2018(03)
■the first and last hope
++++
向島大学でも秋学期が始まり、MMPの活動も再開した。まあ、夏合宿もあったしその後にオープンキャンパスもあったから言うほど活動休止だった感はないんだけど。そんなこんなで秋学期のサークル2回目。やるべきことは山積み。
まずは、通年の活動である昼放送について。これは来週から始めることになっている。メンバーの履修が出揃ったところで、それを見ながらペアを決めていくのだ。ペアは出来れば過去に組んだことがある人よりもいろんな人と組んでいく方がいい。
ただ、ウチの場合は人数が少ないので過去にペアを組んだことがあるとかないとかを気にしていると活動が終わってしまう。目新しさよりもとにかくペアの数を優先すること。ペアの数が取れないと本当にMMPの活動が衰退しかねない。
「というワケで、前回もらった履修登録に基づいてこっちでペアを組んで来ました。えー、まず、火曜日が菜月・野坂ペア。木曜日にヒロと神崎・奈々ペア。ここは変則ペアだけど、スケジュール調整はペアで頼むよ。そして金曜日に僕とりっちゃんペアで行います」
「圭斗、三井は?」
「アイツは謎にスケジュールが合わないし、文系3年の割に地味に授業多いし」
「何でこっちを見た」
「ん、菜月さんも文系3年の割に授業が多いなあなんて思ってないよ。それはそうとして、三井とミキサー陣のスケジュールが合いそうになかったから、やりたかったら空いてる曜日にマルチでやってくれという通達はしてある。そもそも、何故今日もいないのか。いなくても支障はないけど」
「アレだろ? ムービースターとしての仕事が忙しいんだろ」
三井は夏休みの期間中にインディーズ映画のエキストラとして撮影に参加しているようだった。あたかも大役をもらったかのように振る舞っていたのだけど、菜月さん曰く本当のエキストラなんだそうだ。
サークルの活動に対する貢献度じゃないけど、参加度合いも口ほどにない。きっと今日のもうひとつの議題である大学祭についてもそれと言って参加してこないだろう。一応僕たち3年生にとってはラストセメスターなんだけど、何が変わるわけではない。
「まあ、そういうことだから、ペアで話し合って来週からオンエアが開始出来るようにしておいてください」
「はーい」
「で、次の議題に移ります。菜月さん、板書をお願いします」
さて、ここからは来月頭にある大学祭について。MMPでは毎年1日目にDJブースを、2日目と3日目には食品ブースを出展することになっている。何を出すかまではまだ決めていないのだけど、出展申し込みは済んでいる。
大学祭実行委員会によるブース説明会などはとっくの昔に始まっていて、僕がそれらに出席をしていた。ただ、そろそろ何を出店するかという具体的なことを記した書類提出の締め切りが迫っている。いい加減に決めなくてはならない。
「さて、食品ブースでは何を出そうか。現実的かどうかは後から精査するから今は出せるだけ出して欲しい」
「簡単で、めんどくさくなくて、稼げる」
「菜月さん、方針としてもそれは非現実的だね。あと具体例を頼むよ」
「わかるか圭斗、一定の売り上げは欲しいけど働きたくないんだ」
ちなみに、過去にはポップコーンを作ったりしていた。鍋でひたすらぽんぽぽーんと。ただ、これが結構めんどくさかった覚えがある。一度に出来る量には限度があるのでひたすら作り続けていないといけない。
僕たちMMPはそこまで真剣に儲けを出したい集団ではない。赤字にならない程度にお店を出して、なんなら早く売り切って遊んでもいいんじゃないかくらいの緩いスタンス。作り置きしておける物の方が良さそうだね。
「働きたくないなら冷めても美味しい、もしくは冷たい物か」
「圭斗、言っても11月だぞ、冷たい物はギャンブルじゃないか?」
「言えばまだ熱い物もギャンブルだけどね」
「それか保温とかあっため直しが簡単な物。あっ、野菜スープ」
「野菜スープか」
「安い野菜と申し訳程度の肉みを入れてさ」
スープを作ることに関しては、誰からも異論がなかった。と言うか手のかかることをしたくなかったのだ。スープなら作って置いておけるし、具材を切って煮込むだけ。ラ~クちん! 自然とスープを作る路線になったところでレシピはどうする。
「人参! 玉ねぎ! それらを限界ギリギリまでうす~くスライス! そしてもやしをぽーん!」
「いいね。それじゃあ、レシピは菜月さんに開発してもらおうかな? 原価計算もしないといけないし」
「えっ、何でうちが」
「言い出しっぺですし」
「横暴だ」
あと、食品ブースだけじゃなくてDJブースの方の話も進めなければならない。やることが案外多くて忙しいね。
「ここでお知らせがあります」
「どうした圭斗、改まって」
「今月はバタバタすると思うので、正規の活動日である月水金以外も来れる人は来て準備に当たって下さい。各学年ごとの番組やストックのAD作業などなど学祭までにすることは山ほどあります。装飾の制作とかね」
「何でこっちを見た」
「装飾は菜月様にお願いする他になくてね」
こうして、ひと月に渡る準備期間が始まった。ん、菜月さんを酷使し過ぎじゃないかって? お気付きかもしれませんが、MMPは無能集団でね!
end.
++++
MMPでも大学祭に向けた話し合いがようやく始まったようですが、さすがMMPは適当だなあw
昼放送のことだったり大学祭のことだったりやることは結構多いですが、ぐだぐだながらに何とかするのが彼らである
さて、ここから菜月さんの孤軍奮闘が始まるのだね……菜月さんがんばれー!
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向島大学でも秋学期が始まり、MMPの活動も再開した。まあ、夏合宿もあったしその後にオープンキャンパスもあったから言うほど活動休止だった感はないんだけど。そんなこんなで秋学期のサークル2回目。やるべきことは山積み。
まずは、通年の活動である昼放送について。これは来週から始めることになっている。メンバーの履修が出揃ったところで、それを見ながらペアを決めていくのだ。ペアは出来れば過去に組んだことがある人よりもいろんな人と組んでいく方がいい。
ただ、ウチの場合は人数が少ないので過去にペアを組んだことがあるとかないとかを気にしていると活動が終わってしまう。目新しさよりもとにかくペアの数を優先すること。ペアの数が取れないと本当にMMPの活動が衰退しかねない。
「というワケで、前回もらった履修登録に基づいてこっちでペアを組んで来ました。えー、まず、火曜日が菜月・野坂ペア。木曜日にヒロと神崎・奈々ペア。ここは変則ペアだけど、スケジュール調整はペアで頼むよ。そして金曜日に僕とりっちゃんペアで行います」
「圭斗、三井は?」
「アイツは謎にスケジュールが合わないし、文系3年の割に地味に授業多いし」
「何でこっちを見た」
「ん、菜月さんも文系3年の割に授業が多いなあなんて思ってないよ。それはそうとして、三井とミキサー陣のスケジュールが合いそうになかったから、やりたかったら空いてる曜日にマルチでやってくれという通達はしてある。そもそも、何故今日もいないのか。いなくても支障はないけど」
「アレだろ? ムービースターとしての仕事が忙しいんだろ」
三井は夏休みの期間中にインディーズ映画のエキストラとして撮影に参加しているようだった。あたかも大役をもらったかのように振る舞っていたのだけど、菜月さん曰く本当のエキストラなんだそうだ。
サークルの活動に対する貢献度じゃないけど、参加度合いも口ほどにない。きっと今日のもうひとつの議題である大学祭についてもそれと言って参加してこないだろう。一応僕たち3年生にとってはラストセメスターなんだけど、何が変わるわけではない。
「まあ、そういうことだから、ペアで話し合って来週からオンエアが開始出来るようにしておいてください」
「はーい」
「で、次の議題に移ります。菜月さん、板書をお願いします」
さて、ここからは来月頭にある大学祭について。MMPでは毎年1日目にDJブースを、2日目と3日目には食品ブースを出展することになっている。何を出すかまではまだ決めていないのだけど、出展申し込みは済んでいる。
大学祭実行委員会によるブース説明会などはとっくの昔に始まっていて、僕がそれらに出席をしていた。ただ、そろそろ何を出店するかという具体的なことを記した書類提出の締め切りが迫っている。いい加減に決めなくてはならない。
「さて、食品ブースでは何を出そうか。現実的かどうかは後から精査するから今は出せるだけ出して欲しい」
「簡単で、めんどくさくなくて、稼げる」
「菜月さん、方針としてもそれは非現実的だね。あと具体例を頼むよ」
「わかるか圭斗、一定の売り上げは欲しいけど働きたくないんだ」
ちなみに、過去にはポップコーンを作ったりしていた。鍋でひたすらぽんぽぽーんと。ただ、これが結構めんどくさかった覚えがある。一度に出来る量には限度があるのでひたすら作り続けていないといけない。
僕たちMMPはそこまで真剣に儲けを出したい集団ではない。赤字にならない程度にお店を出して、なんなら早く売り切って遊んでもいいんじゃないかくらいの緩いスタンス。作り置きしておける物の方が良さそうだね。
「働きたくないなら冷めても美味しい、もしくは冷たい物か」
「圭斗、言っても11月だぞ、冷たい物はギャンブルじゃないか?」
「言えばまだ熱い物もギャンブルだけどね」
「それか保温とかあっため直しが簡単な物。あっ、野菜スープ」
「野菜スープか」
「安い野菜と申し訳程度の肉みを入れてさ」
スープを作ることに関しては、誰からも異論がなかった。と言うか手のかかることをしたくなかったのだ。スープなら作って置いておけるし、具材を切って煮込むだけ。ラ~クちん! 自然とスープを作る路線になったところでレシピはどうする。
「人参! 玉ねぎ! それらを限界ギリギリまでうす~くスライス! そしてもやしをぽーん!」
「いいね。それじゃあ、レシピは菜月さんに開発してもらおうかな? 原価計算もしないといけないし」
「えっ、何でうちが」
「言い出しっぺですし」
「横暴だ」
あと、食品ブースだけじゃなくてDJブースの方の話も進めなければならない。やることが案外多くて忙しいね。
「ここでお知らせがあります」
「どうした圭斗、改まって」
「今月はバタバタすると思うので、正規の活動日である月水金以外も来れる人は来て準備に当たって下さい。各学年ごとの番組やストックのAD作業などなど学祭までにすることは山ほどあります。装飾の制作とかね」
「何でこっちを見た」
「装飾は菜月様にお願いする他になくてね」
こうして、ひと月に渡る準備期間が始まった。ん、菜月さんを酷使し過ぎじゃないかって? お気付きかもしれませんが、MMPは無能集団でね!
end.
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MMPでも大学祭に向けた話し合いがようやく始まったようですが、さすがMMPは適当だなあw
昼放送のことだったり大学祭のことだったりやることは結構多いですが、ぐだぐだながらに何とかするのが彼らである
さて、ここから菜月さんの孤軍奮闘が始まるのだね……菜月さんがんばれー!
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