーなんだろう。これだけ種類があるんだし。
「んー！ おいひー！ 慧梨夏サンおいしーです！」
「うん、適当に買って来てって頼んだ割に凄くいいの買って来てくれてうちもビックリしてる」
「慧梨夏サンのお姉ちゃんセンスいいっすね！ 都会で洗練されたんですかね！」
「元々オシャレな人ではあるよね」
「ほー、やっぱ都会の人ってオシャレなんですねー」
交換の結果手元に残ったイチゴ味のケーキを俺も一口。うん、美味い。俺もたまには何か違うお土産買って来てみようかな。毎回鳥サブレだし。光洋土産の定番っちゃ定番だし外さないけど、たまにはこう、気分転換も必要なのかな。ま、その時になったらまた考えるか。いや、その時になったら忘れて普通に鳥サブレ買ってるな多分。
「さ、箱片したら動かなきゃね。寒い寒い」
「鵠沼クン鳥サブレの予定ある!?」
「お前、欲求がダイレクト過ぎじゃん!? 普通「帰省の予定ある？」って聞くトコだろ。何だ鳥サブレの予定って。強いて言えばないけどな！」
「えー!?」
「お前、それ以上言うならゼミ合宿の長篠土産お前にだけ買って来ねーぞ」
「えーっ！ 三浦にも買って来てよ！」
end.
＋＋＋＋
いよかん食べていい予感！ これがやりたかったがためのGREENs回でした。
占いの結果をどう見るかは気持ち次第といったところですが、２位らしいちょっとしたウキウキ感もさっちゃんにかかれば凄いことみたいだ
そういやGREENsと言えば恒例行事になりつつある節分だけど、今年もやるのかな？ｗ
.
