2018(04)
■DonDon Donburi
＋＋＋＋
「それじゃあ、よそっていこうか。菜月さんはご飯を頼むよ。僕はカレーをよそうよ。各自器を持って」
使い捨てのカレー用紙皿を配り、うちは圭斗に言われるがまましゃもじを手にスタンバイ。器を受け取った面々は、ご飯を求めてうちの前に列を作る。これがMMPのカレーパーティーではよく見られる光景。
「りっちゃん、何盛りにしよう」
「大盛りでお願いしやーす」
「はい、大盛り」
このカレーパーティーの本題はうちが抽選会で当てた米の消費だ。ご飯もうちの５合炊きの炊飯器と圭斗の３合炊きの炊飯器をフル稼働して炊いてある。そしてカレーは前日のうちに作っておいた２日目の絶対うまーなヤツ。
大盛りのりっちゃんには紙皿いっぱいにこんもりとご飯を盛った。ルーを盛るところがないんだけど、と圭斗から苦情をもらうも無視。そんなことを言ったって紙皿が小さいんだからどうしようもない。幸いうちのカレーはペースト状っぽいから、何とかご飯の上に乗っけてもらって。
言って紙皿だから普通に家でカレーを食べるときに使う皿よりは小さいんだ。米の消費が企画の主旨なんだから、こんもりと盛るのは正しいんじゃないかと。カンザキにもりっちゃんと同じくらいの大盛りを、三井はこんなに食べれないとぎゃあぎゃあうるさかったから食べさせることで黙らせる。
「奈々は何盛りにしよっか」
「奈々も私たちと同等のノーマル盛りですよね」
「先輩たちの大盛りが普通盛りならうちは小盛りがいいんですけどー……」
「奈々は普通盛りだな」
「ちょっ！ 常識の範囲内の普通盛り！」
カンザキがうるさいけど、最初から奈々に量を食べることは期待していない。最早普通と化した大盛りと比較しての小盛りにするのも当然だ。そして、この後にはMMPが誇る最大戦力が控えている。４人で圭斗の炊飯器は空にしたので次はうちの炊飯器で炊いた５合だ。
「ノサカ、ご飯よそうぞ」
「私たちでこれだけのご飯が盛られてるんですから、野坂さんでしたらそれこそ絵に描いたような漫画盛りじゃないです？」
「野坂ならそれでも余裕スわ。こないだ「菜月先輩のカレーなら丼３杯は余裕」とか言ってヤしたし」
「……ノサカ？」
紙皿を手にノサカはジッと考え込み、炊飯器の前に並ぼうとしない。まさかあの大飯喰らいが食欲不振なんてことはないだろうし、カレーが嫌いだった覚えもない。ジッと考え込んでいたノサカは何度も自分の空の器とカレーが盛られたりっちゃんらの器を見比べている。
「圭斗先輩、申し訳ございません」
「ん、どうした？」
「丼を貸していただけませんか」
「で、出たー!?」
「やァー、さすが野坂スわ。期待を裏切らない」
「いいけど、ガチで丼で食う気か。菜月さんは容赦ないぞ」
「こーたたちの物を見て考えていたのですが、やはり紙皿では小さすぎます。いえ、おかわりを複数回すればよいのでしょうが俺のキャパだと丼の方がいいかなと」
ノサカから紙皿では足りない宣言が出たところで、圭斗が丼をうちに手渡してくれる。容赦なくやれと指示があったところで、ルーを乗せるところを申し訳程度に残した大盛りが完成した。その上から圭斗がルーをかけるんだけど、やっぱり量が尋常じゃない。
「ふあああ…！ どれだけこの日を待っていたことか！ 俺は今日のカレーパーティーが楽しみ過ぎて限界までお腹を空かせてきました！ えっと、確認ですけど炊飯器を空にしてよろしいんですよね？」
「空にしてもらった方が助かるんだよ。ところで、本当に丼３杯食べるつもりなのかな？」
「えっ、余裕で食べるつもりでしたが」
「……圭斗、この分だと早炊きしなきゃいけないことにもなりかねないぞ」
「僕もそんな気がして来たよ」
他所の学校に行くと四次元だか異次元だかの胃袋がいるから麻痺してるけど、ノサカも十分おかしい胃袋をしていたんだ。とりあえず、うちと圭斗の分のカレーもよそって、圭斗が仕切っていただきますの合掌を。これが現メンバーで行われる最後のパーティーだ。
「いつ食べても菜月先輩のカレーは美味しいですね」
「それスわ。圭斗先輩、自分もおかわり出来ヤすか」
「いくらでもしてくれて構わないよ。菜月さん、ご飯はまだ残ってるよね」
「残ってるけど、誰がどれだけおかわりをするかの問題が発生してくる」
「じゃあ、僕の炊飯器で少し追加しようか」
圭斗が炊飯器の準備をしに台所に行ったのを後目に２年ミキサー陣３人の食べる勢いがとにかく凄い。三井は苦戦しているようだけど、普通基準の普通盛りにしたヒロと奈々は美味しい美味しいと言いながら食べてくれている。
やっぱり自分の作った物を美味しいって言ってくれるのは嬉しいもので、カレーの作り方や隠し味の有無なんかを聞いて来るヒロと奈々が可愛く見えて来る。ただ、言葉がなくとも美味しいと思ってくれているらしいことが分かる食べっぷりの３人もいて、２日目のカレーってすごいですよね。
「早炊きでセットしたから、30分後にご飯が炊けるよ」
「ありがとうございます！ あっ、菜月先輩おかわりをいただいてよろしいですか？」
「もう食べたのか。よく噛んで味わって食べろよ。カレーとご飯は逃げないんだからな」
「はい！ いただきます！」
おかわり１番乗りのノサカには、最初と同じ漫画盛りにして返す。確認するけど、丼だよなあ。本当に丼３杯食べる気か？
「自分もおかわりくーださい」
「って言うか、次からはセルフサービスにするぞ。うちが食べる時間がなくなるじゃないか」
end.
＋＋＋＋
この時期のMMPのカレー大会はご飯の消費がメインなのですが、２年ミキサー陣３人がいれば瞬殺でした。ヒロは普通なのにねえ。
２年生と奈々のわちゃわちゃがもっと見たいのだけど、年が明けたらちょっとずつ増やしていきたいですね
これで結構ご飯が減ったと思うんだけど、去年やった別件のカレーパーティーを拾って今年こそカレーを食べさせたい
＋＋＋＋
「それじゃあ、よそっていこうか。菜月さんはご飯を頼むよ。僕はカレーをよそうよ。各自器を持って」
使い捨てのカレー用紙皿を配り、うちは圭斗に言われるがまましゃもじを手にスタンバイ。器を受け取った面々は、ご飯を求めてうちの前に列を作る。これがMMPのカレーパーティーではよく見られる光景。
「りっちゃん、何盛りにしよう」
「大盛りでお願いしやーす」
「はい、大盛り」
このカレーパーティーの本題はうちが抽選会で当てた米の消費だ。ご飯もうちの５合炊きの炊飯器と圭斗の３合炊きの炊飯器をフル稼働して炊いてある。そしてカレーは前日のうちに作っておいた２日目の絶対うまーなヤツ。
大盛りのりっちゃんには紙皿いっぱいにこんもりとご飯を盛った。ルーを盛るところがないんだけど、と圭斗から苦情をもらうも無視。そんなことを言ったって紙皿が小さいんだからどうしようもない。幸いうちのカレーはペースト状っぽいから、何とかご飯の上に乗っけてもらって。
言って紙皿だから普通に家でカレーを食べるときに使う皿よりは小さいんだ。米の消費が企画の主旨なんだから、こんもりと盛るのは正しいんじゃないかと。カンザキにもりっちゃんと同じくらいの大盛りを、三井はこんなに食べれないとぎゃあぎゃあうるさかったから食べさせることで黙らせる。
「奈々は何盛りにしよっか」
「奈々も私たちと同等のノーマル盛りですよね」
「先輩たちの大盛りが普通盛りならうちは小盛りがいいんですけどー……」
「奈々は普通盛りだな」
「ちょっ！ 常識の範囲内の普通盛り！」
カンザキがうるさいけど、最初から奈々に量を食べることは期待していない。最早普通と化した大盛りと比較しての小盛りにするのも当然だ。そして、この後にはMMPが誇る最大戦力が控えている。４人で圭斗の炊飯器は空にしたので次はうちの炊飯器で炊いた５合だ。
「ノサカ、ご飯よそうぞ」
「私たちでこれだけのご飯が盛られてるんですから、野坂さんでしたらそれこそ絵に描いたような漫画盛りじゃないです？」
「野坂ならそれでも余裕スわ。こないだ「菜月先輩のカレーなら丼３杯は余裕」とか言ってヤしたし」
「……ノサカ？」
紙皿を手にノサカはジッと考え込み、炊飯器の前に並ぼうとしない。まさかあの大飯喰らいが食欲不振なんてことはないだろうし、カレーが嫌いだった覚えもない。ジッと考え込んでいたノサカは何度も自分の空の器とカレーが盛られたりっちゃんらの器を見比べている。
「圭斗先輩、申し訳ございません」
「ん、どうした？」
「丼を貸していただけませんか」
「で、出たー!?」
「やァー、さすが野坂スわ。期待を裏切らない」
「いいけど、ガチで丼で食う気か。菜月さんは容赦ないぞ」
「こーたたちの物を見て考えていたのですが、やはり紙皿では小さすぎます。いえ、おかわりを複数回すればよいのでしょうが俺のキャパだと丼の方がいいかなと」
ノサカから紙皿では足りない宣言が出たところで、圭斗が丼をうちに手渡してくれる。容赦なくやれと指示があったところで、ルーを乗せるところを申し訳程度に残した大盛りが完成した。その上から圭斗がルーをかけるんだけど、やっぱり量が尋常じゃない。
「ふあああ…！ どれだけこの日を待っていたことか！ 俺は今日のカレーパーティーが楽しみ過ぎて限界までお腹を空かせてきました！ えっと、確認ですけど炊飯器を空にしてよろしいんですよね？」
「空にしてもらった方が助かるんだよ。ところで、本当に丼３杯食べるつもりなのかな？」
「えっ、余裕で食べるつもりでしたが」
「……圭斗、この分だと早炊きしなきゃいけないことにもなりかねないぞ」
「僕もそんな気がして来たよ」
他所の学校に行くと四次元だか異次元だかの胃袋がいるから麻痺してるけど、ノサカも十分おかしい胃袋をしていたんだ。とりあえず、うちと圭斗の分のカレーもよそって、圭斗が仕切っていただきますの合掌を。これが現メンバーで行われる最後のパーティーだ。
「いつ食べても菜月先輩のカレーは美味しいですね」
「それスわ。圭斗先輩、自分もおかわり出来ヤすか」
「いくらでもしてくれて構わないよ。菜月さん、ご飯はまだ残ってるよね」
「残ってるけど、誰がどれだけおかわりをするかの問題が発生してくる」
「じゃあ、僕の炊飯器で少し追加しようか」
圭斗が炊飯器の準備をしに台所に行ったのを後目に２年ミキサー陣３人の食べる勢いがとにかく凄い。三井は苦戦しているようだけど、普通基準の普通盛りにしたヒロと奈々は美味しい美味しいと言いながら食べてくれている。
やっぱり自分の作った物を美味しいって言ってくれるのは嬉しいもので、カレーの作り方や隠し味の有無なんかを聞いて来るヒロと奈々が可愛く見えて来る。ただ、言葉がなくとも美味しいと思ってくれているらしいことが分かる食べっぷりの３人もいて、２日目のカレーってすごいですよね。
「早炊きでセットしたから、30分後にご飯が炊けるよ」
「ありがとうございます！ あっ、菜月先輩おかわりをいただいてよろしいですか？」
「もう食べたのか。よく噛んで味わって食べろよ。カレーとご飯は逃げないんだからな」
「はい！ いただきます！」
おかわり１番乗りのノサカには、最初と同じ漫画盛りにして返す。確認するけど、丼だよなあ。本当に丼３杯食べる気か？
「自分もおかわりくーださい」
「って言うか、次からはセルフサービスにするぞ。うちが食べる時間がなくなるじゃないか」
end.
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この時期のMMPのカレー大会はご飯の消費がメインなのですが、２年ミキサー陣３人がいれば瞬殺でした。ヒロは普通なのにねえ。
２年生と奈々のわちゃわちゃがもっと見たいのだけど、年が明けたらちょっとずつ増やしていきたいですね
これで結構ご飯が減ったと思うんだけど、去年やった別件のカレーパーティーを拾って今年こそカレーを食べさせたい
