幼なじみの恋に/5題
貴方の名前
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変わらない君のまま
夕暮れに染まる校舎。
花達は1日の終わりが始まるのを告げる様に影を伸ばす。
その影に囲まれる大きな影は俺のもの。
そして、しゃがんでるはずの俺の影が段々大きくなっているのは君が後ろに来て俺を驚かそうとしているから。
「どうしたんだい?」
ゆっくりだった大きい影は勢いよく俺の影から離れ、形を変える。
「…バレてた?」
「勿論。」
「精市が、お花見てるから静かにしてたのに。」
「瑞希は何をしても静かに出来たことないよ。」
そう言うと隣で立っていた瑞希を見上げる。
影で表情は見えないけど、多分ふてくされているだろう。
俺は思わず笑ってしまう。
するとますます頬を膨らます、そのシルエットはまるでリスみたいだ。
「確かに夜中、水を飲みに行くだけで家族全員起こして怒られたりするけど。」
「瑞希は慌ただしいから。」
また俺が笑うと、瑞希は無言で隣にしゃがみこむ。
「どうかしたのかい?」
「………」
瑞希が拗ねるフリをするといつもこうなる。
こうなると優しい言葉をかけたって無意味だ。
ますます引けなくなって走り去って、きっと帰って落ち込んでしまうだろう。
瑞希がわがままを言えるのは俺だけだから。
だから真剣に受け止めたりしたら、もう俺にも心を開いてくれなくなる。
夕暮れは赤みを増し、1日の終わりを催促しだす。
並んだ大きな影二つ。
俺は同じ高さに居る瑞希の横顔を見つめる。
相変わらず拗ねたフリを続ける、とても分かりやすくて可愛らしい幼なじみ。
ちょっと頬をつつけば、びっくりした顔でこちらを見てしまう。
俺は愛しくて笑ってしまう。
すると恥ずかしそうに笑い返す君。
そう、君はずっと変わらずに。
変わらない君のまま
俺の隣にいてくれるかい?
後書き
精市さんがとても詩的になってしまいました。
(口に出してないのでセーフのはず)