2018(04)
■青い春は跳ねるように
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年末のライブを経てゲーム系インストバンド・CONTINUEのスガノとカンノという2人組と意気投合し、今度は音楽ではなく一緒にゲームをしようという約束をしていた。これはその約束通りゲームをしてカンノをボコボコにしてやった後日談になる。
お前に会わせたい奴がいると呼び出され、やってきたのは西海市からは程遠い豊葦市だ。オレは大学も星港市内だし、よほどのことがなければ豊葦に来る機会などそうない。指定されたのは向島大学のお膝元にあるコンビニだ。
「おーい、リーン!」
「しかし、またどうしてこんなところにオレを呼び出した」
「言っただろ、会わせたい奴がいるって!」
「で、今日は何をするんだ」
「とりあえず買い物が先」
コンビニでは大量の飲食物を買い込んだ。どうやら今回は長丁場になるらしい。ゲームの本体・コントローラーとゲーミングマシンがあるならそれを持って来いと言われている。やることは見えているが、どこで、誰と、どのようにというのはまだ見えてこない。
これから行くのはあそこだと、カンノは100メートルほど先に見えるマンションを指さす。そのマンションには先にスガノがいるらしく、後はオレとカンノの到着を待つだけの状況らしい。年末のライブ然り、今度は何に巻き込まれるのかと。
「まあ、悪いようにはしねーしな! お前はフツーに楽しんでればオッケーだし!」
「指定された持ち物からすれば、ゲームをやるので間違いないな」
「ああ。今日はバリバリゲーム」
マンションの階段を上り、最上階の部屋のインターホンをカンノが鳴らす。オレはその後ろで何が始まるのかと待ち構えて。
「プロさーん、来たっすー!」
「やあチータ、来たね」
「お邪魔しまーす」
「カンノ、オレはどうすれば」
「君がコンちゃんとチータの言ってた子だね。どうぞ上がって」
「では、お邪魔します」
カンノを通したこの優男風の奴がこの家の家主なのだろう。しかしどこかで聞いたような声だ。会ったことはないと思うが。そして部屋の奥に進めば、先に来ていたというスガノがオレとカンノを出迎える。
「あ、リン君来てくれたんだ、ありがとう」
「しかし、これは何の集まりだ」
「実は俺たちCONTINUEの他にSDXっていうグループでゲーム実況もやってて、今日はその集まり。えっと、家主のプロさんです」
「やあ。みんなのキュージュだよ」
「ああ、どこかで聞いたことがあると思ったらSDXか。見たことがあるな」
「えっ本当? ありがとう」
そこまでは別にいい。問題は、そのSDXの集まりに何故オレが呼ばれたのかというところだ。オレは実況など出来るタマではない。単純にカンノが「こういう奴がいる」と見せ物にしたかったのだろうか。それはもう自分でも無慈悲だと思うくらいにボコボコにしてやったからな。
「いやー、こないだ俺リンにめっちゃボコボコにされたじゃん?」
「お前が弱すぎるだけではないか。しかしオレは忖度や接待プレイは出来ん性質でな」
「忖度と接待はいいんだって。リンだったらもしかしてSDXの殺人マシーンにサシで勝てるんじゃねーかと思ってさ、リンとウチのアレがガチでやってるところが見たいってので呼びました、サーセン」
「ほう、つまり強い奴と手合わせさせてもらえるということだな。よかろう。で、それはどいつだ」
「SDXの動画を見たことあるなら名前くらいは聞いたことあるかもしれないけど、ソルっていう極悪非道のPSおばけがいて」
「えっと、リン君だっけ。紅茶飲む?」
「ミルクティーはありますか」
「ミルクティーにも出来るよ。MIF? TIF?」
「MIFで」
「了解」
――などとやっていると、インターホンが鳴り玄関が開く。そして部屋に上がってきたのは、どこかで見た覚えのあるシルバーアッシュの髪をした男だ。どこかで、と言うか例の現場だったか。確か、シャッフルバンド音楽祭で酷使されていたベーシスト。
「つか、ブルースプリングのピアノじゃねえか」
「スラップソウルのベースだったか」
「えっ何々、拓馬とリン君って知り合い?」
「いや、大晦日のライブで顔を合わせたくらいだ。つかチータが「俺の敵を討ってくれ~」って泣きついてくるから誰にやられたのかと思えば、お前か」
「敵を討つも何も、カンノでは弱すぎて話にならん」
「それに関しては同意だ。チータはチョロい」
「うっせーぞお前ら!」
「カンは肝心な所でガバいだけで、下手ではないから……なっ」
「スガ、そのフォローは逆に残酷だ」
「えっと、つまり今日は拓馬とリン君っていうプレイヤースキルお化けがサシでやり合うっていうのでオッケー?」
「です! 俺の俺による俺のための決闘を見せろお前ら!」
「ザコがうっせえな」
「どうしてあの程度で上から物を言えるんだ」
何はともあれ、強い相手と手合わせ出来るならそれに越したことはない。シングルプレイではなかなか出来んことではあるからな。いいように見せ物にさせられている気がしないでもないが、思う存分やれるのはありがたい。
「拓馬、SDXの威信がかかってるよー頑張ってー」
「リン、ソルもボコボコにしてやれ!」
「樹理、つかこれ収録すんのか?」
「してもいいけど、そうなったらリン君をどうするかだね。SDXで迎え入れるにしてもゲストプレイにしても、名前を」
「ほう。収録か。まあ、ブルースプリングのピアノで覚えられているのであればバネとでも名乗っておこう。文字の色は青くでもしておけ」
「あざす!」
end.
++++
年が明け、チータことカンDがリン様にボコボコにされた後からSDXのお話が始まります。
プロ氏の部屋は紅茶以外の物が出て来ないらしいのですが、紅茶であればそれなりのものが出てくる様子。
そういや忘れかけてたけど今いるメンツはプロ氏以外大晦日に会ってるしリン様は兄さんの車で第九配信も見てましたね
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年末のライブを経てゲーム系インストバンド・CONTINUEのスガノとカンノという2人組と意気投合し、今度は音楽ではなく一緒にゲームをしようという約束をしていた。これはその約束通りゲームをしてカンノをボコボコにしてやった後日談になる。
お前に会わせたい奴がいると呼び出され、やってきたのは西海市からは程遠い豊葦市だ。オレは大学も星港市内だし、よほどのことがなければ豊葦に来る機会などそうない。指定されたのは向島大学のお膝元にあるコンビニだ。
「おーい、リーン!」
「しかし、またどうしてこんなところにオレを呼び出した」
「言っただろ、会わせたい奴がいるって!」
「で、今日は何をするんだ」
「とりあえず買い物が先」
コンビニでは大量の飲食物を買い込んだ。どうやら今回は長丁場になるらしい。ゲームの本体・コントローラーとゲーミングマシンがあるならそれを持って来いと言われている。やることは見えているが、どこで、誰と、どのようにというのはまだ見えてこない。
これから行くのはあそこだと、カンノは100メートルほど先に見えるマンションを指さす。そのマンションには先にスガノがいるらしく、後はオレとカンノの到着を待つだけの状況らしい。年末のライブ然り、今度は何に巻き込まれるのかと。
「まあ、悪いようにはしねーしな! お前はフツーに楽しんでればオッケーだし!」
「指定された持ち物からすれば、ゲームをやるので間違いないな」
「ああ。今日はバリバリゲーム」
マンションの階段を上り、最上階の部屋のインターホンをカンノが鳴らす。オレはその後ろで何が始まるのかと待ち構えて。
「プロさーん、来たっすー!」
「やあチータ、来たね」
「お邪魔しまーす」
「カンノ、オレはどうすれば」
「君がコンちゃんとチータの言ってた子だね。どうぞ上がって」
「では、お邪魔します」
カンノを通したこの優男風の奴がこの家の家主なのだろう。しかしどこかで聞いたような声だ。会ったことはないと思うが。そして部屋の奥に進めば、先に来ていたというスガノがオレとカンノを出迎える。
「あ、リン君来てくれたんだ、ありがとう」
「しかし、これは何の集まりだ」
「実は俺たちCONTINUEの他にSDXっていうグループでゲーム実況もやってて、今日はその集まり。えっと、家主のプロさんです」
「やあ。みんなのキュージュだよ」
「ああ、どこかで聞いたことがあると思ったらSDXか。見たことがあるな」
「えっ本当? ありがとう」
そこまでは別にいい。問題は、そのSDXの集まりに何故オレが呼ばれたのかというところだ。オレは実況など出来るタマではない。単純にカンノが「こういう奴がいる」と見せ物にしたかったのだろうか。それはもう自分でも無慈悲だと思うくらいにボコボコにしてやったからな。
「いやー、こないだ俺リンにめっちゃボコボコにされたじゃん?」
「お前が弱すぎるだけではないか。しかしオレは忖度や接待プレイは出来ん性質でな」
「忖度と接待はいいんだって。リンだったらもしかしてSDXの殺人マシーンにサシで勝てるんじゃねーかと思ってさ、リンとウチのアレがガチでやってるところが見たいってので呼びました、サーセン」
「ほう、つまり強い奴と手合わせさせてもらえるということだな。よかろう。で、それはどいつだ」
「SDXの動画を見たことあるなら名前くらいは聞いたことあるかもしれないけど、ソルっていう極悪非道のPSおばけがいて」
「えっと、リン君だっけ。紅茶飲む?」
「ミルクティーはありますか」
「ミルクティーにも出来るよ。MIF? TIF?」
「MIFで」
「了解」
――などとやっていると、インターホンが鳴り玄関が開く。そして部屋に上がってきたのは、どこかで見た覚えのあるシルバーアッシュの髪をした男だ。どこかで、と言うか例の現場だったか。確か、シャッフルバンド音楽祭で酷使されていたベーシスト。
「つか、ブルースプリングのピアノじゃねえか」
「スラップソウルのベースだったか」
「えっ何々、拓馬とリン君って知り合い?」
「いや、大晦日のライブで顔を合わせたくらいだ。つかチータが「俺の敵を討ってくれ~」って泣きついてくるから誰にやられたのかと思えば、お前か」
「敵を討つも何も、カンノでは弱すぎて話にならん」
「それに関しては同意だ。チータはチョロい」
「うっせーぞお前ら!」
「カンは肝心な所でガバいだけで、下手ではないから……なっ」
「スガ、そのフォローは逆に残酷だ」
「えっと、つまり今日は拓馬とリン君っていうプレイヤースキルお化けがサシでやり合うっていうのでオッケー?」
「です! 俺の俺による俺のための決闘を見せろお前ら!」
「ザコがうっせえな」
「どうしてあの程度で上から物を言えるんだ」
何はともあれ、強い相手と手合わせ出来るならそれに越したことはない。シングルプレイではなかなか出来んことではあるからな。いいように見せ物にさせられている気がしないでもないが、思う存分やれるのはありがたい。
「拓馬、SDXの威信がかかってるよー頑張ってー」
「リン、ソルもボコボコにしてやれ!」
「樹理、つかこれ収録すんのか?」
「してもいいけど、そうなったらリン君をどうするかだね。SDXで迎え入れるにしてもゲストプレイにしても、名前を」
「ほう。収録か。まあ、ブルースプリングのピアノで覚えられているのであればバネとでも名乗っておこう。文字の色は青くでもしておけ」
「あざす!」
end.
++++
年が明け、チータことカンDがリン様にボコボコにされた後からSDXのお話が始まります。
プロ氏の部屋は紅茶以外の物が出て来ないらしいのですが、紅茶であればそれなりのものが出てくる様子。
そういや忘れかけてたけど今いるメンツはプロ氏以外大晦日に会ってるしリン様は兄さんの車で第九配信も見てましたね
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