2018(03)
■生み出すジュール
++++
「あ、直」
「やあ。Lも買い物?」
「ああ。会議中に飲むお茶が欲しいなと思って」
駅構内のコンビニで買い物中、偶然直と遭遇。行き先が同じということもあって、自然と合流する形になっていた。今日はこれから定例会がある。特に何か急ぎの議題があるワケではないけど、喋る立場にあるから飲み物は用意しておきたい。
定例会は前回代替わりして、今の2年生の代の初回を迎える。議長が俺、委員長が直、そして副委員長がテルと元々いた2年生3人が大方の予想通りの役職に就いた。予想外だったことがあるとすれば、この代替わりのタイミングで青敬のハマちゃんが定例会に加入したことだ。
俺は緑茶のペットボトルを手に、直がドリンクを選ぶのを待つ。手にしたのは、乳酸菌がいくらか配合された物。体を守るとかそんなアレだ。会計をしてさっさと行こう。そんな感じでレジの前に行くと、そこには罠が配置されていた。
「うわ、中華まん美味そー……」
「外が寒いから余計美味しそうに見えるね」
外は日が落ちてすっかり暗くなっている。昼はまだ何とかやっていけるけど、朝夕はすっかり寒くなってしまった。今も外は本当に寒いしビル街特有の風もある。ピーコートは着てるけど、寒くて寒くて死ぬかと思うほど。コンビニの明かりだけでもあったかそうなのに、さらに湯気を立てる中華まんをイメージしてみよう。これはダメなヤツだ。
「そう、寒いから余計美味そうなんだ」
「食べたらいいんじゃないかな。まだ少し距離があるし」
「食べたいのは山々だけど、ここで中華まん1個食ったら晩飯が入らなくなるからなあ」
「え、小食な方だとは思ってたけどそこまでになるの?」
「1個食ったからもういいわってならないか?」
「今肉まんを食べたとして、仮に会議が1時間だとするでしょ? それからだったら私は普通にご飯も食べれちゃうな」
まあ、普通はそうなんだろうなと思う。6時前にちょっと食べるくらいならまだおやつの範囲なんだろうと。特にMBCCには果林とかいう四次元胃袋や高崎先輩とかいう食への執念が凄まじい人がいる。俺は食わなさすぎるんだとどやされること数知れずだ。
目の前で蒸される中華まんは美味そうだ。だけど、この後の晩飯のことを考える。定例会後は直と飯を食いに行くのが通例となっている。1個食うということはそれをキャンセルするということと同義であると暗に言ってしまった。
「直、良かったら半分こしないか?」
「うん、いいよ。私も少し食べたかったし」
「何にしようか」
「Lが食べたいのにしたらいいよ」
「いや、俺は半分食ってもらうワケだしお前が好きなヤツの方が。俺は特に好き嫌いはないから」
「そう。それならつぶあんのあんまんがいいな。夕飯はいつものようにLが決めてね」
「ああ、わかった」
レジに緑茶を置いて、つぶあんまんを1つ注文する。渡されたそれは本当にあつあつで、持っていられないくらいだ。直の会計を見守り、外に出る。袋から出したあんまんを半分に割って、手渡す。湯気の勢いが凄い。
「あふっ、あまっ」
「夕飯は夕飯としてまた別に食べるから、おやつと言うか、スイーツ感のあるあんまんにしてみたんだ」
「すげーな、そんなトコまで考えてるとか」
「いろいろあるでしょ、最近の中華まんて。逆にこういう普通のあんまんってあんまり食べないなとも思って」
「確かにな。俺もピザまんとかカレーまんとかよく食うわ」
熱いあんまんを食いながら喋っていると、さっきよりは寒さもマシになったかなという気がする。熱を身体の中に取り込んだからだろうか。寒いと体も動かなくなるから、ここであんまんを食ったのはいい判断だったと思うことにしよう。糖分で頭も回るだろう。
「うー、寒い」
「本当だね」
「果林がさ、俺が寒い寒いってうるさいのは飯を食わないからだって言うんだよな」
「果林は本当によく食べるよね。寒さにも強いの?」
「アイツは服装が変わったようにも見えないんだよな。もこもこのベストは着てるけど、アウターがジャージには違いないし」
「この季節にジャージは凄いね」
「それでさ、食わないから体が発熱しようとする力も付かないんだとか何とか言ってて」
「でも、カロリーって熱量とも言うし、食べることと発熱することには何か関係があるのかもね」
「そうか、熱量か」
多分俺は成人男性が1日に取るべき熱量をちゃんと取れてないんじゃないかと思う。あんまり食べなくても平気と言うか。だけど、冬の街を歩くときは備えとしてちょっとあったかい物を食っといた方が良さそうだなと学習した。
最後のひと口を飲み込んだ頃、定例会が場所を借りているビルが見えて来た。時刻は6時前。さて、今日の定例会はどういう風に回るだろう。それから、今日の夕飯は何を食いたくなるだろう。定例会の日は、何気に大事な食事の機会なのだ。
「スイーツまんと言えばさ、安納芋まんとかって美味いのかな」
「きっと美味しいだろうね。それなら、来週も一緒に食べる?」
「今日の夕飯がちゃんと入ったならそうしようかな」
end.
++++
L直がやりたいというだけの理由で書いた。今年はマフラーの件もやるんやああああ
そういやナノスパであんまんと言えばハナちゃんである。今年は向島でも雪が降りそうだし、あるかな?
熱を発するコツは食べることっていうタカりんの話が何年か前にあったなそういや
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「あ、直」
「やあ。Lも買い物?」
「ああ。会議中に飲むお茶が欲しいなと思って」
駅構内のコンビニで買い物中、偶然直と遭遇。行き先が同じということもあって、自然と合流する形になっていた。今日はこれから定例会がある。特に何か急ぎの議題があるワケではないけど、喋る立場にあるから飲み物は用意しておきたい。
定例会は前回代替わりして、今の2年生の代の初回を迎える。議長が俺、委員長が直、そして副委員長がテルと元々いた2年生3人が大方の予想通りの役職に就いた。予想外だったことがあるとすれば、この代替わりのタイミングで青敬のハマちゃんが定例会に加入したことだ。
俺は緑茶のペットボトルを手に、直がドリンクを選ぶのを待つ。手にしたのは、乳酸菌がいくらか配合された物。体を守るとかそんなアレだ。会計をしてさっさと行こう。そんな感じでレジの前に行くと、そこには罠が配置されていた。
「うわ、中華まん美味そー……」
「外が寒いから余計美味しそうに見えるね」
外は日が落ちてすっかり暗くなっている。昼はまだ何とかやっていけるけど、朝夕はすっかり寒くなってしまった。今も外は本当に寒いしビル街特有の風もある。ピーコートは着てるけど、寒くて寒くて死ぬかと思うほど。コンビニの明かりだけでもあったかそうなのに、さらに湯気を立てる中華まんをイメージしてみよう。これはダメなヤツだ。
「そう、寒いから余計美味そうなんだ」
「食べたらいいんじゃないかな。まだ少し距離があるし」
「食べたいのは山々だけど、ここで中華まん1個食ったら晩飯が入らなくなるからなあ」
「え、小食な方だとは思ってたけどそこまでになるの?」
「1個食ったからもういいわってならないか?」
「今肉まんを食べたとして、仮に会議が1時間だとするでしょ? それからだったら私は普通にご飯も食べれちゃうな」
まあ、普通はそうなんだろうなと思う。6時前にちょっと食べるくらいならまだおやつの範囲なんだろうと。特にMBCCには果林とかいう四次元胃袋や高崎先輩とかいう食への執念が凄まじい人がいる。俺は食わなさすぎるんだとどやされること数知れずだ。
目の前で蒸される中華まんは美味そうだ。だけど、この後の晩飯のことを考える。定例会後は直と飯を食いに行くのが通例となっている。1個食うということはそれをキャンセルするということと同義であると暗に言ってしまった。
「直、良かったら半分こしないか?」
「うん、いいよ。私も少し食べたかったし」
「何にしようか」
「Lが食べたいのにしたらいいよ」
「いや、俺は半分食ってもらうワケだしお前が好きなヤツの方が。俺は特に好き嫌いはないから」
「そう。それならつぶあんのあんまんがいいな。夕飯はいつものようにLが決めてね」
「ああ、わかった」
レジに緑茶を置いて、つぶあんまんを1つ注文する。渡されたそれは本当にあつあつで、持っていられないくらいだ。直の会計を見守り、外に出る。袋から出したあんまんを半分に割って、手渡す。湯気の勢いが凄い。
「あふっ、あまっ」
「夕飯は夕飯としてまた別に食べるから、おやつと言うか、スイーツ感のあるあんまんにしてみたんだ」
「すげーな、そんなトコまで考えてるとか」
「いろいろあるでしょ、最近の中華まんて。逆にこういう普通のあんまんってあんまり食べないなとも思って」
「確かにな。俺もピザまんとかカレーまんとかよく食うわ」
熱いあんまんを食いながら喋っていると、さっきよりは寒さもマシになったかなという気がする。熱を身体の中に取り込んだからだろうか。寒いと体も動かなくなるから、ここであんまんを食ったのはいい判断だったと思うことにしよう。糖分で頭も回るだろう。
「うー、寒い」
「本当だね」
「果林がさ、俺が寒い寒いってうるさいのは飯を食わないからだって言うんだよな」
「果林は本当によく食べるよね。寒さにも強いの?」
「アイツは服装が変わったようにも見えないんだよな。もこもこのベストは着てるけど、アウターがジャージには違いないし」
「この季節にジャージは凄いね」
「それでさ、食わないから体が発熱しようとする力も付かないんだとか何とか言ってて」
「でも、カロリーって熱量とも言うし、食べることと発熱することには何か関係があるのかもね」
「そうか、熱量か」
多分俺は成人男性が1日に取るべき熱量をちゃんと取れてないんじゃないかと思う。あんまり食べなくても平気と言うか。だけど、冬の街を歩くときは備えとしてちょっとあったかい物を食っといた方が良さそうだなと学習した。
最後のひと口を飲み込んだ頃、定例会が場所を借りているビルが見えて来た。時刻は6時前。さて、今日の定例会はどういう風に回るだろう。それから、今日の夕飯は何を食いたくなるだろう。定例会の日は、何気に大事な食事の機会なのだ。
「スイーツまんと言えばさ、安納芋まんとかって美味いのかな」
「きっと美味しいだろうね。それなら、来週も一緒に食べる?」
「今日の夕飯がちゃんと入ったならそうしようかな」
end.
++++
L直がやりたいというだけの理由で書いた。今年はマフラーの件もやるんやああああ
そういやナノスパであんまんと言えばハナちゃんである。今年は向島でも雪が降りそうだし、あるかな?
熱を発するコツは食べることっていうタカりんの話が何年か前にあったなそういや
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