Viola mandshurica
貴方の名前
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ガチャッ―――
「「…………」」
開けるとそこには、想像していたよりもずっと家具があって掃除された綺麗な部屋だった。
そして…机に向かっていた人とバッチリ目が合ってしまった。
…あ…部屋を間違えた…
「…君は…?」
その人はとても怪訝そうに尋ねてきた。
「あ…新しく引っ越してきた菅原瑞希です。」
「あぁ、挨拶に来たのか、僕は綾小路行人、三年だ。」
挨拶に来た訳ではないけれども、良い意味で勘違いしてもらったので、それに便乗することにした。
「えっと、304号室に引っ越してきました、宜しくお願いします。」
「304なら向かいだな、宜しく。」
…ん?でも恵美ちゃんは此処だって言ってたよね…?
恵美ちゃんって意外とうっかりさんだったんだね、なんて思いながら綾小路さんにお辞儀をして扉を閉める。
えっと、向かいは……と、見ると確かにプレートには304号室とかいてあった。
入るとダンボールが4,5個、引越しする際にお母さんと二人でまとめた物だった。
とりあえず、必要な物、と書かれたダンボールを開けて、学校の準備だけしておく。
………………
…結局、新しい部屋が嬉しくて全ての荷解きをしていたら外はもう暗くなっていた。
そう思うとお腹が空いてきた…
お腹の辺りを少し擦ってから長時間座っていた場所から腰を上げ、一旦外に出る。
「……あ、」
「あぁ、さっきの…菅原、さん?」
「あ、はい、そうです。」
ぐぅぅぅぅ…
…こんなタイミングにお腹が鳴ってしまった。
さっきからこの人に恥ずかしい所ばかりみられてる気がする…自然と顔が熱くなるが、綾小路さんはさして表情も変えずに尋ねてきた。
「…まだ、食べてないのか?」
「………はい…」
お金はあるから、今から買いに行ってもいいんだけど…正直に言って初めて来た場所で迷子にならない訳がない。
気まずそうに答えると綾小路さんは、
「あまりお腹は減ってないから、良かったら俺の分食べるか?」
「本当ですか!?」
私は一歩前に出ると綾小路さんは一歩後ずさる。慌てて元の場所に戻ると綾小路さんは苦笑した。
「菅原さんは忙しいな。」
「あ、すみません…」
「え、いや、僕は良いと思う。」
今度は綾小路さんが慌てて、マスクを少し上げる。
その後は他愛も無い話をしながら食堂へと向かった。
初日から優しい先輩と知り合いになれて良かった!なんて思いながら。