2018(04)
■スケジュールを埋めていたい
++++
星港高校卒の面々で開かれている忘年会、その会場は俺の部屋だ。俺の部屋ならあんまりうるさくしなければある程度好き勝手出来るし、眠くなったらそのまま寝ても全然平気。何より、食べたい物をその時に作ることが出来るのが最大の強みだよね。
今日集まっているのは高ピー、浅浦、拳悟、リンちゃん、そしてこっしーだ。こないだの芋祭の時から慧梨夏アウトこっしーイン的な。つかこっしーとかマジ懐かしい。同じ部活だったけどこっしーはバスケガチ勢で俺はにわか勢だったしな。
MBCCの無制限飲みスタイルで、食べたい物やお酒は各自で準備しなければならない。お酒はともかく食べ物は完成品を持ち込む人もいれば、高ピーのように俺が作れることをわかっていて食材を持ち込む人もいる。例によってしばらくは台所籠もりかな。
「カズ、宮ちゃんは?」
「慧梨夏は遠征の準備で忙しいんだよ」
「遠征? サークルとか?」
サークルの遠征には違いないけどGREENsの、バスケの試合ではないんだよなあ。こっしーの無垢な瞳がしんどい。つか何で俺がしんどくなってんだよ。俺だって本来はコミフェとかそういうのには無縁な一般人のはずなのに!
「はーい、出来ました。和風スペアリブでーす」
「うわっ、何だこれマジで美味そう」
「いっぱい食べてね高ピー。今日は野郎ばっかだしガッツリ系もたくさん準備してるよ」
「ところで伊東、これに合わせる」
「ご飯もちゃんとあるから安心してね」
「最高かよ」
「カズが高崎を完全に飼い慣らしてる」
「いや万里お前コイツの料理はガチだぞ。お前も絶対胃袋掴まれるから覚悟しとけよ」
真空保温調理鍋と電気圧力鍋、それから電子レンジとコンロをフル活用しておかずを作ってるよね。今もこの和風スペアリブを盛り付けた後の鍋をソッコー洗って次の材料をセットして加熱していく。この鍋マジで便利。買って大正解。
あらかじめ作っといたチャーシューも好評なようだし、高ピーはそれを丼にしてるよね。って言うか高ピーが俺のご飯を自慢してくれてるのがガチで嬉しいです。高ピーに褒められるってそうそうないことだからね。
「伊東、お前は飲まんのか」
「みんなのごはんが落ち着いて来たら飲むよ。俺あんま飲めないし、少しでも一緒に楽しみたいじゃん」
「ほう、健気なものだな」
「リンちゃん何か食べたい物ある? リクあったら即興で作るけど」
「ポテトサラダなどは作れるか」
「作ってあるよ。冷蔵庫にあるからちょっと待ってて」
サラダ系は予め作っといたんですよね。リンちゃんはポテサラが好きだって知ってたし。で、それを持って部屋に戻ったらこっしーが持ち込んだ自前のスイッチをテレビに繋いでましたよね。何かマイクラ始まってんだけど。
「はいリンちゃんポテサラ」
「悪いな」
「浅浦! 食ってるか!」
「肉もいいけどあっさり系が食べたい」
「今作ってるしそろそろ出来るだろ。ほら出来た」
浅浦はこってりがっつりって言うよりあっさり系が結構好きなんだよな。本人の作る物はまあまあ味がしっかりしてる印象があるけど。ちなみに電気圧力鍋の方で作ってるのは冬瓜のえびあんかけ。肉よりはあっさりしてるかな。で、浅浦の好物であるエビも押さえておく。
「はい。冬瓜のあんかけ」
「美味そう。つか日本酒とか焼酎に合いそうだな」
「合わせりゃいーんじゃねーのか」
「それじゃ、ありがたく」
忘年会とは言うけど結局メンツが違うだけの無制限飲みなんだよな。でも、慧梨夏はこれから忙しいしちょっと賑やかなくらいがちょうどいいな。1人だと何していいかわかんないし、飯とかも割とどうでもよくなるし。慧梨夏にはよく言われるんだよな、俺は1人での過ごし方を知らないって。
みんな思い思いのことをしているのを時々つつきながら、料理が出来ればそれを運び、空になった皿を回収してはまた新しいおかずを作り。その繰り返しも最初の頃よりは大分スピーディーに出来るようになってるし俺実は結構凄いんじゃね? 的な。
「こっしー飲んでる?」
「飲んでる飲んでる! てかこないださ、圭佑君の会社のすき焼き大会っていうのに入れてもらってさ、そこでカズの姉ちゃんも一緒でさ」
「えっ、マジで?」
「魯山人風のすき焼きっていうの? マジで肉とネギしかねーんだよ!」
「ああ、姉ちゃんが好きそうなすき焼きだなあ……」
「そんでさ、バイトの大石君がさ、カズのこと知ってるっつっててさー」
「おー! ちーちゃん! 最近会ってないなー、元気そうだった?」
「めっちゃ肉と飯食ってた」
「安っ定!」
「大石君がさ、めっちゃ酒注ぐの上手いんだよ。缶ビール上手く注ぐコツ教えてもらったし、自分でもやってみたいからビール持って来てもらっていい?」
「了解」
「おーい高崎ー! 地下潜りの時間だぞー!」
何かこういうしょうもないノリがまず久し振りだし楽しいよね。タメばっかりの楽しいところってこういう面かもしれない。さーて、俺はどこまでご飯を作り続けて自分も飲み始めようかな。
end.
++++
何か今年は星港高校勢の集まりが多いですね。まあそんな年度があってもいいですね。
というワケで久々にいち氏が無制限飲み仕様で腕を振るっています。高崎は完全に胃袋掴まれてますよね
って言うか何気にいち浅以外の面々って昨日も集まって……まあ、学生の年末だしなんでもアリですわね
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星港高校卒の面々で開かれている忘年会、その会場は俺の部屋だ。俺の部屋ならあんまりうるさくしなければある程度好き勝手出来るし、眠くなったらそのまま寝ても全然平気。何より、食べたい物をその時に作ることが出来るのが最大の強みだよね。
今日集まっているのは高ピー、浅浦、拳悟、リンちゃん、そしてこっしーだ。こないだの芋祭の時から慧梨夏アウトこっしーイン的な。つかこっしーとかマジ懐かしい。同じ部活だったけどこっしーはバスケガチ勢で俺はにわか勢だったしな。
MBCCの無制限飲みスタイルで、食べたい物やお酒は各自で準備しなければならない。お酒はともかく食べ物は完成品を持ち込む人もいれば、高ピーのように俺が作れることをわかっていて食材を持ち込む人もいる。例によってしばらくは台所籠もりかな。
「カズ、宮ちゃんは?」
「慧梨夏は遠征の準備で忙しいんだよ」
「遠征? サークルとか?」
サークルの遠征には違いないけどGREENsの、バスケの試合ではないんだよなあ。こっしーの無垢な瞳がしんどい。つか何で俺がしんどくなってんだよ。俺だって本来はコミフェとかそういうのには無縁な一般人のはずなのに!
「はーい、出来ました。和風スペアリブでーす」
「うわっ、何だこれマジで美味そう」
「いっぱい食べてね高ピー。今日は野郎ばっかだしガッツリ系もたくさん準備してるよ」
「ところで伊東、これに合わせる」
「ご飯もちゃんとあるから安心してね」
「最高かよ」
「カズが高崎を完全に飼い慣らしてる」
「いや万里お前コイツの料理はガチだぞ。お前も絶対胃袋掴まれるから覚悟しとけよ」
真空保温調理鍋と電気圧力鍋、それから電子レンジとコンロをフル活用しておかずを作ってるよね。今もこの和風スペアリブを盛り付けた後の鍋をソッコー洗って次の材料をセットして加熱していく。この鍋マジで便利。買って大正解。
あらかじめ作っといたチャーシューも好評なようだし、高ピーはそれを丼にしてるよね。って言うか高ピーが俺のご飯を自慢してくれてるのがガチで嬉しいです。高ピーに褒められるってそうそうないことだからね。
「伊東、お前は飲まんのか」
「みんなのごはんが落ち着いて来たら飲むよ。俺あんま飲めないし、少しでも一緒に楽しみたいじゃん」
「ほう、健気なものだな」
「リンちゃん何か食べたい物ある? リクあったら即興で作るけど」
「ポテトサラダなどは作れるか」
「作ってあるよ。冷蔵庫にあるからちょっと待ってて」
サラダ系は予め作っといたんですよね。リンちゃんはポテサラが好きだって知ってたし。で、それを持って部屋に戻ったらこっしーが持ち込んだ自前のスイッチをテレビに繋いでましたよね。何かマイクラ始まってんだけど。
「はいリンちゃんポテサラ」
「悪いな」
「浅浦! 食ってるか!」
「肉もいいけどあっさり系が食べたい」
「今作ってるしそろそろ出来るだろ。ほら出来た」
浅浦はこってりがっつりって言うよりあっさり系が結構好きなんだよな。本人の作る物はまあまあ味がしっかりしてる印象があるけど。ちなみに電気圧力鍋の方で作ってるのは冬瓜のえびあんかけ。肉よりはあっさりしてるかな。で、浅浦の好物であるエビも押さえておく。
「はい。冬瓜のあんかけ」
「美味そう。つか日本酒とか焼酎に合いそうだな」
「合わせりゃいーんじゃねーのか」
「それじゃ、ありがたく」
忘年会とは言うけど結局メンツが違うだけの無制限飲みなんだよな。でも、慧梨夏はこれから忙しいしちょっと賑やかなくらいがちょうどいいな。1人だと何していいかわかんないし、飯とかも割とどうでもよくなるし。慧梨夏にはよく言われるんだよな、俺は1人での過ごし方を知らないって。
みんな思い思いのことをしているのを時々つつきながら、料理が出来ればそれを運び、空になった皿を回収してはまた新しいおかずを作り。その繰り返しも最初の頃よりは大分スピーディーに出来るようになってるし俺実は結構凄いんじゃね? 的な。
「こっしー飲んでる?」
「飲んでる飲んでる! てかこないださ、圭佑君の会社のすき焼き大会っていうのに入れてもらってさ、そこでカズの姉ちゃんも一緒でさ」
「えっ、マジで?」
「魯山人風のすき焼きっていうの? マジで肉とネギしかねーんだよ!」
「ああ、姉ちゃんが好きそうなすき焼きだなあ……」
「そんでさ、バイトの大石君がさ、カズのこと知ってるっつっててさー」
「おー! ちーちゃん! 最近会ってないなー、元気そうだった?」
「めっちゃ肉と飯食ってた」
「安っ定!」
「大石君がさ、めっちゃ酒注ぐの上手いんだよ。缶ビール上手く注ぐコツ教えてもらったし、自分でもやってみたいからビール持って来てもらっていい?」
「了解」
「おーい高崎ー! 地下潜りの時間だぞー!」
何かこういうしょうもないノリがまず久し振りだし楽しいよね。タメばっかりの楽しいところってこういう面かもしれない。さーて、俺はどこまでご飯を作り続けて自分も飲み始めようかな。
end.
++++
何か今年は星港高校勢の集まりが多いですね。まあそんな年度があってもいいですね。
というワケで久々にいち氏が無制限飲み仕様で腕を振るっています。高崎は完全に胃袋掴まれてますよね
って言うか何気にいち浅以外の面々って昨日も集まって……まあ、学生の年末だしなんでもアリですわね
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