幼なじみの恋に/5題
貴方の名前
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約束のキスをもう一度
夜の海を横目に防波堤の側を歩く。
学校終わりに一旦家に帰ったものの、気がつくと海に来てしまう。
理由は波の音で心が穏やかになるから…ってことにしてる。
「比呂士…」
幼馴染みの比呂士は立海大テニス部、しかもレギュラー。
同じ中学で彼の活躍を近くで見れて嬉しい反面、その分だけどうしても距離を感じてしまう。
入学した頃は昔と変わらず一緒に遊んだり、帰っていたりしたが、
次第に朝練や帰りが遅くなること、休日も練習やテニス部のメンバーと過ごすことが増えたようだった。
そうすると比呂士が待たせたことや会えないことを
本当に申し訳なさそうに謝るので、そんな気持ちにさせないために
『比呂士、無理しなくていいよ。これからも応援してるよ。』
と言って、一緒に過ごすのをパタリとやめた。
そうなると校内でも自然と会話が減った。
今まで部活問わず、沢山会っていたんだ、とか、
迷惑をかけてたかも、って気づけたけど、
あの日の自分の行動に、とても後悔している。
そうやって比呂士を思い出すと、どうしても海に来てしまう。
こうしてると昔みたいに比呂士に会える気がするから。
暫くアテもなく歩いていたので、家の方向へ踵を返す。
そして防波堤の上を歩きたくなって、登る。
普段はレディーが危ないですよ、って比呂士に言われるからしなかったけど、
だからこそ、ダメと言われたことをしたくなる。
海が一段と広く見える。
少し気分が良い。
そんな風に歩いていると、進行方向の少し遠くに部活終わりであろう人達が防波堤の側を歩いてくるのが見える。
その中に、いる。
一番会いたかった人。
「柳生、借りていた本だ。今回の本も非常に楽しませてもらった。ありがとう。」
「そう言っていただけて嬉しいです、柳くん。また持って来ましょう。」
「先輩ら分厚い本持ち歩くの、かさばるしめっちゃダルくないっすか?」
「赤也、人の趣味に文句を言うのは感心せんぞ。」
「そうですよ、切原くん。」
優しい物言いの幼馴染。
見るだけで胸が高鳴る。
しかし、自分から避けてしまった罪悪感で合わせる顔がない。
近づいてくるのに、変に逃げたりするのも可笑しく見えるから、
向こうの人達が気づく前に、咄嗟に海の方へと顔を向ける。
幸いにも一度家に帰っていたので、制服姿でもない。
変に反応したりしないように、海をひたすら眺める。
「あれは…」
「?柳生先輩、どうしたんすか?」
何を話しているか分かるくらい近づいてきた時に、比呂士が気付いたらしい。
でも、私は反応せずに海を見る。
通りすぎるテニス部の人たち。
通り過ぎる、比呂士。
足音が遠ざかるほどに目頭が熱くなる。
気づいて欲しくない。
気づいて欲しい。
声をかけて欲しくない。
声をかけて欲しい。
気持ちが矛盾している。
目に涙が溜まって、あとは落ちるのが時間の問題というところで、
足音が聞こえた気がした。
「瑞希さん!」
聞こえた声が大きくて、驚いて振り向く。
そこには、息切れして私を見つめる比呂士。
「比呂士…?」
比呂士だと分かってはいるがその瞬間に視界が滲んで、本物なのか願望なのかが、よく分からなくなる。
「瑞希さん。」
「はい。」
「レディーが夜に防波堤に登って…危ないですよ。」
「…うん。」
まず心配するのは、間違いなく私の幼馴染。
「ほら、私に掴まってください。」
手を差し出しているシルエットに手を伸ばす。
すると引き寄せられて抱き抱えられるように防波堤から降ろしてもらう。
比呂士がハンカチを取り出して、私の涙を拭ってくれる。
「こんなに涙を出して…どうかしましたか?」
少しの沈黙。
比呂士はいつでも、ちゃんと言葉にするのを待ってくれる。
「……比呂士に会いたかった。」
「…そうですか。それは、私もですよ。」
「……ごめん。」
「いえ、瑞希さんが謝ることは何もありません。」
「私、比呂士の迷惑になると思って。」
「大丈夫です。」
力強く答える比呂士。
私の気持ちは言わずとも通じてるようだった。
「私の方こそすみません。至らないばかりに瑞希さんを悲しませてしまいました。」
「そんなことない。」
「いえ、私が瑞希さんなら、許してもらえるだろうと甘えていたのです。」
「…なんでも許すよ」
「ええ、わかっています。でも、もうしません。」
比呂士は私の肩に手を置いて、まっすぐ見てくる。
「約束、覚えていますか?」
「…比呂士は、忘れていると思ってた。」
「まさか。」
「でも、あれは大人になっても…その、好きだったら…、って話だったし。」
「そうですね、まだまだ大人には遠いので…少しだけ。」
比呂士は私の肩に置いた手を私の顎に移動して、そっと支える。
そして屈んで私の頬にキスをする。
約束のキスをもう一度
願うのはひとつだけ
きみと一緒に大人になりたい
後書き
柳生が紳士すぎて、、、
海辺を通ると、ときメモGS2を思い出しますよね。
夜の海を横目に防波堤の側を歩く。
学校終わりに一旦家に帰ったものの、気がつくと海に来てしまう。
理由は波の音で心が穏やかになるから…ってことにしてる。
「比呂士…」
幼馴染みの比呂士は立海大テニス部、しかもレギュラー。
同じ中学で彼の活躍を近くで見れて嬉しい反面、その分だけどうしても距離を感じてしまう。
入学した頃は昔と変わらず一緒に遊んだり、帰っていたりしたが、
次第に朝練や帰りが遅くなること、休日も練習やテニス部のメンバーと過ごすことが増えたようだった。
そうすると比呂士が待たせたことや会えないことを
本当に申し訳なさそうに謝るので、そんな気持ちにさせないために
『比呂士、無理しなくていいよ。これからも応援してるよ。』
と言って、一緒に過ごすのをパタリとやめた。
そうなると校内でも自然と会話が減った。
今まで部活問わず、沢山会っていたんだ、とか、
迷惑をかけてたかも、って気づけたけど、
あの日の自分の行動に、とても後悔している。
そうやって比呂士を思い出すと、どうしても海に来てしまう。
こうしてると昔みたいに比呂士に会える気がするから。
暫くアテもなく歩いていたので、家の方向へ踵を返す。
そして防波堤の上を歩きたくなって、登る。
普段はレディーが危ないですよ、って比呂士に言われるからしなかったけど、
だからこそ、ダメと言われたことをしたくなる。
海が一段と広く見える。
少し気分が良い。
そんな風に歩いていると、進行方向の少し遠くに部活終わりであろう人達が防波堤の側を歩いてくるのが見える。
その中に、いる。
一番会いたかった人。
「柳生、借りていた本だ。今回の本も非常に楽しませてもらった。ありがとう。」
「そう言っていただけて嬉しいです、柳くん。また持って来ましょう。」
「先輩ら分厚い本持ち歩くの、かさばるしめっちゃダルくないっすか?」
「赤也、人の趣味に文句を言うのは感心せんぞ。」
「そうですよ、切原くん。」
優しい物言いの幼馴染。
見るだけで胸が高鳴る。
しかし、自分から避けてしまった罪悪感で合わせる顔がない。
近づいてくるのに、変に逃げたりするのも可笑しく見えるから、
向こうの人達が気づく前に、咄嗟に海の方へと顔を向ける。
幸いにも一度家に帰っていたので、制服姿でもない。
変に反応したりしないように、海をひたすら眺める。
「あれは…」
「?柳生先輩、どうしたんすか?」
何を話しているか分かるくらい近づいてきた時に、比呂士が気付いたらしい。
でも、私は反応せずに海を見る。
通りすぎるテニス部の人たち。
通り過ぎる、比呂士。
足音が遠ざかるほどに目頭が熱くなる。
気づいて欲しくない。
気づいて欲しい。
声をかけて欲しくない。
声をかけて欲しい。
気持ちが矛盾している。
目に涙が溜まって、あとは落ちるのが時間の問題というところで、
足音が聞こえた気がした。
「瑞希さん!」
聞こえた声が大きくて、驚いて振り向く。
そこには、息切れして私を見つめる比呂士。
「比呂士…?」
比呂士だと分かってはいるがその瞬間に視界が滲んで、本物なのか願望なのかが、よく分からなくなる。
「瑞希さん。」
「はい。」
「レディーが夜に防波堤に登って…危ないですよ。」
「…うん。」
まず心配するのは、間違いなく私の幼馴染。
「ほら、私に掴まってください。」
手を差し出しているシルエットに手を伸ばす。
すると引き寄せられて抱き抱えられるように防波堤から降ろしてもらう。
比呂士がハンカチを取り出して、私の涙を拭ってくれる。
「こんなに涙を出して…どうかしましたか?」
少しの沈黙。
比呂士はいつでも、ちゃんと言葉にするのを待ってくれる。
「……比呂士に会いたかった。」
「…そうですか。それは、私もですよ。」
「……ごめん。」
「いえ、瑞希さんが謝ることは何もありません。」
「私、比呂士の迷惑になると思って。」
「大丈夫です。」
力強く答える比呂士。
私の気持ちは言わずとも通じてるようだった。
「私の方こそすみません。至らないばかりに瑞希さんを悲しませてしまいました。」
「そんなことない。」
「いえ、私が瑞希さんなら、許してもらえるだろうと甘えていたのです。」
「…なんでも許すよ」
「ええ、わかっています。でも、もうしません。」
比呂士は私の肩に手を置いて、まっすぐ見てくる。
「約束、覚えていますか?」
「…比呂士は、忘れていると思ってた。」
「まさか。」
「でも、あれは大人になっても…その、好きだったら…、って話だったし。」
「そうですね、まだまだ大人には遠いので…少しだけ。」
比呂士は私の肩に置いた手を私の顎に移動して、そっと支える。
そして屈んで私の頬にキスをする。
約束のキスをもう一度
願うのはひとつだけ
きみと一緒に大人になりたい
後書き
柳生が紳士すぎて、、、
海辺を通ると、ときメモGS2を思い出しますよね。
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