2018(04)
■Saturday Bonus Liar
++++
「あーもうノサカホンマ嘘吐きやわ!」
「うるさいな」
「何やの、前にノサカ補講出たらそれ1回でテストバッチリみたいなことゆーたやん! 全然やったやん今日の補講! 普通に授業して課題やっただけやん!」
今日はテスト前最後の土曜日で、俺とヒロの履修している授業の補講が設定されていた。土曜にある補講なんて正直出席者もそうそう多くない。だけど俺は元々補講もちゃんと受けている方だから今回もしっかりと受けていた。
問題は目の前でラーメンを食べながら俺に文句を垂れ散らかすヒロだ。日頃の授業すらまともに出ていない奴が補講なんかに出ようとするはずもなく、今日の補講に出てきたのも俺に引き摺って来られての渋々だ。
「大体、お前は留年がかかってるんだから補講の1回でも貴重な機会じゃないか」
「しやかて、補講1回受けたらそれだけでテストバッチリーみたいなコトゆーたやん!」
「そういうこともあると言っただけで、全部が全部そうだとは一言も言ってない」
「何やの、ちょっとオールSやからってボクのコト見下して楽しんどるんや!」
「学業に関してお前を憐れんでいるのは否定しないけど、苦しむお前を見て楽しむような性格の悪さだったらわざわざお前の課題を助けてやったりしないんだよなあ」
「何やの、ノサカホンマアホやわ」
向島大学の場合、主に理系の学部では2年生で一度足切りがある。必要な単位数に届かなければ、留年してしまうのだ。普通にやっていればまずそんな危機に陥ることなどないし、俺は当然余裕で進級が確定している。だけど、ヒロはサボりにサボったツケが今になって回って来たのだ。
クリスマスにはこれまで溜めていた課題を消化するのに付き合わされた。結果居眠りをした俺は帰るヒロに置いて行かれて寒空の下に放り出されるなど酷い目に遭ったりもした。だけど、何だかんだ目をかけてやっている俺がアホだの嘘吐きだのと言われる筋合いはないと思わないか。
「と言うか、クリスマスに全部潰したはずなのにどうしてまた未提出課題が出来てたのかの説明をしてくれないか」
「課題やる気分とちゃうかったんよ。ほら、正月ボケってあるやん。そんなよーなコトやよ」
「気分で左右する話じゃないからな。大体お前のボケはいつもじゃないか」
「でも今日全部出したし」
「それだけでも今日出てきた価値はあったじゃないか、しかも先生直々に解法まで教えてくれて」
「ノサカおるから先生要らんかったけどね」
「だからお前は! 先生から直接ほぼマンツーマンで解説を受けられる機会なんかそうそうないんだぞ! ありがたく思えよ…!」
「ゆーてボク勉強キライやし。ノサカみたく変態とちゃうから」
テスト前にちゃんと課題を提出出来たというのに、ヒロはまだ俺に対して文句をこぼしている。何かもうこぼれ過ぎてそろそろ足の踏み場もなくなっていそうだ。いいじゃないか、決して安くはない授業料を払ってるんだから。自分で授業料を払ったとかじゃない限り、変にサボるのもどうかと思うのだ。
そんな話をMMPでしたところで、サボり派がいやに弁が立つと言うか、ラブ&ピースに容赦ないと言うか。お前が真面目なのは結構だけど、自分たちは自分たちのやりたいようにやっているのでどうぞお構いなくと切られるのがオチだろう。菜月先輩と律に口で勝てるはずがない。
だけどそれがヒロとなれば話は別だ。コイツを放置しておくと後々酷い目に遭うのは他でもない俺であって、その被害が軽微で済むよう日頃から気を付けていなければならないのだ。やれ課題がどうしただの、出席がどうしただのとコイツは俺に集って来る。俺から強奪した物で俺よりいい成績を取ろうとするのが性質が悪い。
「はー、久々にこんなゆっくり食堂でご飯食べた気ーするわ」
「まあ、最近はテスト前で人が増えてたからな。今日も2限終わってソッコー帰るか飯食って帰るかっつったらソッコー帰る奴の方が多いだろうし」
「今日昼放送の収録あったらノサカ自力で時間に間に合ったんにね」
「クソッ、痛いところを突きやがって」
本当に。どうせ土曜日に補講をやるなら12月より早くやって欲しかった。そうすれば俺は補講を受けた後で今のように学食で悠々と昼を食べて、その足でサークル室に向かい午後2時にはおはようございますと菜月先輩をお迎え出来たのに。
補講は受けるけど、休みなのに積極的に大学に来たいかと言えばそうじゃない。昼放送の収録があったときはウキウキしてたけど、今ではウキウキするような理由もなくなってしまったし。何かの間違いで菜月先輩も補講に出て来ていれば……いや、考えるだけ無駄だった。あの人がそんな物に出るはずがない。
「さ。ごちそうさまでした」
「ノサカこれから何するん? 直帰?」
「特に考えてなかった。お前は直帰か?」
「ボクも考えてなかったよ。ヒマやし本屋でも行こうかな。何かマンガ買お」
「いいな。俺も本屋には用事があったんだ。マンガとラノベと参考書」
「うっわ、何でそこで参考書が混ざるん!?」
「何でって、4月には応用情報の試験があるんだから勉強しないとだろ。過去問の反復しようと思って。あ、もちろんテストが終わってからだけど」
「う~わ~、ありえんわ。やっぱノサカ変態やん」
「お前も基本情報の試験あるんだから今のうちからちょっとずつでも勉強しといた方がいいぞ」
「もーやめて、ホンマムリやから」
休みに出て来なければならないタイプの補講は面倒だ。それはそうなんだけど、如何せんぐだぐだしがちな休日にメリハリをつけるという意味ではまあまあ役に立ったのかもしれない。……まあ、年内の土曜日にそれだけ早く起きたりメリハリのある行動を出来れば良かったのだけど。
end.
++++
久々に真っ当なノサヒロをやった感。土曜日の補講にわざわざ出てきた2人です。
ノサカは何かしらヒロからの被害に遭うことを前提にした上で、その被害をいかに軽減するかに重きを置き始めた様子。
資格の試験は4月と10月にあるようなのですが、きっとここでもヒロは自分より先に受かったノサカにやいやい文句を言ってたんだろうなあ
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「あーもうノサカホンマ嘘吐きやわ!」
「うるさいな」
「何やの、前にノサカ補講出たらそれ1回でテストバッチリみたいなことゆーたやん! 全然やったやん今日の補講! 普通に授業して課題やっただけやん!」
今日はテスト前最後の土曜日で、俺とヒロの履修している授業の補講が設定されていた。土曜にある補講なんて正直出席者もそうそう多くない。だけど俺は元々補講もちゃんと受けている方だから今回もしっかりと受けていた。
問題は目の前でラーメンを食べながら俺に文句を垂れ散らかすヒロだ。日頃の授業すらまともに出ていない奴が補講なんかに出ようとするはずもなく、今日の補講に出てきたのも俺に引き摺って来られての渋々だ。
「大体、お前は留年がかかってるんだから補講の1回でも貴重な機会じゃないか」
「しやかて、補講1回受けたらそれだけでテストバッチリーみたいなコトゆーたやん!」
「そういうこともあると言っただけで、全部が全部そうだとは一言も言ってない」
「何やの、ちょっとオールSやからってボクのコト見下して楽しんどるんや!」
「学業に関してお前を憐れんでいるのは否定しないけど、苦しむお前を見て楽しむような性格の悪さだったらわざわざお前の課題を助けてやったりしないんだよなあ」
「何やの、ノサカホンマアホやわ」
向島大学の場合、主に理系の学部では2年生で一度足切りがある。必要な単位数に届かなければ、留年してしまうのだ。普通にやっていればまずそんな危機に陥ることなどないし、俺は当然余裕で進級が確定している。だけど、ヒロはサボりにサボったツケが今になって回って来たのだ。
クリスマスにはこれまで溜めていた課題を消化するのに付き合わされた。結果居眠りをした俺は帰るヒロに置いて行かれて寒空の下に放り出されるなど酷い目に遭ったりもした。だけど、何だかんだ目をかけてやっている俺がアホだの嘘吐きだのと言われる筋合いはないと思わないか。
「と言うか、クリスマスに全部潰したはずなのにどうしてまた未提出課題が出来てたのかの説明をしてくれないか」
「課題やる気分とちゃうかったんよ。ほら、正月ボケってあるやん。そんなよーなコトやよ」
「気分で左右する話じゃないからな。大体お前のボケはいつもじゃないか」
「でも今日全部出したし」
「それだけでも今日出てきた価値はあったじゃないか、しかも先生直々に解法まで教えてくれて」
「ノサカおるから先生要らんかったけどね」
「だからお前は! 先生から直接ほぼマンツーマンで解説を受けられる機会なんかそうそうないんだぞ! ありがたく思えよ…!」
「ゆーてボク勉強キライやし。ノサカみたく変態とちゃうから」
テスト前にちゃんと課題を提出出来たというのに、ヒロはまだ俺に対して文句をこぼしている。何かもうこぼれ過ぎてそろそろ足の踏み場もなくなっていそうだ。いいじゃないか、決して安くはない授業料を払ってるんだから。自分で授業料を払ったとかじゃない限り、変にサボるのもどうかと思うのだ。
そんな話をMMPでしたところで、サボり派がいやに弁が立つと言うか、ラブ&ピースに容赦ないと言うか。お前が真面目なのは結構だけど、自分たちは自分たちのやりたいようにやっているのでどうぞお構いなくと切られるのがオチだろう。菜月先輩と律に口で勝てるはずがない。
だけどそれがヒロとなれば話は別だ。コイツを放置しておくと後々酷い目に遭うのは他でもない俺であって、その被害が軽微で済むよう日頃から気を付けていなければならないのだ。やれ課題がどうしただの、出席がどうしただのとコイツは俺に集って来る。俺から強奪した物で俺よりいい成績を取ろうとするのが性質が悪い。
「はー、久々にこんなゆっくり食堂でご飯食べた気ーするわ」
「まあ、最近はテスト前で人が増えてたからな。今日も2限終わってソッコー帰るか飯食って帰るかっつったらソッコー帰る奴の方が多いだろうし」
「今日昼放送の収録あったらノサカ自力で時間に間に合ったんにね」
「クソッ、痛いところを突きやがって」
本当に。どうせ土曜日に補講をやるなら12月より早くやって欲しかった。そうすれば俺は補講を受けた後で今のように学食で悠々と昼を食べて、その足でサークル室に向かい午後2時にはおはようございますと菜月先輩をお迎え出来たのに。
補講は受けるけど、休みなのに積極的に大学に来たいかと言えばそうじゃない。昼放送の収録があったときはウキウキしてたけど、今ではウキウキするような理由もなくなってしまったし。何かの間違いで菜月先輩も補講に出て来ていれば……いや、考えるだけ無駄だった。あの人がそんな物に出るはずがない。
「さ。ごちそうさまでした」
「ノサカこれから何するん? 直帰?」
「特に考えてなかった。お前は直帰か?」
「ボクも考えてなかったよ。ヒマやし本屋でも行こうかな。何かマンガ買お」
「いいな。俺も本屋には用事があったんだ。マンガとラノベと参考書」
「うっわ、何でそこで参考書が混ざるん!?」
「何でって、4月には応用情報の試験があるんだから勉強しないとだろ。過去問の反復しようと思って。あ、もちろんテストが終わってからだけど」
「う~わ~、ありえんわ。やっぱノサカ変態やん」
「お前も基本情報の試験あるんだから今のうちからちょっとずつでも勉強しといた方がいいぞ」
「もーやめて、ホンマムリやから」
休みに出て来なければならないタイプの補講は面倒だ。それはそうなんだけど、如何せんぐだぐだしがちな休日にメリハリをつけるという意味ではまあまあ役に立ったのかもしれない。……まあ、年内の土曜日にそれだけ早く起きたりメリハリのある行動を出来れば良かったのだけど。
end.
++++
久々に真っ当なノサヒロをやった感。土曜日の補講にわざわざ出てきた2人です。
ノサカは何かしらヒロからの被害に遭うことを前提にした上で、その被害をいかに軽減するかに重きを置き始めた様子。
資格の試験は4月と10月にあるようなのですが、きっとここでもヒロは自分より先に受かったノサカにやいやい文句を言ってたんだろうなあ
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