言われて嬉しくない言葉5つ
貴方の名前
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「試験最低点記録更新おめでとう」
「瑞希、こんな時間までどないしたん?」
「あ、えー…と。」
放課後の教室。
既に部活も終わったようで、荷物を持った侑士さんが廊下からこちらを覗いていた。
私は咄嗟に書いていた紙を手で隠す。
「侑士さんこそ、もう帰っているかと思いました。」
侑士さんは他に人が居ないか、教室を見渡してから窓際の1番後ろの席に居る私に近づいてくる。
「帰ろ思うたけど、瑞希の教室に明かりついてたから、居ったらええなあって。」
「それで迎えに来てくれるの、嬉しいです。」
つい嬉しくなって、笑顔になると侑士さんも微笑んでくれる。
「そうやな、寄って良かったわ。」
侑士さんはすぐ横まで来て、私の頭にぽんぽんと手を乗せる。
慣れなくていつも照れてしまう。
でも、同時に考えているのは、今この瞬間をどう乗り切るか。
「ほな、帰ろか。」
「あ、あの…ちょっと待ってもらっても良いですか?」
「ええよ、待っとるわ。」
そういって侑士さんは私の前の席の椅子に座る。
そこに座られるとすごく困るが、何と言えば良いのか分からず目を逸らす。
考えていると、机の上にある私の手に手を重ねる侑士さん。
つい反射で侑士さんを見てしまう。
そしてイタズラっぽく笑う侑士さん。
「何隠してるんや?」
「え、いや、あの、」
つい手に力が入ってしまう。
その様子を見て
「これやな?」
と侑士さんにバレてしまう。
「…笑いません?」
「笑わへんよ。」
「……」
「笑わへんで?」
「き、嫌いになりません…?」
「そんなん、なる訳ないやろ。」
重なっていた侑士さんの手が離れて、私の頭を撫でる。
優しいトーンの言い方に逃げられないな、と渋々紙に置いていた手を動かす。
手元の紙を見る侑士さん。
そこにあったのは赤点の現代文と出された補習のプリント。
声は出していないものの口元を少し動かして、笑いを堪えている侑士さん。
「…笑った。」
「堪忍な。でも、もっと大変なことやないかと、身構えててん。」
「一大事なんです。」
「わかっとる、わかっとる。」
真剣な顔で言ってるのに、肩を震わして笑いを抑える侑士さん。
ひとまず幻滅されて嫌われなかったことに私も安堵する。
でも笑いすぎだと思う。
「でも自分が現代文苦手なん知っとるけど、赤点は珍しいな。」
「…漢字の問題少なくて、抜き出しばっかりだった。」
「それは災難やったなあ。」
再びよしよしと頭を撫でてくれる侑士さん。
「いうてプリントほとんど終わってるやん。残りやって、一緒に帰ろか。お祝いしたる。」
侑士さんは笑いを堪えるのを諦めたらしい。
楽しそうに目を細めている。
「お祝いですか…?」
「そうや。補習お疲れ様、のお祝いと、」
「試験最低点記録更新おめでとう」
「傷口に泥塗らないでくださいよ」
「…それは塩やで」
後書き
関西弁を書くとなんか面白いこと言わなあかん、ってなりますよね。面白いって難しい…。
多分この子は色んな言葉をパーツで覚えてて、その合体の組み合わせが間違っちゃう系ヒロインですね。
「瑞希、こんな時間までどないしたん?」
「あ、えー…と。」
放課後の教室。
既に部活も終わったようで、荷物を持った侑士さんが廊下からこちらを覗いていた。
私は咄嗟に書いていた紙を手で隠す。
「侑士さんこそ、もう帰っているかと思いました。」
侑士さんは他に人が居ないか、教室を見渡してから窓際の1番後ろの席に居る私に近づいてくる。
「帰ろ思うたけど、瑞希の教室に明かりついてたから、居ったらええなあって。」
「それで迎えに来てくれるの、嬉しいです。」
つい嬉しくなって、笑顔になると侑士さんも微笑んでくれる。
「そうやな、寄って良かったわ。」
侑士さんはすぐ横まで来て、私の頭にぽんぽんと手を乗せる。
慣れなくていつも照れてしまう。
でも、同時に考えているのは、今この瞬間をどう乗り切るか。
「ほな、帰ろか。」
「あ、あの…ちょっと待ってもらっても良いですか?」
「ええよ、待っとるわ。」
そういって侑士さんは私の前の席の椅子に座る。
そこに座られるとすごく困るが、何と言えば良いのか分からず目を逸らす。
考えていると、机の上にある私の手に手を重ねる侑士さん。
つい反射で侑士さんを見てしまう。
そしてイタズラっぽく笑う侑士さん。
「何隠してるんや?」
「え、いや、あの、」
つい手に力が入ってしまう。
その様子を見て
「これやな?」
と侑士さんにバレてしまう。
「…笑いません?」
「笑わへんよ。」
「……」
「笑わへんで?」
「き、嫌いになりません…?」
「そんなん、なる訳ないやろ。」
重なっていた侑士さんの手が離れて、私の頭を撫でる。
優しいトーンの言い方に逃げられないな、と渋々紙に置いていた手を動かす。
手元の紙を見る侑士さん。
そこにあったのは赤点の現代文と出された補習のプリント。
声は出していないものの口元を少し動かして、笑いを堪えている侑士さん。
「…笑った。」
「堪忍な。でも、もっと大変なことやないかと、身構えててん。」
「一大事なんです。」
「わかっとる、わかっとる。」
真剣な顔で言ってるのに、肩を震わして笑いを抑える侑士さん。
ひとまず幻滅されて嫌われなかったことに私も安堵する。
でも笑いすぎだと思う。
「でも自分が現代文苦手なん知っとるけど、赤点は珍しいな。」
「…漢字の問題少なくて、抜き出しばっかりだった。」
「それは災難やったなあ。」
再びよしよしと頭を撫でてくれる侑士さん。
「いうてプリントほとんど終わってるやん。残りやって、一緒に帰ろか。お祝いしたる。」
侑士さんは笑いを堪えるのを諦めたらしい。
楽しそうに目を細めている。
「お祝いですか…?」
「そうや。補習お疲れ様、のお祝いと、」
「試験最低点記録更新おめでとう」
「傷口に泥塗らないでくださいよ」
「…それは塩やで」
後書き
関西弁を書くとなんか面白いこと言わなあかん、ってなりますよね。面白いって難しい…。
多分この子は色んな言葉をパーツで覚えてて、その合体の組み合わせが間違っちゃう系ヒロインですね。
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