2018(03)
■クズを集める強磁力
++++
「まもちゃぁーん! 来週も頼むよ~!」
「来週のいつですか? 俺も結構スケジュールが埋まりつつあるんで、日によっては厳しいかもですけど」
「え、まもちゃんの空いてる時でいいよ。夜なら空いてる?」
「夜は部活の方で駆り出されてますねー」
向島大学情報科学部では、2年の秋から所属したい研究室にプレゼミ生として仮登録することになっている。そんなこんなで俺とヒロはこの野島ゼミでお世話になることになった。で、ゼミ室にお邪魔していると、何やらとんでもないノリとテンションの人がやってきましたよね。
ゼミでは見学のときから良くしてくれた磐田先輩のお世話になりつつ、何をどうしていけばいいか、ゼミ室での過ごし方やなんかを教わっている。その友人である前原先輩はどうやらヒロとの相性がいいようで、いつも悪いことをきゃっきゃと話している。
前原先輩曰く、磐田先輩はいい人過ぎるんだそうだ。今時ここまでの善人いないだろというレベルの善人。善人は人を必要以上に疑わず、人の頼みも必要以上に断らない。だから前原先輩自身を含めたクズに付け込まれるのだと。
さて、その磐田先輩が謎の人に付きまとわれている現場である。謎の人は、髪は肩にかかりそうでサラッサラ。身長はまあ高い方だと思うけど体格はあまりよろしくない。ひょろひょろとか、もやしっ子的な雰囲気がある。俺の本能が警鐘を鳴らしている、お近付きにならない方がいいと。
「えっ、観測会か何か?」
「俺、今年はプラネタリウム班なんですよ。それで、装置ごと一新してるので結構な手間が。光ファイバーとプログラムで星の光を再現するっていう手法で」
「はー、よくやるね。どーせあれっしょ? みんなまもちゃん当てにしてノリでやるって決めた感じ」
「そーなんすよ、磐田は何をするにつけてもはいはーいってキャパ以上に返事をするんすよこの男は」
「って言うか前原くんは俺の部活のことは知らないじゃない」
「そんなモン普段のお前見てりゃわかるっつーの。ねえ京川サン」
「ホントに。そういうことだから来週は俺にもよ・ろ・し・く」
あ、これが善人を食い物にするクズの図か。いや、俺はこの人の何を知っているワケではないのだけど何故か何かを悟っている俺がいる。
俺があまりにこの光景にドン引きしているように見えたのか、いや、実際していたのだけど、磐田先輩が俺に話を振ってくれてしまって、この現場に巻き込まれることになってしまった。いや、俺のことには触れてくれるなと言える立場でもないんですけどね!?
「そうそう野坂くん、この人は院生の京川さん。俺と同じ天文部でもあったんだ」
「京川樹理でーす。TAとかやってまーす」
「2年の野坂雅史と申します。磐田先輩にはお世話になっていまして――」
「あー、まもちゃんは人の世話するの趣味みたいなモンだから!」
TA、Teaching Assistant。そう言われれば授業で見たことがあるようなないようなというおぼろげな記憶が蘇るような蘇らないような。まあ、今ここで見知ったのだから、今後はその存在にも気付くだろう。
「って言うかさ、夜がダメなら昼は?」
「昼は昼で前原くんのロボコンの手伝いが結構入ってまして」
「ちょっと、マエトモじゃん!」
「サーセ~ン」
「前原先輩はロボット大戦に出場されるのですか!?」
「ええっ…!? 何か急に食いついて来たね野坂君。今までは「このクズめ!」みたいな冷めた視線向けて来てたのに」
「はあ、申し訳ございません」
「否定するトコだろそれ! って言うかマジでそう見てたのかよ!」
「それよりもロボット大戦についてのお話を聞きたく」
向島大学の大学祭の裏で行われているのが情報系学生が最も熱くなる祭典、2年に1度の向島ロボット大戦だ。ルールは簡単。定められた企画の範囲内で各々が組み立て、プログラムしたロボットによる格闘でトーナメントを勝ち上がった者が優勝。
何を隠そう、俺はMMPじゃなかったらこのロボコンへの出場に向けて日々活動しているロボット研究会に入ろうと思っていたのだ。ロボ研に入らなかったのは、ロボットはその気になれば1人でも出来そうなのと、ラジオはそうそうやろうと思わないからだ。
「それよりもサーバーメンテ! まもちゃ~ん、まもちゃんがやってくれないと俺は拓馬に殺されちゃうよー、先輩が死んでもいいのー?」
「そんな風に言わないでくださいよ~」
「京川サンは殺しても死なないと思いますけどね。ねえ野坂君」
「同感です」
「っつーワケで磐田! 頼むから2000円貸してくれ!」
「また!? こないだ3000円貸したばっかりじゃない! 何して無くなるの!」
「マエトモマエトモ、まもちゃんがサーバメンテやってくれたらささやかな賃金が出るし、お前1回引かない? 俺が出した賃金借りたらいいじゃない」
「あー、でもなる早がいいんすよねー」
善人を食い物にするクズの図再び。前原先輩はともかく、京川さんには深く関わらない方が良さそうな気しかしない! 多分、気に入られたが最後なんだ。ま、まあ……俺よりもヒロの方が合いそうな感じだし……うん、存在感を消すことにしよう!
end.
++++
SDXプロ氏の世を欺く仮の姿、じゅりたそが大学で登場です。プロ氏の本業は院生やってます。TAさんとしてもうろうろしてるらしい。
そういやバンデンも最近ご無沙汰だしなーと思ったらこんな感じになったよね、バンデンは絶対クズたちに食い物にされてるもの。年末はまた朝霞Pと飯野ときゃっきゃしててほしい。
ところでノサカの危険人物レーダーが結構高性能な件。本能がプロ氏には近付いてはいけないと言っている……でもSDXプロ氏だとわかったらちょっときゃっきゃするんだろうなあ
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「まもちゃぁーん! 来週も頼むよ~!」
「来週のいつですか? 俺も結構スケジュールが埋まりつつあるんで、日によっては厳しいかもですけど」
「え、まもちゃんの空いてる時でいいよ。夜なら空いてる?」
「夜は部活の方で駆り出されてますねー」
向島大学情報科学部では、2年の秋から所属したい研究室にプレゼミ生として仮登録することになっている。そんなこんなで俺とヒロはこの野島ゼミでお世話になることになった。で、ゼミ室にお邪魔していると、何やらとんでもないノリとテンションの人がやってきましたよね。
ゼミでは見学のときから良くしてくれた磐田先輩のお世話になりつつ、何をどうしていけばいいか、ゼミ室での過ごし方やなんかを教わっている。その友人である前原先輩はどうやらヒロとの相性がいいようで、いつも悪いことをきゃっきゃと話している。
前原先輩曰く、磐田先輩はいい人過ぎるんだそうだ。今時ここまでの善人いないだろというレベルの善人。善人は人を必要以上に疑わず、人の頼みも必要以上に断らない。だから前原先輩自身を含めたクズに付け込まれるのだと。
さて、その磐田先輩が謎の人に付きまとわれている現場である。謎の人は、髪は肩にかかりそうでサラッサラ。身長はまあ高い方だと思うけど体格はあまりよろしくない。ひょろひょろとか、もやしっ子的な雰囲気がある。俺の本能が警鐘を鳴らしている、お近付きにならない方がいいと。
「えっ、観測会か何か?」
「俺、今年はプラネタリウム班なんですよ。それで、装置ごと一新してるので結構な手間が。光ファイバーとプログラムで星の光を再現するっていう手法で」
「はー、よくやるね。どーせあれっしょ? みんなまもちゃん当てにしてノリでやるって決めた感じ」
「そーなんすよ、磐田は何をするにつけてもはいはーいってキャパ以上に返事をするんすよこの男は」
「って言うか前原くんは俺の部活のことは知らないじゃない」
「そんなモン普段のお前見てりゃわかるっつーの。ねえ京川サン」
「ホントに。そういうことだから来週は俺にもよ・ろ・し・く」
あ、これが善人を食い物にするクズの図か。いや、俺はこの人の何を知っているワケではないのだけど何故か何かを悟っている俺がいる。
俺があまりにこの光景にドン引きしているように見えたのか、いや、実際していたのだけど、磐田先輩が俺に話を振ってくれてしまって、この現場に巻き込まれることになってしまった。いや、俺のことには触れてくれるなと言える立場でもないんですけどね!?
「そうそう野坂くん、この人は院生の京川さん。俺と同じ天文部でもあったんだ」
「京川樹理でーす。TAとかやってまーす」
「2年の野坂雅史と申します。磐田先輩にはお世話になっていまして――」
「あー、まもちゃんは人の世話するの趣味みたいなモンだから!」
TA、Teaching Assistant。そう言われれば授業で見たことがあるようなないようなというおぼろげな記憶が蘇るような蘇らないような。まあ、今ここで見知ったのだから、今後はその存在にも気付くだろう。
「って言うかさ、夜がダメなら昼は?」
「昼は昼で前原くんのロボコンの手伝いが結構入ってまして」
「ちょっと、マエトモじゃん!」
「サーセ~ン」
「前原先輩はロボット大戦に出場されるのですか!?」
「ええっ…!? 何か急に食いついて来たね野坂君。今までは「このクズめ!」みたいな冷めた視線向けて来てたのに」
「はあ、申し訳ございません」
「否定するトコだろそれ! って言うかマジでそう見てたのかよ!」
「それよりもロボット大戦についてのお話を聞きたく」
向島大学の大学祭の裏で行われているのが情報系学生が最も熱くなる祭典、2年に1度の向島ロボット大戦だ。ルールは簡単。定められた企画の範囲内で各々が組み立て、プログラムしたロボットによる格闘でトーナメントを勝ち上がった者が優勝。
何を隠そう、俺はMMPじゃなかったらこのロボコンへの出場に向けて日々活動しているロボット研究会に入ろうと思っていたのだ。ロボ研に入らなかったのは、ロボットはその気になれば1人でも出来そうなのと、ラジオはそうそうやろうと思わないからだ。
「それよりもサーバーメンテ! まもちゃ~ん、まもちゃんがやってくれないと俺は拓馬に殺されちゃうよー、先輩が死んでもいいのー?」
「そんな風に言わないでくださいよ~」
「京川サンは殺しても死なないと思いますけどね。ねえ野坂君」
「同感です」
「っつーワケで磐田! 頼むから2000円貸してくれ!」
「また!? こないだ3000円貸したばっかりじゃない! 何して無くなるの!」
「マエトモマエトモ、まもちゃんがサーバメンテやってくれたらささやかな賃金が出るし、お前1回引かない? 俺が出した賃金借りたらいいじゃない」
「あー、でもなる早がいいんすよねー」
善人を食い物にするクズの図再び。前原先輩はともかく、京川さんには深く関わらない方が良さそうな気しかしない! 多分、気に入られたが最後なんだ。ま、まあ……俺よりもヒロの方が合いそうな感じだし……うん、存在感を消すことにしよう!
end.
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SDXプロ氏の世を欺く仮の姿、じゅりたそが大学で登場です。プロ氏の本業は院生やってます。TAさんとしてもうろうろしてるらしい。
そういやバンデンも最近ご無沙汰だしなーと思ったらこんな感じになったよね、バンデンは絶対クズたちに食い物にされてるもの。年末はまた朝霞Pと飯野ときゃっきゃしててほしい。
ところでノサカの危険人物レーダーが結構高性能な件。本能がプロ氏には近付いてはいけないと言っている……でもSDXプロ氏だとわかったらちょっときゃっきゃするんだろうなあ
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