Viola mandshurica
貴方の名前
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「此所だよ。」
そう言って坂上君がこちらに振り返る、そんな彼の背後には大きな建物が一つ、写真で見ていた学生寮だ。
「…大きいね。」
「中も綺麗だよ、じゃあ早速入ろうか。」
坂上君は嬉しそうな声でそう答えると、中に入っていった。
私もキョロキョロしながら、その後を付いていった。
「あ、坂上君。」
入り口で出会ったのは同じ学年位の明るそうな女の子だった。
「やぁ、倉田さん。」
「その子は?(さ、坂上、女の子を寮に連れ込むなんて、侮れないわね…!!)」
「あ、新しく入ってきます、菅原瑞希と言います。」
「あ、そうなんだ…私は倉田恵美、これから宜しくね。」
「宜しくね、倉田さん。」
「部屋はどこなの?」
「えーっと…」
鞄から折りたたんだメモを取り出して、広げて確認する。
隣の坂上君もメモを覗いた。
「へー、菅原さんは304号室なんだ。」
「じゃあ、私が案内するわ。坂上君、またね。」
「うん、倉田さん、菅原さん、また学校でね。」
坂上君は笑顔で手を振りながら階段を上がって行った。
「うーん、じゃあ、まずは寮の人に挨拶してリビングね。」
「ありがとう、倉田さん。」
「これくらいお安い御用よ、あ、アナタも一年生でしょ?私の事は名前でいいわよ。」
「う、うん!じゃあ恵美ちゃん、私も名前で呼んでね。」
「わかったわ、瑞希ちゃん。」
私は恵美ちゃんと他愛もない会話をしながら寮を案内してもらった。
まず、寮母さんに挨拶してから、一階にはリビングに寮母さんの部屋、お風呂などなど…共同スペースってことらしい。
二階からはそれぞれの個室があって、部屋割りは適当らしく男女がごちゃ混ぜになっていて夜這いには最適ね!なんて恵美ちゃんが言っていたけど、気のせいにしておいた。
二階にも既に何人か住んでいるらしいけど、恵美ちゃんが全員が先輩だって言ってたから、あまり学校では会おうとしても中々会えないって説明してくれた。
そういえば、学校凄く大きいもんね…入学して人の多さにビックリしたもの。
そんなことを話しながら三階に上がろうとした時、降りてくる人が見えた。
「あ、日野先輩。」
恵美ちゃんがその人に会釈すると、日野先輩と呼ばれた人は軽く手を上げてから降りて行った。
「日野、先輩?」
「あ、新聞部に入っているんだけど、そこの先輩も寮で住んでるの。」
「そうだったんだー、カッコいい人だったね。」
そう言うと恵美ちゃんはうふふ、と意味有りげに笑っていた。
「ここの一番奥の左が304よ。」
三階に着いて開けた場所に来ると恵美ちゃんがそう言った。
「有難う!ねぇ、恵美ちゃんは三階じゃないの?」
「私は四階なの、あ、坂上君も四階よ。」
「そっか、じゃあ遊びに行くね。」
「うん、待ってるね。」
そこで別れて私は教えてもらった部屋へと向かう、そしてゆっくりと扉を開けた。